ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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「よっと、ヽ(。・ω・。)ドウモハジメです」
「シアです!」
「アルテナ・ハイピストです」

「前回はイルワさんに頼まれた依頼の結果報告とシアさん達のステータスだったね」
「ウィル君のお母さん達、喜んでいましたね」
「ステータスについては、思ったよりも伸びていませんでしたね……」
「……強化細胞移植したての僕よりも強いのに?」
「まだ、ハジメさんのとなり立って戦えませんからね!」

「アハハ……頼もしい限りだよ。今回は僕とシアさん達とので、デートだよ……」
「「楽しんでください!」」

「「「デートの時間!」」」



デートの時間

 Side ハジメ

 

「ふんふんふふ~ん、ふんふふ~ん! いい天気ですねぇ~、絶好のデート日和ですよぉ~」

 

 フューレンの街の表通りを、上機嫌のシアさんがスキップしそうな勢いで歩いている。服装は何時も着ている丈夫な冒険者風の服と異なり、可愛らしい乳白色のワンピースだ。肩紐は細めで胸元が大きく開いて、目のやり場に困る。

 

「フフフ……シアさん、そんなにはしゃいでると転んでしまいますよ?」

 

 僕と同じ歩幅でゆったりと歩いてくれるのはアルテナさんだ。アルテナさんの服装も普段と違って、薄手のブラウスにロングスカートと、清楚な感じで纏められている。

 

「大丈夫です!そんなヘマしませんよぉ~、レイトさんに鍛えられているんですからッ!?」

 

 シアさんがそう言って、前方の段差に気づかず、足を取られてバランスを崩した。僕はシアさんが倒れる前に、素早くシアさんを抱きとめる。

 

「シアさん、怪我とか無い?」

「あ、ありがとうございます。助かりました……」

 

 シアさんが顔を真っ赤にして、僕から離れてお礼を言った。

 

「シアったら、相変わらずですね?でも、本当に気を付けてくださいね?」

 

 アルテナさんの言葉を聞いて、シアさんが少しだけ拗ねる様な表情をする。その姿に、周囲の男達はほぼ全員ノックアウトされたようだ。若干名、隣を歩く恋人の拳が原因みたいだけど……

 

 そんな僕達は周囲の視線を集めつつ、遂に観光区に入った。観光区には、様々な娯楽施設が存在する。劇場や大道芸通り、サーカス、音楽ホール、水族館、闘技場、ゲームスタジオ、展望台、色とりどりの花畑や巨大な花壇迷路、美しい建築物や広場なんかある。

 

「ハジメさん、ハジメさん! まずはメアシュタットに行きましょう! 私、一度も生きている海の生き物って見たことないんです!」

 

 ガイドブックを片手に、ウサミミを「早く!早く!」と言う様にぴょこぴょこ動かすシアさん。

 

「へぇ~、内陸なのに海の生き物とか……気合入ってるね。管理、維持、輸送と大変だろうに……」

「興味持つ所そこなんですね……」

 

 僕の呟きを聞いたアルテナさんが苦笑いするけど、実際問題、海水なんてどうやって運ぶんだろう?

 

 ────────────────────────

 

 途中の大道芸通りで、人間の限界に挑戦するようなアクロバティックな妙技に目を奪われつつ、たどり着いたメアシュタットは相当大きな施設だった。海をイメージしているのか全体的に青みがかった建物となっており多くの人で賑わっている。

 

「この辺は地球とそんなに変わらないね……」

 

 中の様子はかなり地球の水族館に似ていた。ただ、地球ほど、大質量の水の圧力に耐える透明の水槽を作る技術がないのか、格子状の金属製の柵に分厚いガラスがタイルの様に埋め込まれており、若干の見にくさはあった。

 

「すごいですぅ……」

「綺麗……」

 

 シアさんとアルテナさんが感嘆の声を上げ、初めて見る海の生き物の泳いでいる姿に瞳をキラキラさせて頻りに指を差しながら僕に楽しそうに話し掛けてくれた。

 

 すぐ隣で同じく瞳をキラキラさせている家族連れの女の子と仕草が同じだ。不意に、女の子のお父さんと思しき人と視線が合い、その目に生暖かさが含まれている気がして、何となく気まずくなり二人の手を取ってその場を離れた。

 

 一時間ほど水族館を楽しんでいると、突然、シアさんがギョッとしたようにとある水槽を二度見し、更に凝視し始めた。

 

 そこにいたのは……シーマ○だった。僕も、知っている某ゲームの人面魚そっくりだった。

 

「……な、なぜ彼がここに……」

 

 戦慄の表情でシアが一歩後退りする。○ーマンは、シアさんに気がついたのか水槽の中から同じように、彼女を気だるそうな表情で見つめ返した。訳のわからない緊迫感が生まれる。

 

 ふと、水槽の傍に貼り付けられていた解説が目に入る。ええっと……固有魔法の"念話"で会話が可能だけど滅多に話す事は無い……ちなみに、名称はリーマンだった。

 

『ええっと、こんにちはリーマンさん?』

 

 興味本位でリーマンに念話で話し掛けてみた。

 

 の目元が一瞬ピクリと反応する。そして、シアさんから視線を外すと、ゆっくりこちらを見返した。シアさんが、何故か勝った!みたいな表情をしてるけど……なんでだろ?

