なんかタイラントになってしまったんだが。   作:罪袋伝吉

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いつも感想&誤字脱字修正ありがとうございます。

溶岩に入って死んだ軟弱なボスクラスのB.O.W.はそんなにおらんのよねぇ、バイオでは。

モーフィアスがオカマなド○ンジョポジになっている、という。また、設定があんまし無いキャラなので、その辺を創作して弄ってありますが、まぁ、オカマやし?後々、ガンサバでT.S.化するし?


閑話~オカマと暴君~

「ノサーップ岬でじーさんが~カリギュラ~カリギュラ~♪」

 

「……なんだ、この歌は」

 

 『カリギュラ』は目を開けて周りを見回そうとして、自分がいるこの場所が暗闇で閉ざされている事を確認してうんざりした。

 

 彼はアンブレラの施設を壊滅させ、全てのウィルス兵器を消滅させ、そして最後には自分の身体にあるT-ウィルスごと焼却するために火山の火口に入って行ったのだが……。

 

(自分が生きている……だと?)

 

 忌々しい事に今の状況は、クレイドルと呼ばれる調整槽にかつて自分が繋がれていた時に酷似している。

 

 おそらく、自分は死にそこない再びアンブレラに回収されてしまったのだろう。

 

(あの火山の溶岩の超高熱でも死ねなかっただと?!)

 

 ギリッ、と忌々しそうに歯を軋ませるカリギュラ。 

 

「ノサーップ岬でばーさんも~カリギュラ~カリギュラ~♪」

 

……つか、この歌なんやねん。じーさんもばーさんも知ったことではないが、なんかめっさ腹立つわ。

 

「あ、目が覚めたようね、カリギュラくん。ん~、バイタル安定、脳波もいい感じねぇ」

 

 なんかキモい、オネェ的な口調で唄っていた奴が、

 

「ボヤクノフ、カバーをお開け!」

 

 と、何者か……おそらくボヤクノフという名前なのだろう……に命じ、

 

「アラホラさっさーっと!」

 

 ポチっ、とわざとらしい音とともに調整槽の金属の覆いが外れた。

 

 そして円筒形のガラスだけになる。そしてガラス越しになんか、ケバい化粧をした男とも女ともわからぬ、長身の男と、それよりやや背が低い出っ歯のずる賢そうな男と、ややずんぐりとした筋肉質でやや乳がデカい女の三人組がカリギュラの前に立っていた。

 

「あたしはモーフィアス・D・デュバル。アンブレラ本部の主任研究員よ。まぁ、あなたの命の恩人ってワケ。んふふふふふ」

 

 声からすれば、男である。ルネサンス期の貴族のような服の上から白衣を羽織っている男がそう名乗った。

 

 その隣の緑のスーツ姿の出っ歯男が、

 

「あー、ズルいズルいわー。私とトンズレアが回収してきたのに!」

 

 とか言い、

 

「そうですわ、そうですわぁ!」

 

 と、紫のタンクトップにカーゴパンツの筋肉女がムホホームホホーっ、と鼻息を鳴らす。

 

 おそらく、平凡さんが見たらド○ンジョ一味かな?と思ったかも知れないが、カリギュラにそんな知識は無い。

  

「うっさいわね、あたしは頭脳労働、あんたらは肉体労働!」

 

「ギャラはモー様のが上じゃない!」

 

「しどいわしどいわ!」

 

 非常にやかましい。

 

 イラッと来たのかカリギュラが

 

「うるさい。貴様等良くも要らぬ事をしてくれたな?……そんなに滅びたいのか貴様等は」

 

 と言うのもしかたあるまい。というか非常にウザい。

 

 ギロリと睨みつけると、真ん中のモーフィアスと名乗った男以外、つまりボヤクノフとトンナレアはヒィィッ!と縮み上がったが、腕を組んだモーフィアスは平然としており非常に含みありそげに笑い、

 

「命は大事よぉ?あたら粗末にしちゃいけないわぁ、カリギュラちゃん。もちろんあたしらは滅びるつもりないんだけど、ちょっと話だけでも聞いてくれないかしらぁ?」

 

