なんかタイラントになってしまったんだが。   作:罪袋伝吉

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いつも感想と誤字脱字訂正ありがとうございます。

今回、難産でしたm(__)m

わかる人にはわかるネタ、やや多いかなー。


プラントの遺物と次のミッション

エイダが、久々に恋人であるレオンから連絡が来たとなんか目に見えてウキウキして無線に向かっている間、俺は一人で書類を片づけた。

 

 いや、エイダも若い娘さんなのだ。そういう事があっても良いだろう。それでなくとも休みなく毎日走り回って、大統領との交渉やら物資の買い付けやらなんやらしてくれている働き者なのだ。そんくらい許されてもいいだろう。

 

 俺はエイダのデスクに『書類終わったのでホールで休憩してくる。ルポが来たら呼んでね』と書き置きをして社長室を出た。

 

 部屋を出てずんどこずんどこと廊下を真っ直ぐに進み、真ん中の広いホールに出る。このホールはプラントの六本のメインシャフトとエレベーター、後は各階に向かう階段があるわけだが、広いのでベンチとテーブル、冷水機や、タバコの大きな灰皿などを置いて社員達の憩いの場として使えるようにしてくれている。

 

 エイダが少しずつ整えてくれた憩いの場であるが、彼女としては観葉植物や時計等などのオブジェクトをもう少し増やしたいらしい。

 

 ただ、このベンチの横に俺が置いたタバコの自販機にはやや難色を示した。あと、ペプシとマウンテンデューしか無い自販機にも。

 

 タバコに関しては単に彼女がタバコが嫌いだからなのだが、ジュースの自販機においては、二つしか種類が無いのが原因だった。

 

 何故かはわからないが、このプラントには意味不明なものを製造するプラントがある。

 

 ペプシのゼロカロリーコーラやマウンテンデューや、ハンバーガーのレシピ(子供達には食わせたくない化学調味料漬けみたいなものまであった)、某日本の製薬会社の固形携行食、どう見ても日本の女優の松山○子さんのパッケージのレトルトのカレー、栄養剤のドリンクなど、謎な物品が作れるわけだが、誰が何のためにそんなレシピを集めて、オリジナルそっくりに作ろうと思ったのか謎である。しかも中身だけでなく、パッケージまで。

 

 とはいえ、タバコが吸えるのはありがたい。

 

 俺は自販機で『ラッキーストライカー』を買って、口に咥え、そしてこのプラントで拾った『Militaires Sans Frontières』と、そしてパンゲア大陸にドクロを合わせた彫刻が施されたジッポライターで火をつける。

 

「『国境なき軍隊』か」

 

 ここにかつていた、民間軍事企業の名前なのだろう。

 

 ライターの裏面には『Mother Base Since1976』の文字があり、このプラントの外観の絵が精巧に彫られている。おそらく、ここに拠点を置いたその記念に作られたライターであり、ここを去って行った傭兵の誰かの物なのだろう。

 

 そういう物はやたらと各部屋にあり、まるでいつかここに帰ってくるぞとばかりに置かれていたものもあれば、持って行きたくもないと言うように廃棄物置き場に投げ捨てられたようなものもあった。

 

 このライターは後者であり、部屋のゴミ箱の中に捨てられていた。おそらく、ここを出て行く時に捨てられたのだろう。

 

 捨てた傭兵の心情はわからない。

 

 出て行かねばならぬのを腹立たしく思ったか、思い出すことが嫌だと思ったか。

 

 だがどちらにせよ、まだ使えるし、何よりなんとなくだが使ってやらなければこのライターが可哀想だと思ったのだ。それに我が社のモットーは『使えるものは使う』なのである。それが例えゴミ箱の中に捨てられたライターであっても例外ではない。

 

 すなわちこれ、モッタイナイの精神。……いや、単にみみっちいだけな気がしてきた。

 

 と、向こうからベクターとカルロスがやってきた。なにか心なしかさっぱりしている、というよりもシャワーでも浴びて来たのだろう。タオルを首からかけている。

 

「む?社長」「お?社長さんじゃねぇか」

 

「二人とも今日はお疲れさん。シャワーに行ってたのか?」

 

