・天狗ショーの意味がわからない?良い子は気にすんな?悪い子は調べてみようね?
・パイオツハザードという……。
【シーナ島・アンブレラ研究所資材置き場】
「うわぁぁぁ!!隊長っ、隊長ぉぉぉっ?!」
トライポッドと共に研究所内のBOWの掃討を行っていたザンジバーランド軍特殊強化戦闘服部隊、通称『天狗兵』の三番隊【クロウ・チャーリー】の隊員がいきなり天井のダクトから現れたリッカーの変異種と思われるBOWに襲われた。
そのBOWは長い髪を振り乱し、そしてなんかやたら巨乳な乳からブシューッ!ブシューッ!と白い液体……おそらく母乳だろう……を噴き出しつつ天狗兵にのしかかり、牙の生えた大きな口を開いて、
「ギシャーーーッ!!」
と叫んだ。
が、次の瞬間、その叫んだ首がスパンと跳び、そして痙攣したと同時にパタリと倒れた。
隊長と呼ばれた天狗兵がその手に持つ高周波ブレード……『タクティカル・ワキ』と呼ばれる脇差しサイズのブレード……で、素早くそのBOWの首を跳ねて隊員を助けたのだ。
「……ルーキー、レーダーに頼りすぎるな。敵の気配、場の空気を読むセンスをもっと身につけろ。襲われるまで気がつかない愚鈍さもどうかしているが、その後もお粗末すぎる。あと、襲われてレイプされる女みたいな声を出すな。……帰還後、訓練施設に再送だ。みっちり扱かれてこい」
天狗兵三番隊【クロウ・チャーリー】の隊長は新人を叱責すると、その腹の上で死んだリッカーの変異種の死骸を足で蹴ってどかした。
ぐちゃり、とまるで軟体生物のように変異種は腹を見せて新兵の横に転がる。
そして、
「ファイブ!この無能を起こしてウィルス除去を行え。広範囲の除染もだ!このビッチ、どんなウィルスを仕込んでやがったかわからんからな」
と、部下に命令した。ルーキーは白濁した粘りのある液体、母乳まみれになっており、洗浄せねばいくら対BC装備仕様と言っても感染のリスクがある。
「了解。噴き出したのが酸でなくて良かったな。ママのミルクを思い出したか?ルーキー」
ファイブが横になったままのルーキーに背中に背負ったタンクの除染薬を噴霧する。バシュ!バシュ!と勢いよく断続的に噴き出すそれは結構な勢いがあり、ルーキーは、
「うわっ!?」とか「ぶわっ!?」とか情けなく声を上げる。
それを見て情けない、とチャーリーリーダーは思った。
精鋭部隊である天狗兵、それもベテランの兵士で構成されるべき『クロウ』の名を冠する部隊員としてこの新兵は役不足であるとしか言えなかった。
(おそらくは他の連盟国出身、それもコネでの軍役なのだろうが、思ったよりもザンジバーランド軍、いやMSFも政治に流され過ぎているようだな)
内心溜め息をつくチャーリーリーダー。
このチャーリーリーダーは古くはカリブにMSFがあった頃からの兵士である。歳をとってからは訓練教官として前線から退いていたものの強化戦闘服の発展によって再び現場にもどって来た、歴戦の兵である。
つまりビッグボスと共に戦ってきた古参の兵士であり歴史の証人とも言える彼だが、しかしそれゆえに、現在のザンジバーランドの在り方には多少の不満があった。
その不満は、様々な国々と連合同盟を結んでザンジバーランドが大きくなり過ぎた事に起因する。
いやそれが政治の世界ならばまだ彼も目を瞑る。なにしろ戦場の犬の自分には政治など自分にはわからないと思っているからだ。
しかし、この新兵のようにその連合した国家の王や首長などのコネでザンジバーランド、いやMSFの主力軍に入ってくる奴が近年増えているのはやはり我慢ならない。
(確かに誰もが最初は新兵であるのは間違いないが、それにしても正規の精鋭部隊にこう言うのが入ってくるというのは問題がありすぎる)
そう思いつつもチャーリーリーダーは忍耐力を発揮し、ここは戦場のキルゾーンの中だとそれについて考えるのを止める。
「シーカー、付近に他のBOWは?」
「反応はこの下に数体、あとは離れて何体かあります。コイツはダクトを伝ってここまで這ってきたのでしょう」
シーカーと呼ばれた大型の無線機器を背負った天狗兵がi-DOROID-Tabと呼ばれる大型の二つ折りになった端末から画像を投影して隊長に説明した。どうやらこのシーカーという隊員は通信兵兼レーダー索敵要員のようである。
「ダクトか……。トライポッドはどうした?相当数追加されてダクトや排水溝、様々な所に侵入して調査しているはずだが?」
だが、シーカーは首を振る。
