異世界はBTとともに   作:ユウキ003

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楽しんでいただければ幸いです。


第15話 迷いの先に

武田の一件を終えた俺達は改めて遺跡の近くの海岸へとやってきた。そして1日、そこでエルゼ達やベルファスト王、公爵殿下やスゥと言った俺の知り合いまでも巻き込んで海を満喫するのだった。翌日。俺はアルファの提案で呼び出した玄帝を倒して使役し、改めてブラボーとシエラという名前を送った。そして2人の力を借りてたどり着いた遺跡。そこにあった転移門をくぐり抜けた先で待っていたのは、古代文明の遺産である庭園とその管理者であるシェスカだった。だが、俺はシェスカの口から『ミリシア』という聞き慣れた単語を聞き、事実確認のためにそのミリシアへ向かうのだった。

 

 

庭園に備え付けられている転移門から、俺とユミナ達はミリシアへと飛んだ。最初、俺はシェスカと俺だけで行くつもりだった。だが、すぐに追いついてきたユミナ達。そしてユミナの有無を言わさぬ視線に俺は折れる形で皆が付いてくる事を了承した。

 

「それでは、これよりミリシアの司令部へと転移します」

そう言ってシェスカが転移門を起動した。俺達が光に包まれた次の瞬間、俺達全員のアルファ、ブラボーとシエラ、そしてシェスカはどこかの円筒形の部屋の中に居た。

 

「ここが?」

俺ははやる気持ちを抑えきれずにドアを開けて外に出る。すると前方に見える大きな白亜の建物。ふと左右に目をやれば、俺が出てきたのは円筒形の巨大なポッドだった。それがいくつも並んでいる。その数は俺達が出てきたのも合わせて9つ。どうやら庭園とそれ以外の転移門の出口らしい。

 

改めて前方に目を向けると、そこには巨大な建物があった。見た目は俺達の世界の建造物に近い。こちらの世界ではあまり見ないタイプの建物だ。

「あ、ジャックさん。あれ……」

「ん?」

リンゼが何かに気づいてそちらを指さした。そっちへ視線を向けると、司令部を覆うドームの向こうに何か施設が見える。向こうもドームに覆われているので細かい所までは分からないが、あれは港か?それに港の一角に船らしきものが泊っている。……まさか、空中戦艦の類いか?更に周囲に視線を巡らせば、港と司令部を挟んだ反対側に工廠らしきもののドームが見える。

 

「……ここが、ミリシア」

俺はポツリと呟きながら、目の前の司令部に向かって歩き出した。最初は歩きだった。だが、次第に速度を速め、駆け出した。

「あっ!ちょっとジャックっ!」

すぐに後ろからエルゼ達が走ってくる。

 

「おぉいっ!誰か居ないかっ!俺はジャック・クーパーっ!ミリシア第9艦隊所属のライフルマンだっ!ライフルマン、パイロット!誰でも良いっ!誰か居ないかっ!」

 

必死に建物に向かって声を張り上げる。……だが、応答は無かった。と、その時。

 

『パシュッ』

 

司令部正面のドアが音を立てて開いた。俺は咄嗟にホルスターのウィングマンに手を伸ばした。だが……。

 

「ようこそおいで下さいました、お客様」

 

現れたのは、シェスカと似た顔立ちで眼鏡を掛けた、同じく緑色の髪をした女だった。だが問題は服装だ。シェスカのそれと違い、目の前の奴は軍服に近い。黒を基調とした軍の礼装に近かった。

 

「……お前は?」

「私の名は『サラ』。創造主、レジーナ・バビロン博士よりこの司令部、港、工廠の3区画を合わせたミリシア全体の管理を任されております」

そう言って女、サラは甲斐甲斐しく俺に頭を下げた。だが、サラ。その名前とミリシアの単語を聞けば、俺の脳裏に浮かぶのは、ミリシアSRSの司令官である『サラ・ブリッグス』司令官の姿だ。……だが、目の前のこいつにはブリッグス司令官とは似ても似付かない。これも、偶然なのか?

