ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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「よいしょと、‎( ˙꒳˙ᐢ )ハイッお馴染みの零斗さんですよ」
「ハジメでーす」
「恭弥だ」

「前回は、魔物の大軍との戦争を始めたな……」
「なんかとんでもない威力の魔法撃ってたね」
「あれ全力じゃないだろう?どのくらい出力で撃ったんだ?」
「あー……六割くらいかな?威力度外視の範囲拡大してたから多分もうちょい下がるかもだけど」
「あれで六割?」

「今回は魔物達を挽き肉に変える簡単な作業回だ、楽しんでくれ」

「「「蹂躙?鏖殺?そんな生易しいもんじゃないさ……」」」


蹂躙?鏖殺?そんな生易しいもんじゃないさ

 Side 三人称

 

 魔物達は洗脳されているのにも関わらず、その場から逃走を謀る物が多かった……それもそうだろう、眼前で広がる絶望を目の当たりにすれば無理もない。

 

「どけどけ〜!」

「出てこいクソッタレエエエエェエエ!!」ドゥルルルルルル!

 

 正に地獄絵図だった。ウサミミ少女のオルカンはパシューという気の抜ける音を発しながら魔物な大群のど真ん中に突き刺さった。その弾頭は、大爆発を引き起こし周囲の魔物達をまとめて吹き飛ばした。爆心地に近い場所にいた魔物達は、その肉体を粉微塵にされ、離れていた魔物も衝撃波で骨や内臓を激しく損傷しのたうち回る。

 

 白髪の少年が独特の音を戦場に響かせながら、無数の閃光が殺意をたっぷりと乗せて空を疾駆する。瞬く暇もなく目標へと到達した閃光は、大地を鳴動させ雄叫びを上げながら突進する魔物達の種族、強さに関係なく、僅かな抵抗も許さずに一瞬で唯の肉塊に変えた。毎分一万二千発の死が無慈悲な〝壁〟となって迫り、一発で一体など生温いと云わんばかりに目標を貫通し、背後の数十匹をまとめて貫いていく。

 

 とその隣では……

 

「距離約400フィート……風速五ノット……」

「了解……」パァン!

「ヒット、ヘッドショット……」

 

 零斗が観測者として、恭弥のサポートをしていた。ハジメやシアと違って、一体一体を的確に、そして迅速に処理していく。恭弥の使用してスナイパーは『ルトゥーナ』だ、恭弥専用のスナイパーで威力はハジメのシュラーゲンよりかは低いが専用弾により、破壊工作や監視、陽動……様々な事が可能だ。

 

 その零斗達の横に陣取っるティオは……

 

「むふふ……活躍してご主人様に褒めて貰うとするかの!」

 

 そう呟くと同時に、その突き出された両手の先からは周囲の空気すら焦がしながら黒い極光が放たれる。あの竜化状態で放たれたブレスだ。どうやら人間形態でも放てるらしい。零斗でさえも全力で防御を強いた殲滅の黒き炎は射線上の一切を刹那の間に消滅させ大群の後方にまで貫通した。ティオは、そのまま腕を水平に薙ぎ払っていき、それに合わせて真横へ移動する黒い砲撃は触れるものの一切を消滅させていく。

 

 砲撃が止んだ後には、抉れた大地以外何も残ってはいない。代わりに、その一撃で相当消耗したのだろう。ティオは肩で息をし体をフラつかせた。しかし、すぐさま指にはまった指輪に一つキスを落とすと再びスっと背筋を伸ばす。

 

 ハジメから受け取った魔晶石の指輪にストックされた魔力を取り出したのだ。ブレスの一撃によりティオが担当する範囲の魔物の先陣はあらかた消滅し、多少の余裕が出来たティオは、魔力消費の比較的少ない魔法を行使する。

 

「吹き荒べ頂きの風 燃え盛れ紅蓮の奔流 〝嵐焔風塵〟」

 

