なんかタイラントになってしまったんだが。   作:罪袋伝吉

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更新、遅くなってすみません。いつも誤字脱字訂正ありがとうございます。

酒を飲める状況じゃなかったので書けなかったのねのねのねん……。

なお、原作ゲームの設定なんぞかなり無視。つかT+Gウィルスはガンサバ4やっちゅーねん。






TG(性転換なアレ)なウィルス

 

『からころも、裾にとりつく我が娘、ボコれなかったよロリコン野郎』【シーナ島にて平凡さん詠める】

 

 (※訳:変態ロリコンをボコろうと思って胸ぐら掴んだけど、俺の娘とおぼしき ようぢぉが俺の足にとりついて泣きながら、ふぇぇぇぇ、と、こんな顔→(>_<)で、ポカポカポカポカ叩いて来たので結局ボコれなかったよ)

 

「うぇぇ~ん、パパぁ、あーくん殺しちゃだめぇぇぇ~!ふぇぇぇん」

 

 ちょまっ?!

 

 娘を救出するために来たというのに、なんで俺、娘にポカポカ叩かれてんだよ、つーか悪いのは変態ロリパイタッチ野郎じゃねぇか、おいおいなんでこうなったんだよ?!

 

「あーくん殺したら、パパのこと嫌いになっちゃうからぁ!」

 

「ぐっふぅ!!」

 

 クリティカルヒットであった。その一言は思いの外に俺の心を抉った。

 

 な、何故だ、なんかわからんが『パパのこと嫌いになっちゃうからぁ!』と娘に言われるだけで何故にここまでダメージが入るのだ?!つうか娘も娘でなんで俺のことをしっかり父親だと認識しとるのだ、おかしいだろう?!

 

 つか、自分の娘とはいえ会うのもこれが初めてなのに何故こんなに効くのか自分でもわからんが、その言葉だけで、

 

「ごばっ……!」

 

 俺はヘルメットのハッチをオープンして、血を吐いて膝を着く。

 

「おわぁっ?!なんか血ぃ吐きやがった!?」

 

 変態ロリパイタッチ野郎はえんがちょ!とばかりに飛び退いた。

 

「ええっ?!」

 

 娘が目をまん丸くして固まったと思ったら俺の顔を見て、また泣き出した。

 

「ふぇぇぇ……、パパ死んじゃいやぁぁぁっ!」

 

 ポカポカポカポカポカポカポカポカ!と取り乱した娘は俺をなんか余計に叩く。

 

 いや、「パパ死んじゃいやぁ!」とか、「ぢ(死)ぃなーないでぇぇぇ!」とか言いつつなんで叩くの君は?!取り乱してるのはわかるけど、心になんかダメージがパないぞ娘?!つーか落ち着け、わりと打撃の連打も効いてるぞ、痛いぞ、つかアーマーの無いとこを集中して狙うんじゃない!

 

……ぬ、ぬぅ、そういえば凡太郎が映画を見ていたときに悲しいシーンで泣いてしまった時にも似たような感じになった時があったが、これはまさか進化した脳に付与された能力なのか?つか、俺の子とかになんかあったらこうなるんか?!

 

 ぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽか……。

 

 なんとか娘を落ち着かせるまで、娘にシバかれつつ心になんかダメージくらいつづけた。

 

 なお、ズボンのがやや破れ、太ももが軽く腫れてたが、なんだかんだでこのようぢぉもBOW、そのパワーは俺の血を引いてるんよなぁ……。

 

 とりあえず飴ちゃんとチョコを娘に与えて娘の機嫌を取ることで俺の吐血はストップしたが、もう少しで出血多量になるところだったぜ……。

 

 

 

……などと思っていたが。

 

 

 

 俺、『T+Gプロトウィルス』に感染しとったわ。ついでにアーク・トンプソンもごっばぁっ!と吐血しやがった。

 

「……結局、俺は敵の設備で即席で治療薬を調合する羽目になるんだな」

 

 そう、あれから吐血が止まら無かったのだ。というかアーク・トンプソンのが症状は深刻であり非常にヤバい状況だった。

 