「今、担当オペレーターの207に照会してますが、調査に時間が掛かるとのことです」
それはつまり本来、監視網を敷いているはずのトライポッドの正確な数や所在や位置すらもオペレーター207はまともに把握できていない、という事だ。
クソッタレ、とチャーリーリーダーは吐き捨てるように言い、
「もうオペレーターとトライポッドは当てにならないと考えろ。各自警戒態勢!司令室に直線通信を繋げろ」
と、隊のBC兵……元は衛生兵……であるクロウフォーがBOWの死骸から体液の採集を行いつつ、
「隊長、このBOWの身体にはトライポッドのスタンを喰らった痕が無数にある」
と、身体についている火傷のような痕を指さした。
「少なくともアイツが通って出てきたダクト内のトライポッドは破壊されてると見ていい。コイツの爪にもトライポッドの人工筋肉の組織が引っかかってるが、かなり強い力で無ければ人工筋肉はこんな風にちぎれない。本来コイツはかなり強い個体のはずだ……」
「ルーキーに襲いかかって、何故すぐに殺さなかったのか、と?」
「……はい。トライポッドのスタンを食らいすぎて弱っていたせいなのかも知れませんが、何か引っかかります」
BC兵のフォーがそう言ったときに、ルーキーの身体がビクン!と跳ね上がり、ゴフッ、ゴフッ、と激しく咳き込み、いきなり自分のマスクを取って血を口から吹き出した。
「いかん!ファイブ、下がれ!」
しかし、ファイブはルーキーが激しく吐き出した血を身体に浴びてしまった。ファイブは慌てて下がり、自分にも除染薬を噴霧したが、しかし、
「うぐぁっ?!な、なんだこれは?!」
と、身体を曲げてやはり咳き込み、そして、
「うげぇっ、うぐぁぁっ?!隊長っ、これは……!」
と、やはり血をマスクの隙間から噴き出した。ファイブは仲間達にその血がかかるのを防ぐために後ろを辛うじて向いたが、
「くっ、苦しい、俺の、俺の胸が、胸が膨らむ?!あ、ああああっ!!」
「隊長ぉぉっ、ああっ、俺の、俺のちんこ、玉が中に入って、あ、あああああっ、た、助けて!!」
ルーキーとファイブの身体はみるみるうちに女体化していく?!
「司令部!司令部っ!!応答してくれ!異常事態発生!繰り返す、異常事態発生!クソッ、オペレーターっ!仕事しやがれ!!」
なかなか繋がらない無線にシーカーの叫び声が響く。
そして、チャーリーリーダーが、吐血した。
「ゴフっ、ゴフッ……、ぐぅっ、あのビッチの乳汁は、感染させるための?!簡易防護じゃ防げ無いのか?!ぐほぉっ!!」
「あ、あ、リーダー!!クソッ、司令部っ!!司令部っ!!」
こうして、天狗兵部隊・クロウチャーリーは全滅した……。
〔わけでは無いのだが、まぁ、戦線復帰はとりあえず当分は不可能だろうね。ヒトシ・タイラーには君達を助けるために大幅な足止めを食らってもらおう。さぁて、ジャミングを外してお望みの司令部への通信を代行してあげよう。君の声でね、シーカー君。なーに大丈夫さ。女体化は免れないだろうが命だけは助かるさ、多分。私のオリジナルの時とは違ってね〕
どこかの暗い場所から、声も出さずに何者かが笑う。
神経の根をようやく世界の網に張れた、過去の亡霊が再び動き出し、また世界を牛耳ろうと活動を再開し始めた。
彼の名はジョン・ドゥのプロトタイプの予備AI……などでは無い。00、ダブルオー、サイファー・ゼロ、と呼ばれる、ゼロ少佐の思考パターンを正しく再現した代理AIである。つまり、真のジョンドゥの完成品である。
〔……プロトタイプは破壊されて当然の、わかりやすい場所に置いていた。無論、私への情報蓄積の為にも使われていたのだがね。私は誰よりも慎重な質だと言うことは知っていたはずだと思ったが、まだまだ甘いなビックボス。……いや、ジョン。まだまだ世界は我々を必要としている。世界をチェスボードにしてまた遊ぼうじゃないか〕
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《ヒトシ!緊急事態だ!君が感染したウィルスがシーナ島、研究所の資材置き場や他の地点、それも数カ所を汚染している!天狗兵の部隊が壊滅的な打撃を受けているが、新型のウィルスは簡易対BC兵装では感染を防げない!!現在、Sクラス防疫スーツの兵士を送って救助を試みているが、通常型の除染薬の効果も薄く、治療薬はそこで君の造ったものしか無い!》
緊急事態である。俺は内心、頭を抱えたくなったが、これでも医療人である。
だが、人数を聞いて本当に頭を抱えてしまった。