「いいや、あの配管工……デビットとかいう奴がデカい風呂を直したから、テストに入ってくれとか言ってな。いや~デカい風呂、良かったぜぇ?役得役得」

 

 そういうカルロスは無精髭をそった頬をつるりと撫でて爽快、爽快、と言って笑った。

 

「うむ、俺もさっぱりした。やはり男湯と女湯に分かれているのがいいな。時間を気にせず入れる」

 

 目を細めるベクター。というかマスクを外すとこいつはやっぱり日本人なんだな。というかアクション俳優の某坂口某に似ている気がせんでもない顔立ちをしとるな。

 

……風呂、良いなぁ。とはいえあの深さの湯船だと、俺の場合、腹までしか浸かれないんだよなぁ。

 

 ニメートル半のこの身体は、普通の人達の日常すらもなかなか困難なものにしてしまうのだ、ぐぬぬぬぬ。

 

 内心で歯噛みしていると、ふと、ベクターの視線が俺の手に落ちているのに気づいた。む?と見ればライターを見ている。

 

「社長、そのライターは社長のもので?」

 

「ん?ああ、ここを掃除していたら出て来てな。昔、このプラントを拠点としていた民間傭兵企業のものらしい」

 

 俺がライターをホレ、と渡すと、

 

「……MSF!やはりここはあの伝説の……!」

 

 身体を震わせ、いや、声まで震わせてながらライターの面裏とひっくり返しつつ、ああ!とか、おお!とか言っている。

 

 どうやらベクターはここに昔いた傭兵達の事を知っているらしい。

 

……なんか外国人が日本アニメの憧れの聖地に来て感動してるみたいになってんなコイツ。

 

 意外とベクターはミーハーなタイプなのかも知れない。

 

「あの大統領夫人が言っていた事と、そしてカリブ海に浮かぶこのプラントでまさかとは思っていたが、やはりここが失われたCQCのメッカ、伝説のMSFのマザーベース!!」

 

 いつもやたら静かな……いや、そうでもないか。うん。だがこんな風に興奮気味のコイツは初めて見たかもしれん。今日初めて会ったばかりだけどな?

 

「ふむ、CQCなぁ。ここにいた傭兵達が訓練を元に編纂したものがいくつか残っていた。高度な技術や近接時に相手の意識の死角の捉え方など、おそらくは先輩の傭兵達が後輩達を指導する際にまとめたのだろう。まぁ、後はCQC用に傭兵達がデザインして自分達で造ったナイフも何本か資料室にあるぞ?」

 

「まだ残っている資料があるのか!それにナイフまで!」

 

……なんかめっさ子供みたいに目を輝かしてやがんなコイツ。いや、そういや国境で俺がハンターと戦ってる時もこんな目してたっけか。

 

「まぁ、ナイフは普通のタイプから奇妙な形までいろいろあるから、使えそうなのを持ってくといい」

 

「なんと?!い、いただいてもいいのか?いや、いいのですか社長!」

 

「あー、本は返せよ?だが、ナイフはくれてやる。もうナスターシャ博士がデータを取ったそうだし、おんなじモンを自動で削り出せるそうだ」

 

「ああ、今日はなんて日だ!死にかけたと思ったらこんな幸運が!これは行方不明のマスターの導きか」

 

……大袈裟な奴だなおい。しかし行方不明=死亡じゃねぇだろ、縁起悪いな。

 

 俺はそんなベクターを放っといて感動しているベクターのそのテンションについていけなさそげにしているカルロスに声をかけた。

 

「あー、カルロスはどうする?お前も来るか?」

 

「ん?ああ、俺のナイフの替えになるような奴をくれるんなら行くぜ。変な奴じゃなくて、作業に使えるような奴な?」

 

「普通のタイプも何本かあるぞ。それ以外にもアンブレラの傭兵達から奪ったM9銃剣やら高そうな奴までいろいろあるから選んでもってけ」

 

「なら行くぜ。いやー、研いでももうダメっぽかったからなー。B.O.W.ぶっさしたら刃も柄もガタガタになったんだ」

 

