なんかタイラントになってしまったんだが。   作:罪袋伝吉

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いつも感想&誤字脱字修正ありがとうございます。

手負いの狐はジャッカルより凶暴だが、手懐けた狐はきっと有能。

タバコは男のコミュニケーションなのさ。でもとある蛇のようにポイ捨てはしない。エリートだから。


共闘まであと数日~平凡さんとハンター君(人間)

 ザンジバーランド初代大統領の就任演説の後、俺達がお節介を焼き、ミハイル隊長が生き別れの奥さんと無線で話をした夜。

 

 話を聞くなどという野暮な事はせず、俺はタバコを吸いに屋上に出ていた。

 

 満点の空の下、海の音を聞きながら吸うタバコはうまい。

 

 とは言えラッキーストライカーよりセブンシスターのが良いが日本のタバコなんぞここには無い。吸えるだけまだマシというものだろうが、うーむ。

 

「で、ハンター君。さっきからなんか俺に言いたいことでもありそうな感じで追いかけて来たはいいが、どうやって話しかけようか、とか迷って隠れてるのはまるで恋の告白をする乙女っぽいぞ?というか私は妻帯者でノーマルだから、応えられないぞ?」

 

 俺になんか用事がありそげかつ、なんか他の人に聞かれたくない素振りだったので、わざわざ話しやすいように屋上のデッキまで上がってきてやったのだ。

 

 頭を掻きながら物陰から出て来て俺の隣までやってきたハンター君に、ほい、とタバコを差し出してやる。 

 

「いえ、社長、そういうんじゃ無いですから。というか俺にも将来を誓った恋人がいますから」

 

 一本、タバコを取って、

 

「いただきます」

 

 と、礼儀正しく一礼してハンター君はタバコを口に咥えて自分のオイルライターで、チャキンと火をつけた。

 

 うーむ、どこの国の訛りなのかわからないが、独特で特徴的な話し方だ。鼻に抜けるようなぬるりとした感じなのだが、表情と仕草で妙にそれがカッコ良くキマっとるのだなぁ。キザとも感じかねないがそれが自然というのか。

 

「そうじゃ無くって良かったよ。しかし彼女さんがいるのか。なら心配してるんじゃないか?」

 

 澄まし顔で恋人なんぞと言いやがった。まぁ、一昔前なら俺もリア充爆発しろ、とか言ったかも知れないが女房子供がいる身であり、家族で風呂入って団欒した上はそんな心の狭い事なんぞ言わない。

 

 くっ、この色男め!止まりである(心広くなってそれかい)。

 

「いえ、この前に連絡はしてあるので俺の無事はもう彼女も知ってます」

 

 と、やや苦笑をする。連絡、という辺りで普通なら、ああそれは良かったと思うのだろうが果たしてどこから連絡したというのか。彼を含む生存者達はここに来る前は中南米の軍施設で保護されていたが、そこでは電話も無線も、外部との連絡は原則禁止になっていたハズなのである。無論、このプラントからの通話はエントランスの休憩所のところの公衆電話(テレホンカードが使える奴)か無線だが、そこはそれ、会話ログはどちらも残るので、彼らしき人物の会話記録が無いとすればいったいどこでどのように連絡したというのか。

 

 なお、ルポの場合は彼ら生存者達とは違い、軍施設経由ではないので独自にセシール女史と連絡したわけであるが、そういやそんときの連絡手段を聞くのを忘れてたな、うん。多分どこかの時点で電話を使ったのだと思うのだが。

 

 だが、ハンター君は俺がその事を言い出す前に話を切り出した。

 

「社長、あなたは俺と話すためにここに来た。余人に聞かれないように取り計らってくれたのでしょう?」

 

 そう言い、タバコを一口吸って紫煙を吐く。まぁ、そりゃあわかるだろうなぁ、なんせ見え見えな感じでここに誘導したからな、と思いつつ俺も煙を吐いて、

 

「なに、君が敵じゃないのは知ってるさ。だが、君にも立場というか事情があるんだろ?」

  

 やや芝居がかった仕草で肩を竦め、そう言った。

 

「ええ、ありがとうございます。ですが不用心では?本当に周りには誰もいません。これでは……、いえ無理ですね。あなたを害する自信は全く浮かびません。量産型タイラントならまだしも、本当に全く」

