ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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「よいしょと、(`・ω・´)ゞハイお馴染みの零斗さんですよ」
「カムです」
「…………エトです」

「前回はカム達の訓練結果だったな」
「その節は本当に申し訳ない事をしました……」
「気にしなくて大丈夫だ、俺らも最初はあんな感じになってたしな」
「……………………罪悪感が凄い」
「移植すんだったら相談ぐらいしろ」
「以後気をつけます」

「さて、今回は大樹の元まで行くぞ」
「楽しんでいってください」

「「「大樹の元へ!」」」


大樹の元へ

 Side 零斗

 

 深い霧の中、大樹に向かって歩みを進めていた。先頭をカムに任せ、これも訓練とハウリア達は周囲に散開して全員、その表情は真剣そのものである。もっとも、全員がコブか青あざを作っているので何とも締りがないがな……

 

「うぅ〜まだヒリヒリしますぅ……」

 

 泣き言を言いながらタンコブに触れているシア。先程から恨みがましい視線を向けて来ている。

 

「そんな目で見るんじゃねえよ、鬱陶しい」

「鬱陶しいって、あんまりですよぉ。女の子の頭を殴るなんて非常識にも程がありますよ!」

「へいへい、すみませんでしたね」

 

 和気あいあいと? 雑談しながら進むこと十五分。一行は遂に大樹の下へたどり着いた。

 

 大樹を見たハジメと俺の第一声は……

 

「「……なぁにこれぇ」」

 

 驚き半分、疑問半分といった感じのものだった。ユエやエト、も、予想が外れたのか微妙な表情だ。二人は、大樹についてフェアベルゲンで見た木々のスケールが大きいバージョンを想像していた。

 

 直径は目算で直径約五十メートル程だろう。明らかに周囲の木々とは異なる異様だ。周りの木々が青々とした葉を盛大に広げているのにもかかわらず、大樹だけが枯れ木となっているのである。

 

「大樹は、フェアベルゲン建国前から枯れているそうです。しかし、朽ちることはない。枯れたまま変化なく、ずっとあるそうです。周囲の霧の性質と大樹の枯れながらも朽ちないという点からいつしか神聖視されるようになりました。まぁ、それだけなので、言ってみれば観光名所みたいなものですが……」

 

 ハジメ達の疑問にカムが解説を入れる。すると、オスカーが大樹の根元まで歩み寄った。そこには、アルフレリックが言っていた石板が建てられていた。

 

「……オスカー、その迷宮今攻略できるか?」

「現段階では無理だ」

 

 俺の質問に答えながらオスカーは石版まで歩き、指輪を石版の裏にあった窪みに入れると、石版が淡く輝きだした。

 

 何事かと、周囲を見張っていたハウリア族も集まってきた。しばらく、輝く石板を見ていると、次第に光が収まり、代わりに何やら文字が浮き出始める。そこにはこう書かれていた。

 

 〝四つの証〟

 〝再生の力〟

 〝紡がれた絆の道標〟

 〝全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう〟

 

「……なるほどねぇ」

 

『四つの証』は少なくとも半分の迷宮を攻略する事だろうな。『再生の力』は攻略した迷宮で再生に関する神代魔法を入手で、『紡がれた絆の道標』は亜人族の案内人を得られるか……こんな感じで大方あっているだろう。

 

「確かこの近辺にある迷宮は……ライセン大渓谷の辺りか。先ずはそこだな」

「…………」

 

 オスカーが『ライセン大渓谷』の単語を聞いた瞬間、身体がビクッと反応する。

 

「え? なんかやべぇの?」

「………………まぁ、そうだな」

 

 死んだ目で応えるくるオスカー、なーんか気になるな。

 

 ここまで来て後回しにしなければならないことに歯噛みするハジメ。ユエも残念そうだ。しかし、大迷宮への入り方が見当もつかない以上、ぐだぐだと悩んでいても仕方ない。気持ちを切り替えて先に三つの証を手に入れることにする。

 

「いま聞いた通り、俺達は、先に他の大迷宮の攻略を目指すことにする。大樹の下へ案内するまで守るという約束もこれで完了した。お前達なら、この樹海で十分に生きていけるだろう。そういうわけで、ここでお別れだ」

 

