ラスボス?そんなもんとっくに倒しちまったよ。やっぱゾンビ作品の締めは押し寄せるゾンビの群れやろ。
あと、お約束。
やはりというのか必然というのか。
俺が手はず通り列車の発着口へと到着したらゾンビの群が押し寄せていた。
ヴモォォォォォォッ!!ヴモォォォォォォッ!!と牛が鳴くようなモーター音をさせてクレアが列車の屋根の上で必死にガトリングーーー俺の肩の上のレオンが言うにはミニガンとかチェーンガンとか言うのが正しいそうだーーーをぶっ放してゾンビ達をなぎ払い、列車に近づけないように抑えているが、しかしどっからこんなにわいてきたんだと思うほどにゾンビ達は大量であり、いくら弾があっても足りそうになかった。
俺は二人を肩から下ろし、おそらく天井から落ちて来たのだろう、床に転がっているデカいH字鉄骨を片手で掴み、西洋の騎馬のランスのように小脇に抱えると、
「レオン、それとスパイちゃん。俺が突っ込んで道を作るから、俺の後ろから列車まで走れ」
と言った。
「あ、アナタがタイラントとは言ってもあのゾンビの群れに突っ込んで無事に済むとは思えないわ。無茶よ!」
レオンが何か言う前に女スパイちゃんが何故か心配そうな顔をしてそういう。
「そうだ、エイダの言うとおりだ。何か他に……」
レオンがデザートイーグルをゾンビの群れに構えつつ、言ったがそれには構っていられない。
「他の方法なんぞねぇ。クレアのガトリングの弾が尽きたら全てが終わっちまう!四の五の言わずについてこい!!吶かぁぁぁぁん!!」
日本男児の突撃ならばやはり掛け声は吶喊であろう。進軍ラッパがトテチテターと鳴らされそうなくらい古典的、だが燃える。魂的に。
西洋人と女性がおるんやが?というツッコミは受け付け無い。
情け無用の問答無用、我が駿馬は我が脚、我が槍はこの鉄骨とばかりに俺は列車に群がろうとしているゾンビの群れにフルパワーで突っ込んだ。
「長い鉄骨にはこういう使い方もあるんだぁぁぁ!!」
なんぞとぶち当たれば重い鉄骨の先は衝撃を伴ってゾンビの群れを文字通り一列に吹き飛ばし、あたかもモーセの十戒の海割りの如く列車までの道を作った。
「オラ、とっとと走れ!!全速力で列車に乗り込め!!」
俺はそう叫び、また押し寄せようとするゾンビ達に鉄骨を横なぎに振るい、連続フルスイングをかます。
ぶぉん、ぶぉん、ぶぉん!と力任せに鉄骨を振る度に大量のゾンビが砕け散っていく。
一振り大体二十体を吹き飛ばすスイングの連撃、しかしゾンビ共の勢いは止まらない。ふざけんな、どっからこんだけわいて出てきやがったんだ、クソッタレ!!
レオンと女スパイ……エイダって言ったか?が列車にたどり着き、乗り込んだのを確認すると俺は列車の運転席に座っているアネットに聞こえるように大声で、
「列車を出せ、早く!!」
と言った。もうクレアの撃つガトリングの音が止んだ。弾が尽きたのだ。
クレアは思い切り弾の尽きたガトリングをゾンビ達に投げつけ、そしてM-16に持ち替えて応戦するが、明らかに抑止力がそれでは足りない。列車に乗り込んだレオンとエイダが連結機から銃を撃ち援護するが、それもこのゾンビの数では焼け石に水だ。
列車が動き出した。ガコン、ガコン、と連結機を引っ張る音とディーゼル発動機の駆動音がガシュン、ガシュン、ガシュンと鳴る。
ゆっくりと、しかし確実に列車は速度を上げてプラットフォームから離れていく。
「アナタも早く乗って!!」
クレアがライフルを撃ちながら叫ぶように言うその声に
「応っ!!」
と応え、俺はゾンビ達を吹き飛ばしながら、鉄骨の先を床に叩きつけるようにぶっ刺すと、棒高跳びの要領でクレアのいる列車の屋根に飛び乗った。
「良いわ!アネット、列車を飛ばして!!」
クレアは大声でそういい、列車はすぐに加速を始めた。
「ふう、なんとかなった、か……」
俺は息を深く吐いた。さすがに心底疲れた。正直疲れた。だがこれで脱出だ。
「お疲れ様。最後のはきつかった……。というかダメかと思ったわ……」
クレアはペタン、と列車の屋根にへたり込むように座り、そう言った。
「ああ、クレアもお疲れ様、だ。しかし一体どこからあれだけのゾンビがわいたんだろうな、マジで」
俺は首を捻り考えるがそんなもんわかるはずもない。ただ、ゾンビ達の服装を見るにあれは研究所の職員とかでは無かろう。
おそらくは地上にいたゾンビがどこからか入ってきたとしか考えられないが、あんな入り組んだ構造の地下研究施設の最下層までどうやってあんな大量のゾンビが地上から来れるってんだ?
