メーメル伯、感嘆の極みって感じです。初心者の駄文に時間を割いて頂いて、本当にありがとうございます。
今回、誰が発言しているのか不明瞭な部分がありますが、メンバーの内の誰かなんだろうな、位に軽くお読み流し下さい。では、どうぞ。
宇宙暦762年1月16日 ゾンタークスキント艦内
ウィレム・バクスター
『じゃあ、始めましょうか。』
ゲスト用食堂には大机が円形に並べられ、今のゲストの主要メンバーが8人と、丁度非番でぶらついていた軍医さんが着席している。なんとなく円形にしてみたが、思えば我らが最高評議会もこんな風に同盟の未来を決めている。彼らが本気で未来を考えているかどうかは知らないが。
『始めましょうか、と言っても、急になんです?バクスターさん。まさか脱走の相談でもするんではないでしょうな?』
3日前に新しくゲストに加わったセネット船長が冗談めかして発言する。この人は乗艦時は大層不機嫌であったが、艦長と"良い取引"をしたとかで急に機嫌が良くなった。少し考えないで発言する所があり、言葉遣いも上品とは言えないが、正直でいい人物だと思う。
『そんなことをするんだったら軍医さんを呼んだりしませんでしょう。今日は皆さんと相談したい事がありまして、まぁ、こんな風に形式を整えてみた訳です。せっかくですから説明はうちのカーターにやってもらいましょうか。』
『えー、今日時点でゲストの人数は75人となっています。大分大人数となってきたのに日常やることといえば艦内の散歩に読書、というのも寂しい事だと考えまして、少なくともあと数ヶ月は同じ空間で過ごす訳ですし、この機会に新たな知己や人脈を得られるよう、互助会的なものを作れば面白いじゃないかと考えたんです。で、どうです?』
『いいんじゃないですか?集団生活といやぁ学校みたいなもんでしょう?教師役の船長連に、帝国軍はさしずめ保護者といったところですかな?』
中々上手い例えをするセネット氏に感心していると、ここ最近顔色がどんどん良くなってきているキング曹長(本人は軍の階級で呼んで欲しくないと言っているが)も続いて発言する。
『私も賛成します。私もバクスター氏に中立な判断役としてこの場に呼んでいただきましたが、私一人の器量には余る場合も将来発生してくるかも知れません。それに、かのアーレ・ハイネセンも「集団の中に組織を作るのは団結と共助の第一歩だ」と遺しています。なにより、ある程度の事が自分達で出来ないと、帝国軍に対して恥ずかしいですからな。』
彼が言い終わると、他のメンバーも口々に賛意を表明する。彼には結構演説の才能があるのではないか。それにしてもハイネセンの言行録にそんな言葉は載っていたかな…
『では、互助会を作るのはいいとして、次の問題ですが…』
カーターが深刻そうな声色で言う。確かに、いかにゲストとして扱ってくれているとはいえ、帝国軍にとっては艦内で団結した組織ができてしまうのは危険視される可能性もある。あの艦長さんはそのくらい許してくれそうだが、うまく説明しないと双方に不信の種を植え付けるという結果になりかねないだろう。
『その互助会の名前、どうしますか。』
……カーターはそこまでは考えていなかったようだ。
『名は体を表す、と言いますし、呼びやすさかつ名乗り安さも考慮した名前がいいでしょう。いつだったか、どこかの星系の与党は各派が連合しすぎて誰も自分達の正式名称を正確に言えなかった、という例がありましたな。』
『ああ!知っていますよ!ネタにしたくてわざわざ覚えたんです。確か…"我等全同盟市民にとっての国父アーレ・ハイネセンとグエン・キム・ホアの意思を継ぐ民主共和政と自由の民、並びに帝国の圧政に断固として抵抗する諸自由市民・惑星開拓者の高潔な精神連合社会を創り、全人類の平和と発展を願う政治清潔党"でしょう!』
『え、ええ、そんな悪例がある事ですから、それを踏まえて決めねばなりませんね。』
『そうですね…やはり"ゾンタークスキント"は入れるべきでしょう。事情はどうあれ、今は我々の住処であるのだし、これを入れなければどこかの捕虜収容所や監獄と被る恐れがある。』
『賛成』『賛成します』『賛成!』『大変結構!』
『…今誰か艦長さんの真似をしたでしょう。問題はそのあとです。捕虜、といれてしまうとアレですし、何かいい案を持っている人はいませんか?』
