ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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「よっと、(。・ω・)ノドモハジメです」
「シアです!」
「エトです」

「前回はミレディさんとの初対面だったね」
「ハジメさんて結構口が悪かったんですね……」
「零斗程じゃ無いけどね…僕だって怒ることはあるよ?」
「あの人と比べたらダメですよ、常識人的に振舞っていますが内面はただの戦闘狂ですよ」

「ア、アハハ……こ、今回はミレディ・ゴーレム戦です」
「楽しんでください!」

「「「VS ミレディ・ライセン!」」」


VS ミレディ・ライセン

 Side 三人称

 

 ハジメが問答無用にオルカンからロケット弾をぶっぱなした。火花の尾を引く破壊の嵐が真っ直ぐにミレディ・ゴーレムへと突き進み直撃する。

 

 凄絶な爆音が空間全体を振動させながら響き渡る。もうもうとたつ爆煙。

 

「やりましたか!?」

「……シアさん、それはフラグ」

 

 シアが先手必勝ですぅ! と喜色を浮かべ、ユエがツッコミを入れる。結果、正しいのはユエだった。煙の中から赤熱化した右手がボバッと音を立てながら現れると横薙ぎに振るわれ煙が吹き散らされる。

 

 煙の晴れた奥からは、両腕の前腕部の一部を砕かれながらも大して堪えた様子のないミレディ・ゴーレムが現れた。ミレディ・ゴーレムは、近くを通ったブロックを引き寄せると、それを砕きそのまま欠けた両腕の材料にして再構成する。

 

「ふふ、先制攻撃とはやってくれるねぇ~、さぁ、もしかしたら私の神代魔法が君のお目当てのものかもしれないよぉ~、私は強いけどぉ~、死なないように頑張ってねぇ~」

 

 嫌味ったらしい口調で、ミレディ・ゴーレムが再度、モーニングスターを射出した。シアが大きく跳躍し、上方を移動していた三角錐のブロックに飛び乗る。ハジメは、その場を動かずにドンナーをモーニングスターに向けて連射した。

 

 ドパァァァン! 

 

 銃声は一発。されど放たれた弾丸は六発。早打ちにより解き放たれた閃光は狙い違わず豪速で迫るモーニングスターに直撃する。流石に大質量の金属球とは言え、レールガンの衝撃を同時に六回も受けて無影響とはいかなかった。その軌道がハジメから大きく逸れる。

 

 同時に、上方のブロックに跳躍していたシアがミレディの頭上を取り、飛び降りながらドリュッケンを打ち下ろした。

 

「見え透いてるよぉ~」

「くぅ、このっ!」

 

 目測を狂わされたシアは、歯噛みしながら手元の引き金を引きドリュッケンの打撃面を爆発させる。薬莢が排出されるのを横目に、その反動で軌道を修正。三回転しながら、遠心力もたっぷり乗せた一撃をミレディ・ゴーレムに叩き込んだ。

 

 咄嗟に左腕でガードするミレディ・ゴーレム。凄まじい衝突音と共に左腕が大きくひしゃげる。しかし、ミレディ・ゴーレムはそれがどうしたと言わんばかりに、そのまま左腕を横薙ぎにした。

 

「きゃぁああ!!」

「シアさん!」

 

 悲鳴を上げながらぶっ飛ぶシア。アルテナがシアを抱えて近くに浮いていたブロックに着地する。

 

「厄介ですね……」

「パワーは想像通りだったけど……流石にあの硬度はびっくりですね」

 

 会話しながらもミレディ・ゴーレムに攻撃をするエトとハジメ。

 そんな、ハジメとエトのブロックに、遂にハジメでは捌ききれない程のゴーレム騎士達が殺到する。

 

 ハジメは、〝宝物庫〟からガトリング砲メツェライを取り出す。そして、ユエと背中合わせになり、毎分一万二千発の死を撒き散らす化物を解き放った。

 

 ドゥルルルル!! 

