異世界はBTとともに   作:ユウキ003

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タイタンフォール2と異世界はスマートフォンとともにのクロスオーバーものです。


第1話 転生

突然だが、俺は今危機的状況にある。

 

もしかしたら、俺はここで死ぬのかもしれない。

 

……それなのに。

 

不思議と恐怖は沸いてこない。

 

それは、傍に相棒がいるからかもしれない。

 

『こいつ』と一緒なら。

 

これからの俺達の行動が、フロンティアの未来を守る事に繋がるのならば……。

 

例えここで死ぬ事になっても、俺は構わない。

 

心残りが無い訳じゃない。でも、それでも……。相棒と、『BT』と一緒なら……。

 

「心配するなBT。どこへも行かない」

 

「了解」

 

相棒の声が聞こえる。

 

そして、次の瞬間、俺達は最悪の兵器、『フォールド・ウェポン』の中心目がけて射出された。

 

フォールド・ウェポンの中枢であるアークへと、俺達は突撃する。

 

そして……。

 

俺は相棒と共に光に包まれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺、『ジャック・クーパー』の生涯は終わった。

 

……はずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変申し訳ない。こちらの手違いで君を死なせてしまった」

「は、はぁ」

 

強烈なアークの光に包まれ、BTと共に爆発する炎に包まれたはずの俺は、次に気づいた時、何故か空の上のような場所で、不思議な格好の、髭の爺さんと対面していた。

 

正直、訳が分からない。空の上に床が浮いており、周囲には、何というか、古くさい物が多かった。

 

ここはどこだ?

目の前の爺さんは誰だ?

どうなってるんだ?

文字通り、疑問は尽きなかった。

 

「な、なぁ爺さん。俺は一体、どうなったんだ?俺は確か、フォールド・ウェポンの中心、アークにBTと一緒に突撃して、それで……」

「うむ。お主は死んだ。それは間違い無い。じゃが、それは正しい歴史と異なるのじゃ」

「ッ?どういうことだ?」

 

「……心して聞いて欲しい。本来ならば、お前さんはアークに向かって射出された直後、BTによってコクピットから下ろされ、投げ飛ばされ、何とかお前さんの仲間に回収されて生き延びるはずじゃった」

「ッ?!つまり、俺は死ぬはずじゃなかったと?」

「そう。本来ならば、お前さんは生き延びるはずじゃった。じゃが、こちらの不手際でお前さんの運命が狂ってしまった。なので、神を代表して、代わりにお主に新たな生を与える事にしたのじゃ。もちろん、お前さんの要望も聞こう」

 

「ちょっと待ってくれ。……アンタは神様なんだろ?神は実在したのか?」

「あぁ、しておるよ。ワシ以外にもたくさん神はおるぞ。……最も、神はあまり世界に干渉する事は出来んがの」

「どう言う意味だ?」

 

「例えばの話、戦争があったとしよう。じゃがそれは人間が引き起こした事。ならば終わらせるのも人間で無ければならんのじゃ」

「成程。……つまり、アンタ達は見ているだけで、自分達でしでかした事は自分達で片付けろ、と」

「まぁそんな所じゃの。……それに、神が人を助けるようになれば、いずれ人類は堕落し、今よりももっと酷くなるじゃろう」

 

確かに、と俺は思った。

 

フロンティアを支配しようとするIMCと、俺達ミリシアの戦いだって、全て人間が始めた事だ。そこに第三者の神が介入するのは可笑しな話だな、と俺は内心思う。

 

「それで、俺が死んだ理由とかは分かった。でも異世界に転生って言うのはどう言う事だ?」

「うむ。ワシ等の決まりでな。死んだ人間を元の世界に転生、いや、蘇生させるのは禁止されておるんじゃよ。なので、 お主、えぇっと、ジャック・クーパーには異世界に転生、つまり記憶を持ったまま生き返って貰うと言う訳じゃな」

 

「異世界、って言うがどんな所なんだ?」

「そうさのぉ、一言で言うと、お前さんの世界から見て凄い昔、かの。お前さんたちの世界で言う、中世のような世界じゃの」

「中世だって?それって確か、王制とか騎士がまだ戦争の主力だった時代だろ?」

「うむ。その通りじゃよ。魔法とかがある、と言う点に関しては少し違うがの」

「魔法があるのか?その世界は」

 

「そうじゃよ。まぁ詳しい事は現地で体験して貰うとして、お主は生き返る際に求める物はあるかの?」

 

求める物、か。

 

「なぁ神様。それは、何でも良いのか?」

「もちろんじゃ。大抵の物は用意出来ぞ」

そうか。なら……。

 

