なんかタイラントになってしまったんだが。   作:罪袋伝吉

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皆様、アンケートありがとうございました。また、アンケート機能があることを知りませんで、教えて下さった方々、誠にありがとうございました。

圧倒的にネメシス君仲間入りと褐色肌巨乳美人ママ博士の勝利です。

ありがとう、ありがとう!

お前がパパになるんだよぉぉっ!!


ナスがママならオイラは……パ、パ、パ、パパイヤぁぁぁっ!!

 

 兵士達が出てこなくなったなーとかクレアが物足りなさそうに言うのを無視して俺達はエイダの言う脱出経路を進んだ。

 

 物足りない云々の前に君ら戦って無いから。つか俺だって衝撃波をぶっ放すだけなので戦った気にもならんのだが、やってんの俺じゃねぇか。つか君ら敵の財布と武器弾薬剥いでるだけやん?!

 

 てへり、とクレアが舌を出しつつ自分の頭をコツンとする仕草を見せる。

 

……いや、可愛いけど敵の財布(血塗れ)を持ってやってんのはめちゃシュールだぞ、おい。

 

「まぁまぁ、逃亡資金は必要よぉ?」

 

 なんぞとエイダが俺のコートのポケットに折り曲げた札の束を突っ込んで来た。どうやらこれが俺の分け前らしい。

 

 だが、妙な香をエイダから感じて札をまとめているマネークリップを見てみれば不自然な飾りが付いており俺の耳で僅かに聞き取れるほどの小さなノイズ音。

 

……金は受け取るが発信機を仕込んだマネークリップはいただけない。

 

 油断も隙もねぇなコイツ。つか持ち物をキチンとチェックしたのにまだそんなもん持っとったのかこのスパイ娘は。

 

 俺はマネークリップに付いている飾りの宝石を取り外し、その下に隠されていた小さな発信機を人差し指と親指でパキッと潰して捨てた。

 

「あら、それもバレちゃう?」

 

 悪びれる事も無くエイダは言い、クレアの真似をして可愛子ぶってテヘリ、と舌を出した。

 

……意外と可愛いが発信機がバレてやる仕草じゃねぇぞおい。

 

「あからさまにあんなマネークリップなんぞ使われたら誰でもわかる。……いや、俺を試すのはやめろ。無意味だ」

 

「あらぁ?無意味じゃないわよ?だって組むにしても相手のポテンシャルは見るべきだし」

 

「……組んでいるつもりはない。脱出のために協力しあっているだけだろ」

 

「あらぁ?私は自分があなたに利用されていると認識してるのだけど?」

 

 エイダはおどけてそう言いつつ、そうじゃなくて、と続けた。

 

「私はほら、何の成果も上げられず回収したはずのウィルスもあなたのせいでオジャンにされておめおめ帰っても能無し役立たずのレッテル貼られて収入もゼロ。なんならアンブレラに面が割れたせいで命を狙われるまであるわけ。もうお先真っ暗。新しく雇い主を探すとしてもこの業界じゃ私を雇ってくれるような所なんて無いも同然、なんて可哀想な私!よよよよよよ」

 

 エイダは演技付きで自分の今の状況(?)を説明するが、そこに嘘の匂いはない。

 

 だが、俺からすればエイダのそんな状況なんぞ知らんがな、である。

 

「で、ちょうど私を出し抜くほどの頭脳を持ち、戦闘能力は並みのB.O.W.を凌駕、クレアの話じゃワクチンじゃなくてT-ウィルスを駆除する薬を作ったそうね?まだアンブレラさえ試作段階で感染者に投与したら確実に死ぬ程度でしかないのに、自作で自分に投与してまだ生きてる」

 

「なにが言いたい。……俺を他社に引き込むつもりか?」

 

「そんな事しても一時的な稼ぎにしかならないのよね。というかあなたにぶっ潰される企業がアンブレラの他にもう一つ二つ増えるだけ、違う?」

 

「俺にぶっ潰せるとでも?逃げているだけで精一杯の状況だぞ」

 

「んふふふふ、でも潰したいんでしょ?」

 

 そりゃそうである。だがその方法など俺には考えつかない。なりふり構わず奴らの拠点をぶっ潰す程度なら出来るかも知れないが、それでは確実に道の半ばで俺は倒れてしまうだろう。だが、それでもだ。

 

「ふん、アンブレラにもアンブレラの研究を盗もうとするような連中にも俺は与するつもりは無い。それに利用するような事もしない。他を当たれ」

 

「……ま、そういうと思ったけど。でも見当ちが……」

 

