ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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原作ハジメくんの口調が迷子だぜ……


自分の親友が豹変してたらどう思う?

 Side 零斗

 

「帰還者についての情報は一切無しか……」

 

 園部と一悶着あってから一日が経ち、引き続き帰還者や高校生神隠し事件について探ってみたが収穫はゼロだった。

 

「進展があるとすれば……帰還者ってのは間違いなく、俺のクラスメイト達だな」

 

 机の上に雑多に広げた資料の中から一冊の雑誌を取り上げる。

 

「一番新しい記事でも半年前か……」

 

 雑誌には失踪した高校生達の氏名と写真が載っている。

 

「マスゴミがこんな特ダネを逃す筈が無い……こんな事件なんざ前例も無い筈だ。だったら今でも情報が何かしら出る筈なんだが……」

 

 雑誌を捲りながら頭を捻る。だが一向に答えが出る気配は無い。この雑誌以外にもネットや図書館などあらゆる場所から情報を集めたが、結局何一つ得ることは出来なかった。

 

「ハァ……メンドクセェ……」

 

 思わずため息をつく。幾ら探ろうが帰還者達の詳しい情報は一向に手に入らない。

 

「こうなりゃ、当人達から情報を引き出すしたかねぇな」

 

 荷物を纏め、椅子に掛けていた上着を手に取る。

 

「さぁて、鬼が出るか、それとも魔王が出てるか……」

 

 ────────────────────ー

 

「確かこの辺りに……あった」

 

 目的の場所に着き、足を止める。少し寂れた印象を受ける小さな洋食店……店名は『ウィステリア』。

 

 カランカランというドアベルの音と共に店内へと入る。すると店の奥の方から女性の声が聞こえてくる。

 

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」

 

 不良少女っぽい見た目をした少女が丁寧に対応してくれる。

 

「そうですね……日替わりランチとジャスミンティーを、それと食後にブレンドをお願いします」

 

 カウンター席へ腰掛けメニューを見ながら店員の女性……園部優香に注文を頼む。

 

「かしこまりました。少々お待ち下さいね」

 

 園部が厨房の方へ向かうと同時に店内を見渡す。客入りは無く、俺を含めても数える程しかいない。

 

(とりあえずはバレてないみたいだな)

 

 昨日接触した時とは違い、今は背丈や声、髪色を変えて変装している。

 

「……よぉ、アンタこの辺じゃ見ない顔だな」

 

 不意に声をかけられ横を見ると、先程まで誰も座っていなかった隣の席に見知った顔があった。

 

「えぇ……この辺りには初めて来ましたから」

 

 少しくせっ毛な黒髪に、日本人特有の焦げ茶色の瞳、僅かに日焼けした肌……だが、そのどれもに違和感がある。

 

(左胸に一丁と右腰に一丁ずつ銃を隠してるな……それ以外にも左足、右足首、右腕……何個か仕込んでるな……にしても)

 

 獰猛な笑みを貼り付けた青年の顔を見て内心で苦笑いする。

 

(コイツ、完全に俺のこと狩りに来てるな……)

 

 敵意剥き出しの視線を感じ取り、表情に出ないように気をつけながら目の前の男を観察する。身長は170cm後半で、細身ではあるが筋肉質であることが分かる。

 

「世界各地を旅しながら、歴史の研究をしていまして」

「ほう?世界の歴史を研究してるってことは学者か?」

「いえいえ、ただの物好きですよ」

 

 男との会話を続けながらも、周囲に意識を向ける。今はまだ大丈夫だが、これ以上長引くようなら不味いな……

 

「そうだ、お名前お聞きしても?」

「あぁ……南雲ハジメだ」

「南雲さんですか……良いお名前ですね」

「そいつはどうも」

 

 適当に話をしつつ頭の中で考えをまとめる。

 

(笑えねぇ冗談だ……目の前の男がハジメ?右目は義眼で、左腕は肩口辺りから義手みたいだしよ……)

 

 隣にいる南雲を観察し続ける。見た限りだと明らかに戦闘慣れしており、何時でも身体に仕込んでいる武器を抜ける状態になっている。

 

(こりゃ魔王の方を引いちまったみてぇだな……泣けるぜ)

 

 そんな事を思いつつも、表情には出さないようにしながら話を続ける。

 

「こちら日替わりランチのハンバーグセットとジャスミンティーになります……ごゆっくりどうぞ」

「ありがとうございます」

 

 料理を受け取り、再び思考を巡らせる。

 

(さて、これからどうするか……まぁ、やるしかないんだが)

 

 手元にあるハンバーグを一切れ口に放り込みながら、隣の南雲に話しかける。

 

「ムグムグ……そういえば、この地域で高校生達が集団神隠しにあった話って本当なんですか?」

 

 ピクリと反応を示す南雲を見ながら話し続ける。

 

「何でも突然消えてしまったとか……」

「…………」

「しかも不思議なことに消えた人達は全員同じ高校に通っていた人達らしいじゃないですか」

 

 全身を突き刺す様な殺気を向けられるが、気にせず話し出す。

 

「……きっと、想像を絶する様な経験をしてしまったのでしょうね……」

 

 そして一呼吸置き、相手の目を見る。瞬間、周囲の時間が止まる感覚に襲われる。

 

「ねぇ、貴方もそう思いませんか?」

 

 南雲の目が鋭さを増し、敵意を剥き出しにし始める

 

「……何者だ、お前」

「おやおや、随分と殺気立っていますね……私はただのしがない旅人ですよ」

 

 微笑を浮かべながら言葉を発する。南雲の眉がピクッと動き、更に威圧感が増す。

 

「……何が目的だ」

「おやおや、酷い言い草ですね……私はただ、貴方達帰還者と話がしたいだけです」

 

 それを聞いた途端、南雲の纏う空気が更に重くなる。先程とは比べ物にならない程の殺気が辺りを包み込む。

 

「……何が目的だ」

 

 底冷えするような声音と共に、シュラークがこちらに向けられる。

 

(マズったな……少し煽り過ぎたか?)

