中二転生   作:llon

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私:二日に一回と言ったのに遅れてしまった…。

俺:四時までは今日だ。

僕:無理あるって。


第十話「出会いと別れ」

 

 卒業して翌日。

 

 

 

 ロキシー先生は荷物をまとめ、うちから出ていく準備を終えていた。

 

 

 

「ロキシーちゃん、本当に行っちゃうの?

 

 もう少しゆっくりしていってもいいのよ…?」

 

「そうだぞ。家庭教師の仕事は終わったが、ここに居ちゃいけない理由はない。

 

 干ばつの時にも世話になったんだ、村の奴らだって歓迎するだろう」

 

 

 

 両親はそう言ってロキシー先生を引きとめようとする。

 

 先生はもう家族の一員なのだ。急に出ていくとなれば当然止めるだろう。

 

 父さまも母さまも先生のことを娘のように思っているのだ、心配だろう。

 

 僕だって師弟という間柄など関係なくロキシー先生と暮らしたい。

 

 

 

「いいえ。ありがたい申し出ですが、今回の事で自分の無力さを思い知りました。

 

 しばらくは世界を旅しながら、魔術の腕を磨くつもりです」

 

 

 

 先生が無力なはずがないのだが、やはり僕のような子供に肩書きで追いつかれるのは悔しいのだろう。

 

 先生だって寂しくはあるはずだ。

 

 だからこれほど早く出ていくのだろう、離れがたくなる前に。

 

 

 

「そうか。まぁ、なんだ。悪かったな。うちの息子が自信を失わせてしまったようで」

 

 

 

 父さま。言い方。

 

 

 

「いえ、思い上がりを正してもらえましたから」

 

「水聖級の魔術が使えて思い上がりってことはないだろう」

 

「もっと貪欲に剣術も魔術も学んでいるリオンをみて、

 

 わたしも水聖級で歩みを止めていてはダメだと分かりました」

 

 

 

 ロキシー先生は苦笑しながらそう言うと、僕の頭に手を置いた。

 

 

 

「リオン。わたしではあなたを教えるのに力不足でした」

 

「いいえ、それは違います、先生。

 

 僕だって何でもかんでも教えてもらうだけじゃありません。

 

 先生に教わったことは、これからずっと僕の道標(みちしるべ)になります。

 

 先生の教えは、これからもずっと僕を助けてくれるものです。

 

 僕の先生はロキシー先生以外にいません」

 

「大げさ…いえ、ありがとうございます。

 

 あなたの尊敬に応えられるようになってみせます」

 

 

 

 ロキシー先生は、ローブの中から一つのペンダントを取り出した。

 

 緑の光沢をもった金属でできた三つの槍がクロスしたような形をしている。

 

 

 

「卒業祝いです」

 

「ありがとうございます。これは?」

 

「ミグルド族のお守りです。

 

 気難しい魔族と出会った時にこれを見せてわたしの名前を出せば、

 

 少しぐらいは融通してくれる……かもしれません」

 

「大切にします」

 

「かもですからね。あんまり過信してはいけませんよ」

 

 

 

 ロキシー先生は最後に微笑んで、僕たちに背を向けて歩き出した。

 

 

 

 

 ロキシー先生の背中が遠ざかっていく。

 

 僕は泣きそうだった。

 

 悲しい、寂しい、不安だ、そんな気持ちが胸中に渦巻いている。

 

 先生に失礼だと思いながらも、無性に不安な気持ちになる。

 

 

 もうかなり離れてしまった。

 

 声が聞こえるところまで僕は走って、そして叫ぶ。

 

 

「師匠!!

 

 僕、師匠を超えられるよう頑張り続けます!

 

 そしていつか成長した姿を見せに会いに行きます!

 

 だから、必ず、必ずまた会いましょう!!」

 

 

 ロキシー先生は片手を挙げて応えた。

 

 一方的な宣言、口約束とも言えない幼稚な約束。

 

 

 でも、

 

 きっと先生は守ってくれる。

 

 きっと先生は応えてくれる。

 

 そう信じる。

 

 

 不安な心を、ロキシー先生への信頼で打ち消す。

 

 

 別れの際まで師匠に頼る情けない弟子だけど、

 

 次に会うときは成長した姿をみせると誓ったのだ。

 

 

 先生はきっと、次に会うときには今よりもずっと成長しているだろう。

 

 だから、僕も頑張らなければいけない。

 

 

 約束を果たすために。

 

 また先生と明るい再開を果たすために。

 

 

___

 

 

 

「父さま。外に遊びに行ってもいいですか?」

 

 

 

 ロキシー先生と別れた次の日、父さまにそう聞いてみた。

 

 先生に恐怖を払ってもらったのだ。

 

 もはや外に出ない理由などない。外でしか出来ないことが山ほどあるのだ。

 