 

やがて頭を上げたサラは、後ろにいるシェスカに目を向けた。

「庭園の管理者であるシェスカがあなたをお連れしたと言う事は、貴方様は適合者として認められた、と言う事ですね?であれば、私も貴方様を適合者として認め、ミリシア全てを貴方様に譲渡します」

「……分かった。なら、真っ先にお前に聞きたい。今から言う単語に、一つでも心当たりがあるのなら答えてくれ。ミリシア、SRS、惑星ハーモニー、惑星タイフォン、サラ・ブリッグス司令官、ジェームズ・マクアラン、6-4(シックス・フォー)、アーク、フォールド・ウェポン、タイタン、IMC、アレス師団、エーペックスプレデターズ。……どうだ?一つでも分かる単語はあるか?」

 

「……残念ながら、私にはどれ一つとして聞き覚えの無い単語です」

「ならここに人は居ないのか?或いは、誰かが居たとか」

「残念ながら、ミリシアは稼働開始時点でここに居たのは私だけです。そして今日まで、私以外の人物がここで生活していたことはありません」

 

帰ってきたのは、そんな返事だった。

 

「そう、か」

 

その答えに、俺は落胆を隠しきれなかった。偶々、だったんだ。ミリシアの名前も、何もかも。

 

「ジャック、さん」

 

その時、リンゼが俺に声を掛けてくれる。更にユミナ達も心配そうに俺を見つめている。

 

「……大丈夫だ。安心しろ。……どうやら俺は、この場所に留まり続ける運命らしいからな」

 

俺は彼女達に、皮肉めいたそんな言葉を投げかけるのだった。

 

その後、サラによって各区画の説明と案内がされた。

 

司令部には通信施設があり、専用の端末同士の通信を中継したりする事が出来る。更に作戦会議のための部屋や人員が寝泊まりする宿舎。食堂もあり、食材は地下にある生産プラントで生産出来ると言う。また、司令部にはレーダー装置も搭載されており、特定のデータを入力出来れば様々な同行を探れると言う。

 

港は、既に3隻の航空母艦が停泊していた。航空母艦の名は『ミリシア級航空母艦』。見た目は俺が知る一昔前の、海の上で運用されていた空母だが、その両脇に見える左右2対、合計4つの巨大なローター。更に後部にもジェット推進器のようなものが見える。サラの説明によれば、武装は無いが強力なバリア装置を搭載していると言う。空と海、両方で運用可能だそうだ。更に港にはこれらの補給や整備のための設備があるそうだ。

 

最後に工廠だが、ここは武器、兵器の開発のための設備だそうだ。資材を持ってきて、設計図などがあればそれを自由自在に生産出来ると言う。サラは、これについてバビロンの工房と似ているが、こちらはより兵器開発に重点を置いているそうだ。加えて、工廠には研究設備も併設されており、ここがあれば様々な存在の研究や新技術の開発が出来ると言う。

 

と、そんな説明を聞いていた俺達だったが、俺はずっと肩を落としたまま、半ば惰性のままに説明を聞いていた。

 

やがて話を聞き終えた俺達は、司令部の会議室へと集まっていた。

「バビロンにミリシア。個人的にはバビロンの図書館が気になるところだけど……」

そう言って居たリーンだったが、彼女はすぐに俺に視線を向けてきた。

 

「大丈夫?あなた、さっきからかなり顔色悪いわよ」

「……気にするな。もう、諦めがついた。少しすれば元に戻る」

「諦めって、仲間の居る戦場へ戻る事?」

「…………あぁ。名前が同じなのは偶然だった。もう、フロンティアに戻る可能性は万に一つも無いだろう」

 

分かっていた。神様から事前に聞かされていた。……それでも、俺は……。

 

「ジャックさん」

その時、ユミナが声を掛けてきた。そして彼女は鋭い視線を俺に向けている。

「ジャックさんは元いた場所、フロンティアに戻れるとしたら戻るつもりですか?」

「……戻れるものならな。だが、その可能性は今さっき消えて無くなった」

「だとしても聞きたいのです。もし、また何かの可能性を見つけ、戻れるとしたらジャックさんはフロンティアに戻ろうとしますか?」

 

「あぁ」

俺は、顔を伏せ、俯きながら答える。

 

「私達を置き去りにして?」

 

