「ハジメです」
「浩介でーす」
「前回はハジメ VS 魔人族の女と変化しまくった柊人の登場だったな……とりあえずハジメ、そこに正座しろ」
「え?今?」
「あんな無茶な戦闘したらそりゃ怒るに決まってんだろが……なに石化した指を砕いてんだよ、ボコボコにするぞてめぇ」
「……はい、すみません」
「お、落ち着けって零斗……あぁ……今回は鹿乃と零斗達に何があったのかだ」
「楽しんでいってくれ」
ハ「何があったんです?」
零「大惨事大戦DA☆」
Side 零斗
「バカァ!心配したんだからぁ!」
「痛い、痛いですよ、悠花……」
柊人の胸をポカポカと叩く悠花だったが、凄まじいパワーのため胸骨がミシミシと音を立てている……痛そ。
「イデデデ……全身バキバキだわ……」
「えぇっと、零斗……何があったの?何で柊人の見た目があんなに変わってるの?それにラピス?って人は……」
「矢継ぎ早に質問をするんじゃないよ……順を追って説明してやっから」
俺は何があったのかの説明を始めた。その間も柊人はずっと悠花の拳を食らっていた。
●○●
Side 三人称
「……ッア……ウ……」
「これで……三十五回目の死亡だな……刺殺でもダメだったか」
全身を貫かれ、血みどろになったラピスを眺めながら煙草をふかす零斗。その目は冷たく光っていた。
「焼殺、失血死、圧死、絞死、凍死……色々と試してみたが……一体どうしたら死ぬんだ?お前」
「……ウゥ……グゥ……ッ」
「ほぉ……まだ生きてたか……そのくたばってくれたら楽なんだがな……」
零斗はそう言いながらまた煙草に火をつける。そして今度は煙を吸い込み吐き出すのではなく、吹きかけた。するとラピスは息苦しくなったのか咳き込む。しかし、それでも肺まで煙が入り込んだため呼吸ができない苦しみに襲われる。
「お、もう再生……いや蘇生したのか」
「ゲホッ……ゴホォ……ハァ……ハァ……ゼェ……ゼェ」
ラピスの体の傷が徐々に治っていく様子が見て取れた。
「さて、次は溺死と感電死……どっちがいい?」
「……コロス……コロス……コロス……コロス……」
「Hehe……こりゃ骨が折れそうだ……」
そう言うと零斗は咥えていた煙草を握りつぶし、再び攻撃を開始した。
「『アウターサイエンス』……そら、来い」
零斗が指を鳴らすと、四方八方から無数の骨槍が現れる。そしてそれらは一斉にラピスに向かって飛んでいった。
「無駄だァ!シネェ!」
ラピスは飛来する骨を全て回避し、零斗に接近する。
「……なっ!?」
「『矮小く惨めに生きた生命が 死んではドアを叩くでしょう』」
零斗が歌い出すと共に身体全体にグリッチエフェクトが現れ、ラピスの攻撃は当たること無く零斗の身体をすり抜ける
「『小さな主は見兼ねる 「嫌な話だ」』……おいおい、ボーンとしてるとコイツに当たっちまうぜ?」
「ガッ……」
「クフフ……『大きく拡がる 喉と胴体は死んだ心を 溶かす様にゆっくり命を 飲み込み 目を刳り貫く』」
ラピスの背後から現れた骨槍により心臓を貫かれる。零斗の攻撃はまだ終わらなかった。ラピスの周りに無数の龍の頭部を模した骨が現れ、口からレーザーを放つ。
「グ……ァ……」
「『ねぇ、君も祈っちゃったんでしょう?僕に睨まれた時にさ……』」
「ッ!?」
地面に転がり、満身創痍のラピスの耳元で零斗が歌う。囁く様に、ねっちこく、いやらしく……それこそ蛇の様な声色で歌う。
「『そんな悲壮精神が大 好 物 だ !』」
「巫山戯るな!」
ラピスは傷の修復が終わった瞬間、零斗の声がする方に攻撃をするが……そこに零斗の姿は無い。
次の瞬間には、ラピスの首筋に手を当てていた。ラピスの動きが完全に止まる。そして数秒後、ゆっくりと動き始めた。ラピスの体が青白く発光している。零斗の手にも青い光が灯った。
「『ようこそ、我が胎内へ!愛とエゴの終着点』」
零斗が手を真横に振り抜くとラピスの身体も連動するかのように弾き飛ばされる。その勢いのまま壁に激突し、大きなヒビが入った。
