中二転生   作:llon

8 / 11
私:なんか、ヒロインアンケートはロキシーとギレーヌの二強ですね?

俺:俺はナナホシを推している。

僕:僕はアイシャを推してるよ。


第八話「剣術と学校」

 誕生日を終えた翌日から、僕は父さまに本格的な剣術の鍛錬を受けることになった。

 

 

 

 僕の覚悟に応えてくれたのだろう。

 

 父さまに期待されているのだ、より気合を入れて取り組もう。

 

 

 

 待ちに待った鍛錬は、基本的には素振りや型を中心に。

 

 庭に作成された木人形相手に、型や打ち込みをして具合を見たり、

 

 父さま相手に打ち合いをして、足運びや体重移動の訓練をしたり、

 

 という感じだ。

 

 まだ闘気は使わずにいる。

 

 父さまから、初めから闘気に頼るのは良くない、と注意されたからだ。

 

 理由を聞いたところ、

 

 

「昨日も言ったが、闘気は本来5歳の子供にも、訓練も受けていない者にも、扱えないものだ。

 

 それは単に才能の有無が理由じゃない。ま、それもあるけどな。

 

 基本的な剣術の型や、打ち込みをすることで誰もが無意識のうちに身に付けるものだからだ。

 

 体の成長や技の伸びに合わせて勝手に身につくものなんだ。

 

 つまり、最初から意図して使うものじゃないんだ。分かるな?

 

 

 俺や母さん、これから生まれてくるだろう家族を守ろうとしてくれるのは、うちの長男として誇らしいし嬉しい。

 

 だが、まずは自分の体を守れるようにならなければダメだ。

 

 焦る必要はない。おまえにはちゃんと剣の才能がある。

 

 ゆっくり、伸び伸びと俺を越えていってくれ、な?」

 

 

 じゃないと、俺の親としての面目が立たないしな、とそう笑って茶化していたが、

 

 

 父さまが僕のことを心配してのことだった。

 

 

 ちょっと気合が入り過ぎていたかな。

 

 

 納得が得られたことで、剣術の型や打ち込み、素振りなど、剣を扱うときは基本的に闘気は使わずに行い、ランニングや筋トレで段々と体にならしていくことに決まった。

 

 

 

 

___

 

 

 

 

 この世界において、剣術はかなり重要視されているようだ。

 

 斧や槍、弓矢なんかよりも圧倒的に剣を扱う者が多いらしい。

 

 槍の方がリーチなどで有利だと前世で聞いた覚えがあるのだが、

 

 どうやら、これは例の嫌われ者のスペルド族が三叉の槍を使っていたからだそうだ。

 

 槍は悪魔の武器。

 

 そういう常識があるのだ。

 

 戦いにそんな常識など、邪魔でしかないと思うんだが…。

 

 

 

 

 しかし、そういう背景もあるからか。

 

 こちらの剣術は元いた世界より優れている。

 

 達人になると、岩を一刀両断したり、剣閃を飛ばして遠くの相手を攻撃できたりする。

 

 おそらく闘気を使っているのだろうが、闘気を使えば大岩でもなんでも切れるわけではない。

 

 実際僕が全力の闘気で試した結果、木剣が砕け散って、大岩には(ひび)を入れるだけに終わった。

 

 いや、それだけでも凄いといえば凄いのだが、言いたいのは力がどれだけあってもそれを操れるだけの(すべ)がなければ無意味ということだ。

 

 この世界の剣術は、魔力の存在を最大限活かすように作られているのだ。

 

 現に父さまは、岩ぐらいなら両断できる。凄い。

 

 

 

 一応、アドバイスを貰ったところ、

 

 

 

「クっと踏み込んでザンッ! って感じだ」

 

「くっと、足に力を込めて踏み込んで、ザンッと音がするほど勢いをつけて…振るっ!!

 

 こうですか!?」

 

「惜しい!それじゃ(りき)みすぎだ!力むと剣が岩に当たった衝撃で身体の軸がぶれてしまうだろう!

 

 岩が斬れるのは当たり前と思え、もっと軽やかにだ」

 

 

 

 こんな感じだった。

 

 流石に擬音語や感覚的な言葉ばかりでは難しかった。

 

 闘気の感覚は人それぞれのようだ。

 

 やはり地道に自分の中で答えを出すしかないだろう。

 

 

 

 

 ただ、わかったこともある。

 

 それは闘気は剣にも纏わせることができるということだ。

 

 さきほど剣を振るった時、木剣は折れなかった。

 

 岩は半ば斬れていたにも関わらずだ。

 

 そういう風に一つ一つ感覚を掴んでいくのだろう。

 

 

 

 

 頑張ろう。

 

 

___

 

 

 

 

 

 この世界には、主流となる3つの流派ある。

 

 

 

 一つ目は剣神流。

 

 

 攻撃こそが最大の防御と言わんばかりの攻撃的な剣術で、

 

 とにかく相手に先に剣を当てて一撃必殺することを目的としたような速度重視の流派。

 

 一撃で倒しきれなければ倒しきれるまでヒットアンドアウェイを続けるようだ。

 

 

 脳筋かな?