 シアとアルテナに目伏せをして、別れの言葉を残すなら、今しておけと伝える。シアもアルテナも目伏せの意味を読み取った。いずれ戻ってくるとしても、三つもの大迷宮の攻略となれば、それなりに時間がかかるだろう。当分は家族とも会えなくなる。

 

「私は1度フェアベルゲンに戻りますね」

「とうさ「フィクサー! お話があります!」……あれぇ、父様? 今は私のターンでは……」

 

 アルテナが樹海の中へ消えて行くと同時にシアが口火を切ろうとした瞬間、カムが言葉を遮る。

 

「旅に連れ行ってくれ……だろ?」

「我々はもはやハウリアであってハウリアでなし! 貴方様の部下であります! 是非、お供に! これは一族の総意であります!」

「あ、却下で」

 

 あっさりした返答に身を乗り出して理由を問い詰めるカム。他のハウリア族もジリジリと迫ってくる。圧が……圧が凄い…………。

 

「足手まといなんでね、君ら」

「しかしっ!」

 

 抗議しようとしたカム達を殺気で黙らせる。

 

「この程度の殺気で怖気付くような奴らは要らん、シアもアルテナもこれに対応している。今の貴様らでは足手まといでしかない」

 

 それでも、食い下がろうとするカム達。しまいには、許可を得られなくても勝手に付いて行きます! とまで言い始めた。妙な信頼とか畏敬とかそんな感じのものが寄せられているようである。このまま、本当に町とかにまで付いてこられたら、それだけで騒動になりそうなので仕方なく条件を出す。

 

「じゃあ、お前等はここで鍛錬してろ。次に樹海に来た時に、使えるようだったら部下として考えておく」

「……そのお言葉に偽りはありませんか?」

「…………ないな」

「嘘だったら、人間族の町の中心でボスの名前を連呼しつつ、新興宗教の教祖のごとく祭り上げますからな?」

「お前等、相当タチ悪いな……」

「そりゃ、フィクサーの部下を自負してますから」

 

 自分の頬が引き攣るのがわかる。もういっその事レオニダスとか呼んで、ブートキャンプでも開いてもらおうかな……そうしよ。

 

「ハジメ、ちょっと任せるわ」

「え?」

 

 ハジメにその場を押し付けて、カルデアと通信をする。

 

「ぐすっ、誰も見向きもしてくれない……旅立ちの日なのに……」

 

 傍でシアが地面にのの字を書いていじけているが、やはり誰も気にしなかった。

 

 

 ──────────────────────────

 

 樹海の境界でカム達の見送りを受け、再び魔力駆動二輪に乗り込んで平原を疾走していた。ハジメの方の位置取りは、ユエ、ハジメ、シアの順番でサイドカーにアルテナが乗っている。ライセン大峡谷の谷底で乗せた時よりシアの密着度が増している気がするが、なるべく平常心を保っているハジメ。

 

「ハジメさん。そう言えば聞いていませんでしたが目的地は何処ですか?」

「一応、ライセン大渓谷」

 

 アルテナはアルフレリックの元へ行っていたため今後の方針を知る由がなかった。

 

 ハジメの告げた目的地に疑問の表情を浮かべるアルテナ。現在、確認されている七大迷宮は、【ハルツィナ樹海】を除けば、【グリューエン大砂漠の大火山】と【シュネー雪原の氷雪洞窟】である。確実を期すなら、次の目的地はそのどちらかにするべきでは? と思ったのであろう。

 

「ライセンも七大迷宮があるからな。シュネー雪原は魔人国の領土だから面倒な事になりそうだし、取り敢えず大火山を目指すのがベターなんだが、どうせ西大陸に行くなら東西に伸びるライセンを通りながら行けば、途中で迷宮が見つかるかもしれないだろ?」

 

 オスカー曰く、迷宮の詳しい位置は覚えていないそうで、地道に探して行くしかない。

 

「つ、ついででライセン大峡谷を渡るのですか!?」

 

 思わず、頬が引き攣せ声を上ずらせるアルテナ。ライセン大峡谷は地獄にして処刑場というのが一般的な認識であり、そんな場所を唯の街道と一緒くたに考えている事に内心動揺しているんだろうな。

 

「今の実力なら苦戦はしねぇよ、君達は確実に強くなった。そこら辺はちったぁ自覚しておけ」

 