「だったら、俺がパイロットとして戦い見てきた装備の数々。そして何よりも、BT。俺の相棒だ。『BT―7274』。アイツを連れて行く。……どうだ?」

「うむ。可能じゃよ」

「よし。なら決まりだ」

「では、またな」

 

爺さんがそう言うと、俺の意識は遠のいた。

 

 

「ッ!」

そして、次に目を覚ました時、俺はどこかの草原に寝そべっていた。

俺は咄嗟にパイロットとしての判断から、ホルスターの拳銃、『ハモンドP2016』を抜こうとしたが、ホルスターが無い事に気づいた。

 

更に慌てて体の自分を見回せば、俺はパイロットのスーツ、更にはジャンプキットとヘルメットが無い事に気づいて慌てた。その時。

 

『ピピピッ』

不意に俺は、左手首に見慣れない時計型デバイスがある事に気づいた。

 

その時。

 

「パイロット、通信が届いています。応答しますか?」

 

そのデバイスから、聞き慣れた声が聞こえ、俺は一瞬体を震わせた。これは相棒の、BTの声だ。

 

「あ、あぁ。繋いでくれ」

「了解」

BTがそう言うと、デバイスから空中にディスプレイが投影された。

 

『お~お~繋がった。どうじゃ。異世界は』

そこに映ったのはあの神様の爺さんだ。

「あぁ、何とか無事に到着したが、装備はどうした?頼んだはずだろ?」

『あぁ、その事なら心配せんでえぇよ。お前さんの左手首に時計みたいなのがあるじゃろ?』

「あぁ、これの事か?」

『うむ。お前さんの装備はこっちの世界で目立つからのぉ。全部その中にしまってあるのじゃ。お前さんの武器、弾薬、スーツ、あとあのジャンプキットとか言う物もな。それらはお前さんが念じれば出てくるぞい。試しにやってみろ』

「あ、あぁ」

 

念じれば良いのか?なら、スーツとメットだ。

『出てこい。出ろ』

 

と、俺が念じると、デバイスが光ったかと思うと次の瞬間、俺はスーツとヘルメットを纏っていた。俺は自分の手足を見て驚いた。こいつは凄いな。

 

『あぁ後な。転生に際してお前さんの体は少し若返っておるぞ。今は18歳ぐらいかの』

「マジかよ」

『それと、そっちじゃ弾の補給も出来ないじゃろうから、そう言うのはデバイスから無限に供給されるようになっとるぞ。無論、手榴弾とかもな』

「そいつはありがたい」

『更に更に、お前さんの体に魔法への適性全てを与えてあるぞい。気になったら色々調べてみると良い』

「ははっ、正しく、至れり尽くせり、って奴だな」

『まぁそんな所じゃの。では、良い異世界ライフを送るんじゃよ~』

そう言うと、通信が切れた。

 

「通信、終了しました」

そのことを報告するBT。

 

俺は、ふと手首にあるデバイスを見つめる。

「なぁBT。お前は『そこ』に居るのか?」

「はい。私は現在、この手首装着型デバイスを通してパイロットのバイタルデータや周辺の状況を観察しています。私自身は現在、異空間と形容出来る未知の空間で待機中です。要請があれば、すぐにそちらへフォールできます」

そうか。

 

ふと周囲を見回せば、辺り一面には草原が広がる。遠くに見える山々。緑溢れる、人の手が入っていない自然。それがどこか、フロンティアを思い出させる。

 

でもここはフロンティアじゃない。

 

いや、ある意味では俺とBTにとっての『新天地(フロンティア)』なのかもしれないな。

 

新しい世界、か。

ふと、そんな事を考えていると……。

 

「パイロット、少しよろしいでしょうか?」

「ん?どうしたBT」

「はい。私はパイロットに謝罪しなければならないと考えました。申し訳ありませんでした」

謝罪?

「おいおい、何を謝ってるんだ?」

「はい。フォールド・ウェポン破壊の際、本来ならばパイロットは生還するはずでした。……しかし、私のミスで、貴方まで死なせてしまいました」

「BT……」

 

「もう、パイロットを失わないと、 決めていたはずなのに」

 

その言葉を聞いたとき、俺はドラコニスでのBTとのやりとりを思い出していた。

 

『アークを外に!』

『いいえ。もう出られません』

『何をしている!?』

『プロトコル3。もうパイロットを失いたくありません』

 

 

ふと思い出す。

BTにはもう一人の相棒がいた。

 

俺の恩師、『タイ・ラスティモーサ大尉』。そして、BTの元パイロット。大尉はエイペックス・プレデターズとの戦いで致命傷を負い、そして死の間際、俺にBTを託して息を引き取った。