 

 ハンター君は人差し指で頬を掻く。冷ややかな声だが、額にやや汗が浮かんでいるのを見れば割と緊張しているのがわかる。

 

「うーむ、女房子供が出来たばかりなのに害されるのは勘弁して欲しいところだが。まぁ、そういうつもりでここに来たわけじゃ無いんだろ?」

 

「ええ。もしそういう命令が出たなら、ここからお暇いただいて帰ります。無理です。もっとも、もう今の派遣先との契約は2ヶ月前に終わってますから、そんな命令聞く筋合いありませんけどね」

 

「ま、そんなら帰ることは無いだろ。君は優秀だ。これは本心から言っているが君のように事務関連の仕事がそつなく完璧にこなせる者はここでは希有だ。前の雇用主と契約が切れてるなら好都合、是非、ここで働いてくれないか?」

 

 今日、少し書類仕事を手伝ってもらったが彼の仕事ぶりは非常に良く、書類の作成の早さもミス一つ無い正確さも、そして仕事を覚える早さも優秀と言えるレベルだった。正直、彼の正体がなんだろうが欲しい人材である。

 

「……は?いえ、傭兵としての戦力ではなくて、事務として、ですか?」

 

 これにはハンター君も面食らったようだ。そりゃあそうだろう。おそらく彼は特Aクラスの戦闘能力を持っているのは、まぁ、俺の目にもわかる。だがここでは一般職、それも書類仕事が出来る奴が俺とエイダくらいしかいない。マジで出来る奴は喉から手が出るほど欲しいのだ。

 

「ああ。君はウチの社にまさしく欲しかった人材だ。なにしろ通常の業務がこなせるのは今まで俺かエイダくらいしか居ない!事務職希望の女の子達もいるが、彼女達は前の会社でも新卒の新入ちゃん達で、仕事を覚える前にバイオハザードに巻き込まれてここに来た子らだ。一から教えなければまだ戦力にならない、言わば尻に殻のついたひよこちゃん達、ピーヨピヨなのだ!仕方がないけど育てるまで手が掛かるんだ!」

 

 俺はここぞとばかりにまくし立てる。

 

「お、おぅ……。まぁ、確かにあの子達はそうですね。まだ事務職員としては使えるようになるには時間がかかるかと」

 

 よし、ここでハンター君が退いた。退いたら負けだぞ?俺は人材確保のためなら容赦などしない。事務職ゲットしてやる!!

 

「だろ?だろ?だが、君は彼女達に効率よく作業を教えてサポートしてたろ?それなのに自分の仕事はテキパキとこなしていた!早く上げてさらにミスも無く、小休止したいというちょうど良いタイミングでさらりと自然にコーヒーまで淹れてくれたりして、マジ助かったんだよ!」

 

 そして誉め殺し。逃がさへんでぇ?

 

「ええっと、まぁ、そう言っていただけると……」

 

 よし、掛かった。

 

「そう、君を私の部下としてスカウトしたい!そう、総務部主任のポストを用意しよう。これは会社にとって重要なポストだ。今はたしかに主任ではあるが、ゆくゆくは課長、部長と昇進も夢じゃないぞ?なんせ、現在、俺が全部それらの業務を兼任してるようなもんだから!!」

 

「あ~、まぁ、つまり会社運営にそれだけ人手が無い、と?」

 

「見りゃわかるだろ?まぁ人を沢山雇う余裕は無かったが、今度、おそらく多くの企業から滞っていた特許使用料が入る事になってな。……まぁ、某社に関しては詫び金云々とか言って来ているが、そっちは潰れるまでとことん特許差し止めの刑を食らわせるつもりだから、ぶっちゃけ和解等はやってやんねー所存だが……。ようするに広く人材を雇いたいところなんだよ。それとともに、つぶれそうな日本のとある会社を底値で買い叩く。クソのような社長も専務常務部長課長、それらを全員クビにして、再び余所に流れてった有能な奴らを連れ戻してな。だが、その前にこの本社の運営をきっちりと出来る人材が必要なんだよ。で、君だ」

 

「いえ、たった今日1日しか働いてませんが、それは早計というものでは?」

 

