とうとう、コジマ・イズ・ゴッド!でCV画伯なあのキャラとカズが再会。
エヴァもでるよ?(MGS3とMGS4の中間くらいな姿で)。
フランスの港を出航したザンジバーランド船籍の旅客貨物船『アウターヘヴン号』にセシール・コジマ・カミナンデス教授と彼女が連れて逃げていた元ウルフパックの隊長ルポの息子はいた。
このアウターヘヴン号は元々捕鯨母船として建造途中だったのだが、世界中で反捕鯨の気運が高まり未完成のまま放置されていた船を、鉄屑同然の値段でMSFが購入し、ほとんど船の鉄骨以外の部分をフルオリジナルで建造したスペシャルメイドの船である。
無論、MSFのとんでも技術がふんだんに使われており、ちょっとやそっとの攻撃ではビクともしない重装甲に光学迷彩の一種であるオクトカム外装を搭載、武装もあちこちにわからないように収納されており、なんなら格納庫にはヘリやら戦闘車両やら戦闘メカまで搭載されている。
なのに外見はただの外洋旅客貨物船にしか見えないし、内部もちょっと豪華な旅客船のようにしつらえたゲスト用の区画が設けられており、どんなに優秀な諜報員であったとしても、この船が戦闘用に改造されていると見抜けはしないだろう。
それほどに徹底して偽装されているのである。
……なお、この船を造るのにかかった費用は並みの戦艦の約四倍。『賢者の遺産』とサイファーの様々な技術情報が無ければ造船は不可能だったという。
そんな船に匿われたセシール・コジマ・カミナンデスとルポの息子の安全は完全に確保されたと言ってもいいだろう。というか中身MSFな船に手を出せばそれは自殺行為というものだろう。
「君からの救難信号を受け取った時には驚いたよ。それもフランスでだ」
セシールに手ずから淹れたコーヒーを出しつつ、金髪オールバックにサングラス、仕立ての良いスーツ姿の男がそういった。
この男こそ、MSFの副司令であり、ザンジバーランド民主主義連合国の外務大臣『マクドネル・ベネディクト・ミラー』こと『カズヒラ・ミラー』である。
「ええ、私も一か八かだったけどあなた達があんなにすぐに来てくれるとは思ってなかったわ」
セシールは持っていた上品な白い革のポシェットから携帯無線機を取り出して言った。
なお、無線での救難信号はカリブのマザーベースにいた頃、つまり1975年頃にカズヒラ・ミラーが登録していたものである。
『コジマ・イズ・ゴッド!コジマ・イズ・ゴッド!』
無線機には紐がついておりそれを引き抜くだけでそのコードを発信するようになっている。それはセシール専用の救難信号であり、またカズヒラ・ミラーはその信号を何を置いても最優先に救助するように指定していたのである。
それは彼女がカリブ時代のMSFにおいて敬愛すべき『友』かつ『みんなのアイドル』の一人だったからであり、MSFの仲間達の誰もそれを反対などしなかった。むしろ友情の証として賛成したのであった。
……まぁ、カズヒラ・ミラーの下心も多少は入っていたのだが。
その救難信号を受信したアウターヘヴン号の諜報員達は速やかに船から陸に上がり、そして信号の発信場所へと急行、アンブレラのエージェント達を囲んでフルボッコにし、セシール達を救助したのである。
「まぁ、君は俺達MSFにとって今でもVIPだ。どこへいても助けるさ。とはいえ……行き先が中南米とはまったく奇遇だな。この船の次の行き先はキューバ経由で中南米に向かう」
「ヤザン君の所に行くの?」
ヤザン『君』とセシールは現中南米大統領を呼ぶ。彼女の記憶のヤザンはまだ若い傭兵であり、傀儡政権と戦っていた青年の頃のイメージが強い。
コードネームは『ファイヤ・リザード』。それがヤザンの昔の名前だった。
「ああ。とはいえ奴とは今も『協力体制』にあるが久々に『昔の友』と会うのも悪くはない。……いや、君には話しておいた方がいいだろう。君が連れていた子供を攫おうとしたのは製薬会社アンブレラのエージェントだ」
カズはサングラスを外し、セシールを見て状況を説明する。
「アンブレラが児童誘拐(キッドナップ)をしようとした原因は子供の母親がアンブレラを裏切った事が原因と見られている」
カズは一枚の写真をテーブルに置き、セシールに見せた。
「カリーナ・レスプル。元フランス特殊部隊所属。アンブレラの私設傭兵部隊『U.S.S.』に入隊し、ウルフパック隊の隊長としてアメリカの地方都市ラクーンシティで起こったアンブレラ製ウィルス兵器の大量流出によるバイオハザード、通称『ラクーンシティ事件』に投入された。これについては俺達も調査しているが、彼女はこの流出事件の証拠を隠滅する為に活動していた……らしい」
カズはもう数枚、写真を並べた。
「……!」