 

死の間際、大尉は言った。

 

『彼を頼んだぞ』と。

 

それは果たして、『BTに俺を』託したのか。

或いは、『俺にBTを』託したのか。

今となっては分からない。

 

だが、それでも今は俺がBTの相棒だ。

 

「そう落ち込むなBT。俺はこうして生きている。むしろ、戦いの無い平和な世界に来られたことに感謝している。なにより、お前と一緒にな」

「クーパー」

 

「BT。今の俺達に元の世界に戻る術は無い。そして、ここにはIMCもミリシアも無い」

フロンティアの自由を巡る戦いは、今もあそこで戦う者たちに託された。

 

でも、俺達はこうして生きている。

「BT。俺はこの世界で生きていく。そして、パイロットとタイタンは運命共同体だ。これからは、俺と一緒にこの世界を旅するぞ、BT」

 

「了解。プロコトル2、任務更新。BT―7274、これよりパイロット、ジャック・クーパーのサポートを開始します」

「よし。じゃあ、行くぞBT」

「了解」

 

俺達は歩き出した。

 

どうやらBTにはこの世界の地図がインプットされているらしく、俺が転生した場所の近くを走る街道から西へ向かった。

 

その道中。

『パイロット、後方より接近する物体あり。速度などから馬車と推定』

BTの声に振り返ると、確かに後方から馬車が近づいてきた。

 

俺は道の脇に避ける。しかし、フロンティアでは馬なんて見た事無かった。精々、映像で見た事あるくらいだ。俺は足を止め、通り過ぎていく馬車を見送った。何やら豪華な見た目の馬車だった。

 

馬車が通り過ぎ、再び歩き出した時。

「ん?」

通り過ぎたと思った馬車が止まり、何やら人影が降りてきて俺に駆け寄ってきた。

 

「君!そこの君!」

「な、何か?」

相手の興奮した様子に若干戸惑いながらも、言葉が通じている事に俺は安堵した。

「こ、この服はどこで手に入れたのかね!?」

「は?」

俺は最初、質問の意味が分からなかった。

 

俺が今着ているのは、フロンティアに居た頃に着ていた服だ。赤を基調としているが、それほど珍しい物では無いはずだが?

 

その時。

『パイロット。現在貴方が着ている服はフロンティアでは一般的な物ですが、現代よりも低い裁縫技術レベルのこの世界では、その服は未知の服なのです』

頭の中に響くBTの声。どうやらテレパスのような物を神様がBTに付けてくれたようだ。しかし、そう言う事ならうなずける。

 

どうしたもんかと思って居ると……。

「君!その服を私に売ってくれんかね!?」

「え?」

この人は服を買うと言っているのか?しかし……。

「あ~。えっと、俺はこれ以外に服の持ち合わせが無いので、流石にそれは……」

「では私の店で代わりの服を見繕う!更にはそれとは別に服の料金をはずむよ!どうかね!?」

 

う~ん。これは正直迷う所だ。何を隠そう、今の俺達にはこの世界の金の手持ちが無い。なので、金は今すぐ欲しい。対して、この服にはそれほどまでの愛着もあるわけではないし……。

 

よし。

「分かりました。服を売ります。ただ、代わりの服と、それとは別に金を貰いますよ?それで構いませんか?」

「もちろんだとも!さぁ乗ってくれ!」

 

こうして俺は、ザナックと名乗る初老の男性の馬車に乗り、『リフレット』の町へ行く事になった。

 

リフレットまでは馬車で3時間。こりゃ、徒歩だと夕暮れ前までに着けたかどうか。そう言う意味では馬車に乗れたのは幸運だった。

 

リフレットに到着した馬車は一つの店の前で止まった。しかし……。

「うっ。読めないな」

俺は小さく唸った。

 

看板らしきものが店の入り口の上にあるんだが、読めないのだ。言葉は通じるのに、字は読めないって。変な事だな。しかし、この歳で字の読み書きが出来ないのは不味いぞ。

 

すると……。

『翻訳プログラムを起動。文字の翻訳を開始します。デバイスの画面を確認してください。翻訳した物を表示します』

BTの脳内通信、BT曰く、ニューラルリンクを応用した物らしく、俺はニューラル通信と呼ぶ事にした。そしてそのニューラル通信が届く。

 

俺が左手首もデバイスに目を向けると、『ファッションキングザナック』、と言うのが店の名前らしい。どうやらあの男性はここのオーナーらしい。

 

ともあれ、これで読む事の問題は解決した。

 

