ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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「よいしょと、ァィョ!!(*゚ω゚*)ノお馴染みの零斗さんでーす」
「ユエ」
「シアです!」

「さて、前回は冒険者登録と宿だったな」
「……零斗さんのキッチリとした口調とか違和感がすごいですぅ」
「ん、確かに」
「そのうち慣れるさ……宿の部屋割に関しては後で説教な?」
「「……はい」」

「今回はちょっとした箸休め回だ……楽しんでくれ」

「「「色々とやべぇ」」」


色々とやべぇ

 Side エト

 

 現在、私達は町に出ていた。昼ごろまで数時間といったところなので計画的に動かなければならない。目標は、食料品関係とシアとアルテナの衣服、それと薬関係……武器・防具類はハジメ君や零斗、オスカーさんがいるので不要でしょう。

 

 町は喧騒に包まれ、露店の店主が呼び込みをし、主婦や冒険者の人々と激しく交渉をしている。飲食関係の露店も始まっており、朝から濃すぎな肉の焼ける香ばしい匂いや、タレの焦げる濃厚な香りが漂っている。

 

「道具の方は後回しにしたほうが良さそうですね……先ずはシアさんとアルテナさんの衣服から揃えましょうか」

 

 時間帯のせいか道具屋はかなり混んでいる。今から並んでは時間が足りなくなってしまうだろう。

 

 キャサリンさんの地図には、きちんと普段着用の店、高級な礼服等の専門店、冒険者や旅人用の店と分けてオススメの店が記載されている。やはりキャサリンさんは出来る人だ。痒いところに手が届いている。

 

 早速、とある冒険者向きの店に足を運んだ。ある程度の普段着もまとめて買えるという点が決め手だ。

 

 その店は、流石はキャサリンさんがオススメするだけあって、品揃え豊富、品質良質、機能的で実用的、されど見た目も忘れずという期待を裏切らない良店だった。

 

 ただ、そこには……

 

「あら~ん、いらっしゃい♥可愛い子達ねぇん。来てくれて、おねぇさん嬉しいぃわぁ~、た~ぷりサービスしちゃうわよぉ~ん♥」

 

 化け……奇妙な人がいた。身長二メートル強、全身に筋肉という天然の鎧を纏い、劇画かと思うほど濃ゆい顔、禿頭の天辺にはチョコンと一房の長い髪が生えており三つ編みに結われて先端をピンクのリボンで纏めている。動く度に全身の筋肉がピクピクと動きギシミシと音を立て、両手を頬の隣で組み、くねくねと動いている。服装は……いや、言うべきではないだろう。少なくとも、ゴン太の腕と足、そして腹筋が丸見えの服装とだけ言っておこう。

 

 シアさんとアルテナさんは既に意識が飛びかけていて、ユエさんはに覚悟を決めた目をしている。

 

「あらあらぁ~ん? どうしちゃったの三人共? 可愛い子がそんな顔してちゃだめよぉ~ん。ほら、笑って笑って?」

 

 笑えないのは貴方の性です……とは言えないが何とか堪える。人外レベルのポテンシャルを持ってはいるが、この化物には勝てる気がしなかった。

 

 しかし、何というか物凄い笑顔で体をくねらせながら接近してくる化物に、つい堪えきれずユエは呟いてしまった。

 

「……人間?」

 

 その瞬間、化物が怒りの咆哮を上げた。

 

「だぁ~れが、伝説級の魔物すら裸足で逃げ出す、見ただけで正気度がゼロを通り越してマイナスに突入するような化物だゴラァァアア!!」

「ご、ごめんなさい……」

 

 ユエさんがふるふると震え涙目になりながら後退る。シアさんは、へたり込み……少し下半身が冷たくなってしまった。ユエさんが、咄嗟に謝罪すると化物は再び笑顔を取り戻し接客に勤しむ。

 

「いいのよ~ん。それでぇ? 今日は、どんな商品をお求めかしらぁ~ん?」

 

 シアは未だへたり込んだままなので、代わりにシアの衣服を探しに来た旨を伝える。シアは、もう帰りたいのか、ユエの服の裾を掴みふるふると首を振っているが、化物は「任せてぇ~ん」と言うやいなやシアを担いで店の奥へと入っていってしまった。その時の姿は、まるで食肉用に売られていく家畜のようだった。

 

 数分後、店の奥から姿を表したシアさんはとても綺麗な洋服に身を包んでいた。青を基調とした服で動きやすさを重視した軽装だった。外見は兎も角、腕は一級の様だった。

 

 その後はアルテナさんの分の服も買い。クリスタベルさんにお礼を告げて店を後にした。

 

「最初はどうなることかと思いましたが、いい人でしたね。店長さん」

「ん……人は見た目によらない」

「ですね~」

 

 そんな風に雑談しながら、次は道具屋に回ることにした。しかし、唯でさえ目立つ集団だ。すんなりとは行かず、気がつけば数十人の男達に囲まれていた。冒険者風の男が大半だが、中にはどこかの店のエプロンをしている男もいる。

 

「エトちゃんとユエちゃんとシアちゃん、アルテナちゃんで名前あってるよな?」

「……合っていますが。何か?」

 

 返答を聞くとその男は、後ろを振り返り他の男連中に頷くと覚悟を決めた目で私達を見つめた。他の男連中も前に進み出て、それぞれの前に出る。

 

「「「「「「エトちゃん、俺と付き合ってください!!」」」」」」

「「「「「「ユエちゃん、俺と付き合ってくれ!!」」」」」」

「「「「「「アルテナちゃん! 俺の奴隷になってくれ!!」」」」」」

「「「「「「シアちゃん! 俺の奴隷になれ!!」」」」」」

 

