ナスターシャ博士のびっくりどっきりメカー!
ナスターシャ博士は天才だから、プラントの設備と資材を使ってとんでもない物を作ってしまうんだ!すごいよね!
なお、エイダはまだ虫下しチョコを食べさせられたことを根に持っております。
早朝、大統領秘書官のアマンダさんにジョージ・ハミルトン医師を迎えに行くと伝えたら、いきなり大統領自らが通話を代わって、
『あー、通話の最中すまん。ウチの国境警備隊からちょっと厄介な報告が入った。隣国との国境スレスレのところでまたトカゲ人間が発見されたって話でな。群で行動し、隣国の部隊か何かと交戦しているらしい。我が国としては隣国には手を出せないんだが、君達ならなんとかなるだろ?』
報酬は払うから、と大統領はなんとも軽い口調で言った。しかし状況を考えれば一大事である。
トカゲ人間とはハンター、もしくはその派生型の事であり、アンブレラが開発したB.O.W.としては比較的に成功した例であり、生産しやすく戦闘能力が高い割に制御もし易く使いやすいのでやたらアンブレラは投入して来たりするのだが、ハンターはしばしば作戦後に逃げだして、野生化し、その土地周辺で単性生殖して増える事がある、というレポートがある。
生殖機能を潰したとしてもハンターの細胞修復能力は強く、また生殖機能を復活させてしまう。
さらにアンブレラは逃げだしたハンターは基本放置しやがるし野生化した個体もやはり放置しやがるので南米で目撃されるハンターはおそらくはその類だと思われるわけだ。
中南米でそんなん増えたらろくでもない。
故に俺達はハミルトン医師を迎えに行く前に、ハンターハントをやらねばならない羽目になったのだった。
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ハインドD(民間機)というこのパワーワードよ。
俺達はナス博士がいつの間にか修理を終えていたハインドDに乗り込み、現地へと向かう事になったのだが、当然、国境近くであるため、本来なら途中で降りて目的地に向かわねばならない。
なお、エイダは船の操縦は出来るが、ヘリの操縦は出来ないらしく、その操縦はナスターシャ博士が行っているのだが……。
「えっと、ナスターシャ博士?何で俺はこんなカンオケみたいなのに入れられてんでしょうか?」
俺はエイダによって、ナスターシャ博士がハインドDに積み込んでいた鋼鉄のカンオケに入れられていた。顔には通信機付きのガスマスクのような仮面を着けられ、通話は良好なのは良いが、何なのこれ。
「それはタイラント用の降下クレイドルシステムの改良型です。タイラントを載せて作戦目標に打ち込むためのロケットクレイドルと着地用のバリュート、エアブレーキを備えた高性能強襲射出システム。名付けて『キャプテン・クレイドル』!……です!」
……打ち込む。クレイドルを。射出、エアブレーキ。いや、それはつまり?
「大丈夫です、タイラント以上の身体能力と耐久性を持っているアナタなら充分着地の衝撃に耐えられます!」
「いや、つまりそれって特攻兵器なのでは?!」
「違います!発射前、内部に衝撃吸収ポリウレタンを充填しますし、それに事前に着てもらったキャプテン・スーツの対衝撃機構もありますから怪我をする事はありません!」
「あー、それでマスクなんてつけられてんだ、俺。って、俺は高いところ苦手なんだ!あとジェットコースターとかめちゃくちゃ速い乗り物も!」
……つうか、キャプテンキャプテンって何で名前にいちいちキャプテンがついてるんだ?
「四の五の言わなーい、男でしょ?それとも愛するお嫁ちゃんの事、信用できないのかしらぁ?平凡さんはぁ?」
エイダがめちゃくちゃイイ笑顔でクレイドルの窓を覗くようにして言った。ああ、こいつまだ虫下しチョコ食わせた件で根に持ってやがる。
ここに俺の味方など居ないのだと覚らせるに充分な、とても素敵な笑顔だよ我が秘書よ、こんちくせう。
「俺は高所恐怖症とスピード恐怖症なんだ!」
「あら~、そんなに身体が大きいのに怖いのオジサン?おっかし~ぃ!」
バブルがはじける前のイケイケねーちゃんみたいに言うな!*1
「くっ、大人だろうが、おじさんだろうが怖いモンは怖いんだ!くっそ、ただの虫下しチョコ食わせたくらいで根に持ちやがって!!無害な代物だったろが!!」
「ふん、だ。レオン君に、社長に変な物食べさせられたって泣きついてやるわ。人体実験されたってね」
「人聞き悪いことこの上無い?!つかアイツはお前と違って真面目な奴だから真に受けるだろが!」
……つーかあの正義漢、いま何やってんだろな。騙されやすい奴だからオジサン、なんか心配だ。
まぁ、エイダとは連絡を取り合っているらしいがうーむむむ。
「つーか、最近、アイツからの連絡は来たのか?あとクレアも。一応、ウチの会社の無線と電話、教えたんだろ?」
