原作世界へGO!
Side 零斗
「ハジメもアンカジ公国に向けて出発したし、メルド団長達の安否確認も出来た……ここでやる事はもう無さそうだな」
ホルアドの一角にある路地にて、現状確認をしながらこれからの事を考える。
「カルデアに戻ってやる事は……魔人族の人体構造の把握と仕留めた女の身体検査、ラピスの経過観察……」
今後の予定が書かれた手帳に一通り目を通してから、路地を出る。
「それが終わればアンカジ公国に急行しなきゃならない上に迷宮の攻略と俺用の試練の突破……やる事が多いな……」
タバコを取り出して火をつける。紫煙を燻らせながら、カルデアへと向かう。
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「ふぅ……やっと着いた……」
カルデアへと到着すると、そこには数人のサーヴァント達が待機していた。その中にはマシュの姿もあり、こちらを見るなり駆け寄ってくる。
「先輩!ご無事で何よりです!」
「あぁ、心配かけたな。俺は大丈夫だ」
「そうですか……良かった……」
ホッとした様子を見せる彼女に微笑みかけつつ、辺りを見回す。
「……あぁ、マシュ……その……な……」
「はい?」
不思議そうな顔をする彼女に対して申し訳ないと思いつつも、言葉を続ける。
「……刀華達って……今何処に?」
「……えっと……ですね……そのぉ……」
彼女は苦笑いしながら頬を掻く。
「「「れ〜い〜と〜く〜ん〜あ〜そ〜び〜ま〜しょ〜」」」
「ひぃ!?」
背後からの怒気を含んだ声を聞き、反射的にその場から離れる。恐る恐る振り返ると、そこには満面の笑みの3人の少女がいた。
「あれ?なんで逃げるんですか?」
「私達はただ遊びたいだけなんでけど……」
「逃げなくてもいいじゃない?」
3人は笑顔のままゆっくりと近づいてくる。
(ヤバイヤバイヤバイ!!)
冷や汗を流しながらも必死に逃げようとするが、後ろからはサーヴァント達に阻まれてしまい退路が無くなる。そして目の前には怒り心頭の刀華、鈴仙、妖夢がいる。
「ねぇ零斗君?」
「私達はね?言ったよね?」
「お説教だって♪」
この後めちゃくちゃ叱られた。
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「ウゴゴゴゴ……疲れた……」
「ハハハ、相変わらずだな、君は」
自室のベッドにうつ伏せで倒れ込むと、Busterシャツを着たディンリードさんが話しかけてきた。
「……あんた、現代に染まり過ぎじゃない?」
「ハッハッハ!良いじゃないか!これでも楽しんでいるんだよ私は!」
「そうかい……そりゃ良かったよ……」
愉快げに笑う彼を見てため息をつく。そんな彼を横目にしつつ、手元の端末に目を移す。
(ラピスのバイタルは多少の問題はあれど安定している……未だに意識を取り戻す兆候はなし……)
カルデアに帰還してからというもの、ダ・ヴィンチちゃんの指示により彼女のバイタルチェックを続けているのだが、未だ目を覚ます気配はない。
「後は魔人族の方だな……」
「おや、やる事が出来たのかい?」
「あぁ、そんな所だ」
ベッドから起き上がり、施設にある手術室に足を運ぶ。そこには殺した魔人族の女の遺体が乗った台とその近くには医療機器が揃って置いてある。
「ハァ……気は進まんがやるしかないか……」
遺体を前にして手を合わせ、早速解剖を始める。メスを入れ、臓器に位置などを確認していく。
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数時間後……全ての作業を終え、遺体の状態を確認する。結果としては、人体構造は人間族とほぼ同じだった。
「悪趣味な奴が敵側には居るみたいだな……」
純白の布の上に載せた、約一センチ程の結晶を摘んで見つめる。解析してみた結果、一種の洗脳装置だという事が分かった。この結晶を介して脳への干渉を行い、対象者を操る事が出来る。
「……これが自然に身体の中に生成される訳もないし、人為的に埋め込まれたもんだよな……」
となると考えられる可能性は一つ。あの魔人族は誰かによって操られていた可能性が高いという事だ。
「いくらエヒトが魔術、魔法に長けているとしてもこれを製造出来るとは思えんな……」
そもそもこんな技術はこの世界に存在しないはずだ。仮に作れたとしてもこれを製造するコストに見合わないだろう。ならば誰が作ったのか……
「……今考えて仕方ないな」
考えを振り払い、再び部屋に戻る。先程と同じようにベッドに倒れ込み、天井を見上げる。
(とりあえずはやる事の三割は完了したな……後は……)
思考を巡らせていたが、いつの間にか眠ってしまっていた……
