なんかタイラントになってしまったんだが。   作:罪袋伝吉

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いつも感想や誤字脱字修正、ありがとうございます。

バイオハザード2編、これにて終了です。

今まで付き合っていただきましてありがとうございます。

主人公の名前が、やっと出てきます。でも、いたって平凡な名前ですよ?




こんな章の終わりでもいいんですか?

 あのなぁ、おっちゃんなぁ、戦車とかいろいろぶっ潰したやん。

 

 装甲車も潰した、ヘリコプターも叩き落とした、兵隊も、口では言えんような倒し方、したわな。

 

 あのなぁ、またモロリしてしもたんや。

 

 今度は、クレアちゃんだけやのうて、エイダちゃん、ナスターシャちゃん、レオン、ああ、アネットは背中向いてシェリーちゃんの目を塞いどったから、二人は見とらん。ネメシス君は何が問題かわからん顔しとったけどな。

 

 つか、兵隊がな、硫酸弾ぱかぱか撃って来よったんが原因や。コートもズボンもボロボロや。ついでにベルトもな、溶けてしまってな。

 

 おっちゃん、せっかく服手に入れたのになぁ。

 

 つか硫酸弾は国際化学兵器禁止条約違反なんやと。ナスターシャちゃんが教えてくれたんやけどな?

 

 そんなもんで人の服溶かしくさりやがって、殺したろか……ってもう肉塊んなっとったわ。

 

 って、何故に俺はいつもいつも凹んだら関西弁になるのだろうか。

 

 ああ、今はネメシスの予備の服をナスターシャ博士に貰って着ているぞ。相変わらず下着はふんどしなのだが。

 

 俺は今、ぶん捕ったアンブレラのRVの後部座席に座っている。

 

 隣はナスターシャ博士、その隣はネメシスだ。

 

 なに?ネメシスと一緒の車内にいて、みんなはT-ウィルスに感染しないのか、だと?

 

 大丈夫だ。みんなにはちゃんとワクチンを接種させたし、ネメシスにもワクチンを打っている。まぁ、ネメシスのワクチンの量はごく最低で打ってネメシスの命に関わりのないようにしている。

 

 おそらく、ネメシスには今後数回に渡って接種させねばならんだろうがね。

 

 ヒソヒソヒソ……ちょっと、アレなんなのよ。あんなの反則……。ヒソヒソヒソ……すんごい。クリスぐらいあった……ヒソヒソ……お兄さん、そんなんなん?!……負けた……いや、男はサイズじゃない……多分……。

 

 やめてくれ。そんな話はやめてくれ。

 

 耳を塞ぎたい。だが塞いだところで強化された俺の聴覚は嫌でも音声を拾ってしまうのだ。

 

……つか、レオン。お前運転しとるのだからシャキッとせぇ。なんか危なっかしいぞ。

 

「……えっと、パパって逞しい……のね?」

 

 誰がパパじゃい。

 

「……ワクチン打ってまだそれほど時間は経ってない。寝れる時に寝ていなさい。近くの街までエイダの話ではまだまだかかるそうだからな。それからまだ何があるかわからない。体力は温存しておきたまえ」

 

 俺は一見いたわっているようで、しかしお前喋んな、という意図でそう言った。

 

「……ワクチン打ったらダメ、運転」

 

 レオンがみんなにわかりやすいようにそう言った。そう、みんなはワクチン打った後は車の運転とかしちゃだめだぞ?

 

 だがレオン、お前は別だ。いや、誰かが運転しないと脱出出来ないからね?シカタナイネー?

 

「……あなたは、医師なの?」

 

「アメリカでの医師免許は持ち合わせていないが、医師ではある」

 

「そう……」

 

 ナスターシャ博士は熱がまだ出ているにも関わらずまだ喋ろうとしている。いや、寝ろよ。辛いならさ?俺は一向にかまわないぞ。むしろ俺はあんまし話したくない。

 

 何故って?居心地悪いからっ!精神的にっ!つか知らん女の子やぞ?知らん女の子と自分の間に知らんうちに、知らん間に子供が造られとったんやぞ?

 

 そんなん居たたまれんどころか気まずくて童貞彼女居ない歴=年齢の俺にはどうしていいのかわからんのだ。どういうスタンスで話をしたらいいというのだ?

 

「……名前、そう、名前。私、あなたの名前をまだ聞いてないわ」

 

 ナスターシャ博士のその発言に、車内全員が、

 

「そういえば聞いてなかった!」

 

「え?クレアが一番彼といた時間が長いのにしらなかったのか?」

 

「ああ、そう言えば私も聞いてないわね。何故か失念していたわ」

 

「えっと、おじさまって呼んでたから、私も知らなかったわ」

 

「……知らなくてもまぁいいわ、と思ってたわ」

 

 そう言えば俺、名乗って無かったな。しかし面倒臭くなくていいか。

 

「……世の中、知らないことの方がいいこともある。私は、そう、スペンサーの野望を打ち砕くため、スペンサーに復讐を誓った時から自分の名を捨てた。今の私はキャプテン・タイラント。悪のアンブレラを倒すダークヒーローだ」

 

 そんな設定など、俺には無い。ただこの娘に自分の名前を教えたらなんとなく、そう、なんとなくヤバい気がして、あえて名乗りたくない一心でそう言っているのだ。

 

「えーっ?!おじさま、日本から来た正義のヒーロー『フンドシマン』じゃ無かったの?!あれは嘘だったの?!」

 

 あー、そういやシェリーにはそう言ってたよな。いや、正確にはエイダをからかうために言ってた事だったんだが。

 

「……うむ、だがフンドシマンの名はここでは使えないのだ。アンブレラにもう正体がバレてしまった。だから私はあえて名前を変えた。そう、『キャプテン・タイラント』。今からそれが私の……」

 

「いや、だからその設定はいらないわよ。私達はもう仲間じゃない。一蓮托生、誰が欠けても生き残れなかった。それにみんな名前を名乗ってるわ。あなただけ名乗らないのは……もしかして私達を信じられないって事?」

 

 エイダがそうキツい目を俺に向けてそういった。

 

 だが、考えてくれたまえ、みんな。そこに嘘つきがおるぞ。

 

……オマエ、エイダ・ウォンって名前、本名ちゃうやろが。偽名やろがぁぁぁぁっ!!