 なおも言葉を続けようとするエイダを俺は、

 

「まて」

 

 といって黙らせた。

 

 向こうからまた強烈なT-ウィルスの臭気を放つ『奴』がこちらに近づいて来ているのがわかったからだ。

 

 俺は背中のズタ袋から槍を抜いて身構えた。一度は騙せたが、次はおそらくどんなに間抜けな奴でも騙せないだろうと思ったからだ。

 

 しかし。

 

「あのー!すみません~!攻撃しないでくださーい!」

 

 向こうから何か間延びしたような声が発せられた。暗いトンネルの向こう、ようやく見えたその姿は。

 

 ぼいん!ばいん!ずどぷりぃぃぃん!!

 

 それは大き過ぎる『乳』だった。

 

『それはそれは乳というにはあまりにも大きすぎた。大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎた。それはまさに乳塊だった』

 

 ち、乳がしゃべったぁぁぁぁ?!ってんなわきゃない。ライトの光が届くギリギリの所に入ってきたのが乳……って、それもどうかとは思うが、つか全体見えねーのになんて乳してやがるんだ。

 

 俺は身構えるのを止め、だが油断無くいつでも攻撃出来るような体勢をとっておく。

 

 巨乳、いや爆乳とでも言うべきか。その乳の持ち主は眩しそうに手で目元を覆うようにしながらこちらに進み出て来た。……なんか木の棒に白い布切れを結んで、それを杖代わりにして立っていた。その布切れはどうやら彼女の白衣の裾を破いて作ったもののようだ。それをさっ引いたとしても彼女の格好は薄汚れ、所々焦げたような跡や擦り傷などもあり、どうやら上で何かあった事を示していた。

 

 その後ろから、なんともシュン、と頭をうなだれさせて、いかにも失敗してしまった子供のような雰囲気を漂わせた、あのタイラントの特殊タイプがのそりのそりと出てきた。こいつもなんか焦げ臭い。おそらくこれは奴の服に硫酸弾の酸が付着して焦げた臭いのようだ。

 

「……すみません、あの、私アンブレラヨーロッパ支部の兵器開発部のナスターシャ・ロマネスカヤと申します……ハァ、ハァ、ハァ……」

 

 ナスターシャと名乗る女性は、かなり消耗しているように見えた。足はガクガクで、その振動でデカい乳が震えている。というかブラ付けてねーのかよ。

 

「ゥゥ……ヨーロッパ支部、ネメシスT-A102……」

 

 二人はそう自己紹介したが、なんのためにここに来たのか、そして二人の身に何があったのかわけがわからない。

 

「ハァ、ハァ、た、助けて……!」

 

 ナスターシャという女は、そういうとパタン、と倒れた。

 

「ウォッ?!ママ!?ママァッ?!」

 

 タイラントの特殊タイプ、ネメシスは倒れたナスターシャに驚いて騒いだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 騒ぐタイラント……あー、ネメシスか?を落ち着かせてナスターシャなる巨乳を診てみれば、どうやらそれは過労によるものと思っていたが、そうではなく厄介な事にT-ウィルス感染を起こしていたのだ。

 

 元凶はおそらくこのネメシスであろう。

 

 一歩遅ければ手遅れだっただろうが、幸いな事に俺はこういういざという時のためにT-ウィルスワクチンと血清の混合薬(高分子化タイプ)を作って持っていた。

 

 俺はとっととズタ袋からステンレス容器に入れていたT-ウィルスワクチンをナスターシャに投与し、なんとかなった。あとは安静にしておかねばならないが、これでもう命の心配は無い。

 

 しかし問題はこのネメシスである。

 

「ボクのセイデ、ママガ?!」

 

 ネメシスは愕然とし、頭を抱えた。

 

 何なんだろなコイツ等の関係は。わけわからん事だらけ過ぎるが、話が出来そうなナスターシャは今は気絶しており、このネメシスはネメシスで会話する能力はあるが説明出来るほどの知能があるかどうかもわからないときた。つーか、ママだと?

 

……この乳がコイツのママなのか?むぅぅ、この乳でママか。ママでこの乳なのか。

 

 どぷりぃぃぃぃん…………!!