セシールは目を見開き、息を飲んだ。それはラクーンシティに溢れかえる生きた死人の群れや、走る犬の死体、脳みそが露出したようなもはやクリーチャーとしか呼べないような化け物の画像だった。
「……アンブレラが流出させたウィルス兵器の犠牲者達だ。このウィルスによりラクーンシティは生ける屍や化け物が溢れかえる死の街と化した。アンブレラは証拠隠滅の為にアメリカ政府や米軍上層部の自分達の傀儡を動かし、核による浄化作戦を決行。まだ生き残っていた一般市民ごと街を焼き払った」
「そんな、そんな事が……?」
「……投入された傭兵部隊はそのほとんどが壊滅した。生き残った傭兵は『ウルフパック隊』と『U.B.C.S.のD小隊』のみで、そのどちらもアンブレラを離叛し、現在は中南米に逃げ延びた一般の生存者達を守っている。アンブレラがカリーナの子供を誘拐しようとしたのは、人質にとって生存者達を始末させようと画策していたのだろう。なんともゲスなやり方だ」
子供を保護出来た事は俺達にとっても非常に大きい、とカズが言ったと同時に司令室のドアがガチャリと開いた。
「あの子、やっと眠ったわ。とても怖かったんでしょうね。落ち着くのに時間が掛かったわ……」
入って来たベージュ色のツナギを着た女性が優しげでいてやや悲しみを含んだ声でそういった。
「……小さい子供の扱いは俺達には向かない。あんたが居てくれて助かった、エヴァ」
「そうでしょうね。まぁ、あの子達に比べたら素直ないい子だったわ。はぁ、というかなんでディヴもイーライもああ育ったのかしら」
「ボスの遺伝子のせいだろ。多分三人とも全力で否定するだろうがな」
「え?スネークって子供、いるの?」
「あ~、まぁ、双子がいる」
「子供って言ってももう成人してるけどね。というかまーったく母親の私になんの頼りも寄越さない永遠に反抗期みたいなのが二人よ、二人!正直、頭来たからこっちから連絡したらどっちもおんなじ事言うのよ!?『任務中だから無線するな』。しかもダンボール箱被ってよ?」
エヴァと呼ばれた女性はどうやらスネーク、つまりビッグボスの子供の母親、つまりビッグボス夫人かもしくは内縁の妻に当たる人物らしい、とセシールは理解した。
「へ、へぇ~、スネークって結婚したんだ……。というか子供が二人、って成人してるって事はコスタリカから数えてひいふうみい……」
セシールも昔はスネーク、つまりビッグボスに惹かれていた時代もある。が、性格的にあまり恋愛沙汰にはならず、むしろカズとバカばっかりやっていた為にある意味レースに乗れなかったような部分が大きい。
……まぁ、CV小林○うな時点でそんなもんな気がするが。
数えて計算して、コスタリカ時代では年数が足りない。ということはビッグボスが中南米に来る前に出来た子供という事になるわよね。というかスネークが中南米以前にどこで何をしていたのかはよく考えたらきいちゃいねーわ、私。なんぞとセシールは頭ぐるぐる、おめめグリグリ。
「え?パスちゃんはどうなったの?どうしたの?あれ?」
混乱するセシール。なんせ彼女はフランスに帰ってからビッグボスやMSFに関してあれからどうなったのか知らないのである。
つーかいつの間にかカリブからMSFはいなくなったし!たまに手紙とかは来てたから活動してるのは知ってたけど!
「ああ、私はほら、ちょっと表に顔を出せない稼業な女だし?……特に中華方面はしつこいから未だに根に持っててね……(ボソッ)。まぁ、パスがだいたい概ね第一夫人的な立ち位置?そんな感じかしら。……ゼロがおっちんだからあの子はもう誰からも狙われないし……(ボソッ)。まぁ、子供産んだから偉いのは私だけどね!」
なんか小声で途中ブツクサとなにやら挟まったが、最終的にドヤァとするエヴァ。
どうもその辺、サバサバしているようで何かしらのマウント合戦が裏で繰り広げられている様子である事をセシールは悟った。というか、スネークも大変なんだろなー、と他人事ながら思いつつ。
……スネークみたいな性格が三人、かぁ。
頭の中で、生でピラルクとかカエルとかガツガツ食ってる三人のビッグボスを想像して、なんとなく、うへぇ、とした。
実際は息子二人はビッグボスのような悪食では無いのだが、セシールのビッグボスの印象はだいたいそんなもんなので仕方あるまい。
「まぁ、安心しろ。この船の食事は普通にまともな料理が出る。というかボスみたいになんでも食おうとするような奴はこの船にはいないからな。まぁ、中南米につくまでこのアウターヘヴン自慢の料理を堪能してくれ」
カズがセシールの表情から何を想像したのか悟って苦笑混じりにそう言った。
よく考えたら、カズの声の人とセシールの声の人って、銀さんとさっちゃんだよなぁ。
なお、アウターヘヴン号なんて原作には出て来ませんよ、と。
平凡さん不在でええんかい、と思いつつ。