俺:それがルーデウスとは違うんだ。
僕:髪型はノルンで、色は基本パウロと同じ、中性的な見た目をしているよ。
3歳になった。
最近になって、ようやくうちの家名を知った。
うちの家名はグレイラット。
つまり父さまはパウロ・グレイラット、母さまはゼニス・グレイラットだ。
そして、僕の名前はリオン・グレイラット。グレイラット家の一人息子というわけだ。
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「あらあら、リオンは本が好きなのね」
魔術を学ぶため本を常に持って過ごしていたら、母さまにそういって笑われてしまった。
別に馬鹿にされているとは思っていない。父さま達は僕が本を持っていることを咎めなかった。
もちろん食事中は脇に置いている。家族を守るだなんだと言っておいて、家族をおろそかにして家族と不仲にでもなったら、目も当てられないからだ。
能ある鷹は爪を隠す、というわけではないが、父さま達を心配させたくないし、魔術の勉強を止められるわけにはいかないため、僕が魔術を使えることはまだ言ってない。
魔術は大人になってから、とかいう常識があるのかもしれないし。
なにせ、使いすぎると気絶するような危ないものなのだ。普通子供には使わせないし、気絶するまで毎日魔法を使っていることがバレたら確実に心配される。
そう思ったので、家族の前では魔術のことは隠している。
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メイドさん(リーリャさんというらしい)は、たまに心配そうな顔で僕を見てくるが、
もしかして魔法を使っていることがバレているのだろうか。
家政婦は見たっていうし、前世で少しだけお世話になったお手伝いさんにも色々と見られてしまったからな。
メイドさん、リーリャさんは要注意だ。
しかし、両親は相変わらずのほほんとしているので、おそらく大丈夫だ、と思いたい。
止められるのならやはり危険なのだろうしそれでもいいが、幼少期限定の成長期があるとして、それは無駄にしたくない。
今しかできないことは積極的に取り組みなさい、それが後悔しないコツだ、と父さんも言っていた。
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そんな魔術の秘密特訓に終止符が打たれた。
ある日の午後だった。
そろそろ魔力量も増えてきたし、中級の魔法を一度試そうと、軽い気持ちで水砲の術を詠唱した。
すると、凄まじい量の水が放出されて、壁に大穴が開いた。
(……無詠唱の方が良かったか…。)
攻撃魔術だもんなぁ。そりゃ相応の威力が設定されてるよなぁ。
穴の縁から、ポタポタと水滴が地面に落ちるのを、僕は呆然と見ていた。
人はそれを現実逃避という。
しかし、数舜のち正気に戻る。
まずい。確実にバレるし怒られる。
「何事だ! うおあっ……」
おわった。最初に、父さまが現場に辿り着いてしまった。流石の速さと言える。
そして、壁に開いた大穴を見てあんぐりと口を開けた。
「ちょ、おい、なんだこりゃ……リオン、大丈夫なのか……?」
ああ、やっぱり父さまに心配をかけてしまった。
どう見ても僕がやったのに、僕の身を第一に案じてくれている。
今も「魔物……か? いやこのへんには……」などと呟いて、注意深く周囲を警戒している。
「あらあら……」
続いて母さまが部屋に入ってくる。
母さまは父さまより冷静だった。
壊れた壁と、床の水たまりなどを順番に見ていき、
「あら……?」
目ざとく、僕が開いていた魔術教本に目を止めた。
そして僕と魔術教本を見比べると、僕の前にしゃがみこんで、優しげな顔で目線をあわせる。
ああ、怒られる、叱られてしまう。
罪悪感で目を背けてしまう。
「リオン、もしかして、この本に書いてあるのを声に出して読んじゃった?」
「ごめんなさい」
僕はこくりと頷き、謝罪を口にする。
悪いことをした時は、潔く謝らなければならない。
「いや、だっておまえ、これは中級の……」
「きゃー! あなた聞いた! やっぱりウチの子は天才だったんだわ!」
父さまの言葉を、母さまが悲鳴で遮った。
両手を握って、嬉しそうにぴょんぴょんと跳んだ。
えっと…もしかして怒られない?
