ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

41 / 96
「よいしょと、(-ω-ゞアイお馴染みの零斗でーす」
「アルフレリックだ」
「アルテナです」

「さて、前回はフェアベルゲンに着いたな、そんでアルフレリックとの話し合いだったな」
「……その後の事は申し訳無い」
「私からも、すみませんでした」
「別にいいさ、だから頭を上げてくれ」

「と、気を取り直し……今回はハウリア族の話がメインだ」
「楽しんでいってください」

「「「とある少女達の決意!」」」


とある少女達の決意

 Side 零斗

 

 アルフレリックと共に階上まで戻り、中断していた話し合いを再開した……が中断する前にほぼほぼ終わっていたので特に重要な事は無いので、適当な雑談をしていた。

 

「ハッハッハッ!! 久しぶりだな、こんなに気分がいいのは!」

「おいおい……その酒そんなガバガバ呑むもんじゃねぇぞ」

 

 途中で酒を交えながら話していたのだが、大分強めの酒を呑んでいたのでアルフレリックが完全に出来上がってしまっている。こりゃ面倒事が起きそうだなぁ……

 

 ガチャ「少し良いか?」

「おお! ジンか! お前も飲まんか?」

 

 扉が開き、先程悪夢を見せていたジンが入ってきた。その顔に覇気は無く、後悔と自責の念が感じ取れる。

 

「い、いや。今はいい」

「……自分達がどれだけ愚かだったか分かったか?」

「あぁ……嫌という程思い知ったさ」

 

 俯き呟くように話すジン。

 

「カム達には謝ったのか?」

「あぁ」

「なら、俺から言うことは何も無い……下の長老達も呼んできて酒でも呑もうぜ」

「……そうさせて貰おう」

 

 下の階から他の長老を呼び、晩酌を開始した。

 

 

 ────────────────────────

 

「「「ワッハッハッハ!」」」

「グゴォォォ……」

「ヒック……」ポロポロ

 

 開始10分程で長老全員が完全に出来上がってしまっている。ジンは早々に寝ちまうし、狐人族のルア、土人族(俗に言うドワーフ)のグゼは絡み酒だし、翼人族のマオは泣き上戸だし、虎人族のゼルはうるさいし……もうヤダこの酔っ払い共。

 

「……全員酒弱いのな」

「そら、零斗! お前さん呑め!」

 

 アルフレリックがウォッカに似た酒を渡してくる。ハァ……こういうのは慣れないな。

 

「アルフレリック」

「どうした? ツマミでも無くなったか?」

「あぁ、そろそろ無くな……違くて」

「?」

 

 ずっと気になっていた事をアルフレリックに聞く。

 

「この国ではいつから魔力持ちを殺す様になったんだ?」

「「「「……」」」」

「答えずらいならいいが……」

「いや、大丈夫だ。そうだな……何時からは正確に憶えていないが……魔力持ちの亜人が暴走してな、国が滅びかけた時……だろうか?」

「その時はどうやって止めたんだ?」

「外のから来た何者かが暴走した魔力持ちを殺したのだ」

 

 国が滅びかけるほどの強化な力を持った奴を殺した? 何者だよ……

 

「見た目とか憶えてるか?」

「……両者とも仮面とローブを付けたいたからな、よく分からなかったよ」

 

 うーん? すっごい嫌な予感がするぞぉ。

 

「……その子たち互いを『姉さん』『兄さん』て呼んでなかったか?」

「あぁ、その様に呼び合っていたな……だが何故(ゴンッ!)ど、どうした!?」

 

 思い切り机に頭を叩き付けてしまった。なんで彼奴らがここに……嫌そうだわ、全員居るんだったな。

 

「……ナンデモナイデス」

「そ、そうか」

(───! ────!)ギャーキャー! 

「ん? 下の方が騒がしいな……またトラブルか?」

「その様だな」

 

 ジン達をその場に残し、下の階へ行く。

 

「私もハジメ様の旅へついて行きます!」

 

 ん? アルテナちゃん? 

 

「……いい度胸」

「誰か助けて……」

 

 縛り上げ上げられているハジメに、背後にスタ〇ドを召喚しているユエに、それを面白そうに見ているオスカーに、怯えるだけのハウリア族……なんだこのカオスな現状。

 

「あーとりあえず全員落ち着け……と言うかどうしてこんな事になったのか説明をしろ」

「えぇっと……」

 

 ●○●

 

 Side 三人称

 

 零斗達が上の階に戻ってから5分近く経った。

 

「ッ!? ……ハァ、ハァ」

「ジン! 大丈夫か!?」

「あぁ……大丈夫だ。それよりあの者は何処へ?」

「アルフレリックと共に上の階に戻って行った」

「そうか……」

 