「いいや。俺の目は節穴じゃない。君は我が社にとってのライトスタッフだ。周りを把握し、自分の業務と他を調整し、スケジュールを立ててきっちりとこなせる。それも本業の諜報活動も手抜き無しでやらかすくらいに完璧だ」

 

「……いえ、社内に諜報員が入り込んでいるのに、それを雇おうと言うんですかあなたは」

 

「別に情報漏らされても特に困らん。ザンジバーランドかアメリカかどっちかは知らんけど、少なくとも今、君は自分からその話を俺にしようとしてたんだしな」

 

 ハンター君の顔が苦笑からとほほ、といった顔になった。

 

「降参です。強引な人だ、あなたは。仰るとおり、私はザンジバーランド、いえMSFからミラー副司令の命を受け、アメリカの特殊部隊に派遣され、そこからアンブレラの私兵部隊U.S.S.に潜入し、ロックフォート島にて初期の傭兵達の訓練教官をしながら、アンブレラが生産していたB.O.W.について調査をしていました」

 

「……なるほど。で、ルポ達同様、ラクーンシティに投入された、と?しかし君とルポ達は面識はなさそうだったが?」

 

「ええ、私はロックフォート島からフランス支部の警備に回されましたからね。当時、指導していた者で生き残れたのはD小隊のハンク、つまりあなたの部下になったウルフパック小隊のベクターの師匠くらいですが、彼くらいしかもう私を知っている者はいないでしょう。それにしても、私も顔をマスクで隠していましたし、ボイスチェンジャーも使ってましたから、まぁ、バレないでしょうね」

 

「ふむ。で、ラクーンシティから逃げて来た時はビジネスマンに化けて、か?」

 

「そうです。もうその時には契約期間が終わってましたし、ちょうどアメリカだったのでそのまま。ですが、アメリカの派遣先が、生存者の保護をしろと言い始めたのです。で、裏から彼らを守りつつ、脱出に協力していたのですが……。まぁ、あとはご存知の通りです」

 

「アメリカねぇ。いや、MSF関連だとは思っていたが、アメリカの特殊部隊に部下を派遣していたとはな。というかやはり対アンブレラ絡みで手を組んでいる、と?」

 

「ええ。と言ってもお飾りの大統領以下、現在の政府与党はアンブレラと蜜月を繰り広げてましてね。ですが、まぁ、腐ってもアメリカ、彼らの知らぬ所で国家と国民に忠を尽くす兵達はいるのです」

 

「……なるほどな。で、傭兵の君はどうするんだ?というかウチに残って働いてくれるのか?」

 

「あの、ですから私は傭兵ですよ?戦場しか知らない。戦うことでしか生きる意味を見いだせない男ですよ?」

 

「知らん。いいか、俺の有り難い説教をくれてやる。『生きてる意味なんざ生きてるうちには絶対にわからねぇ。死んでから誰か別の奴が勝手に結論づけて語るもんだ。だが、他人のそれが必ずしも正しいわけじゃねぇ。つまりは、人間が生きる意味なんざ誰にもわからねぇんだ。考えるだけ無駄だし、それよりも仕事して飯食ってたまに遊んで寝て、また仕事してた方がよっぽど自分と世の中のためになる。わかるか?戦場しか知らないなら、他がわかるまでやってみろ。そのうちおいおいわかるようになるからよ?」

 

「……なんて強引な論法ですかそれは」

 

「世の中の真理だ。自分の手は血にまみれてる、とか言うなよ。血に綺麗も穢いもねぇんだ。人間の歴史の中でどんだけの人間が戦って生き抜いて血を残してきた?殺し殺され、それでもその子孫の俺達は生きてるんだ。だからといって俺達は悪か?それとも戦争に勝った、それで善か?いいや、それは先祖にただ罪をおっかぶせてるだけだ。俺達は、これからの人生でいろんな事をやらかしていくだろう。だがな、罪は自分だけのものだ。先祖にも自分の子にも渡しちゃなんねぇんだ。だからこそ、お前はお前で別の生き方も模索しなきゃならねぇんだよ。いいか、ここで自分の身に新しい生き方を叩き込め。それでお前は胸を張れるようになる。俺は戦場以外も知ることが出来たってな。自分の子供に、未来の奥さんにな。だから、ここで働け。俺が道を示してやる!わかったな!!」

 

 俺の爺さん直伝、力業『わかったようなわからないような事を言って、とりあえず人生に迷ってそうな奴を勢いだけで説得する術』発動!!