 

 

 元の世界に()いて当てはめるならば、抜刀術が近いと言えるだろう。

 

 上位の剣神流の一太刀は、光の太刀とも言われるほど凄まじい速さらしい。

 

 …流石に比喩だよな?実はこの世界、人が光の速度で剣が振れます、とか言わないよな?

 

 

 

 

 二つ目は水神流。

 

 

 こちらは剣神流とは真逆。

 

 受け流しとカウンターを中心とした防御の剣術だ。

 

 専守防衛をモットーとしているため、水神流の剣士から打って出ることは少ない。

 

 そもそも先に打って出る型が少ない。

 

 

 だが達人になると、あらゆる攻撃に対してカウンターを放てるようになるらしい。

 

 あらゆる攻撃―――魔術や飛び道具に対しても、だ。

 

 宮廷騎士や貴族といった、守る事が中心となるような人物が習う剣である。

 

 

 魔術を跳ね返せるというのは大変興味がある。

 

 原理が分かれば対策が立てられるかもしれない。

 

 個人的に一番自分に向いていると思っている。

 

 だって、僕は家族を守るために剣を振るうと決めているのだから。

 

 

 

 三つ目は北神流。

 

 

 これは剣術というより、兵法であるようだ。

 

 戦闘中にとっさに怪我を応急手当したり、周囲にあるモノを最大限に利用するような技が多い。

 

 その戦闘方法はまさに奇想天外。

 

 不意打ち、だまし討ちが得意な剣術といった感じだろう。

 

 怪我の治療や、身体部位の欠損があっても戦える流派であるため、

 

 傭兵や冒険者といった者たちに好まれる剣術ではある。

 

 

 僕は怪我は治癒魔法で治すつもりだから、あまり相性は良くないかな?

 

 しかし、なんでも使うというのは、唯一、真に戦いに向き合っている流派と言えるかもしれない。

 

 

 僕はプライドだなんだと言って死ぬつもりは毛頭ないのだ。

 

 使えるものはすべて使う、その考え方は嫌いじゃない。

 

 

 

 

 これらは三大流派と呼ばれ、世界中に使い手がいる。

 

 

 

 

 

 剣を極めたい者は、各々自らに適した門派の扉を叩き、一生剣を振り続けていきるらしい。

 

 仏か何かにでもなるつもりだろうか。

 

 おそらく最低限賃金を稼ぐために魔物を狩ったり、何かしらの依頼はこなしているのだろうが。

 

 修行僧のような人たちだ。悟りでも開いているんじゃなかろうか。

 

 

 

 とはいえ、そうした者は流石に少数だ。

 

 手っ取り早く強くなりたい者は、いくつかの流派を齧って取り入れた寄せ集めの剣術が基本らしい。

 

 現に父さまも剣神流を主流としつつも、水神流と北神流の両方をかじっている。

 

 剣神流にしろ水神流にしろ、よほど才能がなければ主流派一本ではやっていけないのだろう。

 

 

 

 そして、これらの剣術にも初級から神級までランク分けされている。

 

 

 

 ちなみに、

 

 剣士を呼ぶ時は、水神、水聖と呼び、

 

 魔術師を呼ぶ時は、水神級、水聖級と、『級』を付けて区別するらしい。

 

 

 

 例えば、ロキシー先生は水聖級魔術師である。

 

 

 

 

 

___

 

 

 

 

 

 僕は剣神流と水神流の二種類を学んでいく事になった。

 

 剣神流でこちらから仕掛け、相手の攻撃は水神流で流す、という形だ。

 

 僕は北神流の型も学びたかったのだが…。

 

 

「父さま、北神流は教えてもらえないのですか?」

 

「リオン。北神流はな、上級までは剣神流と水神流を齧っただけのもので、違うのは小手先の技術や心構えだけだ。

 

 そして、上位はほとんどが独自の戦い方を持っていて教えられるようなものじゃない。

 

 あんなのは剣術でも、一つのまとまった流派でもない」

 

「なるほど」

 

 