「ああ、たまに硬い奴いるよなぁ。俺も銃剣を槍にしてぶっさしたら刃がボロボロになったからわかるわ」

 

 なお、スーパータイラントのケツにぶっさしたあの槍は、ケツの穴だったのに突き出た刃がボロボロになっていたが、連中のケツメドはよほど丈夫らしい。言わんや他の場所をや、だろうか。

 

 なに?そんな情報はいらねぇってか?まぁ、そらそうだわなぁ。

 

「んじゃまずは資料室だな。こっちだ」

 

 そうして俺はベクターとカルロスを連れてまずは資料室へと向かった。途中でルポに出会ったが、まぁ、ルポの用事はすぐに終わった。

 

 廊下を歩きながら話をしたが、

 

「こちらに私の子供を呼んで一緒に暮らしたい。私の親友から連絡があったんだが、どうやらアンブレラは私の子供を攫おうとしたらしい。ありがたい事に彼女が子供を連れて、今、ニューヨーク港に着いたとの連絡があった。そこからまたキューバ経由でこちらに来るそうだ」

 

 との事だった。

 

……しかしアンブレラもゲスな事ばかりしやがるものだ。よりによって子供を攫おうとするとは。

 

「彼女はまぁ、私よりも年上なのだが若作りでな。見た目、華奢なパリジェンヌだが、十数年前コスタリカだかニカラグアだかで鳥の生態を調べていたときに何かの事件に巻き込まれ、そこで助けてくれた傭兵に好奇心から訓練を受けさせてくれるように頼んだらしい。そのため、危機への察知能力は鋭く逃げ足も早い」

 

「……鳥の生態系?というか傭兵じゃないのか?」

 

「鳥類学者だ。その道ではかなりの研究論文を発表している……らしい。変人だが信用出来る人物だ」

 

……うーむ、どんな人物なんだろうな。想像もつかない。

 

 俺の脳裏に、某トゥームレ○ダーな女トレジャーハンターが思い浮かんだが、しかしパリジェンヌと言うことでやはり金髪碧眼の女性なのだろう。

 ロマンシングストーンのジョーン・○イルダーみたいな女性かもしれんな。うーむ、だがジ○ーン・ワイルダーは冒険小説家だったか?

 

「とりあえず同居に関しては、部屋のパーテンションを外せば広く出来るから大丈夫だ。あと、キューバまで迎えに船を出そう。大統領か大統領夫人に頼んでその辺は根回しするとして……。その人と君の子供がキューバに着くのはいつだ?」

 

「おそらく明後日になると思う。まぁ、彼女は荒事にかなり慣れている人間なので抜かりは無いと思うが、それでもやはり……」

 

「ああ、わかっているとも。子供の事で心配しない親はいない。……プランとしてはここから港まで潜水艦で小型クルーザーを乗せたトラックを運送、トラックを港に下ろして中南米のへその緒を横断、また港からキューバ行き……かな。ヘリで直接行ければ速いんだろうが、まさか、キューバまでハインドで行くわけにもいかんからな」

 

 俺は笑ってルポにそう言った。

 

「……社長、本当にあなたはいい人ね。我々を助け、部下の命を救い、受け入れてくれた。それだけでなく、子供の事まで心配して動こうとしてくれるなんて」

 

 いつもの軍人めいた厳しい言葉遣いからうって変わって、あり?と思うような女性らしい柔らかな口調に変化して、俺はやや戸惑ったが、平静をなんとか装い、

 

「なに、仲間の子供ならみんなの子供みたいなモンだ。それに仲間が安心して仕事に励めるようにするのが社長の仕事だ」

 

 そういい、まーかせて、と胸を叩いてみせた。

 

 ああ、ベクターとカルロス?

 

 奴らは資料室の鍵を開けるととっとと入って行って、勝手に資料漁ったりナイフをあーでもないこーでもないとがさくってたとさ。

 




・ケミカルバーガーはファントムペインだっけ?というツッコミ。

・風呂、修理終わっちゃったね?

・ルポさんの年の離れた親友……いったい何コジマ・カミナンデスさんなんだ……。

・一方、ナス太郎さん女湯でいらんことをバーサに吹き込まれて……。
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