 

 褐色の肌、その大きさと谷間のその迫力よ。これがママ乳……。

 

「……うむ、すんごく、ママンでごわすな!」

 

 いや、何を言っとるのだ俺は。

 

 ベシン!とクレアに頭をシバかれた。

 

「女性の胸をジロジロ見ない!!」

 

「むぅ、いやこれもT-ウィルスの作用では無かろうかと推測したのだが……違うようだな」

 

 なんとか誤魔化そうとしたが、またクレアに頭をシバかれた。

 

「そんなわけ無いじゃない!」

 

「うっわー変態」

 

「シェリー、見ちゃいけません」

 

 女達(人妻含む、ようぢぉ含まない)は俺にものすごく冷たい目で責め立てた。レオンだけは女達の後ろからバレないように無駄に爽やかにサムズアップしてウィンクしていたが、いや、お前もしばかれろや、おい。

 

……こういう茶番はさておき。

 

 俺はナスターシャをアネットに任せると、ネメシスに言った。

 

「彼女はもう大丈夫だ。ウィルスの感染はワクチンで治るだろう。だが安静が必要だ」

 

「ホ、ホント?」

 

「ああ。だがお前たちに何があった?助けてと言っていたが?」

 

「ボクラを、軍曹ガ裏切ッタ!セルゲー、ノ、タイラント、ジャナキャ、イラナイ言ッタ!」

 

 裏切り?仲間割れなのか?

 

 ネメシスの話は感情的な部分と知識が足りない部分で……このネメシスは6日しか生きていないと自分で言ったが、もしコイツの言うことが本当ならば生後10日もたたない身でこんなに話が出来る事自体が有り得ん。つかアンブレラ脅威のバイオテクノロジーと言うことか……わかりにくかったが、要約するとこうだ。

 

・俺達が脱出に向かっている所でアンブレラの私兵部隊が展開しており、このネメシスとナスターシャもそれに実験的に加わっていた。

 

・部隊の指揮官である『軍曹』がセルゲー(セルゲイ大佐のことか?)のタイラント以外は出来損ないだと罵り、ナスターシャを殴った。

 

・その軍曹の声を聞いたネメシスが駆けつけ、殴られて倒れているナスターシャをかばう。ナスターシャが殴られた事にネメシスが抗議(暴力的なことはナスターシャから禁止されていた為、それを守ったとネメシスは主張)、しかし軍曹が部隊の戦車に命令し、ネメシスに砲弾を撃ってきた。

 

・なんとか砲弾を避けつつ兵士達の攻撃をかいくぐり、ネメシスはナスターシャを連れてトンネルへ逃げた。

 

 以上である。

 

「軍曹、セルゲーセルゲーうるさい。ネメシス、セルゲーの遺伝子ナクテヨカッタ!」

 

「……そーかそーか。まぁホモ野郎の遺伝子受け継がなくて良かったな、ネメシス。ありゃあホモがうつるからな?」

 

「セルゲーホモ!セルゲーホモ!……ホモッテナンダ?」

 

 ベシッ!とまたクレアに「子供に変な言葉教えない!」とシバかれた。

 

……ううっ、セルゲイマジホモくせーんだから良いだろうが(会ったことも見たこともないけど)。

 

「つまり、この子はママを守るためにアンブレラの部隊から逃げてきた、ということね?」

 

 クレアがそういい、ネメシスは「ウンウン、ソーダヨ?」と答えた。その仕草はまんま幼児のそれだ。

 

 生後6日というのは本当かどうかはわからないが、コイツの知能はだいたい幼稚園児並みかそれよりやや下なぐらいだろう。

 というかそんな奴を投入するアンブレラ。いや、子供をこんな化け物にしちまうなど、外道以外のなにものでも無い。

 

……だが、なんだろう。コイツ見てると弟んとこの甥っ子をおもいだすんだよなぁ。なんでだろな。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、この子は……ネメシスは、私の卵子で造られた、ネクストタイラント計画の……一番体、です……。使用された父方の遺伝子は……、T-SJ-301、偶然、半月前に発見された最新の……タイラントのものを使って……」

 

 意識を取り戻したナスターシャがなんか嫌な事を言った気がしたが、いやいやいや、ちょっとマテ。

 

「……半月前ってどこかで聞いたような日数ね」

 

 クレアが、はて?と何かを思い出そうとして言ったが、いや、ありえてたまるか。

 

「ハァ、ハァ、適合率は、セルゲイ・ウラジミール以上の……。その性細胞はすぐさまサンプルを採集され……」

 

 やめてくれ、もうやめてぇぇぇ!!