 

 だいたい70%の奴はこれで圧倒されてイエスと言う(俺調べ)のだ。後の30%?大抵、ノーと言うよ?(ダメじゃん)。あと、真に受けた奴は大抵、何でこうなった!とか後で言い出すけど、ドンマイ!

 

「……ええっと、わかるようなわからないような。とは言え、まぁ良いでしょう。確約は出来ませんが、あなたとザンジバーランド側との交渉が上手く行けば、おそらく私はここに留まる事になるでしょう。まぁ、状況次第で、どうなるかはわかりませんけど」

 

 よし、力業成功だ。

 

「おお、そうか!いや、それならよろしく頼むよ」

 

 うむ、事務の戦力は欲しかったので、これはありがたい。……まぁ、MSFのバリバリの傭兵を事務員として使うのはどうなんだ?と言われればアレだが、まぁ、そっちに関しても多分コイツは助けてくれるんじゃねーかな、良い奴っぽいし。なんぞと思っておく。

 

 とりあえず、もう一本タバコを口に咥え、そしてハンター君にも差し出して。

 

「ええ。……しかし、いいのですか?もっと聞きたい事があるのでは?」

 

 ハンター君は俺のタバコにも火をつけてくれた。

 

「ん?いや、話したいなら話してくれ。だが君にも立場があるんだろ?」

 

 お互い、ぷはーっ、と煙を吐き出しつつ。

 

「……はぁっ。あなたは抜け目が無く強引な癖にやたら人の事情を考慮する。それでは情報戦に勝てませんよ。一つの情報が戦況を左右する事もあるのです」

 

「ふむ?では何か戦況を左右するような情報をくれるってのか?」

 

「……勝てませんね、あなたには。俺が言える事はそう多くはありません。俺の名前は『フランク・イェーガー』です。コードネームは『グレイフォックス』」

 

 ああ、なんだ、名前のことか。しかし『鉛の狐』とはまた渋いというかなんというか。しかし狐というとキタキツネ物語とか昔あったなぁ。

 

………懐いた狐は、犬よりも可愛いのだぁ!!って、いや、そうじゃない。

 

「ふむ、なるほど。ではハンター君じゃなくてイェーガー君と呼べ、と?」

 

「いえ、出来ればハンターで。一応偽名ですから」

 

 いや、わかる奴にはすぐバレるだろそれ。まぁ、わかるようにしてあるのかも知れんけど。

 

「わかった。で、あとは?」

 

「アンブレラの新型B.O.W.についてです。これはあなたにとって重要な事でしょう。……アンブレラのネクストタイラント計画は事実上、廃棄されました」

 

「ほう?つまり俺のクローンは造られなくなったって事か?」

 

「そういう事になりますね。あなたのクローンは二つの実験施設で計二体作られた模様ですが、どれも必ず暴走し、造った実験施設が例外なく完全に破壊され壊滅しています。そのうち一体が施設の自爆で消失、もう一体に関して、偶然MSFの工作員が潜入していた施設でしたので、その一部始終がレポートとして報告されてます」

 

 ハンター君はジャケットの内ポケットから折り畳み式の最新型と思われる携帯電話……に見せかけた、おそらくはi-DOROIDの進化型と思われる通信機器を取り出し、立体投影式の映像を俺に見せた。

 

 そこには、俺ソックリなタイラントがおそらくは撮影者に話しかけている様子が映し出された。

 

『君は自分のような者にも恐れず、親切にしてくれた。だから助けたが、ここからは俺はもう必要無い。君は君のその仲間と脱出しろ。研究施設にあったウィルスや自分のオリジナルの遺伝子は全て消失した。あとは自分が消えれば感染源はなくなるだろう。さようなら『スナイパーウルフ』」

 

『止めなさい!行くな!『カリギュラ』きっとあなたに巣くうウィルスを駆除する方法があるはずだ!!そんなこと、許さないぞ『カリギュラ』、行くなぁぁぁっ!!』

 