 

『……チッ、初対面だろ。まず名乗れよ。それが礼儀ってもんだろうが。全く、これだから最近の若者は……』

 

 ……それもそうだね。ミレディにも言われたし。

 

『……すみません。僕はハジメ。本当に会話出来るんだね。リーマンって言うは一体何なの?』

『……お前さん。人間ってのは何なんだ?と聞かれてどう答える気だ?そんなもんわかるわけないだろうが。まぁ、敢えて言うなら俺は俺だ。それ以上でもそれ以下でもねぇ。あと名はねぇから好きに呼んでくれ』

 

 無駄にカッコイイなこの人?魚?わかんないや……ちょっと現実逃避気味に遠くを見る目をしていると、今度はリーマンの方から質問が来た。

 

『こっちも一つ聞きてぇ。お前さん、なぜ念話が出来る?人間の魔法を使っている気配もねぇのに……まるで俺と同じみてぇだ』

 

 やっぱり不思議に思われるよね……まぁ、念話の使える人なんてほぼほぼしないし、話しても大丈夫かな。

 

『食べる物が魔物しか無い時があってね、その時から使えるようになったんだよ』

『……若ぇのに苦労してんだな。よし、聞きてぇことがあるなら言ってみな。おっちゃんが分かることなら教えてやるよ』

 

 実際苦労はしたから、嘘では無い。ただ、人面魚に同情される人生って……と若干ヘコんだ。何とか気を取り直しつつ、リーマンに色々聞いてみる。例えば、魔物には明確な意思があるのか、魔物はどうやって生まれるのか、他にも意思疎通できる魔物はいるのか……リーマン曰く、ほとんどの魔物は本能的で明確な意思はないらしい。言語を理解して意思疎通できる魔物など自分の種族しか知らないようだ。また、魔物が生まれる方法も知らないらしい。

 

「ハジメさん、そろそろ行きませんか?人目が……」

 

 アルテナさんの声で我に帰ると、周囲の人が怪しげな目で僕達を見ていた。

 

 最後にリーマンが何故こんなところにいるのか聞いてみた。そして、返ってきた答えは……

 

『ん?いやな、さっきも話した通り、自由気ままな旅をしていたんだが……少し前に地下水脈を泳いでいたらいきなり地上に噴き飛ばされてな……気がついたら地上の泉の傍の草むらにいたんだよ。別に、水中じゃなくても死にはしないが、流石に身動きは取れなくてな。念話で助けを求めたら……まぁ、ここに連れてこられたってわけだ』

 

 ……完全に僕らのせいじゃん。い、いや、あれはミレディが僕らを流したから実質ミレディのせいだよね!

 

『……リーさん、えっと、その、ここから出たい?』

『?そりゃあ、出てぇよ。俺にゃあ、宛もない気ままな旅が性に合ってる。生き物ってのは自然に生まれて自然に還るのが一番なんだ。こんな檻の中じゃなく、大海の中で死にてぇてもんだよ』

 

 言葉に含蓄のあるリーマン。巻き込んだこんじゃったし……助けた方がいいよね。

 

『……リーさん。僕が近場の川に送り届けるよ。リーさんがこんな状況になったのは僕達の事情が関係してるんだ。数分後に迎えを寄越すから、信じて大人しく運ばれて』

『ハー坊……へっ、若造が、気ぃ遣いやがって……何をする気かは知らねぇが、てめぇの力になろうって奴を信用できないほど落ちぶれちゃいねぇよ。ハー坊を信じて待ってるぜ』

 

 リーさんと男臭い笑みを交わしあった後、シアさんとアルテナさんの手を引いてその場を離れる。

 

 その後、リーさんとシアさんとアルテナさんに念話で何か話してたけど何かは分からなかった。それからまたしばらくメアシュタットの中を観光して、ちょうど昼飯時になるところで一周して退場したのだった。 

 

 ちなみにリーさんはクロスビットを使って救出、近くの川に放流しておいた。

 

 




リーさんの事、好きな人おるんかな?感想お待ちしております。
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