なんかタイラントになってしまったんだが。   作:罪袋伝吉

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沢山の感想と誤字訂正ありがとうございます。

水虫薬とカビ洗剤生産決定。

UMAの正体はアンブレラのB.O.W.だったんだよー!!ナンダッテェ!?






裏の不動産屋(中南米の大統領)

 

 会社が設立して、やったこと。

 

 プラントの各機材の整備、プラントの使うとこだけ掃除、プラントにPC導入、プラントにあった小型魚雷挺を買い出し用に使うために整備、プラントのジェネレーターとその燃料タンクを整備。プラントに無線機設置。

 

 大半、プラントの修理と整備。

 

 本来ならば数十億はかかるはずが、ほとんど金をかけずに済んだのは、ここの施設の設備が恐ろしくなるほどに揃っていたことと、それらを修理出来るナスターシャ博士の技術力のおかげだろう。

 

 そもそも。

 

「この施設はなんなんだぁぁぁぁぁっ!!」

 

 と、俺が頭を抱えて叫ぶほどにこの海上プラントは異常であった。

 

 そもそもここが民間軍事会社の所有するレベルの基地であってたまるか!!と言うほどにここにはありとあらゆる設備と機材が潤沢に揃えられている。いや、揃えられすぎている。

 

 御用聞き廻りと称してこの国の政府のヘリでやってきた『裏の不動産屋』こと『この国の大統領』に俺は思わず言った。

 

「そもそもなんでこの国の大統領のあなたがこんな危険なプラントを俺達に斡旋したんです?こう言っちゃなんですがヤバいどころじゃないでしょう?!」

 

 ニヒルに笑う大統領。 

 

「あーもうバレたか。詰まらんなぁ。うーん、予定ではこう、いざという時に颯爽と現れて実は私は!!的に盛大にバラす予定だったんだがねぇ?まぁ、バレたんならいいや」

 

 なんというか某ヤザンな声だが、その雰囲気は高○純次のようだ。いい加減な態度でさも残念そうに大統領はそう言ったが、なんだろう植木○も混ざってないか、この人。

 

「バレたんならいいや、じゃねぇぇぇっ!つーか、秘書のあんたもクスクス笑ってんじゃないよ、警護のあんたらもっ!!」

 

 つか、アンテナとテレビを修理して試しに映したらこの国の大統領がなんかニュースで取り上げられており、その顔がこのオッサンだったのだ。

 コーヒーめっさ噴いたわ、俺じゃなくテレビ修理終えて休憩してたナス博士が(なお全部俺にかかった)。

 

……どうやらエイダは知っていたようだが。

 

「ふぅむ、確かにヤバい施設だけどねぇ、そこぐらいしか君達に提供できる場所が無かったんだなぁ。だってね、アンブレラはウィルス撒き散らすようなクリーチャーを使って来るんだろう?なら陸から遠く離れてた方がいいじゃん?」

 

「いや、そこを心配するんなら最初から俺達なんぞ相手にしなけりゃいいんじゃね?」

 

「はははははは、そうはイカン○キスミレ、花組のトップスタァ、おーっほっほーだ。アンブレラはとっくにこの国の近く、南米に秘密施設を持ってるし何か怪しげな行動もしているのだ。妙な怪生物の噂は近隣諸国からやたらと聞くようになったし、やれ野人だ、やれチュパカブラだ、やれレプタリアンだ、空飛ぶサメだ……。私は思わずツッコんでしまったよ!そんなもん自然界にいるか!!全部お前らの国が誘致したアンブレラの連中の生物兵器だろ!!とね」

 

……なんだと……?チュパカブラってアンブレラのB.O.W.だったのか?いや、レプタリアンはハンターとか言う奴が確かにそんなんだったし。だが空飛ぶサメはどうなんだ?B級映画かそれ?

 

「……実際、我が国にもそういう怪物の目撃談が出だして、さらには国境警備隊がそれと交戦し、数人の死傷者を出すも、その死体を確保した。それが、これだ」

 

 大統領が胸の内ポケットから一枚の写真を出して俺に見せた。

 

 それは乳を放り出してセクシーポーズで投げキッスをかましているどう見てもイケないお店のおねーちゃんの写真だった。マジックで文字が書かれてある。

 

【私のプレジデント、また来てね♡】

 

 ご丁寧にルージュのキスマーク付きだ。

 

……いや、俺は何にもツッコまないぞ。

 

「あ、間違えた。これはお気にの風俗嬢からもらった写真だった。いかんいかん。……なぁ、今度一緒にいかないか?いい娘揃って……」

 

……いや、大統領が、んな店行くなよ。

 

「大統領、話がそれてます。あと、奥様にご報告しますので」

 

「Noooooっ!!いや、アマンダ君、これは我が国の貧困調査としてだな、私自らがだな……」

 

 いろいろと美人な秘書さんに言い訳をする大統領だが、結局は大統領夫人に報告される事になったようだ。というか貧困調査とかそんな店に行ってありえるわきゃねーだろ。

 