 どいつもこいつもアホですね。シアさん達とで口説き文句が異なるのはシアさん達が亜人だからだろう。奴隷の譲渡は主人の許可が必要で、昨日の宿での出来事でシアとハジメ君達の仲が非常に近しい事が周知されており、まず、シアさんから落とせばハジメ君も説得しやすいだろう……とでも思ったのかもしれない。

 

「……皆さん、お昼は此処とかいいかでしょうか?」

「いいですね!」

「ん、オシャレで可愛い」

「私もそこで大丈夫です」

 

 もう面倒なので無視して歩き始める。

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれ! 返事は!? 返事を聞かせてく「「「「断る(ります)」」」」……ぐぅ……」

 

 眼中にないという態度に、男は呻き、何人かは膝を折って四つん這い状態に崩れ落ちた。しかし、諦めが悪い奴はどこにでもいる。

 

「なら、なら力づくでも俺のものにしてやるぅ!」

 

 暴走男の雄叫びに、他の連中の目もギンッと光を宿す。私達を逃さないように取り囲み、ジリジリと迫っていく。

 

「おお恐ろしい恐ろしい、そんなに目を血走らせて……おちおち話する事も出来ない」

「え、エトさん?」

「しかし、そちらがそうするなら……こちらも、こうしよう、拮抗状態を作るとしよう…………レイトォォォォォ!」

 

 コツコツと足音を響かせて1人の男が歩み寄ってくる。

 

「我に求めよ、されば汝に諸々の国を嗣行(しぎょう)として与え、地の全てを汝の物として与えん。汝、黒鉄の杖をもて、彼等を打ち破り陶工の器物の如くに打ち砕かん、されば汝ら諸々の王よさとかれ、地の審判人よ教えを受けよ。恐れをもて主につかえ、おののきをもて喜べ。子に接吻せよ。恐らくは彼は怒りを放ち、汝ら途に滅びん。その怒りは速やかに燃ゆベければ。全て彼により頼む者は幸いなり」

 

 どこからな取り出した聖職儀礼済みの銃剣(バヨネッタ)を男達に向ける。

 

「一撃で何もかも一切合切決着する、眼前に敵を放置して何がフィクサーかァ!? 何が人理の守護者かァ!?」

 

 人理の守護者は関係ないと思いますが……持っているバヨネッタを十字架の様に構える。

 

Amen(エイメン)!」

 

 祈りの言葉と同時に周りを取り囲んでいた男達を1人ずつ犬神家化させていく……バヨネッタは使わないのですね。

 

 犬神家化させた男たちの股間にゴム弾を撃ち込んでいく零斗。男の悲鳴が昼前の街路に響き渡る。マ○オがコインを取得した時のような効果音を響かせながら、執拗に狙い撃ちされる男の股間。

 

「……漢女(おとめ)になるがいい」

 

 この日、一人の男が死に、第二のクリスタベル、後のマリアベルちゃんが生まれた。彼は、クリスタベル店長の下で修行を積み、二号店の店長を任され、その確かな見立てで名を上げるのだが……それはまた別のお話。

 

 ────────────────────────

 

 宿に戻るとハジメ君が待っていた。

 

「あ、おかえり。町中が騒がしかったけど、何かあったの?」

「……何もありませんよ」

「……問題ない」

「あ~、うん、そうですね。問題ないですよ」

「ええ、問題ありません」

 

 服飾店の店長が化け物じみていたり、一人の男が天に召されたりしたが、概ね何もなかったと流す。ハジメ君は首を傾げるが不思議そうな顔をするだけで何も聞いては来なかった。

 

「必要な物は揃った?」

「……ん、大丈夫」

「ですね。食料も沢山揃えましたから大丈夫です!」

「そっか、それなら良かったよ」

 

 ハジメ君は安心したかの様な表情をする。こんな弟がいれば良かったのになぁ……

 

「あ、シアさん。これ」

 

 そう言ってハジメ君はシアさんに直径四十センチ長さ五十センチ程の円柱状の物体を渡した。銀色をした円柱には側面に取っ手のようなものが取り付けられている。

 

「な、なんですか、これ? 物凄く重いんですけど……」

「シアさん用の新しい大槌ですよ。重いほうがいいでしょう?」

「へっ、これが……ですか?」

 

 シアさんの疑問はもっともだ。円柱部分は、槌に見えなくもないが、それにしては取っ手が短すぎる。何ともアンバランスだ。

 

「その状態は待機状態なんです。取り敢えず魔力流して見てください」

「えっと、こうですか? ッ!?」

 

 言われた通り、魔力を流すと、カシュン! という機械音を響かせながら取っ手が伸長し、槌として振るうのに丁度いい長さになった。

 

「今の僕にはこれくらいが限界です、腕が上がれば随時改良していくつもりにで。これから何があるか分からないので。零斗の訓練を受けたとは言え、たったの十日ですか。その武器はシアさんの力を最大限生かせるように考えて作ったんです」

「ハジメさん……ありがとうございます!」

 

 シアは嬉しそうにドリュッケン(ハジメ命名)を胸に抱く。

 

「皆さん、そろそろ出発しますよ」

 

 零斗の呼ぶ声で皆部屋を出て下の階へと降りる。はしゃぐシ? を連れながら、宿のチェックアウトを済ませる。未だ、宿の女の子がハジメ達を見ると頬を染める。

 

 その後は門から町の外へ出て、門番が見えなくなった辺りで魔力駆動二輪を取り出して、ライセン大渓谷へと走り出した。




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