 独自の戦闘スタイルというのには興味があるが、今のところは剣神流と水神流を習得することが優先だろう。

 

 と、いうわけで北神流は保留だ。

 

 

 

 

「リオンには魔法の才能も剣士としての才能もある。

 

 どちらを主流に戦うのか、

 

 もう決めているのか?」

 

「はい、剣士を主流にそれを魔術で補助しながら戦おうかと」

 

「つまり魔法剣士というわけか。

 

 妥当だな。ならそのうち剣神流か水神流か、俺は進めないが…北神流のどれを主流するかも決めないとな」

 

「今のところは水神流の方が気になってます。

 

 守る剣、というのがいいですね」

 

「そうか」

 

 

 水神流の始祖も魔法剣士だったようだし、僕と色々と相性がいいように思う。

 

 剣神流もかっこいいとは思うのだが…

 

 うーん。

 

 

 

「…………リオン、剣術は好きか?」

 

 

 

 なんて考え込んでいると、父さまが不安そうな顔で聞いてきた。

 

 

 何をそんなに不安そうにしているのだろうか。

 

 

「小さい頃からずっと、父さまに剣術を習うのを楽しみにしていたんですよ。

 

 楽しくないはずがありません!

 

 もちろん魔法は戦い以外にも便利ですし、大好きですが、

 

 剣術も同じくらい好きです

 

 だって、剣を振っている父さまは本当に格好よくて、僕も父さまみたいになりたいってずっと思っていますから」

 

 

 

 もちろん、いずれは父さまのことも守れるように超えていくつもりだが、

 

 それまで目標にするのは父さま以外にいない。

 

 父さまが、僕の最初の目標なのだ。

 

 

 

 

「そうか」

 

 

 

 父さまは僕の言葉にどこか感動したようにして、嬉しそうに頷くと、木剣を構えた。

 

 

 

「よし、じゃあ打ち込みをはじめるぞ。掛かってこい!」

 

 

 よかった、分ってもらえたようだ。

 

 最終的に、魔術にしても剣術にしてもどこまで扱えるようになるかはわからない。

 

 状況に応じて使い分けるということもあるかもしれない。

 

 しかし、今はただ、未来のことよりも目の前のことに目を向けよう。

 

 

 

「はい! 父さま!」

 

 

 

 将来、家族に降りかかる災いを退け、愛する家族を守るため、

 

 

 今はただがむしゃらに、強くなる努力を続けよう。

 

 

 

___

 

 

 

 

 

 父さまに剣術を習う一方、魔術の授業はというと、

 

 かなり技術的、かつ実践的な部門へと進んでいた。

 

 

 

水滝(ウォーターフォール)地熱(ヒートアイランド)氷結領域(アイシクルフィールド)を順に発生させるとどうなりますか?」

 

「霧が発生します」

 

「そうです。ならば、その霧を晴らすには?」

 

「もう一度地熱(ヒートアイランド)を使って地面を温めます」

 

「その通りです。やってみせてください」

 

 

 

 複数の系統を順番に使うことで現象を発生させる。

 

 これは『混合魔術』と呼ばれている。

 

 霧を発生させる混合魔術の原理は簡単だ。

 

 大量の水を蒸発させ、空気中に水蒸気を満たしてから、ある程度冷やして水滴を出現させる、それだけだ。

 

 工夫と言えば、水蒸気を単純に火で水を蒸発させて発生させるのではなく地熱で発生させることで持続させていることぐらいだ。

 

 

 

 顕微鏡がないぐらいの技術レベルの世界だ。

 

 魔術は基本的に自然現象を参考にして作られている。

 

 

 まともな科学が発展していないのは魔術が原因である可能性が高い。

 

 顕微鏡がないのも細菌やウイルスによる病気はまとめて治癒魔術や解毒魔術で治せてしまうからだろう。

 

 

 科学の初歩で扱う程度の自然現象なら割と簡単に起こせる。

 

 少し難しいのは電気を扱うことだろうか。

 

 まだ実現する方法は編み出せてない。

 

 極小の雲を作り出し、静電気を生み出せば放電させるくらいはできるだろうか。

 

 しかし、電気そのものを生み出すことができないのだ。

 

 

 魔力で水を生み出せている時点で電気を生み出せない道理はないのだが…。

 

 そう簡単に新しい系統魔術は作れないようだ。悔しい。

 

 

 

 

 

「魔術とは奥が深いですね…」

 

「リオン。いきなり難しいことをしようとしてはいけませんよ。

 

 まずは少しづつ、自分にできることを増やしていくことから始めてください」

 

 

 

 と、ロキシー先生には実直な解答を与えられた。

 