 しかし大統領がこんなんで大丈夫なのか?というかスキャンダルでよく政権の座から落とされないな。日本なら辞職ものだぞ。

 

「大統領の浮気はこの国じゃ名物だ。国民の大半はまたか、と思うだけさ。まぁ、奥様の雷が落ちれば三日は静かになるが四日目からはまたやらかすのさ」

 

 警護の人がこそっと俺にそう言ってきた。

 

「うううっ、また自粛の日々が……。いや、それよりも本題だ。これがその怪物の画像だ」

 

 その死体はどう見てもハンターαと言われる爬虫類系のB.O.W.のものだった。

 

「ハンタータイプ、ですね」

 

「そうとも。幸いこのハンタータイプからはウィルスは検出されなかったが、アンブレラが南米でB.O.W.を流出させてしまっているのはこれで確定した。故に我が国はそれに対する抑止力とそれと戦う戦闘力を有しなければならなくなった、というわけなんだが……」

 

「表立って国としてそれを保有するのは政治的不利となりかねない、と?」

 

「我が国は小国だからね。コーヒーと葉巻、あとは薬品の材料となる植物の栽培と漁業ぐらいしか無いからね。それに予算も何もあんまり無いのさ。このプラントも放置せざるを得なかったのも実際のところその辺なのさ」

 

「……ここを使えば、いろいろ出来たんじゃないんですか?」

 

「国際的な立場上、ここで製造出来る大半の武器や兵器は他国のパテントを侵害している。国内で使うにもやれ装備がソ連側だとか米国側だとか、それで無くても言われたりするのに、出所不明となればさらに要らん憶測を立てられて圧力をかけられてしまうんだよ。ほら、さっきの秘書クンが私の妻をダシにプレッシャーをかけてきたようにね」

 

「いや、あれは確実な浮気の証拠をうっかり出したあんたが悪い。それはともかく民間企業の俺達がここの設備にあるものを使うのは大丈夫だと?」

 

「そうだとも。フリーな奴が風俗に行っても問題が無いようにね。まぁ、白い目で周りの女性から見られるかもしれないが、なーに、慣れればどうという事はないさ。君達がどこから武器を得ようが我々は関与しないし、船やヘリやどこの傭兵を雇おうとも君達の勝手だ。ああ、とりあえず乗り物の登録やそういう事があれば秘書クンを通じて言って来てくれたまえ。なーに、この国は大らかだ。軍用ヘリだろうが強襲揚陸艦だろうが、民間機扱いで登録してあげよう。まぁ、問題が起これば全て君達のせいにするけどね?」

 

 わははははははは、と大統領は笑ったが、すぐに真顔になってこう言った。

 

「……つまり、いろいろ便宜を計る見返りに、この国の国民を守る活動を頼みたい。アンブレラのウィルス災害やB.O.W.による国民の被害を食い止めてほしい。無論、感染者が出たときの事を考えてその治療薬もね。我が国はアンブレラを誘致するような愚かな考えは持ってはいないし、そのアンブレラのマッチポンプ、つまりウィルスをばらまかれ、その治療薬を奴らから購入して奴らを肥え太らせるのもごめんだ」

 

 嘘偽りの無い言葉だった。たしかに胡散臭い所はあるが、おそらくはそう演技しているのだろう。匂いは嘘を吐かない。彼の匂いは良質のタバコの葉の香りに似て、それは真実の言葉であることを俺の嗅覚はとらえた。

 

「あとは……そうだな、今日来た要件はあと2つあるんだが、手短に伝えよう。私も公務が忙しいのでね」

 

「要件ですか?」

 

「なに、どちらも多分良い話だと思うんだよ。一つは人材の紹介、もう一つは農地の売り込み、だな。今度、日本の企業がこの国から撤退するというので、まぁ……薬剤の材料となる植物のプラントが廃棄される事になってね。多分、その植物は君には縁の深い成分の材料のはずなんだ。アマンダ君、資料を社長に渡してくれたまえ」

 

 大統領の秘書は俺に二つのプラスチックファイルを渡して来た。それを受け取ると、大統領はまた話を続けた。

 

「赤いファイルには分類わけしてあるがそっちは人材のプロフィールをまとめたものだ。そちらは後で見て検討してくれたまえ。緑のファイルは、君に紹介したい農地の資料だよ。廃棄されるプラントは君が在籍していた『ハチマン製薬』の水虫薬の主成分となる抗真菌作用をもつ植物の栽培を行っているところさ」

 

「……俺が、発見した『シンキナオール(sinqinaole)』の?」

 

 シンキナオール(sinqinaole)は俺が抗カビ作用を持つ植物のその樹液などを研究して発見した植物性水溶の脂質成分である。なお、成分の名前はヨモギに含まれるヨモギ油のヨモギオールに準じつつゴロ遊びをしている。

 