 俺も、最初の吐血は違うが太ももをぽかぽか叩かれた時にズボンがなんか破れ、そっから傷が行って娘から感染したのだが、我が娘ながら対弾対刃繊維を殴って破くなんてどんなパワーしてんだよ。

 

 つーか太ももなんか真っ赤になってんなー、とか思ったら炎症起こして腫れて、みるみるウチに表面が膿んで爛れ、それで感染がわかったというわけだ。

 

 そしてアーク・トンプソンの身体に異変が起こった。吐血とそして身体のあちこちに緩やかな変化が起こり始めたのだ。

 

 そう、アーク・トンプソンが女体化し始めたのだ。

 

 乳が膨らむわ髪の毛は伸びるわ、尻は大きくなるわ太ももはふっくらするわ、俺もめちゃくちゃ驚いた。

 

「ち、ち○こがっ?!俺のち○こが無くなっていく!?タマタマがなんか身体んなか入っていくぅ?!なんぞこれ?!」

 

 奴は股間に手を当てて顔色真っ青にして……というか、ゾンビ化しかかっていた。

 

 しかも、この俺の胸にもなんか乳が出来始めて、マジで俺は焦った。

 

「な、なんぞこのウィルス?!」

 

 そこからはもう大慌てで検査キットを使い、血液やら細胞やらを検査し、あらかじめ用意していた『T+Gウィルス』用の治療薬を試したのだが、それが全く効かないときた。

 そう、あらかじめザンジバーランドからもたらされた『T+Gウィルス』のデータを元に造ったはずの薬がだ。

 

 そうこうしていくうちにアーク・トンプソンがどんどん巨乳になっていき、さらには乳から母乳を出し始めたので、焦った俺はアーク・トンプソンと娘を抱えて治療薬を造れる設備のある薬剤研究棟を目指しBOWやらなんやらぶっ飛ばしながら猛スピードで向かった。

 

 正直、俺の人生のうちでこんなに焦ったことは無かったと思う。俺の心はゾンビになる云々の前にちんことキンタマが無くなる恐怖の方が勝っていたのだ。

 

 薬剤研究棟に着いてからは脳みそフル動員、アーク・トンプソンと娘と俺の血液やら細胞やらを採取してi-DOROIDを使って特効薬の構造をデザインし、たったの20分で治療薬を合成、俺もアーク・トンプソンも女体化ゾンビになることを阻止でき、また再び男に戻ることが出来たというわけである。

 

……まぁ、俺はアーク・トンプソンよりはまだ進行は遅かったけど、それでも死ぬほど焦ったぞ。乳が膨らんできた時にゃもうな……。

 

 つーかなぁ、ザンジバーランド側からもたらされた『T+Gウィルス』のデータがまーったく役に立たんかったのはどーゆー事だよ、おい!と、薬投与してから文句言ったらなんか今回の作戦に情報提供者として参加している『T+Gウィルス』をアンブレラで研究していたとか言うオカマ野郎がギャーギャー抜かしやがった。

 

「てめぇ、何が『T+Gウィルス』の権威だボケェ!つかオマエのデータで薬造ったのに『T+Gプロトウィルス』には効かねぇじゃねーか、この変態オカマ野郎!!」

 

《知らないわよぉ!私の持っているT+Gウィルスのデータは全てそちらに送ったつもりよぉ!というか同じ祖を持つウィルスでも進化の仕方が変われば別物になるなんてありふれた話でしょうに!》

 

「知るかボケェ!てめぇ、俺のクローン由来のTとシェリーのGサンプルでシミュレートしたから完璧だとか抜かしてたろうが!!つーか、現場で役に立たねぇデータなんざクソだ!!おかげで俺はパパからママになっちまうところだったろうが!この役立たずが!!」

 

《女体化しちゃっても良いじゃないのよぉ!というかよっぽど私が欲しかったTG(トランスジェンダー)用のウィルスとして完成してるじゃないのぉ。……ヒトシちゃん、サンプルをアタシに頂戴?それさえあれば……》