●○●
「ん?」
唐突な浮遊感に襲われ、目を開けれる。最早、恒例の光景となっているであろう空中に放り出された。
「なんでさ……」
体勢を立て直しつつ落下地点を予測して地面に着地をする。周囲に敵影などが無いことを確認してから改めて周りを見渡す。
「さぁて、ここは何処なんだ?」
「フォウ!」
「……なぁんで、また居るんだぁ?フォウ」
いつの間にか俺の肩に乗っている白い毛並みをしたリスモドキ(?)フォウを見ながら大きなため息をつく。軽くフォウを撫でながら、再度辺りを見渡す。
「建物の様相からして、場所的には現代日本か……これは帰ってきたことになるのか?」
目視で確認出来る情報はそれぐらいしかない。とりあえず今はこの場所の調査を進めることに専念しよう。
「今回も、何時ものレムレムか?こんな時期にトンチキイベントはごめんだぞ……」
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それから数時間ほど調査を進めていたが結局分かったことはここがただの街であるということだけだった。
「……『高校生集団神隠し事件』に『帰還者』かぁ……怪しいねぇ」
白昼の学校で起きた神隠し事件の被害者達がある日突然、姿を現したらしく、その少年少女達の総称らしいが……
「どうにもきな臭い……と言うか、これって俺達の事か?偶然にしちゃ合致する点が多すぎる……」
この神隠しは大体一年前に起きたこと。そして消えた人達が戻ってきたのは最近……まるでタイミングを合わせたかのようにこの事件が起きた。しかもご丁寧に同じ日本という場所だ。これが無関係だと思えない。
ただ、ここで疑問が残る。これだけ大きな事件ならニュースになりそうなものだが全くそんな話を聞かない。それどころかネットでその事件について調べても都市伝説的な扱いを受けていたりする。
「……一体全体どういうことだ?」
「フォーウー!」
「あ、こら!いきなり走るんじゃ……」
走り出したフォウを追いかける。やがて無人のビルに入って行ってしまった。
「ったく、何処行ったんだ?」
しばらく歩いていると少し開けた場所が見えた。そこには一人の少女の姿があった。染めているであろう栗色の髪まとめいて、不良少女っぽい見た目だ……そして、何故か片手にナイフを持っている。それに、あの子の姿はどう見ても……
「園部……だよなぁ……」
俺が知っている姿より少々幼いが間違いなく彼女の顔だった。
「また、普通のお客さんとして来店してください」
「ちょ、まっ、アババババババババアバババッバァッ!?」
Oh……園部が倒れているおっさんの手の平にチューイングガムを張り付け、手に持っていたナイフ刺したかと思うと、強烈な電流を流して、気絶させた。
(今、接触するのは危険だな。ここは素直に撤退した方が良さそうだな……)
そう思い、その場から立ち去ろうとした瞬間、こちらに気づいたのか、彼女が振り向いてきた。咄嗟に異空間収納から狐の面を取り出して付ける。
「……こんにちは、お兄さん……こんな所で何してるんですか?」
「……俺の飼っているペットがこのビル内に入っちまってな……その子を探していた所だ」
嘘は言っていない。実際、フォウを探しに来たわけだし、間違ってはいないだろう。
「じゃ、俺はこれで……」
踵を返して、逃げようとしたら、彼女は手に持っていたナイフを投げてきた。突然の行為に驚きつつも、飛んできたナイフをキャッチしていく。
「おいおい、嬢ちゃん……俺じゃなきゃ死んでるぜ?」
「……あんた、ホントに人間?」
しかし、これは困ったな。まさか、向こうから攻撃してくるとは思ってなかった。それに彼女からは明確な殺意を感じる。正直、かなりやりづらい相手だな。
「……とりあえず、今日の所は逃げさせて貰おうかな」
「逃げられるとでも思ってる?」
「あぁ、逃げ足には自信があるからな」
俺の言葉と同時にスモークグレネードのピンを抜き転がす。
「っ……煙幕……!!」
「Ciao〜」
周囲に白煙が充満する前に窓から部屋から離脱する。そして、そのまま逃走する。
「フォ!」
「うぉっと……こんな所にいたのかよ……よし、とりあえず撒けたみたいだな……」
物陰からフォウがひょっこりと顔を出した。フォウも無事に回収できたようだ。ひとまず、逃げることが出来たが……
「……あれは厄介過ぎるな」
もし仮にもう一度遭遇したら今度は確実に殺されるかもしれない。それだけは絶対に避けたい。
「仮面を付けていたと言え、声や癖でバレるかもなぁ……街中でいきなりグサッとはやられないとは思うが、容姿とか変えておくか」
これからはもっと慎重に行動しねぇとなぁ……
番外編として投稿していくので詳しい設定は考えてないです。