その後、ザナックに服を売った俺は、代わりの服と金を手に入れた。

服は紺のズボン。白いシャツとその上に着る赤の上着。金は金貨10枚。とは言え、俺は相場が分からない。

 

「っと、そうだ。実は宿を探してるんですが、何か良い宿を知りませんか?」

「ん?それならこの近くに『銀月』という宿があるよ。店を出て右へ行けばある。看板が出てるから分かると思うよ」

「分かりました。じゃあこれで」

「あぁ、また珍しい服を手に入れたらきてくれたまえ」

そう言って俺達を見送るザナック。

 

俺は店を出て、言われた通り右へと歩き出した。

 

ちなみに、服を脱いでいるとき鏡で自分の姿を確認したが、確かに若返っていた。髭が無くなって、16、7くらいの歳になっていたのには驚いた。

 

とにかく、まずは宿の確保だ。そう考えて道を歩いていると……。

 

何か、言い争う声が聞こえた。周囲に視線を巡らせると、聞こえてくるのは路地裏から。そこで話をしてるって事は、絶対ろくでもない話の可能性が高い。話し声、と言うか叫び声からして女か?

 

念のため行ってみるか。そう思い俺は足を運んだ。すると、案の定と言うべきだった。

 

「約束が違うわ!代金は金貨1枚だったはずよ!」

 

様子を伺えば、まだ若い少女が2人と、如何にもごろつきのような見た目の男がこちらも2人。話を聞いていれば、何やら少女達は依頼を受けたらしい。話から察するに、男の方が持ってるクリスタルの角みたいな物か。それを届けたが、男達が難癖を付けて報酬を出し渋っているようだ。

 

更には、返せと言った少女たちにブツを返すつもりは無いらしい。……あぁ言う奴らは嫌いだ。よしっ。行くか。

 

「随分汚い手で金儲けをしようとしてるじゃないか」

「あぁっ!?んだテメェ!」

俺が声を掛けると、男達が振り返る。

「いい歳した男が、こんな綺麗な嬢ちゃん達を相手にセコいやり方をしてるのが見えたもんでね」

「あぁっ!?ケンカ売ってんのかこの野郎!」

男達が俺を睨み付け、角を持っていた男が懐からナイフを取り出す。

 

やる気か。

「さっさとそのブツを置いてここから消えろ。今なら痛い目に遭わずに済むぞ」

「あぁっ!?調子に乗ってんじゃねぇぞこらぁっ!」

すると、ナイフの男が突進してきた。

 

繰り出されるナイフの刺突。

 

だが、素人同然の動きだ。

 

俺はそれを右へ回避し、カウンターの右フックを男の側頭部にたたき込み、そのまま奴を横の壁に右側頭部から叩き付けた。もちろん、右フックを食らった衝撃で手放したクリスタルの回収も忘れずに左手でキャッチした。

 

「野郎っ!!」

すると、もう1人が手斧を持ち俺に向かって来た。

「危ないっ!」

その姿を見ていた女子の、ショートヘアの子が叫ぶ。だがこの程度。

 

俺はすぐさま、1人目の男が手放したナイフを足先に引っかけて蹴り上げ、左手でキャッチしスローイング。

『グサッ!』

「ぎゃぁっ!?」

男の右肩に刺さり、男は手斧を落とす。

 

チャンス、と考え走り出し、勢いを生かして男の顔面に飛び膝蹴りをお見舞いした。

 

鈍い音と共に吹き飛び倒れる男。とは言っても、ここは戦場じゃないので、ある程度は手加減した。

 

「ふぅ」

どうやら、体の方はパイロットとしての技術と経験を覚えているようだ。おかげでスムーズにこいつらを撃退できた。

 

そして、それを確認すると少女達の方に歩み寄り、ブツを差し出す。

「ほらよ」

「あ、ありがとう」

戸惑いながらも、片方の、ロングヘアの少女がブツを受け取る。

 

「あ、あの。ありがとうございました。 助けて頂いて」

すると、その隣に居たショートヘアの子が頭を下げる。

「あぁ、気にしないでくれ。俺はあぁ言う汚いやり方をする連中が嫌いだから、自分で首を突っ込んだだけだからな」

「そう。ともかくありがとう。彼奴らをぶちのめしてくれてアタシ達もスカッとしたわ。アタシは 『エルゼ・シルエスカ』。こっちは双子の妹の『リンゼ・シルエスカ』よ」

「ありがとうございました」

そう言って、自己紹介をする少女達。

 