 ジンの顔色は蒼白で、零斗に殴り掛かった時とは違い覇気が無い。

 

「カム、シア。先程は済まなかった!」

「え?」

「……あの者に見せられた物で俺は自分がどれだけ愚かだったか理解した。本当に済まなかった……」

 

 他の亜人達は「正気か! ジン!」とか「お前も裏切るのか!?」等と罵詈雑言を浴びせられている。

 

「……貴様らは自分の子が他の者から忌み子と呼ばれ処刑されてもいいと言うのだな? 俺はそんな事はゴメンだ……あんな地獄、いや、そんな言葉では生温いほどの悪夢を俺はもう見たくない!」

「「「「ッ!!」」」」

 

 ジンの言葉によって押し黙ってしまう長老達。自分達のやってきた事がどれだけ残酷だったかを理解している様だ。

 

「俺はあの者に……零斗に謝罪をして来る」

 

 そう言って階段を上がっていく。

 

「……だがハウリア族の処刑は覆す事は出来ない、長老会議で下された事は覆せないのだ……すまない」

「どういう……事ですか?」

「長老様方! どうか、どうか一族だけはご寛恕を! どうか!」

「シア! 止めなさい! 皆覚悟は出来ている。お前には何の落ち度もないのだ。そんな家族を見捨ててまで生きたいとは思わない。ハウリア族の皆で何度も何度も話し合って決めたことなのだ。お前が気に病む必要はない」

「でも、父様!」

 

 土下座しながら必死に寛恕を請うシアだったが、ゼルの言葉に容赦はなかった。……アルテナさんは泣きそうな顔でシアを見ている。

 

「既に決定したことだ。ハウリア族は全員処刑する。フェアベルゲンを謀らなければ忌み子の追放だけで済んだかもしれんのにな……」

 

 ワッと泣き出すさん。それをカム達は優しく慰めた。長老会議で決定したというのは本当なのだろう。他の長老達も何も言わなかった。

 

「ハジメ殿、今なら他の種族達が案内をするが……」

 

 申し訳無さそうに提案をするゼル。他の長老衆も異論はないようだ。

 

「俺達の案内役はハウリア族です。そういう契約ですから」

「な!?」

 

 シア達を助ける代わりに樹海の案内役を頼んだのは変わらない。スっと伸ばした手を泣き崩れているシアの頭に乗せた。ピクッと体を震わせ、ハジメを見上げるシア。

 

「俺から、こいつらを奪うのなら……覚悟を決めろ」

「ハジメさん……」

 

 慣れない口調のせいか少々顔の赤いハジメ。威圧目的でやっている様だが……威圧感がまるで無い。それでも、ハウリア族を死なせないために亜人族の本拠地フェアベルゲンとの戦争も辞さないという言葉は、その意志は、絶望に沈むシアの心を真っ直ぐに貫いた…………それを物凄く羨ましそうな顔で、アルテナが見ている! 

 

「本気かね?」

 

 長老達が誤魔化しは許さないとばかりに鋭い眼光でハジメを射貫く。

 

「当然だ」

 

 しかし、全く揺るがないハジメ。そこに不退転の決意が見て取れる。世界に対して自重しない、邪魔するものには妥協も容赦もしない。それが零斗から教わった教訓だ。

 

「フェアベルゲンから案内を出すと言ってもか?」

 

 ハウリア族の処刑は、長老会議で決定したことだ。それを、言ってみれば脅しに屈して覆すことは国の威信に関わる。今後、ハジメ達を襲うかもしれない者達の助命を引き出すための交渉材料である案内人というカードを切ってでも、長老会議の決定を覆すわけにはいかない。故に、クゼは提案した。しかし、ハジメは交渉の余地などないと言わんばかりにはっきりと告げる。

 

「何度言わせる気だ? 俺達の案内人はハウリアだ」

「なぜ、彼等にこだわる。大樹に行きたいだけなら案内人は誰でもよかろう」

 

「約束したからな。案内と引き換えに助ける……と」

「……約束か。それならもう果たしたと考えてもいいのではないか? 峡谷の魔物からも、帝国兵からも守ったのだろう? なら、あとは報酬として案内を受けるだけだ。報酬を渡す者が変わるだけで問題なかろう」

「問題大ありだ。案内するまで身の安全を確保するってのが約束だ。途中でいい条件が出てきたからって、ポイ捨てして鞍替えなんて……」

 

 一度言葉を切り、獰猛なな笑みを浮かべるハジメ。

 

「格好悪いだろ?」

 

 闇討ち、不意打ち、騙し討ち、卑怯、卑劣に嘘、ハッタリ。殺し合いにおいて、これらを悪い事では無い。ハジメは生き残るために必要なら何の躊躇いもなく実行して見せるだろう。

 