 

「いいわけあるか!つーか絶対渡さねぇからなボケェ!この世からこんなウィルス、この俺が駆逐し尽くしてやるわダァホが!!」

 

 ああ、通信で話してるだけで殺意が沸々と沸いてくるこの感覚。というか実際、俺はこのオカマ野郎に恨みがある。

 

 モーフィアス・D・デュバルという厚化粧の変態オカマ野郎なのだが、俺がまったく身に覚えが無いのに一児の父親になってしまったのは奴のせいなのだ。

 

 すなわち、俺の遺伝子とナスターシャの卵子を使って凡太郎(ネメシス)を造りだしたのがモーフィアスというオカマなのである。

 

『つまり、あたしがターシャちゃん(ナスターシャの愛称)とアンタの結びの女神というわけねん?感謝しなさーい、で、あんたらもうヤったの?』

 

 オカマという人種に関して今まで俺は偏見というものを抱いたことはあまり無い。……気色悪っ!とは思ったりこっち寄るんじゃねぇ、ぶっ飛ばすぞ!とは思うが、あのオカマ野郎に関してはとりあえず偏見云々関係なく、いつか殺すとすら思っている。

 

『ターシャちゃんの美しく愛らしい顔とぉ、最高の筋肉美をもつ最強のタイラントの遺伝子を掛け合わせて現代のヘラクレスとも言うべき美を持つ超人を自分の手で創り出そうとしたのよぉ!……なのに、なのにぃ!アイツ等、ワタシの手からあの子を奪って、あろうことか下手な手術で、あの愛らしい顔をあんなに傷だらけにして『Ne-α』を寄生させたのよ!許せる?!アタシは許さない!!』

 

 奴は『私は美を創造する』とかいう、化粧品メーカーとかエステ業者のようなポリシーの持ち主であり、『美しい世界を自分の手で創り出す』という夢のために私利私欲でろくでもない研究を行っていた正真正銘のマッドサイエンティストだった。

 

 T+Gウィルスの研究もその一環であり、奴は自分自身を『美しい存在』へと昇華させるためのウィルスを造りだそうとせっせかせっせかと活動していたらしい。

 

『グログロしいゾンビやクリーチャーなんてお呼びじゃないのよ!誰もが美しく進化出来る究極のウィルス、性別さえ超越して!それが私の理想!おわかり?私はアーティストなのよぉ!』

 

「何がアーティストじゃボケェ!芸術家気取りで勝手に人の息子造ってんじゃねーぞダラァ!つか何が進化じゃ!ウィルスなんざ病原性微生物じゃどアホぅ!俺の拳で脳みそ爆発させるぞこの美意識勘違い変態オカマ野郎が!!」

 

 俺はブチッ!と無線を切ってしまった。

 

「あーくそ、マジで腹立つわ、クソ!」

 

 i-DOROIDを荒々しく腰のケースに仕舞い、床に寝転っているアーク・トンプソンを見た。

 

 髪の毛は伸びたままだが、なんとかデカかった胸が萎んで大胸筋が発達した元の男の体型に戻っている。顔もなんか女顔に変化していたのが無精髭のにーちゃんな顔へと戻っている。

 

「……おい、ちんことタマは戻ったか?」

 

 おそるおそる聞いてみる。

  

「ああ、一時はもうだめかと思ったが男に戻れた……。良かった、マジ良かったぁ……」

 

 女体化しかけたアーク・トンプソンが情けなく……いや、誰だって女体化しそうになったらこうなるだろう。涙目でぐったりしつつもズボンに手を突っ込んで股間をニギニギして感涙にむせんでいた。

 

「サイズも元にもどったよ……。オッサン、ありがとう、ありがとう……!俺の命の恩人だぁ……!」

 

……いや、ちんこニギニギすんなよ。つか起き上がって俺の手を握ろうとすんな。

 

「人生最大のピンチだったな。お互いに」

 

……つうか、俺も女体化なんぞして女房と子供(ナスターシャと凡太郎)にどんな顔して会えばいいんだとか思っちまったぜ。

 