 植物、主に薬草の生息地や薬効を調べたり、村近辺の地理を調べたり、魔術の研究、闘気の訓練、それ以外にもたくさん外でしかできないことがあるのだ。

 

 

 

 

「外に遊びに?」

 

「はい」

 

「おう、いいぞ。

 

 思えば、お前には自由な時間を与えていなかったな。

 

 お前が魔術と剣術を両方習いたいと言ったとはいえ、子供には遊ぶことも必要だ」

 

「はい。どちらも大好きですが、他にも色々とやりたいことができたので」

 

 

 

 よかった。外出許可を得られた。

 

 

 

「そうか。それにしてもお前が外に行きたいとは。

 

 お前はずっと俺たちから離れたがらないから、

 

 親離れできないかもしれないと心配だったんだが。

 

 時がたつのはあっという間だな。」

 

「むむ、僕は成長したんです。

 

 これから家族を守っていくために自分なりに努力すると決めたんです」

 

「そう気負うな。たまにはただ遊ぶこともしろ。」

 

「魔術も剣術も楽しいからいいんです。

 

 じゃ、いってきます!」

 

「おう。あ、女の子には優しくするんだぞ。

 

 それに、剣術や魔術が使えるからっていばっちゃだめだ。

 

 お前はわかってると思うが、男の強さは威張るためにあるんじゃないからな。

 

 友達の一人でも作ってこい」

 

 

 そっか、友達もつくれるかもしれないな。

 

 女の子でも男の子でもいいが、できれば男友達が欲しいかな。

 

 鍛錬の相手とか欲しいし。

 

 

 

「分かりました。友達もつくってきます!」

 

「いってらっしゃい」

 

 

 

 ああ。家族にいってらっしゃいと言われるのはとても久しぶりだ。

 

 僕が遠出をしり込みしていたから聞けなかったのだ。

 

 

 でも、これからはたくさん聞くことができるだろう。

 

 やっぱりいいものだな…。

 

___

 

 

 

 数日が経過した。

 

 

 

 ほぼほぼ順調だ。

 

 薬草についても地理についても鍛錬についても進んでいる。

 

 村の人とも少しずつだが関係を築けている。

 

 村の大人たちのほとんどが僕のことを知っていた。

 

 父さまと母さまの子として、あるいはロキシー先生の弟子として。

 

 とても優しく接してくれる。

 

 これも父さま達の人徳のおかげだ。

 

 

 

 …ただ一つ、友達ができない。

 

 

 どうやって友達ってつくるんだ。

 

 かけっこで遊んでいる子供たちに混ざるのは流石に恥ずかしい。

 

 僕だって子供だが、そこまで幼くはない。

 

 

 今僕と同年代の友達をつくるのはかなり難しいのではないか。

 

 困った。

 

 

___

 

 

 

 

 そんな事を考えつつ、僕は小高い丘を上っていた。

 

 丘の上には、緑の生い茂る一本の大木が生えている。

 

 

 高所から村全体を一望しようと思ったからだ。

 

 きっと綺麗な景色が見れるに違いない。

 

 

 

 と、その時。

 

 

 

「魔族は村にはいんなよなー!」

 

 

 

 そんな子供の声が聞こえてきた。

 

 悪意の乗った声だった。

 

 

 

「あっちいけよなー!」

 

「くらえー!」

 

「よっしゃめいちゅーぅ!」

 

 

 

 見れば、そこには三人の男児と一人の子供がいた。

 

 子供はフードを被っていて顔が見えない。

 

 いや、それよりも、

 

 

 

「頭に当てたら10点な!」

 

「っしゃー!」

 

「俺あたった! あたったって!」

 

 

 

 あのガキども、フードの子に泥を投げつけて遊んでやがる。

 

 フードの子はうずくまって耐えている。

 

 なぜ逃げないんだろうか。

 

 なにか理由があるのかもしれないが、見逃すことはできないな。

 

 自分の子供がいじめられている親御さんの気持ちを考えると、止めないわけにはいかない。

 

 

 

 と、近づいたら分かったのだが、フードの子は何やらバスケットを抱えているようだ。

 

 それに泥玉が当たらないように守っているのだ。

 

 

 

「なんか持ってるぜ!」

 

「魔族の宝か!」

 

「どこで盗んできたんだー!」

 

「あれにぶつけたら100点な!」

 

「宝を奪いとろうぜ!」

 

 

 

 うん。これは見るからに少年たちが悪い。

 

 悪ガキどもにお灸をすえなければ。

 

 

 

「おい!やめないか!」

 

「なんだ?」

 

 

 悪ガキどもに声をかける。

 

 すると、主犯らしき子が反応した。

 

 

 

「なんだよお前!」

 

「関係ねーやつが入ってくんなよ!」

 