「そうとも。知らなかったのかね?君が発見した成分を含む野草はこの国で生産されていたのだよ。もっともそれは中南米から南米に広く自生している、なんてことの無い、我々からすれば単なる雑草扱いのどこにでもあるものだったのだがね。ハチマンの先代社長はその雑草の生産をわざわざ我が国に持ちかけてきたのだよ。『ただの雑草が金になるぞ!雑草でみんなが豊かになる!しかも人のためにもなる!』とね。あの人は正しい商売人だった。『誰もが得しかしない真っ当な商売こそが世の中を幸せにする』と公言してその通りの事をやってのける人だったんだ」

 

 まさか、先代……亡くなったおやっさんがこの国に関わっていたとは、俺も知らなかった。

 

「……おやっさんが、この国で材料を?」

 

「その通りさ。この国が経済的に救われたのは先代ハチマン社長、そして君が開発した薬品のおかげだ。おかげで我が国は経済的にかなり助けられたとも。本当に雑草が黄金に変わったようだった」

 

 だが、大統領は頭を振り、言葉を続けた。

 

「それもアンブレラによって終わりを告げようとしている。アンブレラは会長の命令で『シンキナオール』の成分を豊富に含む野草の撲滅を打ち出し、その成分を使った薬品の製造、販売を禁止したそうだよ。悪魔に魂を売った現ハチマン社長はそれに従ったそうだ。愚かな話だ。世界的なヒット商品を失って今のハチマンは果たして存続できるのだろうかね?」

 

 無理だろうなぁ~と大統領は笑って言った。若干、何かしらかの寂しさのようなものがその表情に宿ったが、しかしそれも一瞬だ。すぐにニヒルな笑いへと変わった。

 

「今のハチマンのアホ息子はどうでもいいですが、しかし、スペンサーが何故そこまで『シンキナオール』を含んだ薬品を警戒するのかわかりませんね。どう考えても真菌やカビに対してならまだしも、何らかのウィルスに効くような成分では無いですしね」

 

「まぁ、どこにでも生える雑草を撲滅するなんて考えるなんて実は耄碌してボケたのかとも思ったがね。が、『シンキナオール』がアンブレラやスペンサーの目的の妨げになるキーアイテムになるかも知れないのは確かだろう。そこでだ、今なら広大な畑ごとその対アンブレラの鍵となる植物が、しかも成分を大量に含むように品種改良に改良を重ねてきた高品質のものが、大量に手に入るチャンスが君に舞い込もうとしているわけなんだがね?なーに、廃棄なんてさせないさ奴らがなんと言おうが作物はきっちりとよそに保管してあるとも!」

 

 どうする、買うかね?

 

 大統領はとても悪そうな笑みを浮かべて俺にそう言った。

 

「……ぶっちゃけ、おいくらで?」

 

 大統領は電卓を出して、えー、とりあえず恩義とかいろいろ加味しましてーと。

 

「ええ、単刀直入に、これぐらいで」

 

 プラントを買ったあの時と同じセリフを言い合い、そして俺はスペンサーへの嫌がらせ用にまた水虫薬とカビ用洗剤を開発する事となったわけである。

 

 幸い、特許は先代社長のおかげで俺のものになっている。

 

「ところで、買い取ってもらう事にはなったが、一つ有効活用についてというか商談というか、あるんだがね?」

 

「……この国で水虫薬とカビ用洗剤の工場を共同で作って販売しよう、という話ですね?材料がここにあるなら造るのもここの方が早く、それに世界に流通すれば国益になる。世界レベルでどっちもヒットしましたしね。さらに雇用対策としても畑も工場も有効ですし」

 

「うむ、話が早いねぇ。理由はわからないがアンブレラはこの成分を毛嫌いしているようだし、それにハチマン製薬を大きくした薬品だ。共同で事業を起こせば……確かに国益に大きく貢献できるだろう。うむ、是非にお願いしたい。なーに、工場の立地なら任せたまえ!あと、そちらの方の予算はこちらが出そう。よーし、これで経済的後退は免れそうだぞう!」

 

 こうして、俺達の対アンブレラ組織は非公式だがこの国の協力を得られる事となり、また俺の白陽社(自)は事業をさらに展開する事となったわけだが。

 

 やったね、また水虫薬ができるよ?

 




・中南米の某国大統領
 ヤザン似の声とモン○ーパンチな体型の優男。性格は高田○次風。風俗好きで若い嬢がお気に入り。

・アマンダ大統領秘書官
 大統領夫人の懐刀。非常に優秀な元傭兵。某ビックボスと会ったこともあるとかないとか。

・警護担当
 元南米出身の軍人だったが、いろいろあって警護担当になった人。運転手も兼。

 なお、感想とかでもナスターシャ博士とネメシスは?とありましたが、きちんといます。なお、ネメシスは現在T-ウィルスの除去処置中であり、まだ感染の危険があるために外に出られず、ナスターシャ博士も裏方で設備の修理をしていて出てきません。

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