『獲物(PRIZE)なんてどうですか。事実そのものですし、囚人とか、虜囚とかよりは明るくて…』
『獲物…ね。少し自虐的かも知れないが、そういうユーモアは私は好きだな。賛成!』
『では私も』『賛成』『賛成!』『大変結構!』
『で、組合…いや、連合の方が収まりがいいですかね。』
『では、今より当互助会は"ゾンダークスキント獲物連合、S.P.U"と命名されました!つきましては、中尉さん。』
カーターに呼ばれて、半分寝かかっていた軍医さんが飛び起きる。
「は、はい?う、『なんでしょう?』」
『このSPUの結成を艦長に報告したいのですが、取り次いで頂けますかな?それから…』
『それから?』
『どうですか、非番で眠いところをわざわざ参加していただいたんです。そうですね、籍は置いているけれども投票権はない、"名誉顧問"になっていただけませんか?』
『しかし、それは艦長が適任ではないのですか?』
『いーえ、艦長さんは色々忙しい身の上でしょうし、我々としても、身近にいる人の方がそういう役にふさわしいと思うのですが?』
これは暗に"軍医さんがヒマ人だろうから"というニュアンスを含んでいる気がするが、いいのだろうか。確かにこの艦の性質上、軍医という仕事が忙しくなるような事は無いんだろうが…
『そ、そこまで言ってくれるのならお引き受けしましょう。艦長は今艦橋ですから、あー、2人程一緒に来てくれますか?』
『では、発起人のバクスター氏とキングそ、いやキング君が。』
『じゃあ行きましょう。こちらへ。』
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『互助会、ね。結構!そういう自主性のある活動は艦全体の活性化にも繋がるし、これから増えるゲストがスムーズに馴染む為にも必要なものだろう。許可しましょう。』
『ありがとうございます、艦長さん。つきましては、不躾ですがもう一つ、許して頂きたい事がありまして。』
『お聞きしましょう。』
『このSPUの代表者なんですが、投票、選挙で決めようかと考えているんです。私は発起人とはいえ、最初のゲストというだけですし、自分が権力を握るために作ったと言われるのは嫌ですから…それで、その、艦内で投票行動を取る事を許していただきたいのです。』
『?別に構いませんよ。なんなら投票用紙でも用意しましょうか?』
『えっ…いいんですか?』
『?…ああ、ははは、いや帝国軍だって別に投票行動の全てを敵視している訳ではありませんよ。これを言うと本国では危ないんですが、戦っている相手の政体がたまたまそうだっただけです。軍は祖国と陛下、それに臣民の為に戦うのであって、政治の為に戦うのでは無いですから。第一、帝国内でも美人コンテストなんかのものは普通にやってますしね。』
『ありがとうございます、艦長さん。では早速、代表者や規則や決めねばなりませんので、失礼します。』
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結局そのあとゲスト全員を集めて投票が行われたが、SPU初代代表に選ばれたのは私だった。私としては、私の船員が一番多い訳でもないのにいいのかと思ったが、キング君が『それはバクスターさんの人柄がそうさせたんですよ。ある意味必然です。誇って下さい。』なんて言ってくれたので引き受ける事にした。規則はとりあえず『同盟人として、恥ずかしくない態度、姿勢を持ち、誇りを持つこと』というのが第一則として決まった。大分曖昧なものだが、同盟憲章だってそうなんだからまぁ、いいんじゃないかと思う。最後に、皆で国歌を歌って就寝時間になった。
Rulers、の節が弱かったのは気のせいではないと思う。
続く
拙作の同盟国歌は石黒版の「自由の旗、自由の民、レボリューション・オブ・ザ・ハート」という事になってます。「Rulers will reunite hand in hand」は個人的には「支配者達が手を取り合う」だから団結して抵抗しようね、ということを表現したいんではないかと思います。
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