 しかし、僕の頭の中は未だに超電磁砲や光学迷彩といった科学用語が浮かんでは消えてを繰り返していた。

 

 土系統で固体を、火系統で現象を、水系統で液体を、風系統である種の念力を、それぞれ生み出せることが分かっているのだ。

 

 それでできないことなどあるはずがない。

 

 うーん、やっぱりだめだ。

 

 僕は一度は必ず魔術を詠唱しないと無詠唱でも発動できない。

 

 どうあがいても発動したことのない魔法は起こせないようだ。

 

 となると、今ある系統魔術を組み合わせて新しい魔術を作るしかない…。

 

 

 

「…オン、リオン!聞いていますか!」

 

「…あっ。」

 

「まったく、やっと反応しましたか。

 

 いいですかリオン。魔術はそれほど万能ではありません。

 

 現存する魔術は決まっていて、今の魔術師はそれを組み合わせるなどという工夫をして行使しています。

 

 そうそう新しい魔術など生まれません。

 

 なので、今はまだ現存する魔術を習得することを考えてください」

 

「…はい、すみません」

 

 

 考え込みすぎて先生に怒られてしまった。

 

 

 

 

「リオン。

 

 そんなに新しい魔術の探求がしたいのなら、いずれ魔術大学に行くことお勧めします」

 

「魔術の学校があるんですか?」

 

「はい、あちらを見てください。薄っすらと山が見えるでしょう?」

 

「赤竜山脈ですね」

 

「正解です。

 

 ここからずーっと北の方に、ラノアという国があります。

 

 そこにはラノア魔術大学という世界一の魔術学校があるんです。

 

 他の学校で習うより近代的で高度な講義を受けることが出来るでしょう。

 

 魔法大学には変な格式やプライドがありません。

 

 様々な種族を受け入れ真面目に魔術を研究しています。

 

 もし、リオンがこれからも魔術の道を歩んでいくなら、必ずラノアに行くはずです」

 

 

 そう、ロキシー先生は語った。

 

 きっと、ロキシー先生はその大学の出身なのだろう。

 

 学校か…。

 

 

 

 正直に言えば、僕は学校が怖い。

 

 

 僕は学校が嫌いだった。

 

 

 頭の悪い同級生には馴染めなかったし、授業のペースはとことん遅い。

 

 そのくせ宿題は多いのだ。

 

 嫌にもなる。

 

 

 けど、それだけなら仕方ないことだと思っていた。

 

 別に同級生にも先生たちにも悪意などなかったのだから。

 

 

 

 ただ、怖く感じるようになったのは父さんがなくなってからだ。

 

 

 

 今まで、表面上は仲良くしていたクラスメイトも、

 

 

 優秀だと褒めてくれた先生も、

 

 

 全く関わりのなかった他クラスの生徒も、

 

 

 突然、僕に悪意を持ち始めた。

 

 

 

 …嫉妬、していたんだろう。

 

 

 蹴落とすのに、ちょうどいい理由ができたからだろう。

 

 優等生の僕が目障りだったのだろう。

 

 いつもどこか上から目線に話す僕が、嫌いだったのだろう。

 

 

 みんな、それに同調していた。

 

 それは、僕の責任だ。僕が学校の誰とも深くかかわらなかったせいだ。

 

 

 

 その答えは、本当にありきたりで…

 

 

 

 いじめだった。

 

 

 

 愚かだな、僕を蹴落としたところで、彼らにとっていいことなどありはしないのに。

 

 そう、思っていた。

 

 

 そう考えて、僕は登校を続けていた。

 

 僕は、残された母を守らなければいけないのだ、この程度でへこたれてはいられなかった。

 

 無視していれば、いずれいじめになんて飽きるだろう。

 

 そう、思っていた。

 

 

 

 

 人間(たにん)は、僕が思っていたよりも、遥かに、愚かだった。

 

 

 

 

 家のガラスに、石を投げられた。

 

 

 ピンポンダッシュが止まらなくなった。

 

 

 母さんと買い物をしている時に、僕に泥を投げつけてきた。

 

 

 

 

 

 …母さんは、心労で倒れた。

 

 

 

 

 元々、体が弱かったのだ。

 

 

 父さんがなくなって、周囲のあたりもきつくなって、体が弱いのに無理をして、

 

 それでも、僕をこれから一人で育てていくために、前を向いて、

 

 僕に対して、無理して明るく振舞っていた母さんは、

 

 

 

 同級生の心ない行動をきっかけに、ついに倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 僕はいじめの主犯を…再起不能にした。

 

 初めて、人に暴力を振るった。

 

