なんかタイラントになってしまったんだが。   作:罪袋伝吉

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 生物学的危機状況?いいや、スペンサーというレジデントイヴィルだ。全てはクソハゲの狂気から始まった。

 T-ウィルスで大脳が増大し知能が上がった主人公がクレアに脱出を急がせようとその理由は?

 おバカが賢いだと?!まぁ真面目回だからね。ゆえにポローンは無い。また今度だねー。


とりあえず脱出を急がんとヤバいという予測。

 俺とクレアはG-ウィルスのワクチンが出来るまでの間、これまでお互いにあった事を情報交換がてら話し合った。

 

 クレアから日時を聞けば俺がアメリカへ来てからすでに半月ほど経過していたわけだが、そんな事よりももうすでに地上はゾンビだらけだということの方が問題だった。

 

 アンブレラの管理のずさんさがどーとかこーとか言うつもりは無い。スペンサーのような耄碌し過ぎて狂ったボケ老人が会長なんぞをやっている時点で起こるべくして起こったと言える。

 だが、ひょっとしたらあのボケ老人はこのラクーンシティをウィルスの実験場にしようとしたのかも知れないとも考える事も出来るが、これだけの大きな規模を持つ研究施設を地下に建造しておいておじゃんにしてしまうような事を普通やるとは常識的に考えるにそれは有り得ない。

 

 たとえスペンサーが狂っていると言ってもまだそこまでは狂っていないだろう。

 

 なにしろそれをやっちまうと企業としての損益分岐点をとっくに赤字側にライン越えしてすっかりドビューンと向こう岸(アカン方)まで行ってしまうからだ。

 

 これは、おそらくだが。

 

 奴らはウィルスが漏れてどうしようも無くなったからいっそ実地的に実験し、それで貴重なデータを収集して損失の中から得られるだけの益を取ろうと考えたのではなかろうか。そしてデータを取ったら証拠隠滅して知らぬ存ぜぬを決め込もうと思っているんじゃないか?

 

……そこまで考えて俺は嫌な予感がしてかなりの危機感を覚えた。この先に奴らがひき起こすだろう最悪の事態に考えが行き当たってしまったからである。

 

 スペンサーがやらかすだろう証拠隠滅の方法について考え、その中で最も奴にとって都合が良い方法に思い当たったてしまったのだ。

 

……スペンサーにとって都合が良い事は他のみんなにとっては最低最悪な事である。

 

 そう、今現在進行型で起こっている事態はと言えば街一つを覆うほどの未曽有の生物学的な危機状況、である。

 

 そんな状況なのだ。普通は国家が動く事になる。

 もっと細かく言えば軍隊が動くわけだがそうなると軍隊はゾンビやバケモノの殲滅だけでなく原因の調査をするだろう。

 

 そう、間違いなく徹底的にやるだろう。

 

 何故徹底的に調査を行うって?

 

 それにはいろいろな理由が挙げられるが、説明すんのが面倒臭いので一番大きな理由をパパパっと端折って言うとしよう。

 

 そう、政治の世界は一枚板では無く大統領とて敵はおるし、政府高官だって足の引っ張り合いも日常チャメシ事だって事だ。あとアンブレラにも商売敵というか、ぶっちゃけぶっ潰してシェアを奪ってやると考えているような他社は多い。

 そして政治家もよその企業も常々相手の不正を暴いて蹴落とそうとかそれこそ虎視眈々と狙っている。

 そういう奴らにとって大災害、特に敵のお膝元で起こった事件というものは相手の失点を探すための絶好の機会であり、そして今回のこの人為的な災害、つまり生物兵器流出による大規模感染災害においてはもう失点の証拠だらけというわけだ。

 

 そりゃあそんな好機をのがしはしないどころか群れを成して漁りにくる。もしかしたら地上ではとっくにそういう連中の手の者が動いているまであるだろう。そういうのは知らんけどな。

 

 さて、軍隊が派遣されるとしてその軍人達の中にも政治的に上の連中を蹴落としたい連中の息のかかった将校なり高官なりが必ず混ざっているだろうことは想像に難くない。

 部隊の数が少なかろうが多かろうがそこはそれ、アンブレラの息がかかった奴らのみで編成するのは不可能だろうし、作戦中にアンチアンブレラ的な奴を始末するってのも流石に全部は無理……いや、バケモノけしかけてやるぐらいはするかも知れないが、歩兵だけで展開するわきゃない……と思う。

 