 

「そうだよな、俺もエイダの言うとおりだと思うぜ。なぁ、教えてくれよ。あんたの名前」

 

 せやからレオン、おまえそんなやからエイダに騙くらかされまくるんや、そういうところやぞ?

 

「そうね。今までさんざん命を助けてもらった恩人の名前を知らないんじゃ、クリスに会えた時に怒られちゃうわ。私も知りたい!」

 

 クレア、おまえ……。

 

「おじさま、教えて!お名前!」

 

 ああっ、シェリーちゃんも、もぉっ、そ、そんな純真な目で、ああっ!

 

「……私は、どうでもいいのだけど」

 

 なんだろう、ある意味俺の味方はアンタだけなんやが、その冷めた物言い、ムカつくぞアネット。

 

「……教えて?アナタ」

 

 いや、ナスターシャ博士、そのアナタの言い方はなにか意味が違う気がするぞ。和訳やからアナタやけど、なんやねん『ダーリン』ってのは!!俺は未婚の童貞やぞぉぉぉっ!!ちょっとしたエエ乳しとるからって、この、このぉぉぉっ!!揉んだろかおいぃぃっ。

 

「……パパはイジワルシテルノ?名前イイタクナイノ?」

 

……さっきまで寝とったネメシスまで起きてそんな事を言うのか?パパ?いや、確かに遺伝子的にはそうだけどっ!!否定材料が何一つなくマイサンだけどっ!!

 

 ああ、名乗るしかないのか、俺は。

 

「くっ……!……だよ。」

 

 小声で早口で俺は素早く聞き取れないように言った。

 

「「「「え?聞こえなーい、もう一度!」」」」

 

「ちくしょう、笑うなよ?俺の名前は!!」

 

 そうして俺は自分の名を大声で言う羽目になったのだった。

 

「俺の名前は!『平・凡(たいら・ひとし)』だっ!!」

 

 そう、平凡と書いて、たいらひとし、と言う。

 

 大抵の奴が『ひとし』と読めずに『ボン』と読むのだ。ひどい奴になると、『ボン、ボン、ボンやおまへんか!ツクツクボーシツクツクボーシ!ずんだかったったー!』と某西川の○おのネタを持ち出すのだ。

 

 いや、まだだ、まだ終わらんよ。

 

 ここは英語圏な国、メリケンなのだ。漢字などわかる奴はいないし、まさかヒトシと聞いて凡という漢字だと思う奴もいるまい。ははははははは!俺の考え過ぎだな!!メリケン人敗れたり!

 

「……名前を名乗るのを嫌がってた。タイラ、でヒトシ。名前にコンプレックス、なるほどね」

 

 ギクリ!いや、まさかな。エイダが如何に中華系だからと言って、わかるはずが……。

 

「平凡、つまりmediocre。アナタ……すごく『平凡』な名前で悩んでいたのね『ミスター平凡」?」

 

「ぎゃあああああああああああっ!!」

 

「あーっはっはっは、名前を漢字で書いたら『平凡』!全く平凡からかけ離れためちゃくちゃな奴の名前が平凡、mediocre?嘘でしょ、あーっはっはっは!!」

 

 エイダが爆笑したが、その理由がわからない面々。

 

「エイダ?どうしたんだ、ヒトーシの名前がなにかおかしかったのか?」

 

「ええ、これが笑わなくてどうするかって言うぐらいに彼にお似合いの名前なのよ、いい、レオン、笑いすぎてハンドル操作誤らないでね?」

 

 エイダの説明を止める間など無かった。

 

 レオンは笑いすぎて車を蛇行させ、クレアは笑っては失礼でしょ、と言っていた割にはゲラゲラ笑っていたし、シェリーは少し吹いた。エイダは元から爆笑していたし、アネットすら腹を抱えていた。

 

「……なんだよ、笑えよ、ナスターシャ」

 

「ん……タイラー・ヒトゥスィ?ん……」

 

 あ、寝た。

 

「マァ、パパはパパ、ダカラ良イヤ。ネムネム……」

 

 お前も寝るんかい。

 

 爆笑のまま、俺達の乗るRVは対向車も追従車も無い長い道を走る。蛇行したあとで、レオンがカーラジオをかけた。多分、ドライブに音楽が欲しくなったのだろう。

 

 ♪ローリポ、ローリポ、ボボンボンボン……♪

 

「「「「「あーっはっはっはっはっは、あーっは、あはははははははははは!!」」」」

 

 いや、君らボンに反応し過ぎや。ホンマに……。

 

 そのまま、俺達は何事もないまま、アンブレラの部隊もB.O.W.の攻撃も、本当にないまま、拍子抜けしそうなほど平和に、近くの街へと向かったのだった。 

 





 バイオハザード2編がやっと終わりました。

 しかし、物語はまだまだ続きます。主人公の平凡ではない戦いはまだ序盤。

 俺達の戦いはこれからだ!!(打ち切りではありません)。
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