 少しでも魔力消費を抑えるため、敢えて詠唱し集中力を高める。そうして解き放たれた魔法は火炎の竜巻だ。その規模は地球における竜巻の等級で表すならF4クラス。直径数十メートルの渦巻く炎が魔物の群へと爆進し、周囲の魔物達をまとめて巻き上げた。宙へと放り出され足掻くすべを持たない魔物達は、そのまま火炎に自ら飛び込むように巻き込まれていく。そして、紅蓮の竜巻から放り出された時にはただの灰燼に変わり果て灰色の雪のように舞い散るのだった。

 

「…………」

 

 ハジメ達が攻撃を開始しても、瞑目したまま静かに佇むユエ。それを感じてか魔物達は右側の攻撃が薄いと悟った魔物達が、破壊の嵐から逃れるように集まり、右翼から攻め込もうと流れ出す。

 

 ユエは、スっと目を開きおもむろに右手を掲げた。そして、一言、囁くように、されど世界へ宣言するように力強く魔法名を唱えた。

 

「〝壊劫(えこう)〟」

 

 それは神代魔法を発動させるトリガーだ。ミレディ・ライセンにより授けられた世界の法則の一つに干渉する魔法〝重力操作〟。魔法に関しては天性の才能を持つ吸血姫を以てして、魔力の練り上げとイメージの固定に長い〝タメ〟を必要とし即時発動は未だ困難な魔法。

 

 ユエの詠唱と同時に迫る魔物の頭上に、対黒竜戦で見たのと同じ渦巻く闇色の球体が出現する。しかし、以前と違うのは、その球体が形を変化させたことだ。薄く薄く引き伸ばされていく球体は魔物達の頭上で四方五百メートルの正四角形を形作る。そして、太陽の光を遮る闇色の天井は、一瞬の間のあと眼下の魔物達目掛けて一気に落下した。

 

 次の瞬間、起こったことを端的に説明するなら、〝大地ごと魔物が消滅した〟というものになるだろう。闇色の天井が魔物の群れに落下し、そのまま魔物ごと大地を陥没させて、四方五百メートル深さ十メートルのクレーターを作り上げたのだ。

 

 密集して突進していた魔物達は、何が起きたのか理解する暇もなく体の全てを均等に押し潰され、地の底で大地のシミとなった。

 

「おぉ!やるねぇユエちゃん!……でも私にはちょっと劣るかな?」

 

 ユエの隣でウザさMAXで喋っているミレディ……次の瞬間、ユエの放った壊劫の倍近い範囲に同じようなクレーターが出現する。規模も威力も桁違いだった。

 

「ふっふふーん!どんなもんだい!」

「……凄い」

「流石は超絶美少女魔法使いミレディちゃんだね!」

 

 無い胸を突き出してドヤ顔を取るミレディ。ユエはウザそうに見ているがミレディの放った魔法には関心と畏怖していた。

 

「ハッハハ!やるじゃないかミレディ!俺も負けてられねぇな……んじゃ、俺もやるか」

 

 ミレディ達から少し離れた位置の零斗が懐から一枚のカードを取り出す。

 

「スペルカード!『贋作者の鬼謀』……『偽「真実の月(インビジブルフルムーン)」』」

 

 零斗の手にあるスペルカードが黒く変色していき形を変えていく。

 

『贋作者の鬼謀』零斗のスペルカードの一つ。他者のスペルカードを模倣(トレース)し、再現する……と言っても模倣するスペルを実際に受ける事が条件の一つとなり、再現出来たとしても本家よりも性能は劣る。

 

 弾丸型の弾幕が魔物達を貫く……圧倒的な物量に物を言わせ殲滅していく。

 

 やがて、魔物の数が目に見えて減り、密集した大群のせいで隠れていた平原が見え始めた頃、遂にティオが倒れた。渡された魔晶石の魔力も使い切り、魔力枯渇で動けなくなったのだ。

 

「むぅ、妾はここまでのようじゃ……もう、火球一つ出せん……すまぬ」

 