「魔族の味方すんのかよ!」

 

 

 

 標的が一瞬で僕の方に向いた。

 

 好都合だ。

 

 

 

「三人で寄ってたかって一人に向かって泥を投げつけるなんて、

 

 そんな最低な行い、今すぐにやめるんだ!」

 

 

 

 が、少年たちは自分たちこそが正義という顔で、僕を糾弾した。

 

 

 

「かっこつけてんじゃねえよ!」

 

「おまえ、騎士んところのヤツだな!」

 

「お坊ちゃんかよ!」

 

 

「僕が誰かなんてどうでもいい。お前たち、そんなことして楽しいのか?」

 

「はぁ?魔族は悪いやつなんだぞ」

 

「そうだそうだ」

 

「魔族の味方をするならおまえも敵だ」

 

「くらえっ!」

 

 

 そう言って僕に向かって主犯の子が泥を投げつけてきた。

 

 

 咄嗟に、持っていた木剣で水神流の技を使ってしまった。

 

 泥は勢いをつけて主犯の子へと跳ね返った。

 

 

「うがっ!」

 

「はっ?なんだあいつ!」

 

「剣で泥をはね返しやがった!」

 

「このっ!」

 

 

 取り巻きらしき二人が泥を投げつけてくるが、今度は剣は使わず普通に避ける。

 

 

「あーあ! つまんねぇの!」

 

「もう行こうぜ!」

 

「騎士んとこのが魔族と仲良くしてたって言いふらそーぜ!」

 

 

 そう言って三人は去っていった。

 

 いじめをしていた子を心配するのもあれだが、

 

 5,6歳の子供に剣術でやり返したのはやりすぎだったな。

 

 前世のトラウマから過剰に反撃してしまった。大人げなかったな。

 

 だいぶ勢いをつけて返したから泥とはいえ痛かっただろう。

 

 と、それは今度会った時にでも考えるとして、

 

 

 

「君、大丈夫? 荷物は無事?」

 

「う、うん…。大丈夫…」

 

 

 フードの子は怯えているようだ。

 

 安心させてあげたいが、方法が分からない。

 

 とりあえず泥を落としてあげるか。

 

 

「そう、よかった。

 

 ちょっとこっちに頭を下げてくれるかな?」

 

「え?こ、こう…?」

 

「そうそう、ちょっとフード外すね…」

 

 

 と、外そうとすると突然、

 

 

「や!だめ!やめて!」

 

 

 拒絶された。訳ありだろうか。

 

 できるだけ落ち着いた声で理由を問う。

 

 

「どうしたの?フード取られるの嫌なの?」

 

「………わたしの髪、みんなと違うから…」

 

 

 フードの子は少し言いたくなさそうにそう答えた。

 

 そう言われてよく見てみると、泥で見にくいがフードから覗くこの子の髪は緑だった。

 

 なるほど、だから魔族って言われていじめられてたのか。

 

 スペルド族の特徴と同じだから。

 

 見たところ額に第三の眼はないし、そもそもこんな子供が恐ろしいはずもない。

 

 

「君は魔族なの?」

 

「わかんない…。

 

 わたしの髪…お父さんともお母さんとも、違う…」

 

 

 そうか、なら、

 

 

「僕と一緒だね」

 

「…君もお父さんとお母さんと違うの?」

 

「ちょっと、見ててね」

 

 

 そう言ってから、僕は髪の色を変化させていく。

 

 つむじから毛先に向かって段々と色が変わっていく。

 

 神子の力を扱う特訓をしてできるようになったのだ。

 

 僕の髪は一色に染まった。

 

 そして、

 

 

「ほら、お揃いだね」

 

 

 

 そう僕が先生に言ってもらったように、笑って言った。

 

 僕はこの言葉で救われたから、安心させるならこれが一番だと思った。

 

 

 

 

 フードの子は目をパチクリさせていた。

 

 目の前の光景が信じられないようだ。

 

 というか、フードの子じゃ呼べないよな。

 

 

「それで、君の名前は?」

 

「…シルフィ…エット…」

 

「そっか、シルフィエットか。いい名前だね。

 

 僕はリオン。リオン・グレイラットだ」

 

「…リオン」

 

 

「シルフィエット。

 

 僕と友達になってくれないか?」

 

「ともだち?わたしと?

 

 …でも、そしたら君が他の子に仲間外れにされるかも…」

 

 

 優しい子だ。

 

 

「君がいる。

 

 同じ髪がちょっと変な仲間だ。仲良くしよう」

 

「なかま……うん、よろしく」

 

「ああ!」

 

 

 転生してから初めて友達ができた。

 

 

 ロキシー先生と別れて数日、新しい幸せは、思ったよりも早く来そうだ。

 

 

 




私:今回、微妙です。

俺:そうだな。

僕:ネタ切れかな?

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