……研究施設のどこかにすぐに外に出られるような隠しハッチとかがあって、アンブレラの連中が俺達を抹殺するために遠隔で開けてゾンビ共を誘い込んだ?……とか考えて、まさかなぁ、と思うも、どう考えても一番考えられるのはそれしかない。
もしそうなら、奴らは俺達を監視していると言うことになる。
結論。列車の終着点で待ち伏せされている可能性大。
……次の敵は人間か。厄介だな。
おそらく、対俺用の兵器の投入もありうるだろう。奴らは量産型タイラントでは俺の相手にはならないことももう知っているはずだ。
装甲車両、いや戦車や対地ヘリを投入……。そうだとすれば、ラクーンシティを調査する名目で投入されるはずの米軍に偽装した部隊……いや、奴らの息のかかった軍人を使う、か。
……厄介極まりなさすぎる。
「まぁ、考えても仕方ないわ。あ~、風が気持ちいい~」
クレアは革ベストを車内に置いてきたのか今は脱いでおり、タンクトップ姿で、それは汗でぴっちりと身体に張り付いている。
いや、考えろや、と思ったがしかしそのクレアの無防備な姿に俺の目が釘付けになった。
……ぽっちがしっかり浮いてる、とか注意するのはセクハラだろうなぁ。しかし形良いよなぁ。風に乗ってクレアの汗の匂いがこっちにめっさ来る、って風下だから当たり前か。ぬぅ、意識してはいかん。ここは紳士的に、だ。くんかくんかしてはならぬ。
タイラントくんがおっきし始めて、
『よーんーだ?(むくっ)』
……呼んでねぇよ。つか、むくっ、じゃねぇ。
「……クレア、今は暑いだろうが、そんな汗だくでずっと風に当たってると風邪を引くぞ。それに基地が爆破されればその爆風が列車まで到達する可能性が高い。早く車内に……」
そう俺が言った時。
ぶちっ、と布が切れる音がした。
……あ、デジャヴ。
はらりひらりと、白い布が風で飛んでいく。
なんか焼け焦げた部分が妖怪一反木綿の目と口に見え、それが笑っているように一瞬、見えた。
リフトで変異タイラントと戦った際に奴の身に纏う炎は確かに俺には効かなかったが、しかしただの布であるふんどしはその炎に耐えられなかったようである。むしろよく今まで耐えていた、いや、何故にもう少し耐えてくれなかったのだ。
モロリっ。
ちょうど俺のタイラントくんはちょうど座っているクレアの顔面で元気に『こんにちわー』。
「キャーーーっ!!出ぇたぁぁぁぁぁぁっ!!」
クレアの悲鳴は嫌がってるからか何なのか。なんか目が笑ってるように見えるの何で?!というか凝視すんのやめてぇぇぇぇ!!つか何で身を乗り出してマジマジと顔近づけて見てんのよ、この娘っ?!
「いーやぁぁぁぁっ!!見ないでぇぇぇぇ!!」
ああ、またこのオチかよぉぉぉっ!!
そんなこんなで、俺達は脱出出来たが、まだその先には苦難が待ち受けている事が予測される。
俺達の明日はどっちだ?!
……まだまだ続きます、ええ。
なんか、ラストのはずが長くなったので分けました。
厄介なのはゾンビでもクリーチャーでも無く、人間が一番厄介なのです。本当は。
あと、タイラントくんはやはりオチ要員。
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