「いや、おまえ、あのな、だって、まだ文字を教えてな……」
「今すぐ家庭教師を雇いましょう! 将来はきっとすごい魔術師になるわよ!」
父さまは戸惑い、母さまは歓喜している。
どうやら、母さまは僕が魔術(それも中級の)を使えたことが嬉しくてしょうがないらしい。
少なくとも魔術の使用を止められることはなさそうだ。
リーリャは平然と片付けを始めている。
やはり、メイドさんは見ていたのだろう。
仕草から驚きを感じられない。
しかし、両親には教えなかったのだろうか。
もしや、この両親が歓喜する所を見たかったのかも?
「ねえあなた、明日にでもロアの街で募集を出しましょう!才能は伸ばしてあげなくっちゃ!」
母さまは興奮し、天才だの才能だのとはしゃいでいる。
まぁ3歳の子供が中級の魔法を使えるのは凄いことだろう。
文字を教えてないのに詠唱できるだけでもおかしいが、魔法はただ詠唱を口ずさめば起こせるものでもない。
必要な魔力を必要なだけ注ぎ込む必要がある。
発動できている時点で最低限、魔力があり感じ取れ、起きる現象を明確にイメージできる、つまり詠唱の意味が理解できているということなのだ。
天才と言って相違ないだろう。
うーん…まぁいっか。父さまと母さまは天才だからと言って不気味がったりしなそうだし、モーマンタイ。
それに、それは前世でもあまり変わりなかったしな。
僕は成長が早く、何をするのも同い年の幼馴染やクラスメイトより速く正確にできた。
物事を理解する頭も、身体の成長も。
両親はよく「理想は頭がいいね」と褒めてくれた。
それが大したことではなくとも、僕はそれが嬉しかった。
両親は僕がなんの努力もしていなくても、僕の自主性に任せて特に何をしろとは言わなかった。
僕は後悔している。
努力しなかったことを。挫折を覚えなかったことを、できないことから逃げていただけだったことを。
まだ中学生だ、頑張るのは高校生になってからでもいい。そうやってただ嫌なことを後回しにしていたことを。
ただ勉学が得意だっただけで調子に乗っていた。結局何にも生かせなかったのに…。
「あなた、家庭教師よ! ロアの街ならきっといい魔術の先生が見つかるわ!」
と、僕が暗い思考に囚われている間に母さまは家庭教師を雇うことを決めていた。
しかし、父さまはこれに反対した。
「いやまて、男の子だったら剣士にするという約束だったろう」
男だったら剣士に、女だったら魔術師に。
生まれる前にそういう取り決めをしていたらしい。
「でも、この歳で中級の魔術を発動できるのよ! 今から教えれば必ず凄い魔術師になれるわ!」
「約束は約束だろうが!」
「なによ約束って! あなたいつも約束破るじゃない!」
「俺の事は今は関係ないだろうが!」
その場で夫婦喧嘩を始めてしまった両親。
むむむ、これは良くない。
「母さま、父さま。僕は魔術も剣も学びたいです」
口論はしばらく続いたが、
僕がそう言ったことで、口論はやんだ。
そうして僕は午前中に魔術を、午後には剣を学ぶことに決まった。
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そんなわけで、うちは家庭教師を一人雇う事になった。
父さまはこの辺では数の少ない騎士であり、下級貴族に当たるらしい。
家庭教師一人雇えるぐらいの給金はあるそうだ。
しかし、ここは田舎の中の田舎、つまり辺境らしく、応じるものがいない心配があった。
…のだが、あっさりと見つかり、明日から来てくれることになったらしい。
そしてこの村には宿屋が無いので、住み込みになるらしい。
両親の予想によると、来るのは恐らく既に引退した冒険者だ。
若者ならこんな田舎には来たがらないし、凄腕の魔術師なら王都の方にいくらでも仕事がある。
この世界では、魔術の教師が出来るのは上級以上の魔術師と決まっているようで、冒険者のランクとしては中の上か、それ以上らしい。
長年魔術師として研鑽を積んだ中年か老人が来るだろうと言っていた。
……もし万が一そんなおっさんが母さまを邪な目で見てきたら燃やそう。
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…なんて決意を固めていたのだが、
「ロキシーです。よろしくおねがいします」
予想を裏切って、やってきたのはまだ年若い少女だった。
中学生ぐらいか。もしかしたら自分と同い年かもしれない。
魔術師っぽいローブに身を包み。
水色の髪を三つ編みにして、ちんまりというのが正しい感じの佇まい。
手にしているのは鞄一つと、いかにも魔術師が持っていそうな杖だけだ。
そんな彼女なんだが…
(静香先生…?)
