八幡、パパになるってよ。   作:滝 

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風呂場にて、小町は躾け躾けられ。

 夕食を食べ終えて人心地ついていると、ピロリロリンとまたあの音が鳴った。風呂のお湯張りが終了した合図だ。

 もちろん俺は昨日に引き続き一番最後に入ることになるわけだから、特に気にすることではない。ないのだが。

 

「ねぇ、ママ」

 

 んふふー、と妙にいい笑顔で小町が雪ノ下に話かける。うんまあ次に言う言葉はもう決まっているのだろうし、想像もついているんだが。

「久しぶりにお風呂一緒に入ろうよ」

「あら、珍しい事を言うのね」

 ひょっとしたら雪ノ下にとってもある程度規定路線ではあったのだろうか、すんなりとその答えが返される。

「いいわよ。久しぶりに入りましょうか」

「えへへ、やったっ」

 もしかして雪ノ下さん、昨日一色と小町が一緒に風呂に入っているのを見て実は一緒に入りたかったとか⋯⋯。なにそれ捗る。

 そのまま二人は脱衣所の方へ歩いて⋯⋯行くと思っていたのだが。

 小町は何を思ったのかソファで雑誌を読んでいる由比ヶ浜の肩に、後ろからしなだれかかった。

「ねえ、結衣ねぇも一緒に入ろうよ」

「えっ?」

 いやなんでだよ、と自分の事でもないのに思わず突っ込んでしまいそうになる。

 あんな狭い風呂場に、三人も入るのはだいぶ無理がある。小町ちゃん、ちょっと欲張りすぎなのでは?

「い、いいけど⋯⋯」

「小町、⋯⋯流石に三人は狭いんじゃないかしら」

「えー、でも今日は結衣ねぇ料理頑張ってくれたし、労いたいじゃん。小町が背中洗ったげるね!」

 小町ちゃんてば強引⋯⋯と新聞の中から三人の様子を窺い続ける。

 そうね、由比ヶ浜は頑張ったよね。俺たちも頑張らなきゃいけなかったけど。

「いいでしょ、ね?」

「仕方ないわね⋯⋯」

 結局押し勝ってしまうあたり、末っ子の特権というか。

 たぶん演技を無しにしても、小町のお願いというだけで二人はそれを受けるのだろう。普段から超可愛がられてるし。

 仲睦まじく脱衣所へと向かう三人を見送り、視線を新聞に戻そうとした所で一色と目が合う。いつから見られてたのかしら⋯⋯。

 ふわりと舞うように俺の前の椅子に座ると、もはや予想通りと言わざるを得ない一言をのたまった。

「三人が出たら、わたしたちも一緒に入る?」

「いや入るわけないだろ⋯⋯」

 そんな答えも一色にとってみたら予想通りだったのだろう、ふふんと愉快そうに笑いながら、俺に視線を投げつけ続ける。

 

「そっか。残念」

 

 娘の役らしく、砕けた口調に俺もつられて口の端が緩みそうになる。

 その顔があまりにも楽しそうだったから、本当に入ったらどうなるんだろうとか、ちょっと考えてしまうのだった。

 

 

       *       *       *

 

 

 二兎を追う者一兎も得ず、ということわざがありますね。

 今小町はこれがそういうことか⋯⋯と得心して消沈して絶賛後悔中なわけです。はい。

 

「うわ⋯⋯やっぱママの肌やば⋯⋯。白過ぎだしハリすごいし」

「そ、そう?」

 

 湯船に浸かる小町の目の前には、雪乃さん⋯⋯いえママの身体を洗う結衣ねぇの姿。本当はそのポジション、小町のところだったのに⋯⋯。

 バスルームに入った瞬間「昔みたいに洗ってあげるわね」と演技を続行する雪乃ママに身体を洗って頂きまして。

 ええそれはそれで至上の経験だった訳ではありますけれども、小町がママの身体を洗ってあげようとしたら、後がつかえているからと結衣ねぇにそのポジションを奪われてしまったんですね。本当は二人ともそのカラダを堪能じゃなかった洗って差し上げたかったのに!

 

「ボディソープ、何使ってるの?」

「これ⋯⋯」

 

 ママはこそばゆいのか気恥ずかしいのか、ちょっとあどけないぐらいの声色と口調で小分けのボトルを指差した。こうなった時の雪乃ママ、可愛い。年上に使うにはちょっと気のはばかられる表現だけど、可愛いったら可愛い。

 

「後で使ってもいい?」

「ええ、いいわよ」

 

 それにしても雪乃ママの肌⋯⋯結衣ねぇの言う通りなんじゃこりゃってレベルで綺麗ですね。ボディソープとかスキンケアとかめちゃくちゃいいの使ってそうだけど、それだけでこんな化粧品の広告みたいな肌になるんでしょうか。