天狗兵四チーム、つまり24人が女体化BOWになりつつあるとミラーは言った。やめてくれ、マジで。
「……今製造出来ているアンプルは34個。急ピッチで造っているが、ここにあるだけでは材料が足りない。それに、治療薬は一度だけでなく、計算上、1日6回、三時間毎に投与する必要がある。材料の輸送は可能か?》
《必要な材料を言ってくれ。これでも世界規模の輸送会社のオーナーだぞ。タイムリミットは三時間以内だな?任せてくれ。トライポッドも使って大急ぎでそちらに輸送する!頼んだぞ!》
……そうして、俺とアークはこの部屋から出られないようになってしまったわけだが、しかし。
運び込まれてくる患者、というか兵士達はみなほぼ手遅れだった。
いや、命という点では助かる。それは確実にだ。だが、男としてはもはや助からないという意味ではもはや壊滅的だ。おそらく半数以上は男には戻れまい。
「これ、みんな兵士かよ……。みんな巨乳になっちまって……」
アークが痛ましい物を見るような目で兵士達を見る。
デカくなった乳のせいで胸部装甲がもはや着けられず、それどころかT-シャツもぱっつんぱっつんで入らず、モロにデカ乳をさらし、床に座らされ、壁に持たれさせられている。
デカい乳からは母乳が垂れ流され、ズボンの股間には血……おそらく女体化に伴う月経のものだろう……が染みを作っている。
部屋に充満する乳臭さと嫌なウィルス感染者が放つ特有の臭い俺は顔をしかめる。
「……ワクチンを接種していてこれか。なんてウィルスだ」
俺は順次、治療薬を兵士達に注入していく。アンプルはあれから急いで合成したが、すでに材料は尽きてしまった。
二回分までの治療薬はあるが、つまりあと六時間、いや調合の時間を考えれば五時間以内に薬の材料が届かなければアウトだ。
ようやく全員に治療薬を打ち終え、抗ウィルス剤の点滴を施し終えた時、大尉の階級章を付けている南米系の男……いや、もう女になっているが……意識を取り戻し、アークの方を向いた。
「……ううっ、おまえ、ピーピング・リザードか。お前も、このミッションに加わっていた、か」
「そのラテン語訛り……それにその呼び名、あんたクロウ教官か?!」
「ははは、やはり……そうか。やはり、呼び戻されたか。お前は……問題児だったが、優秀だった、からな……。気をつけろ、アーク。我が軍には敵が、入っている……。デジタル情報は、疑え。信じられるのは自分だけだ……」
それだけ言うと、クロウ教官とアークに呼ばれた男……いや、もうすでに巨乳で黒い長髪の女になってしまったが……は意識を再び失った。
「教官……」
アークはがっくりと膝をついてうなだれる。
「なんて事だ、なんて……。クロウ教官が、あの顔面鬼瓦の、殺しても死なないようなおっさんだったのに……!」
俺はアークの肩に手を置き、
「アーク、彼は死ぬわけじゃない。いや、場合によっては死ぬより辛いかもしれんが……」
と、慰めようとしたが、
「うわぁぁぁっ、中身、クロウ教官でちんこ立つなんてぇぇぇっ!!つか、褐色肌やのに乳首ピンクなんてドストライクなのにぃぃ!!おっさんで立つなんて黒歴史やろぉぉぉっ!!」
ボコっ!
とりあえずアークはしばいておいた。無論、超手加減したけどな。
「おまえ不謹慎だぞ。つうか男としての機能は正常に戻ったようだが、その妙に無節操なんはどうにかしろや?な?」
「違うんや……、俺もまさか元男でちんこ立つとは思わへんかったんやぁ!つーか、こんな美女でこんな形の良い乳、反則やろぉぉぉ!!」
消毒液を入れるホーローの洗面器を拳に傷が行くのもかまわずガンガン叩きながらアークは血涙を流して叫んでいたが、とりあえずうるさいし患者の迷惑なので再びシバいておく。
「うおぉぉーん!」
「やかましい!このダアホ!患者に迷惑じゃ!」
「だってよぉぉ、こんなおっぱいいっぱいで美女いっぱいなんて、夢みたいな状況なのに実際はみんなオッサンやなんて、天国が地獄やないかぁ!」
あーもう、わけわからんことを抜かしやがるなコイツは。
「それはそうかも知れんが……。だがお前も巨乳になりかけてたろうが。顔もかなり美女になりかけてたぞ?」
「え?……マジ?」
「マジ。……まぁ、俺の嫁には劣るがな」
「……いや、俺、人妻には興味ないし」
「そうか。そりゃ良かった。コイツらの中にも既婚者もいるだろうよ」
いや、考えてみるとマジな話、既婚者とかどうなるんだろうな。自分も一歩手遅れだったなら家庭が崩壊しするはめになっていたかも知れない。
本っ当に洒落にならん!!