「『君もすぐに生まれ変われる 怪物みたいで素敵なことでしょう?』」
ラピスの眼前にはニタリと笑う零斗の顔があった。
「『「あぁ、神様、なんで」って「もう嫌だよ」と泣いたって受け入れろよ これが運命だ』」
「ふざけ……るな……」
零斗が歌っている最中、ラピスの体は再生を始める。零斗もただ待つ訳もなく、ラピスの背後の壁に骨槍を出現させる。
「『次の次の次の主に懸命しよう……』────ふぅ、やっぱり一番サビまでしか持たないか……つまらんな」
零斗がそう呟きながら壁を見ると、そこには何も無かった。ラピスの姿も無く、血痕すら残っていない。すると、零斗の背後に影が現れる。その正体はもちろんラピスである。
「ほぅ……カフッ……」
いつの間にか零斗の胸にはラピスの腕が貫通しており、血が滴っている。ラピスはその腕を引き抜くと、その手には赤黒い剣が握られていた。その剣を零斗に向かって一閃する。すると、零斗を真っ二つに切り裂いた。
「アハ……アハハ……アハハハハハハッ!遂に……遂にやってやったわ!」
ラピスは狂喜乱舞しながら高笑いをあげる。しかし、それも束の間……
「ァ……れ……?……い…………しき……が……」
ラピスは糸が切れた人形のようにその場に倒れ伏した。
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「カハッ!?」
「お、起きたか……時間は……三十分くらい」
零斗が煙草を咥える。ラピスは体を起こし、胸を手で押さえながら辺りを見回す。さっきまで居た空間と変わらないが、戦闘の形跡は一つも無かった。
「まさか……幻術?」
「いいや?お前が体験したのは紛れもない現実の出来事だ……魂だけだがな」
ケタケタと笑う零斗に、絶望顔のラピス。魔力も体力も全てが底を尽き、動く事もままならない程に消耗している。
「どんな気分だ?やっとの思いで殺した奴が無傷の状態で目の前に居る気持ちは?」
「………………」
「カッハハハッ!良い絶望顔だなぁ?」
零斗は大爆笑した後に煙草に火を付けひと吸いし、煙を吐き出す。ラピスは怒りと憎しみ、そして恐怖に満ちた顔を零斗に向けた。その目を見て零斗は愉快そうにニヤリと笑みを浮かべる。
「この空間に引きずり込んだ時点で魂と肉体を分離させて、魂側だけにお前の理想の展開を『体験』して貰ったのさ……」
ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべながら語る零斗。
「そしてもう一つ……後ろを見てみろ」
言われた通りに後ろを振り向くラピス。そこにあった光景に思わず息を呑む。
「あぁ、最っ高に良い顔だ……殺した筈の……お前が愛した男が目の前に居る……最高のエンターテインメントだなァ!」
そう……殺した筈の柊人が殺気を放って立っていた。ラピスは零斗の言う通り、最愛の人の姿をした存在が立っていることに驚き、困惑、恐怖……様々の感情が渦巻いていた。
「あ……え……?……なん……で?」
「言っただろ?俺はお前達……組織の守護者であり死神だと、俺の庇護下に居るからには……死なせはしない」
零斗は吸っていた煙草を踏みつけ、ラピスに歩み寄る。ラピスは恐怖に怯え、逃げようと這いずる。
「い、イヤ!来ないで!助けて……!死にたくない!」
ラピスが這う速度よりも速く移動し、首を掴んで持ち上げる。ラピスはバタつきながらも必死に離れようとする。零斗は無慈悲にラピスに問いかけた。
「何故、お前がそちら側にいる?誰がお前のバックに付いている?お前の持つ情報を全て吐け」
「ぐっ……知らない!私は何も知らされていない!」
「……嘘は良くないなァ?」
零斗は首を掴む力を強める。ラピスは苦しそうにもがき続ける。それまで静観していた柊人がうんざりしたのか、ラピスの左腕を掴み取ると、そのまま肩のあたりから切り落とした。
「痛っ!!?」
「次、下手くそな演技したらもう片方も切り落とす」
その言葉を聞き、ラピスの顔は見るからに引き攣る。その様子を確認した零斗は手を離し、再び問う。