 もちろん肌もさることながらそのプロポーション。どこの事務所所属ですかって聞きたくなるぐらい完璧で、パリコレに呼ばれないのが不思議なぐらい。ミスコンとか出るところ出たら優勝し続けられますね、これ。

 

「あ、⋯⋯ちょっと、結衣?」

「うん?」

 

 泡まみれのボディタオルが、ママの身体の前に回っている。結衣ねぇが抱きしめるみたいに、その細い腕を回していた。

 

「ま、前は自分でできるから⋯⋯」

「えー、いいじゃん。全部洗ってあげるよ」

 

 身体の震えで微かな抵抗を示す雪乃ママに気付いたのかあえて気付かないフリなのか。結衣ねぇは意気揚々とボディタオルでママの胸からお腹までを丁寧に洗っていく。

 あのー、結衣ねぇ⋯⋯。そうやって洗うとその豊満で暴力的な球体が押し付けられて、否が応でもママが自分と比較しちゃうと思うんですね。それにしても横乳半端ないな。

 

「まったく誰に似たのかしらね⋯⋯」

 

 背中に押しつけられる感覚に、ふっと雪乃ママが物悲しい目をして呟く。

 けれど全く、問題ないと思うんだけどなぁ。胸だって小町よりは全然あるし形綺麗すぎるし不公平すぎるでしょコレしまった触り損ねた。比企谷小町、一生の不覚⋯⋯。

 

「はい、お終い」

「ありがとう⋯⋯」

 

 よっぽど恥ずかしかったのか気持ちよかったのか、ママは結衣ねぇに身体についた泡を洗い流して貰う頃には顔が真っ赤になっていた。本当ずるいほど可愛いなこの人。

 しかし。

 しかしですよ。

 ようやくやってきましたよ! ここからはずっと小町のターン!

 

「じゃあ、今度は小町が結衣ねぇを洗ってあげるね!」

「あ、うん。ありがと⋯⋯」

 

 小町のテンションの高さに若干引いているけど、気にしない気にしない。

 湯船をママに空け渡すと、指をワキワキ。まずはたっぷりと泡を作りましょうかね。

 

「ママのソープ、これだったよね?」

 

 うんと頷く結衣ねぇの目の前からボトルを取ると、ボディタオルに染み込ませてタプタプに大きな泡を作り上げる。なんかメチャクチャ泡立ちいいなこれ。

 まずはボディタオルを使って、結衣ねぇの背中を上下に往復する。いや結衣ねぇもママの肌羨ましがってたけど、普通にというか普通以上に肌綺麗じゃないの。

 アップにされた髪から覗くうなじのラインと、柔らかそうな産毛。小ぶりな耳なんて、後ろからカプって食べちゃいたいぐらいに可愛らしい。

 

「結衣ねぇ、気持ちいい?」

「んー、いいねぇ。人に洗って貰うのって」

 

 結衣ねぇは鼻歌でも歌い出しそうなぐらい気持ちよさそうな顔を、バスルームの鏡に映している。

 それではそれでは。もうちょっと気持ちよくなって頂きましょう!

 漫画みたいなふわふわな泡の塊を作りあげると、ボディタオルを結衣ねぇの脚に掛けさせてもらって、いざ実食!

 まずはその柔らかそうな二の腕の感触から確かめて、細い手首を絡め取るように洗っていく。後ろからみる結衣ねぇのくびれが凄い。出る所と引っ込むところのバランスが完璧過ぎて、同性から見ても見惚れちゃうレベル。

 

「お客さん、痒いところはございませんか」

「んふふっ、くすぐった」

 

 まだじゃれつきの範囲を出ていないからか、結衣ねぇはどこか嬉しそう。いいですね、その無防備な感じ。次は脚いってみましょう。

 さりげなくくびれの描く曲線を確かめながら、その太ももの感触を確かめていく。やっぱり胸の大きさから想像もできないぐらい、細い。なのに肉感的で、柔らかくて、すべすべで。さわさわーって、いつまでも撫でたくなってしまう。

 

「ん⋯⋯」

 

 やがて小町の手が内股に到達すると、結衣ねぇの声色がピンクがかっていく。警戒される前に、大本殿にいってしまいましょう!