 元凶となった娘は、くかーっくかーっ、と寝息を立てて大の字で床で寝ている。サラシ布を胸と股間に巻いてなんとか全裸ではない格好になったが、どっかで子供服を探してきて着せたい所だ。しかしその前にウィルスをこれ以上ばら撒かないようにウィルスを駆除せねばならない。

 

 女体化ウィルスがパンデミックを起こしてみろ、世の中トランスジェンダーの巨乳ゾンビだらけになりかねないからな。

 

 まぁ、薬剤調合機に娘用のウィルス駆除薬の材料はもうセットしてあり、あと十数分でそれは完成する。

 

「ふぅ、我が娘ながらべらぼうなトラブルメイカーだぜ」

 

 俺は胸ポケットからラッキーストライカーを出し、口に咥え、アーク・トンプソンにも「どうだ?」と勧めた。

 

「もらう。つうか金欠でタバコなんて久し振りだ」

  

 チャキン、とブラスのジッポライターで火を着けてやり、俺達はすぅっと煙草を吸い、そして深々と紫煙を吐いた。

 それは溜め息と同義であり、また同じ厄介な危機を乗り越えたという安堵の息とまた同義だった。

 

 さっきまでコロしたろか、とか思っていたがこうなったらアーク・トンプソンに対して怒りはもう無くなってしまっていた。

 

 というか俺はミラー外相からの資料にあったアーク・トンプソンの性犯罪歴がどうも疑わしいとさえ思っていた。

 

 コイツの臭いからは犯罪者特有の嫌な臭いはまったく検知出来ないし、むしろそう、コイツの臭いからはクレア・レッドフィールドに似た正義感の臭いすらあるのだ。

 あのラクーンシティの地下研究所の危機的状況でシェリーを助けようと必死に足掻いていた、あの感じだ。それに、レオンにも似た感じすらする。

 

「……ふぅ。こんな仕事、いくら報酬が法外に良くても割に合わねー。つか、ここから脱出できたら絶対、レオンの野郎をぶん殴ってやる」

 

……ん?んんんん?なんか聞いたような名前が出たぞ?

 

 何か、不自然な何かを感じがする。俺の第六感が囁く。何故、ここでレオンの名が出るのだ?と。

 

 俺は、ポケットから缶コーヒとカロリーメイトを出しアーク・トンプソンの前に置いて、

 

「駆除薬とワクチンが出来るまで時間がある。何があるかわからんからな。それにトランスした分、カロリーも消費しているはずだ。今のうちに栄養補給しておけ」

 

 と、言いつつ。

 

 俺はアーク・トンプソンから何かとんでもない情報の断片が得られるだろうという予想のままに、話をする事にした。

 

 そう、このアーク・トンプソンがポロッと言った『レオン』が『レオン・S・ケネディ』だというのなら、おそらく俺達は踊らされているに違いないのだ。

 

 俺の頭に浮かんだのは、俺達の会社に定期的に連絡する『心の無いレオン』の事だ。

 

 レオンからの通信の中に、どうも向こうに人間が誰もいない、人の気配がしないような、機械が無理矢理レオンの振りをしているような、そんな感覚を覚える時が度々あり、ずっと俺はそれが引っかかっていたが……。アーク・トンプソンの情報からその正体が掴めるかも知れない。

 

 俺はなんでも無いように、自然にアーク・トンプソンに話しかけた。

 

「それ、レオン・S・ケネディの事か?新米警官の」

 

 その名前を出すと、アーク・トンプソンはすぐに食いついて来た。

 

 そして。

 

 アンブレラなんぞ問題にもならないほどにより大きく見えない得体の知れない何かがいる事を知る事になった。

 

……やめてくれ、いやマジで。

 




 
・ガンサバイバー同士はストーリーが繋がっていないんですよねぇ。アーク君もその後出て来ないし。

・モーフィアス女体化フラグ。

・というか、レオンがいくらアホでも親友のアーク君を巻き込むかぁ?という疑問。

・娘、とんでもトラブルメイカー。

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