 クレアは俺と似たバケモノに襲われたと言っていたが、そんな奴が何体いたとしても装甲車や戦車、武装ヘリ相手に何か出来るわけはないだろう。

 

 武器を扱える知能も無いのだからな。

 

 ようするに何が言いたいのかと言えば、どうやっても何やってもアンブレラのアンチ達は生き残るだろうし、そいつらによって調査結果は世に出てしまうって事が言いたいわけだな、俺としてはな。

 

……その辺で何となく推測に穴があるような気もしないわけでは無い。いや、考察材料をそれほど持ち合わせているわけでもないからな。

 

 ま、流出すればスペンサーがいくら金と権力とそして政府高官、もしくはこの国の大統領と強いコネを持っていたとしても破滅は免れないだろう。

 なんせそっちを潰したい奴らが潰したい相手の言うことなんぞ聞くわけないのだ。むしろ嬉々としてオーバーキルまで狙ってドカドカやる。

 

……俺なら徹底的にやるだろうからな。間違いない。

 

 また、ラクーンシティほどの都市の住人達がほぼ全てゾンビやバケモノになっているわけで、それらに対抗するには投入する軍隊の規模はかなりのものが必要だ。

 

 軍人の数は証人の数である。

 

 そうなれば大統領だろうが軍の上の人間だろうがもうもみ消す事など不可能だ。

 箝口令敷こうが何をしようが無理、投入された軍人全員始末しようにも数が多過ぎだし、マジでやろうとしたならば逆にそいつ等の地位どころか命すらも失う羽目になるまであるだろう。

 

 つまり、軍人の投入はスペンサーとその息が掛かった連中にとって命取りになるわけだ。

 

 では軍人の投入を阻止し同時に証拠隠滅する為の方法をスペンサー側の連中はとらねばならない。さらに時間も稼げるって方法だ。

 

 一つだけ、シンプルかつロクでもない方法がある。

 

 ああ、クソったれな奴らが考えそうな、とんだB級映画並みの最悪な方法だ。

 

 それは核による街全体の焼却だ。証拠は全て灰や塵に、さらに放射能汚染でその後も立ち入れないオマケ付きだ。

 

 バイオハザードが放射能ハザードに変えられるってわけだ。うまくもねぇし最悪だ。マジでみんな殺されちまう。

 

……俺の予想が正しければ、アンブレラの連中が実験データを取り終えた後、すぐに猶予も無くこの街は塵一つ残さず灰燼となる。生き残っている人達すらもな。

 

 それを考え付き、俺は背筋から這い上がる猛烈な冷えと怒りに身体を震えさせた。

 

 推測というには考察の材料は少なくなんの確証もない。俺にはそれが現実のものになると確信してしまっていた。

 

 何故ならそれが一番アンブレラに、いやスペンサーに最も都合が良く、そして効率的かつ最良の方法だからだ。

 

 俺達にとっては最悪の事態だ、クソったれ。

 

「……クレア、よく聞いて欲しい。俺の予想が正しければ俺達は脱出を急がんといかん。どれだけ時間に猶予があるのかはわからないが、おそらくアンブレラ、いやアンブレラの息が掛かった合衆国はこの街に核を落とし全ての証拠を隠滅するだろう」

 

 俺はG-ワクチンの精製作業をしているクレアに俺の予測を聞かせた。

 

「……つまり、軍は街の生存者の救出に来ない、と?」

 

 有り得ない、とクレアは言いつつ頭を左右に振ったが、しかしすぐに険しく眉をしかめて何かを考えるように黙った。

 

「無論、これは俺の推測にしか過ぎない。むしろ俺としては米軍が投入されて欲しいと思っている。街にはおそらくまだ大勢の人々が救助を待って隠れているはずだからな。そしてこの研究施設の調査が行われれば確実にスペンサーは終わりだ。だが、スペンサーは狂人でボケたクソジジィだがそれを許すほど耄碌してはいない」

 

「……本当に核を使うというの?」

 

 俺は鼻から息を吐き、

 

「推測だが、その可能性が高いと俺は思って、いや確信している。奴はまだ自分の野望を叶えられていない。奴は自分を不死の超人にするためのウィルスを作れてはいない。奴の資金や権力の象徴のアンブレラを奴はまだ手放せない。何があっても奴はアンブレラを破滅に追いやる不都合なものを全て消し去ろうとするだろう」

 