 泣いても、謝っても、喋れなくなっても殴り続けた。

 

 母さんの苦しみを、少しでも味わわせてやりたかった。

 

 

 

 

 

 …それですっきりなどしなかった。

 

 おもしろいことなど、何一つありはしなかった。

 

 

 ただただ、不快な気分だった。

 

 

 

 

 

 すぐにそのことは学校に知られて、僕は退学にするべきだと、そう簡単に結論が出た。

 

 

 

 

 でも、それを静香先生が止めてくれた。

 

 

 最初は、余計なことを、そう思っていた。

 

 

 学校に行く必要がなくなれば、母さんと一緒にいられる。

 

 こんな場所に来なくてよくなって清々すると思っていた。

 

 

 

 でも、静香先生は言った。

 

 

 

理想(りおん)君。お母さんが倒れて、辛いでしょう。

 

 お母さんにもう、心配を掛けたくないのでしょう。

 

 

 なら、君は学校に通うべきです。

 

 君が、学校を去らなければならない理由などありはしないのだから。

 

 自分から負けを認めちゃダメです。

 

 事前にいじめに気付けなかった私に、こんなことを言う資格はない。

 

 それでも、私は君に、諦めてほしくない。

 

 

 君が、とても賢い子だということは、分っています。

 

 自分一人でなんでも答えを出してしまうほどに…。

 

 

 けれど、時には人を頼って下さい。

 

 君が一人で抱え込まなければならない理由など、ないのだから。

 

 

 誰を頼ればいいかわからないなら、まずは私を頼ってみてください。

 

 必ず力になってみせます。

 

 

 君には明るい未来がある。

 

 どうか、一度だけ、私を信じてください」 

 

 

 

 …そう言って、静香先生は僕に頭を下げた。

 

 

 なんで、こんなに一生懸命になってくれたのか。

 

 なんで、助けてもらう側の僕に頭を下げるのか。

 

 

 

 全然、わからなかったけど、でも。

 

 

 

 この退屈なだけの学校にも、僕を、見てくれていた人がいたことは、わかったから。

 

 

 僕は先生を信じた。

 

 

 

 

 その後、いじめの主犯の子は一人で母さんの病室を訪れて、心からの謝罪をしてくれた。

 

 だから、僕もその子に謝った。

 

 

 それを、母さんは、

 

 

 

 

 とても優しい顔で微笑みながら見ていた。

 

 

 

 …ああ、諦めなくてよかったと、先生の言うとおりだったと、そう、思った。

 

 

 

 

 でも結局、母さんはそのままなくなってしまって、僕も死を選んだ。

 

 

 

 

 僕は、未だに学校が怖い。

 

 

 結局、いじめが全部解決する前に僕は死んでしまったから。

 

 

 結局、僕は諦めてしまったから。

 

 

 トラウマを治すきっかけを失ってしまったのだ。

 

 

 できるだろうか、この世界で改めて、やり直すことが。

 

 

 できるだろうか、諦めないで、今度こそ卒業まで辿り着くことが。

 

 

 きっと、行けば答えを得られる。

 

 なら、行こう。

 

 今度はきっと、友達もつくってみせる。

 

 

 何かあった時、友達を頼れるように。

 

 

 …静香先生の教えは、まだ僕の心に刻まれている。

 

 

 ロキシー先生の教えも、僕を導いてくれている。

 

 

 …僕は、先生に恵まれている。

 

 

 ああ、本当に… 

 

 

 

 

「先生。

 

 僕、いつかラノア魔術大学に行きます。

 

 行って、仲間を作って、魔術を作って、そして卒業してみせます」

 

「…そうですか。

 

 リオンなら、きっと苦も無く卒業できると思いますが、

 

 頑張ってください、期待して待っていますから」

 

 

 期待してくれる、そうやって僕の欲しい言葉を、言ってほしい人が、言ってほしい時に言ってくれる。

 

 僕は先生の期待に応えたい。

 

 僕は先生に貰いすぎているのだから。

 

 だから、

 

 

「ありがとうございます、師匠」

 

  

 二人の恩師に、感謝を。

 

 




私:リオン君の闘気はさながらワンフォーオールですね。

俺:攻撃力全振りすると四肢爆散しそうだよな。

僕:リオン君は全力と言いつつ、攻撃20防御80ぐらいで岩を切りつけてるよ。

主人公の強さ (上から強い順)

  • =オルステッド(全開)
  • 闘神・魔神≦
  • ルーデウス(零式)<
  • =ルーデウス(零式)
  • オルステッド(節約)≦
  • 剣神・北神≦
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。