 

 後悔しつつも、動揺した様子を微塵も出さずに答える。

 

「さぁ、なんででしょうかね……後、銃を向けるのは得策ではありませんよ」

「何……っ!?」

 

 一瞬の隙をついて、南雲のシュラークを奪い取る。驚愕に顔を歪める南雲を尻目に、奪い取ったシュラークをじっくりと観察する。

 

「ほぉ……かなり独特な機構をした銃ですね。と、チェンバーとシリンダー部分に煤が溜まっていますよ、こまめに清掃した方がいいですよ」

「テメェ……!」

 

 怒りの形相でドンナーを抜く南雲を片手で制し、奪い取ったシュラークをテーブルに置く。

 

「私はただ、貴方達と話がしたいだけです……危害を加える気も、殺し合いをする気もありません」

「……煽ったあげく、俺の愛銃を奪っておいて何言ってんだ」

 

 苦虫を噛み潰したような表情で吐き捨てる南雲に、俺は笑顔で答えた。

 

「確かに、それはそうですね」

「……チィ、それで?俺に何をさせる気だ」

 

 苛立たしげな口調の南雲に、俺は質問を投げかける。

 

「いえ、別に何も……強いて言えば、私に協力してください」

「……は?」

 

 予想外の返答だったのか、呆けた顔になる南雲。

 

「私はとある物を探していまして……万能の願望機とも言われる『聖杯』……それの捜索と確保の協力をお願いしたいと思いましてね」

「……」

 

 警戒心を滲ませながら、南雲はこちらをじっと見る。

 

「対価はもちろん御用意します……とりあえずはこれでどうでしょう?」

 

 そう言うと同時に、南雲の目の前に一冊の本を出現させた。

 

「……何だこれ?」

 

 南雲は本を手に取り、パラパラとページを捲る。内容は主に『特異点』、『サーヴァントとの交流』……俺の体験した出来事をなるべくマイルドにして書いてある。

 

「…………ほぉん」

(まぁ、コイツならこうなるわな……)

 

 南雲は俺から渡された本を読み耽っている。時折、ニヤリと笑ったり、目を見開いたりしている。そんな南雲を眺めつつ、冷めてしまった料理を食べ進める。

 

「……ブレンドコーヒーになります」

「ありがとうございます」

 

 不機嫌そうな顔をした園部が持ってきたコーヒーを口に含む。

 

(……やっぱり、ここのコーヒーは美味いな)

 

 一口飲む度に、香りが鼻腔をくすぐり、味は舌の上でまろやかな甘みを残しながらも、スッキリとした後味を残して消える。

 

「……ごゆっくりどうぞ」

 

 相変わらずの不機嫌顔の園部を尻目に、読書中の南雲に話しかける。

 

「……どうですか?」

「あぁ、悪くない」

 

 そう言いながら南雲は本を閉じる。

 

「だが、足りないな」

「……と言うと?」

「俺が協力するのと、お前の書いた本じゃ等価交換ですら無い」

 

 南雲の言葉に、思わず口角が上がる。

 

「そうですか……では、何を差し上げれば?」

「そうだな……お前の持つ情報全てだ」

 

 南雲の目は真っ直ぐとこちらを見ていた。南雲からの要求に、内心ほくそ笑む。

 

(予想通りだ)

 

 南雲が俺に協力するメリットは少ない。寧ろデメリットの方が大きいだろう。

 

「それで?どうすんだ?」

 

 南雲の目が鋭く光る。今にも飛びかかって来そうな雰囲気を醸し出す南雲を手で制す。

 

「おやおや、そう怖い目をしないでください……分かりました、貴方の要望に応えましょう」

 

 南雲の目を見て、はっきりと答える。それを聞いた南雲が怪しく笑う。

 

「交渉成立……ですね?」

「あぁ、よろしく頼むぜ」

 

 差し出された南雲の手を握る。その手には確かな温もりがあった。

 

「しかし、随分と熱心に読んでいたみたいですけど……気に入りました?」

「まぁな、なかなか面白かった……あと質問なんだが『チェイテピラミッド姫路城』っのはなんだ?馬鹿が作ったモノにしか思えないんだが……」

 

 南雲の問いに、俺は遠い目をしながら答える。あれは確か……いや、もう思い出したくもない。

 

「えぇ、全くもって同感ですよ……」

「何かあったのか?」

「……まぁ、色々と」

「そ、そうか……その、なんだ……お疲れさん」

 

 南雲が憐れみの視線を向けてくる。それが妙に心に突き刺さる

 

 

 




最近ホグワークレガシー初めました。

敵には必ず「チェストォォォォ!!」と絶叫しながらトドメを刺すようにしてます。
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