 うつ伏せに倒れながら、顔だけをハジメの方に向けて申し訳なさそうに謝罪するティオの顔色は、青を通り越して白くなっていた。文字通り、死力を尽くす意気込みで魔力を消費したのだろう。

 

「……十分活躍してたよありがとう。後は任せてゆっくり休んでで大丈夫だよ」

「……ご主人様が優しい……罵ってくれるかと思ったのじゃが……いや、でもアメの後にはムチが……期待しても?」

「それは期待しないで欲しいかな……」

 

 ハジメは、手元の殲滅兵器メツェライを見やる。二つとも白煙を上げており、冷却が間に合っていないようだ。耐久限界である。これ以上撃ち続ければ、何処かにガタがくるだろう。もちろん、そうなっても修復は可能だが、モノが繊細なだけに瞬時にその場でというわけには行かない。時間をかけて精密作業を行う必要がある。

 

「ユエ、ミレディ、魔力の残量は?」

「……魔晶石二個分くらい……重力魔法の消費が予想以上。要練習」

「私はまだまだ行けるよー!」

「……いや、残りは俺達近接戦が出来るやつらでやる。お前らだけでも四〜五万くらい殺っただろ?もう十分だ」

 

 零斗の言葉で委細承知と即行で頷くユエ。零斗はそのまま、シアに話し掛ける。

 

「シア、魔物の違いは分かるな?」

「はい。操られていた時のティオさんみたいな魔物とへっぴり腰の魔物ですよね?」

「あぁ、そうだ。ティオモドキの魔物が洗脳されている群れのリーダーだ。それだけ殺れば他は逃げるだろう」

「了解しました!」

「鏡花、観測者変わってくれ……恭弥はそのまま狙撃を」

「「了解」」

「シアさん……本当に逞しくなったね……」

「当然です。ハジメさん達の傍にいるためですから」

 

 にぱっと笑みを見せるシアに、苦笑いしつつもどこか優しげな笑みを返すハジメ。だが、次の瞬間にはグッと表情を引き締めてメツェライを〝宝物庫〟にしまうと、ドンナー・シュラークを抜いた。同時に、シアもオルカンを置き、背中のドリュッケンに手をかける。零斗は鏡花と位置を変わり血狂いを抜き、左手にリベリオンを持つ。

 

 リーダー格と思われる魔物はおよそ百五十体おそらく、突撃させて即行で殺されては、配下の魔物の統率を失うと思い、大半を後方に下げておいたのだろう。

 

 メツェライとオルカン、そしてティオの魔法による攻撃が無くなってチャンスと思ったのか、魔物達が息を吹き返すように突進を始める。

 

 零斗達の突撃を援護するため、ユエが魔法を発動した。

 

「〝雷龍〟」

 

 即座に立ち込めた天の暗雲から激しくスパークする雷の龍が落雷の咆哮を上げながら出現し、前線を右から左へと蹂躙する。大口を開けた黄金色の龍に、自ら飛び込むように滅却されていく魔物の群れを見て、後続の魔物が再び二の足を踏んだ。その隙に、零斗が一気に群れへと突撃する。

 

 ハジメは、〝縮地〟で大地を疾走しながらドンナー・シュラークを連射した。その眼には、群れの隙間から僅かに見えるリーダー格の魔物の姿が捉えられており、撃ち放たれた死の閃光は、その僅かな隙間を縫うようにして目標に到達、急所を容赦なく爆散させる。

 

 ウサミミをなびかせ巨大な戦鎚を肩に担いだ少女が文字通り空から降ってくる光景が飛び込んできた。シアは、魔物の頭を踏み台に、ウサギらしくぴょんぴょんと群れの頭上を飛び越えていき、最後に踏み台にした魔物の頭を圧殺させる勢いで踏み込むと、自身の体重を重力魔法により軽くして一気に天高く舞い上がった。

 

 そして、天頂まで上がると空中でくるりと反転し、今度は体重を一気に数倍まで引き上げ猛烈な勢いで落下する。目標地点は、もちろんリーダー格が数体で固まっている場所だ。自由落下の速度をドリュッケンの引き金を引き激発の反動を利用して更に加速させ、最大限の身体強化をも加えて一撃の威力を最高にまで引き上げる。そして、全く勢いを減じることなく破壊の権化ともいうべき鉄槌を振り下ろした。

 

「りゃぁああああ!!!」ドォガァァァァ!!!