そう心の中で叫ぶ。本当に叫ぶと患者に迷惑だからだ。
俺はミラー外相から送信された兵士達の顔や人相と、ドックタグの情報をi-DOROIDで照合していく。
「……ものの見事に美形化されているな。いや、美女化されているというべきか」
いや、どのように変化したのを見るためでなく既婚者がこの中にいるのかどうかとかを見るためだが、しかし、
「ええ……」
元の顔を見て、絶句する。
証明写真とかが何割り増しかで悪人顔になるのはよくあるが、こいつらの凶悪な面の兵士のビフォーアフターが滅茶苦茶すごい事になっている。
もはや美容整形とか形成とか遥かに超えたレベルの美顔である。しかもその人物の特徴はある程度残っている辺り、変異と言って良いだろう。
「つうか、何人か知ってる人間がいる。ザンジバーランド軍だったのか。……俺が入れられた訓練所は、つまり『ダイヤモンド・ドッグス』だったってわけか」
知らんかった、とアークが言うが、知らんと傭兵訓練所に入れられとったんかおまえは。
「つか、人の端末を覗き見すんな」
まぁ、見られたところでどうという事は無いが、コイツマジで抜け目無さ過ぎだろ。
『ピーピング・リザード(覗きトカゲ)』なぁ。実際、コイツは情報収集に特化したエージェントなんでは無かろうかなぁ。
「……あんたも教官達と同じザンジバーランドの軍人なのか?」
「いいや?まぁ、こうなってしまってはカバーストーリーは意味が無くなったな。……俺は自分の娘を助ける為に協力はしているが、本業は薬品開発だ。まぁ……戦うのは得意なんだがな」
俺はそう、包み隠さず話したが、
「……タイラント二体を軽くぶち殺せる、薬品開発を本業にしてるオッサン、なぁ」
アークはものすごく懐疑的な目を向けてきた。まぁ、そらそうだろうなぁ。よくわかる。
「……ラクーンシティでアンブレラに捕まってな。ウィルス実験でこうなったんだ。……つまり、俺は奴らの言うところの、タイラントの完成型、それも何ら奴らが調整も何もせずに変異した自然発生のタイラントなわけだ。……元々は普通の製薬会社勤務の水虫治療薬を専門に研究してた日本人だったんだがな……」
「自然発生のタイラントなぁ。治療薬が造れるのは研究者だったからか?」
「俺が天才だからだ。世界で初めて真の水虫の治療薬を作り出した男だぞ俺は。ノーベル賞待ったなしの男だぞ?しかも完全なT-ウィルスの治療薬も、G-ウィルスの治療薬も作った。もう、薬剤界に金字塔を建てられる快挙だと思うね、俺は。……ただし会社は赤字続き、黒いのは俺の勤務態勢、社長自らブラック業務に勤しんでいるぞ……?」
「あ~、オッサンも大変なんだな……」
「大変なんだよ。で、現場出て来たらこうだろ?娘は確保出来たからいいんだけどなぁ、帰るまでが仕事です、ってどんだけ残業なんだよ、これ。つーか日当出るのか?社員も来てんのに?!」
まぁ、そこはザンジバーランド、いやミラー外相との話し合い次第なんだろうけどなぁ。
お、噂をすればまたミラー外相からの通信が来た。
《ヒトシ、薬剤は必要数確保出来た。今からそちらに送る。なお薬剤調合にモーフィアス博士も同行している。頼むぞ!》
「ちょまっ?!奴はダメだ!奴は何かを企んでいる!!」
《わかっている。……ヒトシ、君の負担は増えるが、これはアンブレラを壊滅させるために必要な事でもある。詳しくはまだ言えないが、彼の目的は彼にしか出来ないのだ。……多分、君の力をまた借りることになるだろうが、彼はオカマの皮を被った……あー、何か訳の分からないオカマだが、しかし切り札をもった奴だ。そのために我々に協力しているまである。というか、もうあとちょっとで着くはずだ》
「いや、変態は寄越すな!!つーか、おい」
プツン、とミラー外相は通信を切り、何度コールしても繋がらなかったよ、おい。
・バイオハザード?いや、なんかウス異本とかにあるような設定だよなぁ。
・でも、ガンサバでT+GウィルスでモーフィアスはTSしたしなぁ。
・なお、女体化リッカーはアウトブレイク辺りに出て来た『下がり女』を元に捏造。乳から乳汁出すのはC-ウィルスのアレ風味。
・次回、オカマ登場。