 

「ああぁっ⋯⋯、ちょっと、小町?」

「ずるいなぁ⋯⋯」

 

 可愛くって、スタイルも良くて、おっぱいまで大きくて、その上に性格までいいなんて。

 世の中不公平過ぎるよ。何なのこの重さ。沈み込む感覚。指に吸い付いて、離してくれないようなマシュマロのような柔らかさと、それでいてプリンのような張り。いつまででも揉み⋯⋯いえ洗い続けたくなってしまいますねぇ⋯⋯。

 

「結衣ねぇ、肩凝ったりしないの?」

「それは、あんまり無いけど⋯⋯」

 

 ほうほう、そうですかそうですか。ならば尚のこと羨ましさしかないじゃないですか。

 本当になんなのこのおっぱい。ハリウッド映画なら「日本よ、これがオッパイだ」って触れ込みで宣伝するレベルの最高級乳房じゃないですか。いろねぇのそれが双丘なら、結衣ねぇのこれは双子山。高さが違うのだよ、高さが。

 

「あの⋯⋯」

 

 そうやって小町が集中し過ぎていたからでしょうか。狭い洗い場のスペースで、雪乃ママが結衣ねぇの前で屈んでいるのに、声をかけられるまで気付かなかった。

 

「私も少し、触ってみてもいい?」

「え、ちょっ、ゆきのん⁉︎」

 

 さっきから横目で小町たちをチラチラみていたのは、そういう事なんですね。やっぱり興味ありますよね、このサイズ感。

 結衣さんは重量級のそれを雪乃さんに触られてすっかり素に戻っているけど、まだまだ小町のターンは続きますよ! もう演技なんてどうでもいいもんね!

 

「あぁぁっ⋯⋯」

 

 雪乃さんにたぷんたぷんとその重さを確かめられている所に、空いている方の胸の頂きを指で挟む。途端に声をあげる声も可愛らしくて、耳までハッピーになる。⋯⋯なんか小町やばい事言っちゃってますか? あ、はい、そうですよね。でももう止まれませんので。

 

「凄いわね⋯⋯」

「ゆ、ゆきのんまで⋯⋯や、やめて」

 

 そうは言っても結衣さんに逃げ場なんて無い。後ろは小町、前は雪乃さんに挟まれて、ちょっと涙目になってきている。可愛い。

 けれど雪乃さん、攻勢に出ているからといって油断しているのはらしくないんじゃないですかね。という事で、さっき触り損ねたそちらも頂いちゃいましょう。

 

「ちょっと失礼」

「え、ちょっ⋯⋯あっ」

 

 結衣さんの後ろから手を出して、前からちょいと。ちょちょいとその感覚を確かめさせて頂きますね。後から兄に一生自慢し続けないといけませんので。

 ふむ⋯⋯いやしかしやっぱり雪乃さん、そんなに小さくないのでは? しっかり柔らかさありますし、寄せてあげたら立派な谷間の出来上がり。

 ふにふにと形を変えるそれは、いわゆる美乳というやつですね。手の平に収まるサイズ感って、需要あると思うんですよ。iPhone miniみたいな感じで、特に日本人受けはいいはず。

 

「こ、まちっ、やめ⋯⋯っ」

 

 それにしても肌はすべすべ、身はもちもち。小町も一年後には、なんとかこの大きさぐらいまでは⋯⋯。

 

「「⋯⋯⋯⋯」」

 

 ふとみんな黙ってしまって、息を荒くしているのに気がつく。あれ、またやってしまいましたか。小町の神の手が堕としてしまったんですね、この可憐なるお姉様たちを。我ながら自分の才能が末恐ろしい⋯⋯。

 仕方ない。それでは最後まで躾けて差し上げ──。

 

「「小町⋯⋯」」

 

 んー、あれ。何ですかねこの空気。

 ほらまだ親子姉妹のスキンシップは続くんですよ。まだ小町は満足してませんから。

 結衣さんは雪乃さんと頷き合うと、スッと立ち上がる。

 

「小町、ここに座りなさい」

「はえ?」

 

 有無を言わさぬ勢いで、さっきまで結衣さんの座っていた椅子に座らされる。

 小町はもう、身体洗ってもらったんですが。なんで二人とも小町の前から後からと囲んでるんですか狭くないですか?

 

「うふふ⋯⋯小町ちゃーん。今度はお姉ちゃんが洗ってあげる」

「ええ⋯⋯ママも一緒にね」

 

 え、待って。

 こんなの⋯⋯こんな状況はまちがっている。

 小町がこれからしっかりとお二人を躾けるはずだったのに。

 何故二人ともお手てが泡まみれなんでしょうか。そして凄くいい笑顔をしてますね?

 

「いや小町はさっき洗ってもらんにゃあぁぁぁぁ!」

 

 四つの手が腕に、ももに、そして慎ましやかな膨らみを這い回り、優しい泡で全てが包み込まれていく。

 美人ママとめちゃカワお姉ちゃんにもみくちゃにされるなんて、小町的にポイント高い。これアカンやつや⋯⋯これはこれでクセになる⋯⋯。

 

「ま、ママ、結衣ねぇ⋯⋯」

 

 今、新しい扉は開かれてしまったのです。

 ママも結衣ねぇも、ちゃんと小町を躾けて下さいね⋯⋯。ぺこり。

 

 

 




お読み頂きありがとうございました。
またもR-15回でしたが、今回もそういうシーンに八幡の出番はなかったですね。
彼はあとから小町にレビューしてもらって悶えれば良いと思います。

それではまた次話でお会いしましょう。
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