 鼻にかかったオネェ的な口調で言った。

 

「……ふん。命を弄んで天然自然の摂理をねじ曲げ、哀れな怪物共を生み出すキサマ等が何を言う。キサマ等の愚言に惑わされぬ。アンブレラは滅びよ」

 

 カリギュラはグググッと腕に力を込めると、腕の拘束具がバキッと外れる。

 

「あーあーあー、まだ調整槽から出ない方が良くってよ?全身重度の火傷と、欠損した左腕も再生中、ち○ことタマタマちゃんもまだちゃんとくっ付いて無い状態だから……」

 

 透明なテクタイト封入ガラスを割ろうとしたカリギュラがピタリと止まる。

 

「……ち○こ?玉……?」

 

 カリギュラは製造されたときに男性器を切除され、生殖能力を奪われている。それゆえに絶望し、また怒り狂ったのだが……。

 

 自分の下半身を見て彼の分身が確かにそこにある事を確かめ、目が驚愕のあまりクワッ!と見開かれた。

 

「……なんと?!」

 

「んふふふふ、奴らは廃棄せず、そこから新たなB.O.W.を造ろうとしてたんだけど あたし達がちょちょいと盗み出してあなたに返したってわけよ。あなたの大好きな『例の傭兵ちゃん』もビックリモッキリな雄々しい逸物が今出ちゃったら取れちゃうかも知れないわよぉ?……で、話聞く気になった?」

 

「……盗み出した?どういう事だ?」

 

 モーフィアスは肩を竦めて自分達の境遇を語った。

 

 曰わくモーフィアスは元々、スペンサーやマーカス、アシュフォードの三人がアンブレラを立ち上げようとしたときに融資した資産家達の家系の一つデュバル家の傍流の長男であるらしい。

 

 デュバル家はヨーロッパにおいて大銀行を営む財閥であり、未だにアンブレラ社に融資を行っているのだが、このモーフィアスはそのアンブレラ社を監視する為に一族の長老であり、財閥の当主にアンブレラに送り込まれたらしいが、スペンサーがやらかしたマーカス殺害に端を発するラクーンシティでの一連の事件の調査結果をデュバル家の当主に送った為、命を狙われる事になったと言うわけである。

 

「ぶっちゃけ、デュバル家は先代のアシュフォードと親好があって融資してた所があったんだけど、スペンサーには貸しはあっても借りも恩義も無いのよねぇ。そりゃあ、アンブレラには儲けさせてもらった所もあるけど金融はシビアよ」

 

「で、それと俺のち○こを盗み出して戻した理由は何だ?」

 

「……せっかちね」

 

 ふう、とモーフィアスは溜め息を吐き、肩を竦めてつまらなさそうに言った。ある種、この男は美形ではあるがオネェ的な仕草がやたら様になっており、非常にキモい。

 というよりもワザとやってんじゃないか?と思うほど仕草がウザい。

 

 モーフィアスは紫のルージュで塗った唇を鋭くし、息をすうーっと吸うと、

 

「最大の理由は、あんたみたいな並みのB.O.W.を遥かに超える戦闘能力と並みの天才を超える超頭脳を持った存在をこれ以上アンブレラに造らせないため!もう一つは、あんたをザンジバーランドに引き渡して、デュバル家がザンジバーランドと金融やらなんやら……まぁ、私には実家の思惑なんてどうでもいいんだけど!……関係を結ぶ口実にしろ、とか実家から命令されてんだけど、いい加減アタシももう家とかそういう政治的な思惑とか駆け引きとかウンザリしてるからそんな事ほっぽりだして、ザンジバーランドに亡命する材料としてあんた連れて行こうって思ってんの!」

 

 だーーーっとまくしてた。

 

「……お、おう」

 

 オカマのこういう、オネェな半ギレ調に慣れていないカリギュラは、なんだコイツと思いつつも勢いに押されてそう言うしかなかった。

 

 ぜぇーはぁー、ぜぇーはぁー、と息を切らすオカマ、もといモーフィアス。

 