 

 可愛らしい雄叫びと共に繰り出されたその一撃は、さながら隕石の如く。直撃を受けたブルタール型の魔物のリーダー格は、頭から真っ直ぐ地面へと圧殺され、凄絶な衝撃に肉と血を爆ぜさせた。

 

「……」

 

 仮面の青年は血狂いで魔物を両断しながらリーダー格へと接近していく。一振りするだけで何十もの魔物が両断され臓物を撒き散らしている。その余波でさえも凄まじい威力で魔物達を圧殺していく。

 

 リーダー格はその異様な光景に恐怖を覚え、その場から逃亡を測った……がそれを恭弥が許さない、逃亡する魔物の足を吹き飛ばし転倒させる。

 

「ナイスショット……そら王手だ」

 

 その言葉と同時にリーダー格の首を両断する零斗。その後も淡々とリーダー格を処理していく零斗達……というか零斗君だけ愉悦に浸ってるのよね……

 

「さあどうした?まだ手足がちぎれただけだぞ!かかってこい!同胞を呼べ!!体を変化させろ!!四肢を再生して立ち上がれ!!その爪や剛腕で反撃しろ!!さぁ殺戮はこれからだ!!お楽しみはこれからだ!!Harry!HarryHarry!HarryHarryHarry!!」

 

 旦那が憑依してのよ零斗君……もう半分は蹴散らしてるよ?どっかの誰かさんが苦労したであろう魔物達がもうミンチになってるのよ……

 

「……もうやだぁ」

 

 ほら、もう黒ローブ君心折れちゃてるよ!?どうしてくれるの?

 

「……!(ギィン!)あぶな」

「グゥルァアア!!!」

 

 黒い四つ目の狼が零斗に飛び掛る、それを難なく血狂いで止めて観察する零斗。

 

「ほぅ……ポテンシャルなら奈落の二尾狼と同等か、どこから仕入れたんだ?」

 

 四つ目の狼は血狂いを噛み砕こうとするが、リベリオンで頭を撃ち抜かれ、頭部を粉砕される。

 

『シア、ハジメ、警戒しとけ。魔物の中に、明らかに動きの違うやつがいる。洗脳支配されているわけでも、どこかの魔物の配下というわけでもなさそうだ。正面の奴らは任せろ、左右の奴らは任せたぞ』

『了解ですぅ!』

 

 シアとハジメに念話で注意と指示をして狼型魔物の殲滅をする零斗。

 

「…………これで最後か」

 

 約五十体程のリーダー格と眼前の狼型魔物を仕留めた零斗、全開の〝威圧〟により逃亡する魔物も出始めている。と、零斗の視界の端に遠くの方で逃げ出す魔物に向かって何やら喚いている人影が見えた。

 

「……」

 

 零斗は気配を殺しゆっくりと回り込む。そこには黒いローブを纏った清水が居た。

 

「なんなんだよ!俺が必死こいて集めた魔物を紙クズみたいに吹き飛ばしやがってよ!俺の苦労を返してくれよ!!」

 

 ……なんとも悲痛な叫びだった。零斗は若干申し訳なさそうな表情して、清水の首に手刀を当てて気絶させる。

 

「なんかすまんな幸利……まぁ、自業自得って事で許してくれよな」

 

 零斗は気絶させた清水を金属糸で縛り上げて肩に担ぐ。そして、そのまま町へと踵を返した。荒れ果てた大地の砂埃と魔物が撒き散らした血肉に塗れながら二輪に引きずられる清水の姿は……正しく敗残兵と言った有様だった。

 




やっと東方要素出せた……スペルカードだけだけど。
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