だんじょん英雄物語 作:放置民
「二つの泡が重なって、一つの大きな泡になるように。
ある日、二つの世界が一つになった……らしい。というのも、
そういう説が流れているだけで、誰も確証なんか持っていない。
突然、世界の各地にダンジョンが現れた。
突然、高い身体能力や、魔法のような能力を持つ人間の登場するようになった。
そして、ボードと呼ばれる半透明の浮かぶ文字盤を呼び出せるようになった。
で、そのダンジョンの構造や文字盤のインタフェースデザインは、とあるブラウザゲームと酷似していたことに気づいた人間はは、当初少なかった。まぁ、率直に言えば不人気でサービス終了してしまったゲームだった訳です。わずか4か月でね。
そのゲーム、『だんじょん英雄物語』の基礎知識を学び、ダンジョン探索者を目指す君たちの生存率を上げるために設立されたのがこの愛媛ダンジョン専門職大学です。数少ないゲーム経験者が講師を務める世界で唯一の教育機関です。
…というのが、このダンジョン基礎学の概要ですが、これ毎度のランクアップテストで出る定番なので覚えておいてくださいね。」
そこまで一気に言い切って、後ろを振り向くと人種も年齢も様々な聴衆が反応する。中高校生くらいの子からも居れば、白髪交じりのロマンスグレーのおじさまも居る。共通しているのは彼らの体はスポーツ選手のように鍛えられていて、少しばかりコンパクトなボディの私より、遥かに体格のいい奴らだ。
「「ハーイ!幼女先生!」」
「幼女ではありません。おっさんです。」
「kawaii!!」
「当然です」
「ぴこぴこする動く耳かわいい」「オゥ、キュート。これがワビサビですか?」「守護らねば」「wakarasetai!!」「無い胸を張る幼女先生尊い」
「はい、静かに。…最後のマーティン君と藤村君は午後の薬学で被検体ね。」
「Noooo!!アオジルNoooo!!」「ゆるして」
さっきまで真面目に聞いてたと思いきや、すぐに騒がしくなる生徒共にため息でる。
コイツ等はこれでも世界中から集まった超エリートで、卒業後は世界中のダンジョンを巡るプロ探索者や、各国の教育機関で探索者の指導にあたることが期待されている。実際に実技でも座学でも試験の成績は文句のつけようもない。なのに…どこか残念な連中なんだ。
「泣カナイデ!」「未来はあるから、…多分」「カオルちゃんせんせーにセクハラすんな猿ども!」「Fuxxx!!Gxxx!!」「うちの子を虐めるな!」
女性陣がらのフォローが来るんだけど、なんか自然に子供扱いされてるというか、保護対象にされてるというか。そしてさらに騒がしくなった教室に首から下げた教員用プレートをもてあそびながら、思考を彼方に逃避させる。
…なぁんで、こんなことになっちゃったかなぁ。
沢田 薫。34歳。
数少ない『だんじょん英雄物語』の元プレイヤーにして、エンドコンテンツとして用意されていたアバターの転生クエストまでをクリアした唯一の到達者。気の迷いで他種族の女性アバターに転生を果たした結果、現実世界でもエルフの幼女になり果てた、世界で唯一の