「つまり、ぶっちゃけ、あたし達、ザンジバーランドに亡命しようと思ってんの。あんたにも悪い話じゃ無いと思うのよ。……あっちのクラーク博士はマッドサイエンティストって話だけど、大丈夫、彼女を抑えられる人物とコンタクトをとってあなたの身の安全は保証してくれたから」

 

「……自分の身にあるT-ウィルスを彼女の国に持ち込むわけにはいかぬ」

 

 モーフィアスの言葉に、しかしカリギュラは首を横に振った。しかしモーフィアスは笑って、

 

「今ザンジバーランドにはあなたのオリジナルが開発した治療薬があるわ。で、あなたの治療も出来る。そのクレイドルの中にいる限り、ウィルスの拡散は無いし、そのまま投薬も出来る。ウィルスから解放されるのよ、あんたは」

 

「ウィルスを駆除、出来るのか?というか俺のオリジナルとは、何者なのだ。T-ウィルスを造りだしたアンブレラですら対象を殺さずにウィルスを治療する薬剤を持たない。これは俺もデータベースでも確認している。それを造りだせる人間……。よほどの天才に違いあるまいが?」

 

「……薬学の世界では、天才と言われている男よ。耄碌したスペンサーは、その怒りを受け、とんでもない不死身の巨人を敵に回してしまったのよ。姿も貌もあなたと同じだって話よ」

 

「……自分と同じ?つまりこの身と同様の姿のB.O.W.にされた男が自分のオリジナルだと?」

 

「そういう事よ。でも、会わない方があなたとオリジナルのためよ。同一の存在が出会えば、多くの場合はろくな事が無いって、昔から相場が決まってんのよ」

 

「……一卵性双生児の存在でそれは否定出来る、というのが現在の論説のはずだが?まぁ、人の心理には自分は詳しくない。何にせよ、ウィルスを駆除出来るならば、ザンジバーランド行きに文句は無い」

 

 何にせよ、カリギュラはザンジバーランド行きを了承した。問題の全てが解決するならば彼にとっても悪い話ではなかったからだ。

 

 ち○こが戻り、さらに感染拡大の危険も無くなれば、カリギュラのカリギュラはカリギュラ出来るのだ。平さんのタイラント君より、多分カリギュラのカリギュラ君はハッスルカリギュラになれるはずだ。

 

 わけわからんけど。

 

……もっとも。女性に対してヘタレな遺伝子を持つ彼がスナイパーウルフに対して果たしてカリギュラ出来るのかどうかなど、誰にもわからない。なにしろウィルス云々より、ち○こが無いことで悲観していたくらいだから。

 

 それに、マッドサイエンティストのクラーク博士が実験材料である彼を見逃してくれるかどうか、という問題があったりするわけだが、まぁ、それも不明と言うものだろう。

 

 しかし、これだけは言える。

 

 おそらく、一番不幸なのはエメリッヒさんところの息子さんだろうが、とはいえこの物語の彼は、スナイパーウルフさんと出会う未来線が無いハルなので、まぁ、いいか、と書いてる人は思ったりなんだり。

 

「よぉし!ザンジバーランドに向かうわよ!……D.D.便で」

 

「アラホラサッサー!」

 

……というか、お前ら宅配便で行くんかい。

 

 と、言うわけで、オワレっ!




 モーフィアスは美しい世界に自分が君臨するという変態キャラでしたが、この物語では彼の美意識をマトモな方面にして、しかしオカマにする事にしました。

 まぁ、後々T.S.化するんですけど、少しこの物語での立ち位置がガンサバのモーフィアスとかなり変化します。


 なお、ボヤクノフとトンズレアの二人はオリジナルで、影は薄いけど、ようするに某ド○ンジョ一味のあの二人がモデルです。

タイムボカンシリーズ、大好きだったんですよ。ボヤッキーの全国の百万人の女子高生のみなさーん!ポチッとな、の名セリフがもうリアルで聞けないのが悲しいです。八奈見乗児さんの御冥福をお祈りいたします。

なお、冒頭のアレは、フニクリフニクラの節でどうぞ(この替え歌を知っている人がどんなけいるか不明ですけど)


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