「ええ、レオンは政府の事件究明チームの方に出向しているみたいよ。……アンブレラの工作でかなり難航してるみたいだけど。クレアは本当にたまにしか連絡してこないわ。飛び出したらあの子は鉄砲玉だから」
「まぁ、元気にしているなら良いが……。二人を支援出来るように会社をもっと大きくせんとな」
そう言ったところで、ハインドDのアラームが鳴った。国境から1000メートルの地点の上空に到着したのだ。
「アナタ、間もなく射出地点に到達します。まぁ、アナタは何もしなくても自動的にクレイドルは作動しますが、説明しておきます。まず、衝撃吸収剤充填後、機内アームでクレイドルとカウンターアームを機体の外に出します。その後、ブースターにより目標に向かって射出、高度150メートルでエアブレーキと下部ブースターで減速し、着地と共に外部装甲と衝撃吸収剤をパージすると同時にウィルス駆除剤噴霧装置が作動、駆除剤は20メートル範囲内のT-ウィルス等を死滅させ、無害化。これにより汚染地域を浄化します」
俺は絶句した。いや、最後のウィルス駆除剤をバラまくって機能に、だ。いや、確かにナスターシャ博士が対ウィルス用の装備を作るから強力なウィルス駆除剤を大量に合成して欲しいとは言われたし、プラントで作って渡したが、まさかそんなもんを作るとは全く思っていなかったのだ。
確かにB.O.W.とかゾンビがうじゃうじゃいるところでは有効だし、感染初期の患者がいるならその噴霧だけである程度症状の進行を止められる可能性がある。
「なお、クレイドルの外部ウェポンラックにはキャプテン・アックスとキャプテン・スピア、キャプテン・ヒーターシールドがセットされてますので使用して下さいね?」
……そういや、このカンオケに入る前になんかデッカい斧と切れ味良さげな槍が付いてるなぁ、とは思ってたが、しかし何でキャプテンなんだろうな?つかラウンドシールドだったらアメリカの某社に怒られるからヒーターシールドにしたんだろなぁ。
「……何で名前にキャプテンがついてるんだ?ちょっとそこが引っかかるんだけどさ?」
「え?ああ、説明をまだしてませんでしたね。これはエイダさんの提案なのですが、目的地が国境ですので、私達がどこから来たのか隣国に悟られるわけには行きません。ですので、アナタには謎の正義のヒーロー『キャプテン・タイラント』として行動していただく、と言うわけで」
俺はニヤニヤしているエイダをクレイドルの中から睨んだ。エイダは悪びれず、
「なお、スーツのデザインはネメシスくんとシェリーちゃんがお絵かきで描いた『キャプテン・タイラント』と『フンドシマン』をモチーフにしたわ。それをナスターシャ博士がきちんと機能的に設計して作ったのよぉ?子供達の夢を壊さないように、ちゃーんとヒーローっぽく振る舞いながら戦いなさいね?なお、映像データはカメラドローンで収集するからそのつもりでね?」
とウィンクし、なんか、きゃぴるーん、と自分の目の前で横ピースをしやがった。
「いや、つうか子供達には見せられんだろが!スプラッターな映像にしかならん!子供にトラウマ植え付ける気か?!」
「子供達用の映像にはちゃんと編集するわよ?まぁ、真面目に言えば大統領への報告用とウチの会社の資料用よ。ああ、ちゃんと死体から生体組織のサンプルも採集しといてよ?」
くそぅ、虫下しチョコの恨みだけで子供達をダシにして俺を辱めようとするとはなんと大人気ない奴だ。つうか戦い方とか出来るだけマイルドにせにゃならんだろが!
「アナタ、射出地点に到達!射出準備開始、衝撃吸収剤を充填します!」
バシュウウウウウウウッ!!となんか泡のような物がいきなりクレイドルのあちこちから噴出、そしてそれが硬いスポンジとなって俺の身体を軽く圧迫した。
「ぐぉっ?!」
「エイダさん、機体の横のハッチを開けます。投げ出されないようにハーネスを着けて!クレイドルアームを機外に出します!!」
うぃぃぃぃん、と俺の乗ったカンオケはクレーンみたいなアームによって機体の外に出された。ヘリが俺とクレイドルの重量でやや傾く。
「アナタ、舌を噛まないように口を閉じて。射出時にGがかなりかかるので、気をつけて下さい!」
もう、気分は人間ロケットのようだ。
「射出秒読み!」
「では社長、良い空の旅を♡」
「5、4、3、2、1、発射っ!!」
「てめ、エイダ!後で覚えてろよ、って、どわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「おたっしゃで~!」
そうして俺は、カンオケミサイルで国境の森に撃ち込まれたのであった。
「くっそぉエイダめ、必ずキャーン言わしたるからなぁぁぁぁぁぁ~っ!どわぁぁぁっ!!」
空に俺の叫び声が木霊した。
・ヘリからタイラントを落とすのは原作でありましたが、ミサイルのように射出なんて普通考えんやろ。
・エイダさん、おこ。
・ナスターシャ博士マジ天才。そしてダンナをロケット射出する人災。
・次回、キャプテン・タイラントの活躍にご期待ください!