 

 六砲身のバレルが回転しながら掃射を開始する。独特な射撃音を響かせながら、真っ直ぐに伸びる数多の閃光は、縦横無尽に空間を舐め尽くし、宙にある敵の尽くをスクラップに変えて底面へと叩き落としていった。回避または死角からの攻撃のため反対側に回り込んだものは、エトが撃ち落としていく。

 

 瞬く間に四十体以上のゴーレム騎士達が無残な姿を晒しながら空間の底面へと墜落した。時間が経てば、また再構築を終えて戦線に復帰するだろうが、しばらく邪魔が入らなければそれでいい。そう、親玉であるミレディ・ゴーレムを破壊するまで。

 

「ちょっ、なにそれぇ!? そんなの見たことも聞いたこともないんですけどぉ!?」

 

 ミレディ・ゴーレムの驚愕の叫びを聞き流し、ハジメは、メツェライを〝宝物庫〟にしまうと、再びドンナーを抜きながら、少し離れたところにいるシア達にも聞こえるように声を張り上げた。

 

「ミレディの核の位置は心臓と同じ! そこを集中的に攻める!」

「んなっ! 何で、わかったのぉ!」

 

 再度、驚愕の声をあげるミレディ。

 

初歩的な事だよ、友よ(Elementary, my dear milady )。それだけの巨体なら動かすための魔力は膨大になる。それに伴って核となる魔石もかなりの大きさになる……隠しきれてると思ってたんだろうけど僅かにもれ出ていただけだよ!」

 

 ゴーレムを倒すセオリーである核の位置が判明し、ユエ達の眼光も鋭くなる。

 

 周囲を飛び交うゴーレム騎士も今は十体程度。皆で波状攻撃をかけて、ミレディの心臓に一撃を入れるのだ。

 

 ハジメが、一気に跳躍し周囲の浮遊ブロックを足場にしながらミレディ・ゴーレムに接近を試みる。今のレールガンの出力では、ミレディ・ゴーレムの巨体を粉砕して核に攻撃を届かせるのは難しい。なので、ゼロ距離射撃で装甲を破壊し、手榴弾でも突っ込んでやろうと考えたのだ。

 

 だが、そう甘くはない。

 

 ミレディ・ゴーレムの目が一瞬光ったかと思うと、彼女の頭上の浮遊ブロックが猛烈な勢いで宙を移動するハジメへと迫った。

 

「!?」

「操れるのが騎士だけとは一言も言ってないよぉ~」

 

 ミレディのニヤつく声音を無視して、ハジメは、宝物庫からとある物を取り出す。

 

「なぁ!? 何そのバカでかいのはぁ!?」

8.8cm Flak(アハト・アハト)! …………そいつは素敵だ! 大好きだ!」

 

 ドガァゴ!!! 

 

 ミレディの驚愕の言葉は8.8cm Flakの発する轟音に遮られた。放たれた殺意の塊は、ミレディ・ゴーレムを吹き飛ばすと共に胸部の装甲を木っ端微塵に破壊した。

 

 胸部から煙を吹き上げながら弾き飛ばされるミレディ・ゴーレム。ハジメも反動で後方に飛ばされた。アンカーを飛ばし、近くの浮遊ブロックに取り付けると巻き上げる勢いそのままに空中で反転して飛び乗る。そして、ミレディ・ゴーレムの様子を観察した。

 

 胸部の装甲を破壊されたままのミレディ・ゴーレムが、何事もなかったように近くの浮遊ブロックを手元に移動させながら、感心したような声音でハジメに話しかけてきた。

 

「いやぁ~大したもんだねぇ、ちょっとヒヤっとしたよぉ。分解作用がなくて、そのアーティファクトが本来の力を発揮していたら危なかったかもねぇ~、うん、この場所に苦労して迷宮作ったミレディちゃん天才!!」

「……残念だけどミレディ、このアーティファクトには魔力を使ってないよ」

「…………マジ? 純粋な威力でこれ?」

「地球の兵器を舐めるな……シア! 今だ!」

 

 ハジメとミレディが話混んでいる間にドリュッケンを振りかぶったシアが飛来する。

 

「りゃぁあああ!!」

 

 気合のこもった雄叫びと共に、手元の引き金が引かれ内蔵されたショットシェルが激発する。衝撃により一気に加速したドリュッケンが空気すら叩き潰す勢いでミレディ・ゴーレムに迫った。