彼女の姿を見て、両親はびっくりして声も出ないようだった。
そりゃそうだろう。
予想とあまりに違いすぎる。
家庭教師として雇うのだから、それなりに歳を重ねた人物を想像していたのだろう。
それが、こんなちんまいのだ。
しかし、僕は別の意味で驚いていた。
ロキシーと名乗った少女が、前世の先生にとても似ていたのだ。
先生は、平 静香(たいら しずか)先生といって同じ中学生かと思うくらい背の低い先生で、生徒に寄り添って話してくれる先生だった。
そして、僕が死を選ぶ前に最後にあった人だった。
先生は両親がなくなって身寄りがなくなった僕を引き取ってくれようとしていた。
赤の他人の僕を、とても気遣ってくれて、他にも学校ではたくさん助けられた。
…でも、僕は父さんと母さん以外が僕の親になるのを許容できなかった。
静香先生は、僕を想って提案してくれたにも関わらず、僕は拒絶し、そのまま何も言わずに死んだ。
どうして、どうして忘れていたのか。
先生は、僕が死んだことを知ってどう思っただろうか。
清々したと、面倒がなくなってよかったと、そう考えて僕のことなんか忘れて、前を向いて、今も元気に教師を続けていてくれてるだろうか。
…いいや、いいやそんなわけがない。ただの先生と生徒という関係でしかない僕を、ああも気遣い、心を砕いてくれた先生だ。
きっと、悲しんでいる。
きっと、泣いている。
きっと、自分を責めてしまっている。
その情景が容易に目に浮かんでしまう。
あなたのせいじゃないと言いたい。
僕の柔弱な心せいだ。両親に頼って甘えてばっかりだった怠惰な自分のせいだ。
あなたのおかげだと伝えたい。
あなたがいたから父さんがいなくなったあとも学校に通っていられた。
…伝えられない。僕はもう伝えられない。
なんで僕は、ただ言葉を伝えるだけのことができないほど無力なのか…。
理由はわかっている。当然だ。
死を選んでしまったからだ。
生を諦めてしまったからだ。
自分を幸せにする努力も、これからできたかもしれない家族を守る気概も放棄してしまったからだ。
ああ、ああ、僕は…僕はやっぱり、どこに行っても…
「大丈夫ですか…?具合が悪いのですか?」
一人の少女が、目の前にいる。
「目を見ればわかります。理由はわかりませんが、とても悲しんでいるでしょう。私の髪が原因でしょうか…?」
違う、違います。あなたのせいじゃ、ないです。
「……先生の髪は、綺麗、ですよ…?」
そう。先生の髪はとても綺麗な青色だ。
「…ありがとうございます。あなたの髪も綺麗ですよ、お揃いですね」
彼女はしばし呆然としたのち、そうお礼を言った。
何を言っているのか、いまいちわからなかった。
でも、けれど…お揃いですね、と笑いながら話す恩師によく似た小さな少女をみて僕の心の靄が、どろどろとした泥のような暗い感情が、ゆっくりと晴れていくのを確かに感じた。
また先生に…いいや、僕はこの小さな先生に助けられた。
僕の心は救われたのだ。
私:…唐突なシリアスに戸惑いを禁じ得ない。
俺:ロキシーみたいな小さくてかわいい子が先生?うらやましい。
僕:リオンって若干ナルシスト入ってるよね。なのにネガティブ。
主人公の武器
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日本刀
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片手剣と盾
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大剣
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杖(仕込み刀)
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槍(戟)
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ステゴロ(手刀
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その他