 アルテナはその言葉を聞いてか、少しだけ安心した表情を浮かべる。

 

「で、では、ライセン大峡谷に行くとして、今日は野営ですか? それともこのまま、近場の村か町に行きますか?」

「出来れば、食料とか調味料関係を補充しておきたいな……今後のためにも素材を換金しておきたいから町がいいな。前に見た地図通りなら、この方角に町があった筈なんだが……」

 

 今後、町で買い物なり宿泊なりするなら金銭が必要になる。素材だけなら腐る程持っているので換金してお金に替えておきたい。それにもう一つ、ライセン大峡谷に入る前に落ち着いた場所で、やっておきたいこともあったのだ。

 

「はぁ~そうですか……よかったです」

 

 俺の言葉に、何故か安堵の表情を見せるシア。ハジメが不思議そうに「どうして?」と聞く。

 

「零斗さんの事ですから、ライセン大渓谷の魔物のお肉で満足して仕舞うんじゃないかと思いまして。どうやって私用の食料を調達してもらえるように説得するか考えていたんですよぉ~、杞憂でよかったです!」

「アホか、俺だって好きこのんで魔物なんざ喰わねぇよ。つーか、お前は俺を何だと思ってんだよ?」

「……プレデターという名の新種の魔物でしょか?」

「よーし、いい度胸してんな。町に着くまで車体に括りつけて引きずってやる」

 

 サイドカーにいるアルテナからも「え? 違うのですか?」という声が上がる。俺の扱い雑じゃない? 一応、君達の師匠だよ? 

 

「零斗、町が見えてきましたよ」

「ほぉー、中々大きいな」

 

 そろそろ日が暮れるという頃、前方に町が見えてきた。

 

「と、そうだ。シア、アルテナ、こいつ付けてくれ」

「ふぇ?」

「首輪……ですか?」

「すまねぇな。基本、亜人族は奴隷扱いを受けて居るからな。少しでも怪しまれないために付けてくれないか?」

 

 首輪を投げ渡された2人は顔を顰めたが説明を聞くと納得した様子で付けてくれた。シアはブツクサと文句を垂れながらだったが……

 

「そういや、俺異端者認定されてたな……仮面でも付けるかねぇ」

「…………何をやらかしたんですか?」

「しらね」

 

 そろそろ、町の方からも俺達を視認できそうなので、魔力駆動二輪をしまい、徒歩に切り替える。流石にバイクで乗り付けては大騒ぎになるだろう。

 

 町の門までたどり着いた。案の定、門の脇の小屋は門番の詰所だったらしく、武装した男が出てきた。格好は、革鎧に長剣を腰に身につけているだけで、兵士というより冒険者に見える。その冒険者風の男に呼び止められた。

 

「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」

 

 規定通りの質問なのだろう。どことなくやる気なさげである。

 

「食料の補給がメインです。旅の途中なので」

 

 ふ~んと気のない声で相槌を打ちながら門番の男がハジメのステータスプレートをチェックする。

 

「そっちの4人は……」

 

 門番がエト達にもステータスプレートの提出を求めようとして、二人に視線を向ける。そして硬直した。みるみると顔を真っ赤に染め上げると、ボーと焦点の合わない目でエト達を交互に見ている。門番の男は4人に見惚れて正気を失っているのだ。

 

「こちらの2人は魔物の襲撃を受けた際に紛失してしまいましてね……他の2人はわかるでしょう?」

 

 その言葉だけで門番は納得したのか、なるほどと頷いてステータスプレートを返却する。

 

「それにしても随分な綺麗どころを手に入れたな。白髪の兎人族に森人族なんて相当レアなんじゃないか?」

 

 未だチラチラと二人を見ながら、羨望と嫉妬の入り交じった表情で門番がハジメに尋ねる。ハジメは肩をすくめるだけで何も答えなかった。

 

「それよりあんた、妙な仮面つけてるな……どうしてだ?」

「昔、魔物にやられてましてね……かなり大きな傷跡があるのでそれを隠すためですよ」

「へぇー……まぁいい。通っていいぞ」

「ありがとうございます」

 

 門をくぐり町へと入っていく。




めっちゃ中途半端な所で終わらせてしまった……
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