 

 そのままの勢いで胸部に残っている8.8cm弾を殴り付ける。

 

「ハ、ハハ。どうやら未だ威力が足りなかったようだねぇ。だけど、まぁ大したものだよぉ? 四分の三くらいは貫けたんじゃないかなぁ?」

 

 若干、かたい声で、それでも余裕を装うミレディ。内心は冷や汗を掻いている。

 

「それは予想済み! 錬成!」

 

 ミレディの背に手を付いたハジメが錬成で貫かれた装甲部を無理やりこじ開け、散った装甲を8.8cm弾に纏わせ1本の杭に変化させる。

 

 シアは、そのままショットシェルを激発させ、その衝撃も利用して渾身の一撃を杭に打ち下ろした。

 

 ドゴォオオ!!! 

 

 轟音と共に杭が更に沈み込む。だが、まだ貫通には至らない。シアは、内蔵されたショットシェルの残弾全てを撃ち尽くすつもりで、引き金を引き続ける。

 

 ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ! 

 

「あぁあああああ!!」

 

 シアの絶叫が響き渡る。これで決めて見せると強烈な意志を全て相棒たる大槌に注ぎ込む。全身全霊、全力全開。衝撃と共に浮遊ブロックが凄まじい勢いで高度を下げていく。

 

 そして、轟音と共に浮遊ブロックが地面に激突した。その衝撃で遂に杭が絶対防御を貫き、ミレディ・ゴーレムの核に到達する。先端が僅かにめり込み、ビシッという音を響かせながら核に亀裂が入った。

 

 地面への激突の瞬間、シアはドリュッケンを起点に倒立すると、くるりと宙返りをする。そして、身体強化の全てを脚力に注ぎ込み、遠心力をたっぷりと乗せた蹴りをダメ押しとばかりに杭に叩き込んだ。

 

 シアの蹴りを受けて更にめり込んだ杭は、核の亀裂を押し広げ……遂に完全に粉砕した。

 

 ミレディ・ゴーレムの目から光が消える。シアはそれを確認するとようやく全身から力を抜き安堵の溜息を吐いた。直後、背後から着地音が聞こえ振り向くシア。そこには予想通りハジメ達がいた。シアは、皆に向けて満面の笑みでサムズアップする。ハジメ達は、それに応えるように笑みを浮かべながらサムズアップを返した。

 

 

「頑張りましたね、シアさん、アルテナさん。特訓の成果はあった見たいですね」

「シアさん、アルテナさん。二人共初めての大迷宮攻略なのに凄かったよ!」

「私、お役に立てたのでしょうか? シアさんのようにトドメをさせた訳では無いですし……」

「……ん、頑張った」

「えへへ、有難うございます。でもハジメさん、そこは〝惚れ直した〟でもいいんですよ?」

「……それとこれとはまた別の話かなぁ……アルテナさんは十分役に立ってるよ」

 

 疲れた表情をしながらも、称賛にはにかむシア。実際、つい最近まで、争いとは無縁だったとは思えない活躍だった。

 

「お疲れ様、シアさん」ナデナデ

「ハジメさぁ~ん……うぅ、あれ、何だろ? 何だか泣けてぎまじだぁ、ふぇええ~」

 

 シアは最初のうちハジメの突然の行動に戸惑っていたが。褒められていると理解すると緊張の糸が切れたのか、ポロポロと涙を流しながら彼に抱きつき泣き出してしまった。やはり、初めての旅でいきなり七大迷宮というのは相当堪えていたようだ。それを、ハジメ達に着いて行くという決意のみで踏ん張ってきたのだ。褒められて、認められて、安堵のあまり涙腺が崩壊してしまったようだ。

 

 ハジメに抱きつくシアに満更でも無さそうにするハジメ、それを見て何とも言えない表情をするアルテナとユエ、そんな四人の様子を見て微笑むエト。そんな五人に、突如、声が掛けられた。

 

「あのぉ~、いい雰囲気で悪いんだけどぉ~、そろそろヤバイんで、ちょっといいかなぁ~?」

 