 

「もう喋るな、ナスターシャ君。大丈夫だ、君にはさっきT-ウィルスワクチンを投与させてもらった。君は助かったんだ。安静にしていれば回復するだろう。だから今は……」

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ワクチン……?」

 

「そうだとも。アンブレラのものと違い、私の作ったワクチンはT-ウィルスへの抗体を速やかに身体の中から作り出すように人体に促す事が出来る高分子化タイプだ。進化型が発現してもかなりの効果が……」

 

 俺がナスターシャを黙らせるためにまくしたてるようにそう言った。普段私なんぞ言わないが医者っぽく言って彼女の発言を止めようと俺も必死だ、わかってくれ。

 

 聞きたくない、聞きたくない、そういうのはいらない、俺は童貞なんだよ、頼むよ、変な展開なんて聞きたくない!!

 

 だが、ナスターシャは俺の手を取って、こう言いやがった。

 

「あなたが、私のネメシスの……パパ……」

 

 そして、カクッ、とまた意識を失った。

 

 周りから感じる白い視線。いや、俺は知らんて。 

 

「へぇぇ?子供いたんだぁ。なかなかに立派なお子様だこと。それに奥様もなかなか……」

 

 エイダがこれ見よがしに、まるで不思議の国のアリスに出てくるチェシャ猫のようなニヤニヤ笑いを浮かべて言った。

 

「いや、俺は知らん。というか、意識を失っていた間の事はわからん。というか俺がアンブレラに捕まったのは半月前だ。到底そんな期間で子供を作れるなど、常識的にありえねーっての!!」

 

 しかし、アネットが俺に絶望的な事実を突きつけ、

 

「T-ウィルスを用いた最新の実験では、人のクローンを制作するのに要する期間はたったの7日、とレポートにあったわ。ただし、大抵の場合はクリーチャーに変異するけれど、セルゲイ大佐以上の適合率を持っているなら、不可能では無いはずよ」

 

 クレアが俺をどん底に落とすような発言をした。

 

「目元はパパ似なんだね?」

 

 う、ううっ、そんなんあんまりやろ。お、おっちゃんは、おっちゃんは、おっちゃんは!

 

「おっちゃんは、童貞なんやぁぁぁぁあっ!!三十路越えて彼女いない歴=年齢やのに、子供なんて造んなアンブレラぁぁぁぁっ!!ぶっ潰すぞぉぉぉっ!!」

 

 哀れな三十路の叫び声が、トンネルの中に響き渡り、そして俺達に静かに迫っていた爬虫類系のバケモン達が驚きの鳴き声を上げた。

 

「グゲェ?ゲェ?!」

 

「忍び寄んな、このボケぇぇぇ!!」

 

 俺は腹いせのあまり、それらを殴る蹴るしてブッコロしたのであった。

 

「おどれらワシの拳で血の海渡れぇぇい!!」

 

……見せられないよ坊やが、なんとなくモザイクの向こうに見えた気がした。

 

 グチャアっ!ブチィィィ!グシャッ!メキッ!ドシュッ!!

 

「うらぁぁぁぁぁっ!!なん・ぼの・もん・じゃああああああああああっ!!」

 

 足りねえ、足りねえんだよぉぉぉっ!!怒りをぶつけるモンが足りねえぇぇぇぇ!!

 

 俺は叫び、そして、なんだかんだで突っ走り、気が付いたら地上の『軍曹』ごと戦車まで破壊していた。 

 

 気が付いたら死屍累々、戦車は鉄クズ、装甲車はスクラップ、兵士はモザイクが無ければ絵面的にお見せられない感じになって、それこそ地獄絵図が広がっていたが、そんな事はどうでも良い。

 

「うがぁぁぁぁぁっ!俺はっ、童貞だぁぁぁっ!!」

 

 虚しく夜の星の下で吠えるバケモノ(俺)。

 

 頭が冷えてほんのちょびっと泣いたけど、うん、だって男の子(三十路越え)だもん。

 

 まぁ、結果として部隊全滅で、さらに逃亡の足として奴らの車両が奪えたから良しとしておこう。

 

 全然良くないけどな!やっぱりスペンサー殺さなきゃ!(使命感)

 

 オワレっ!

 

 




主人公の飲むコーヒーは苦い。

処女ママというと尊いのに、童貞パパというとなんか臭そうな、そんな風潮の昨今。

おぢさんかて、おぢさんかて、好きでこうなったわけや無いんやぁぁぁぁ!!

ママがナス(ターシャ)ならパパは……まだ名前出とらんねん。次で出てくる……ハズ。

 

ネメシス君をどうするかアンケート

  • ネメシス君と巨乳ママ博士仲間入り
  • ケツほいランサー死亡
  • 暴走して戦車砲で博士諸共殺される。
  • 再び騙されてどこかへ行って行方不明
  • 鬱エンド
  • 主人公捕らえられ章エンド

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