『……ウルフ、止めろ。クラーク博士でもウィルスの駆除はまだ無理なんだ。奴は、ここの人々の為に自分の命ごとウィルスを消滅させる覚悟をしたんだ。奴は……戦士なんだ』

 

『レイヴン!あんただって、カリギュラに助けられたんでしょ!!あいつを助ける方法がきっと、いつか見つかるはずよ!!死なせるなんて、カリギュラぁあっ!!』

 

 火山の火口に、俺のクローンはゆっくりと進んでいく。焼けた岩肌が、その足を焼き、じゅおぉぉぉっと激しい煙を上げる。

 

 レディウルフと呼ばれた女の叫びが聞こえるが、振り向きもせず、カリギュラと呼ばれたタイラントはその足どりをゆるめることなく、その身を燃やすマグマの中へと入り、沈んで行った。

 

 激しく燃えるその身体はいつまでも、いつまでも炎を上げ、そして溶岩はそれすらも飲み込んでいった。

 

 プツン。

 

 映像が途切れる。

 

「……俺の分身ながら、なぁ。いや、分身なれば、か。ザンジバーランドに俺が駆除薬のサンプルを送っていれば、助けられたのか……?」

 

「それはわかりません。ただ、彼『カリギュラ』と呼ばれた個体を失った『スナイパーウルフ』は本国に帰った後も意気消沈して仕事が手に着かなくなっているとか。とてもややこしいですが、まぁ、オリジナルの存在については彼女には言わない方が良さそうですね」

 

「……俺をオリジナル呼ぶな。というか、ややこしくなりそうだからそれが良いだろう。好意的に思われても逆に嫌われてもかなわんからな」

 

「……とはいえ、ネクストタイラント計画は凍結されたのは確かなのですが、しかしあなたの凍結された生殖細胞はアンブレラの手の中です。……あなたのクローンはその一体だけでも基地を壊滅させる戦闘能力を持ち、さらには五メートル級の黒人ベースのタイラント『ヘラクレス』を容易く撃破、装甲列車砲台『ベテルギウス』を破壊し尽くし、多頭の大型の蛇のB.O.W.『ヒュドラ』、怪鳥型B.O.W.『ルフ』を叩き落とし、と、もう神話の英雄ですか、と言うほどの脅威ですからね」

 

「……なにその昔のハリウッドのコマ送りムービー的な冒険活劇。つーか俺のクローン凄すぎるだろ、おい。しかもラストが火山に入ってって俺より格好良すぎだろ」

 

「ザンジバーランドのシギントが、報告と映像を見て、『こいつは映画化すべきだ!こんな血湧き肉踊るようなアクション!そして涙無しでは見れないこの彼の最後!!感動しかねぇよ!!』と…… 」

 

「……やめてくれ。多分、クローンが生きてても嫌がる。俺が保証する」

 

「まぁ、そう報告しておきましょう。それはさておき、あなたの凍結生殖細胞の事です。まだMSFもアメリカも掴んでませんが、おそらく近日中に運ばれた所は判明するかと。あなたのクローンやもしくは息子、娘が製造されていたなら、そしてもしもその個体が『カリギュラ』とは違い、理性を破壊されていたならあなたの戦闘能力が必要です。それに、新型のウィルスの存在も報告されてますので、それについても『白陽社』のワクチン技術が必要となるでしょう。……社長、戦いの準備をお願いします」

 

 ハンター君はそう言い、ポケット灰皿を出すとタバコの火を消してそこに入れた。

 

「俺対俺、か。どっかのB級映画みたいだな。だが、他の女との子はややこしいから、クローンのが、なんぼか家庭に波風立てんで良いかもしれねーけどなぁ」

 

 こうして、俺とハンター君との話は終わったが。

 

 あちこちに盗聴器を仕掛けているエイダにこの会話は聞かれており、あとで色々と揉めたことは付け加えるべきであろう。

 




・自分の知らんところで分身が活躍してたよ平凡さん。

・フランク・イェーガー(事務主任)。

・レディウルフさんとバルカンレイヴンさんが、知らんとこで活動していた、という。

・なお、クローンが火山に入って消滅したのは、ち○こ切り取られてた事に絶望したから、というのは内緒だ。あと、暴れたのはスメル・センスで悪人の臭さに耐えられなかったからだ。


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