 ハジメ達がハッとしてミレディ・ゴーレムを見ると、消えたはずの眼の光がいつの間にか戻っていることに気がついた。咄嗟に、飛び退り距離を置くハジメ達。確かに核は砕いたはずなのにと警戒心もあらわに身構える。

 

「ちょっと、ちょっと、大丈夫だってぇ~。試練はクリア! あんたたちの勝ち! 核の欠片に残った力で少しだけ話す時間をとっただけだよぉ~、もう数分も持たないから」

 

 その言葉を証明するように、ミレディ・ゴーレムはピクリとも動かず、眼に宿った光は儚げに明滅を繰り返している。今にも消えてしまいそうだ。どうやら、数分しかもたないというのは本当らしい。

 

「嘘だね、絶対それが本体な訳ないじゃん……どうせ代わりのゴーレムが居るんでしょ?」

「アハハ……バレてら……その通りだよ。私は戦闘用のゴーレムでこの先の部屋に本体の私が居るよ」

 

 ミレディはそこまで言うと、ミレディ・ゴーレムは淡い光となって消えた。すると、壁の一角が光を放ち始めた。ハジメ達は自動で動く浮遊ブロックを使い光の奥へと進んでいった。

 

 

 ────────────────────────

 

「やっほー、さっきぶり! ミレディちゃんだよ!」

 

 それから自動で動く床に乗って神代魔法を得られる空間に訪れたハジメ達を乳白色の長いローブを身に纏い、ニコちゃんマークが書かれた白い仮面を付けているちっこいミレディが居た。

 

「それじゃあ、私の神代魔法……〝重力魔法〟を授けていっくよぉー!」

 

 ミレディはそう言って、ハジメ達を魔法陣の中に入れて、脳内に直接神代魔法の知識や使用方法が刻まれていく。今回は、試練をクリアしたことをミレディ本人が知っているので、オルクス大迷宮の時のような記憶を探るプロセスは無く、直接脳に神代魔法の知識や使用方法が刻まれていく。

 

 ものの数秒で刻み込みは終了し、あっさりとハジメ達はミレディ・ライセンの神代魔法を手に入れる。

 

「これは……やっぱり重力操作の魔法だね」

「そうだよ~ん。ミレディちゃんの魔法は重力魔法。上手く使ってね……って言いたいところだけど、君とウサギちゃんは適性ないねぇ~もうびっくりするレベルでないね!」

「……知ってるよ、でもちょっと残念だね」

 

 チビミレディの言う通り、ハジメとシアは重力魔法の知識等を刻まれてもまともに使える気がしなかった。ユエが、生成魔法をきちんと使えないのと同じく、適性がないのだろう。

 

「まぁ、ウサギちゃんは体重の増減くらいなら使えるんじゃないかな。君は……生成魔法使えるんだから、それで何とかしなよ。金髪ちゃんは適性ばっちりだね。修練すれば十全に使いこなせるようになるよ……というかリューちゃんにそっくりな子に至っては私以上に適正あるんだけど、どゆこと?」

「さ、さぁ?」

 

 チビミレディの幾分真面目な解説にハジメは肩を竦め、ユエは頷き、シアは打ちひしがれた。アルテナはミレディ以上の適正があると言われ、一番驚いているようだ。

 

 ドゴォン! 「ゴハァ!」

「何事!?」

 

 突如として天井が崩れて灰褐色の髪をした青年が床に叩きつけられた。

 

「やっべ、力込め過ぎたか……あ、ハジメじゃん」

「零斗!?」

 

 天井を突き破って来たの床でグロッキー状態になっている青年と同じ髪色の少女の首み根っこを掴んでいる零斗だった。

 

「……先越されたのか。割かしショックだな」

「ロっちゃん!? フェちゃん!?」

「「み、ミレディ……たすけ……て……」」バタリ

「なんでさ……」

 

 カオスな絵面に耐えきれなくなったハジメは自ら、意識を消失させる。




8.8cm Flakはいいゾ。

零斗君達のイメージ絵です。


【挿絵表示】
零斗


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恭弥


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柊人


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刀華


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鏡花


【挿絵表示】
悠花


使用させていただいたのは『はりねず系男子メーカー』『おにいさんメーカー』『はりねず系男子メーカー2』『妙子式2』になります。
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