「あぁ〜かっこよく決めてるとこ悪いんだが……長老達に用があるんだがいいか?」

 

 ロボットの様な動いで振り向くハジメ。

 

「……聴いてた?」

「バッチリとな」

「……どの辺から?」

「『俺から、コイツらを』って所から」

「最初からじゃん……記憶て殴れば消えるよね?」

 

 拳を握り、構えを取るハジメ。

 

「大丈夫、痛いのは一瞬だから……とりあえずオレハキサマヲムッコロス!」

「ところがぎっちょん!」

 

 ハジメの鉄拳を躱し、長老達を掻っ攫う零斗。

 

「クソ!」

「あ、あの、私達……死ななくていいんですか?」

「? さっきの話聞いてなかったの?」

「い、いえ、聞いてはいましたが……その、何だかトントン拍子で窮地を脱してしまったので実感が湧かないといいますか……信じられない状況といいますか……」

 

 周りのハウリア族も同様なのか困惑したような表情だ。それだけ、長老会議の決定というのは亜人にとって絶対的なものなのだろう。どう処理していいのか分からず困惑するシアにユエが呟くように話しかけた。

 

「……素直に喜べばいい」

「ユエさん?」

「……ハジメに救われた。それが事実。受け入れて喜べばいい」

「……」

 

 ユエの言葉に、シアはそっと隣を歩くハジメに視線をやった。ハジメは前を向いたまま肩を竦める。

 

「えっと……その……約束だから」

「ッ……」

 

 シアは、肩を震わせる。樹海の案内と引き換えにシアと彼女の家族の命を守る。シアが必死に取り付けた零斗達との約束だ。

 

 

 

 先程、一度高鳴った心臓が再び跳ねた気がした。顔が熱を持ち、居ても立ってもいられない正体不明の衝動が込み上げてくる。それは家族が生き残った事への喜びか、それとも……

 

 シアは、ユエの言う通り素直に喜び、今の気持ちを衝動に任せて全力で表してみることにした。すなわち、ハジメに全力で抱きつく! 

 

「ハジメさ~ん! ありがどうございまずぅ~!」

「どわっ!? いきなり何!?」

「むっ……」

 

 泣きべそを掻きながら絶対に離しません! とでも言う様にヒシッとしがみつき顔をグリグリとハジメの肩に押し付けるシア。その表情は緩みに緩んでいて、頬はバラ色に染め上げられている。それを見たユエが不機嫌そうに唸るものの、何か思うところがあるのか特に何もしなかった。喜びを爆発させハジメにじゃれつくシアの姿に、ハウリア族の皆もようやく命拾いしたことを実感したのか隣同士で喜びを分かち合っている。

 

 とそんな中、

 

「私もハジメ様達に付いていきます!!!」

 

 そんな声が辺りに響いた。発信元は、アルテナである。上の階から零斗が降りてきて頭を抱えながら状況の説明を求めた。

 

 ●○●

 

 Side 零斗

 

「これが事の顛末です…… 」

「…………」

 

 頭痛くなってきたわ……やっぱりハジメって女たらしだよなぁ。

 

「ア、アルテナ? 何を言っているんだ?」

「「「アルテナ様!?」」」

 

 アルフレリックも他の長老達も動揺している。

 

「私は、今回の長老会議の場の話合いを見てフェアベルゲンや長老衆やお祖父様、貴方達に愛想が尽きましたわ。だってそうでしょう? このハルツィナ樹海を作ったとされる解放者リューティリス・ハルツィナ様の口伝を無視して、長老自らハジメ様達に敵対する意思を示す始末。更には、同じ亜人族であり同胞であるはずのシアさん達ハウリア族を処刑するだなんて言って……更にハジメ様達の怒りを買おうとする。今まで皆様にも伝えてませんでしたが、私も魔力を持っていますわ? 固有魔法は持っておりませんけど……だからハジメ様達に付いていきますわ。それとも私もシアさん達のように長老会議にかけて処刑します?」

 

 ……この嬢ちゃん、見所があるな。

 

「「「「「……」」」」」

 

 何か言えよ……反論の余地も無いか。

 

「嬢ちゃん……啖呵切るのはいいが、俺らが拒否したらどうする気だ?」

「無理やりにでも付いて行きます!」

「……お前を奴隷商に売り飛ばす可能性だってあるんだぞ?」

「それでも構いません」

 

 頑固と言うか……意地っ張りと言うか……こりゃどんな手を使っても動く気がねぇな。

 

「旅に同行するのは良いが、それなりの実力は付けて貰うぞ?」

「ハイ!」

「シア、お前だ。付いて来たいのなら、先ずは実力を付けろ。話はそれからだ」

「は、ハイ!」

 

 




アルテナちゃんはハジメのヒロインになります。これが年内最後の投稿です。それでは良いお年を……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。