「不死の超人って……そんなわけのわからない理由で非人道な人体実験をやって、街の人達をあんな、ゾンビにかえて……!!まだ街には生きてる人だっているはずよ!それを……っ!」

 

 彼女は賢い子だ。核攻撃が遂行されるというその確率が高いと理解している。いや、この街であった出来事が彼女が経験してきた事が酷すぎたのだろう。アンブレラがそれをやるような血も涙もない狂った連中だと理解している。

 ただ、街にいるだろう生き残っている人達を考えるあまりに理解を拒否したいのだろう。

 

「……ああ。おまえさんの怒りはわかる。だがそれは脱出したあとで奴を見つけ出して晴らすべきだ。今重要な事は、脱出を急ぐべきだって事だ」

 

 核による爆撃があるかどうかに関わらず、だ。と俺はクレアを諭した。

 

「どのみち、脱出は早い方がいい。感染リスクだけでなくまごまごしてればデカいバケモノやゾンビ以外の厄介なバケモノに襲われる率も高くなる。感染者は常に飢えている。身体の変異にエネルギーが足りず餌を常に求めている。生存者がいるとわかれば群がってくるだろうからな」

 

……かく言う俺も、さっきから腹の虫が鳴っている。研究員とかがロッカーとか冷蔵庫とかに入れていた食い物を食って今まで虫養いしていたが、この身体はデカくなった分エネルギー効率が悪く、かつ大食らいのようだ。

 もしくは考えたくも無いがまだ俺のこの身体は変異しているのかも知れない。だとしたらどうなってしまうのだろうか。

 

 もし変異して知性の無いバケモノになり果ててしまったら……。

 

 いや、よそう。

 

 俺の身体に目覚めてからなんら不調はない。筋肉が痩せたり急激に増加したりもない。臓器にも変調はなくただ腹の虫が鳴って空腹なだけだ。極度の飢餓感も無い。

 

「わかったわ。なんにしてもここに長居したく無いし早ければ早いほどたしかにいいわね」

 

 クレアは少しやるせないような表情だ。おそらく街にいる政府の救助を待っているだろう生存者達の事を考えているに違いない。

 

……脱出を急がせるならもう少し、なにか方便のような理由を考えて言うべきだったか?

 

 と少し俺は後悔した。

 だが正直に話す以外に俺には方法が何も浮かばなかった。

 

……なんとか、リカバリーせねば。

 

 だが何を話しても彼女の気持ちを晴れさせるとは思えない。俺に女の子の扱いなどどうすればいいかわからない。

 

 ぐうぅ。

 

 先ほどから鳴っている腹の虫が人に聞こえるほどに大きく鳴いた。

 

 それを聞いてクレアが俺の腹を見て目を丸くしたかと思えば、ぷっ!と吹いた。

 

 ナイス腹の虫。

 

 だがクレアちゃん、腹から下はなるたけ見ないでくれたまえ。全裸なのがバレるからな。

 

 俺は肩をすくめ、薬品を運ぶ時に使ってたショルダーバックから板チョコと缶コーヒーを出し、クレアに差し出した。

 

「こんな気の利かないところじゃモーニングもランチも出てきやしない」

 

 俺は昔に見た何かのアニメ映画の主人公が牢屋で言ったうろ覚えのセリフを言った。まぁ日本語のセリフを英語に直して言ったので、もしアメリカに輸出されてても多分わからないだろう。たぶん翻訳されたセリフとは異なってるだろうしな。

 

「ワクチンが出来るまでまだ時間がかかるだろ。もう抽出工程だから操作も終わってる。少し休憩しよう。糖分は疲れにいいんだ」

 

 そうして俺とクレアは、とりあえず床に座ってささやかなコーヒータイムをする事にしたのだった。

 

 




 最初からろくでもないキャラのスペンサーがさらにろくでもない奴になっていくという。

 だが忘れてはいけない。

 主人公がスペンサーを恨んでいる理由は主に頭髪が無くなったのと水虫薬をけなされたからだということを。

 あと、真面目に話しているときは研究者としての側面で話すが、普段はテキトー。まちがいない。

 とりあえずスペンサー殺さなきゃ(使命感)。

 戦え!主人公!村でドミトレスク夫人とガチムチパンツレスリングするまで!!

 

ネメシス君をどうするかアンケート

  • ネメシス君と巨乳ママ博士仲間入り
  • ケツほいランサー死亡
  • 暴走して戦車砲で博士諸共殺される。
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  • 主人公捕らえられ章エンド

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