「次は答えてくれるかな?」
「……教えるかよ、バーカ」
ラピスのその言葉と共にその凄まじいプレッシャーが零斗と柊人を襲う。この瞬間、二人はラピスへの認識を改め、貴重な情報源から抹殺対象に切り替えた。
「仕方ないよね……この状況を打破するには……これしか無いものね……」
ラピスの手にはいつの間にか小さなナイフが握られており、それは自らの頸動脈を捉えていた。
「死ぬにはいい日ね……」
その言葉を呟くと同時に刃は横に引かれ、鮮血が舞う。ラピスは倒れるようにその場に崩れ落ちる。その刹那、ラピスを中心に半径数メートルが闇に包まれる。
「面倒な事になったな……」
「ハァ……往生際が悪いにも程があるでしょう……」
闇が晴れると、そこには傷を完治させた姿のラピスと全くの同じカタチをしている何かが佇んでいた。
『縺オ縺溘j縺セ縺ィ繧√※縺カ縺」縺薙m縺呻シ?シ?』
何と言っているか分からない音を発すると、黒いナニカは一瞬で零斗と距離を詰めてその華奢な腕で殴り掛かる。それを零斗は咄嵯に両腕を交差させてガードするが、衝撃は凄まじいもので、後方へと飛ばされる。
「パワー馬鹿の悠花以上の威力とはな……両腕が弾き飛ばなかっただけマシか……」
空中で体制を整え、綺麗に着地する。すると零斗に無数の魔法が襲いかかるが、それらは全てが柊人のナイフにより撃ち落とされた。
「ナイスサポート、助かる」
「……あれはもう僕達の知っているラピスではない様ですね」
「ハァ……泣けるぜ……」
二人の視線の先にはラピスの姿をしながら漆黒のオーラを放つ異形の存在がそこにはいた。ラピスの口からも、またもや謎の言語が発せられる。
『遘√?窶ヲ窶ヲ雋エ譁ケ驕斐′螟ァ雖後>窶ヲ窶ヲ』
ラピスと全くの同一な声が響くと、二人に向かって衝撃波が放たれる。
「とりあえずは小手調べ……っと」
零斗がラピスに向けて骨槍を投げるが、黒いナニカは腕を払うだけで消滅させてしまう。
「おい、俺より化け物じみてないか?」
「そうみたい……ですねっ!」
黒いナニカの背後に回り込んだ柊人はナイフを突き刺す。しかしその刃が届くことはなかった。黒いナニカの身体が真っ二つに裂かれ、霧散して行く。
「……これは本当に厄介だな……」
「えぇ……」
黒いナニカはその体を再構築すると、今度は両手を合わせる。そこから禍々しい魔力が凝縮された光線を発射する。
「……なるほどねぇ、アイツに対して悪意を向けるとそれに反応して攻撃してくるみたいだな……」
「じゃあ、敵意を向けずに戦えばいいって事ですか?」
「そういう事になるな」
「無理難題じゃない?」
「だとしてもやるしかない」
そんな会話が繰り広げられる中、黒いナニカは微動だにせずに立っている。
「……それにありゃ、一種の洗脳状態みたいでな……前世のラピスの方が理性的でまともだっただろ?」
「確かにそうでしたね……嫉妬でむくれる事はあっても危害を加えてくる事はなかったですね……」
零斗がラピスの魂に理想の展開を体験させている間に、肉体の解析を済ませた結果分かったのは、どうやら精神が不安定になった時点でラピスの意思に反してあの肉体が乗っ取られている事が理解出来た。
「まぁ、洗脳とも言えるし、寄生されてるとも言えるがな……」
「……なるほど、ジョジ○三部の肉の芽みたいな物ですか」
「あ〜……まぁ、そんな感じだ」
それまで動かなかった黒いナニカの口からラピスの声が漏れ出す。
『た……ケ……に……テ……コ……シ…………テ……』
意味不明な単語だが、何故か零斗と柊人にははっきりと理解できる内容だった。ラピスはただ静かに泣き続けていた。その涙の意味は分からず、その悲しみも理解できないものだった。
「しょーがねぇな……柊人、やるぞ」
「はいはい、分かりましたよ……」
二人は同時にそれぞれの得物を黒いナニカに向ける。
「さぁ、振り切るぜ……」
「俺の命をかけて……お前を救う」
その言葉と同時に黒いナニカに肉薄していく二人。
何故特撮ネタが多いのかって? 私 の 趣 味 だ !