ロングヘアのエルゼと、ショートヘアのリンゼか。

「俺はジャック。ジャック・クーパーだ」

「よろしくねジャック。所でジャックはどうしてここに?」

「あぁ、ちょっと宿を探してて偶々通りかかったんだが、っと、そうだ。2人は銀月って宿を知ってるか?探してるんだが」

と言うと……。

 

「銀月って……」

「私達が泊まっている宿ですよ?」

「お?そうなのか?」

 

その後、俺は彼女達の案内で銀月へと行き、無事に宿を取ることが出来た。契約は1ヶ月。

名前を書く時は、BTに翻訳して貰いそれで何とか書くことが出来た。

 

また、この世界の貨幣の最低価値は銅貨だ。その上が銀貨。その更に上が金貨だ。

 

価値は銅貨10枚=銀貨1枚。銀貨10枚=金貨1枚の計算になる。ちなみに銀月は1日の宿泊で銅貨2枚。銀貨1枚で5泊出来る。金貨1枚だと更にその10倍なので50泊出来るそうだ。

 

とにかく、1ヶ月分の宿を確保した俺は銀月の食堂でエルゼとリンゼの2人と一緒に食事した後、お茶をしながら話をしていた。

 

「しかし、2人は何だってあんなガラの悪そうな奴らの依頼を受けてたんだ?」

「ちょっとしたツテでね。元々私達が前に水晶鹿を倒した時、この角を手に入れたの。そしたらこれを欲しいって言う話があったから来てみたんだけど、やっぱりギルドとかの正式な依頼じゃないとダメね~。おかげで酷い目に遭ったわ」

「だから止めようって私は反対したのに。お姉ちゃん言う事聞いてくれないから」

 

『ギルド?BT、分かるか?』

『はい。ギルドとは仕事を斡旋する組織の事です。人々はギルドに冒険者として登録を行い、ギルドは彼等に様々な依頼を斡旋。冒険者は依頼を完遂する事で報酬を得ると言う物です』

『……要は金を得て色々仕事をするって事か』

と、俺は内心納得していた。

 

「2人はギルドに登録してないのか?聞いた感じじゃまだみたいだが?」

「えぇ。でも今回酷い目にあったし、これを機にギルドに登録しようと思ってるわ」

「絶対その方が良いよ。安全第一。明日にでも登録に行こうよ」

どうやら2人は明日ギルドに登録に行くようだ。

 

「なぁ、その登録、俺も付いていって構わないか?俺も仕事を探してた所なんだ」

「良いわよ、一緒に行きましょう」

「はい」

エルゼ、リンゼ共にOKだった。

 

そして夜。俺は自分の部屋のベッドの上で横になると、左手のデバイスを眼前に掲げた。

 

「BT、起きてるか?」

「はい。何か?」

「少し聞きたい事があってな。俺も若返ったりしてるし、お前は何か変わってないのか、少し 気になってな。実際どうなんだ?」

「はい。確かにこの世界への転生に際して、システムの変更が加えられています。第1に、動力であるバッテリーが大幅に強化されています。また、パイロットの持つ魔法の源、魔力をデバイスを通して私に供給。その魔力をエネルギーに変換する事が可能になっています」

 

「魔力か。そういや、あの神様の爺さんが全ての適性がどうとか言ってたな」

「はい。現在のパイロットならば、全ての属性の魔法の習得が可能です。また、内在する魔力量もこの世界の基準値を大きく逸脱しています。これも強化の結果だと考えます」

「そうか。まぁつまり、俺が生きてBTにエネルギーを供給し続ける限り、バッテリーの交換は不要って事で良いのか?」

「はい。概ねその通りです。また、私の持つ武器の弾薬についても補給が随時行われる為、弾切れの心配はありません」

「そうか。それはありがたい。他には何かあるか?」

「はい。後は、私にネットワークへのアクセス権が与えられた事です」

「ネット?」

「はい。私の一存でネットワークに アクセスし、そこからデータを抽出出来るようになりました。書き込みなどの操作はできませんでしたが、今の私は料理を始め、様々な知識をパイロットに提供する事が可能です」

「へ~。つまりBTに言えばいろいろな情報が引き出せるわけか」

「はい。これが以前の私との差異に関する報告です」

 

「そうか。分かったよBT。ありがとな」

「いいえ。パイロットをサポートするのが私の任務ですから」

「ははっ、そうだったな。……これからもよろしくな、BT」

「はい。私の方こそ、よろしくお願いします。クーパー」

 

こうして俺、ジャック・クーパーは相棒、BT―7274と共に異世界へとやってきた。

 

今日という日から、俺達の新しい日常が始まったのだった。

 

     第1話 END

 




楽しんでいただければ幸いです

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