ユミナの言葉が、鋭い視線と合わさって俺に突き刺さる。だが、俺の答えは決まっている。もし、フロンティアに戻れるとしたら……。

 

「……あぁ」

 

俺はこいつらを、この世界に置き去りにして戻るだろう。

「「「ッ!」」」

俺が頷くと、エルゼ達3人が息を呑む音が聞こえる。

 

「フロンティアにお前達を連れていく事は出来ない。あの地獄に、お前達を巻き込む訳には行かない」

「私達が、ジャックさんと一緒に居たいと言ってもですか?」

「それでもダメだ。……それに、本来お前達はフロンティア戦争に何の関わりも無い。お前達が戦争に首を突っ込む必要はない」

「ではなぜジャックさんは戻られるのですか?戦争が地獄だと仰るのなら、そこから逃げよう、遠ざかろうとは思わないのですか?」

 

「……そうだな。戦争はろくでもない行為だ。俺は戦場で、嫌って程それを見てきた。……だがな、それでも今、俺の仲間は戦場で戦っている。それを知っていて、戻る方法があって、それでも見捨てる事なんて、俺には出来ない。ミリシアの仲間を、俺は見捨てる事は出来ない」

 

「その結果、今の仲間である私達を見捨てても、ですか?」

 

ユミナの棘のある言葉。彼女とは婚約までした間がらだ。エルゼ達とも、これまで仲良くなってきたし、こいつらは俺に好意を持って接してくれている。だが、それでも……。

 

「それでもだ。……お前達からどれだけ恨まれようと、罵られようと。……もし戻れるのなら、俺には戻らなきゃ行けない『場所(戦場)』がある。……結局、俺とお前達じゃ育った世界が違いすぎる。そう言うこ」

 

「そんなので納得出来ると思ってるんですかっ!?」

不意に俺の言葉を遮りユミナが叫んだ。その言葉に俺が視線を上げると……。

 

ユミナは険しい表情をしながら、涙を浮かべていた。

 

「私は、ジャックさんの事が好きですっ!」

 

「……俺は血に汚れた兵士だ。本来、王族のお前と釣り合うような存在じゃ……」

 

「それが何ですかっ!あの時、覚悟を問われた時私はジャックさんの手を取りましたっ!覚悟を持ってあなたの手を取りましたっ!それを、今更無かったことにされるおつもりですかっ!そんなに、私達より昔の仲間の方が良いんですかっ!?私達の事が、そんなに嫌いなんですかっ!?」

 

その言葉に、俺は……。

 

「そうじゃないっ!」

 

声を荒らげてしまった。

 

「お前達と出会えた事は、本当に嬉しく思っている。好意を持って接してくれている事も、理解している。だが……!」

 

俺は、ぎゅっと拳を握りしめる。

 

「お前達と出会う前、俺は兵士だった。この手はずっと血に汚れていた。それに、誰かと愛し合う余裕なんて無かった俺には、ずっと分からなかった。血に汚れた俺が、お前達を受け入れて良いのかと」

 

それが俺の本心だった。女と深く付き合った事の無い俺には分からなかった。こいつらを、俺の大切な人として受け入れて良いのか。ずっと迷っていた。

 

「俺とお前達じゃ生きて場所が違う。戦場を彷徨い、敵を殺して血に汚れた俺が、お前達の隣に立つ事に俺はどこかで負い目を感じていた。……それでも、お前達は大切な仲間だと思って居た。だからこそ、フロンティアに戻る方法が分かったとしてもお前達を、フロンティアへ。……戦争という地獄へ連れて行く事は出来ない。もし、お前達を連れていけば、必ず誰かは命を落とすだろう」

 

「で、でもそんなの、ジャックが居れば……」

「無理だ。……確かに、俺にもパイロットとしての自負がある。だが、だからといってお前達全員を、全ての戦場で守り切れる保障はない。だからこそ連れて行けないんだ。お前達からどれだけ恨まれようと、お前達を死なせないためにフロンティアへ連れて行く事は出来ない」

俺はエルゼの言葉を否定する。

 

すると……。

 

「ジャックさん。ジャックさんにとって、私達は仲間ですか?」

「もちろんだ。……確かに、ミリシアの仲間も俺にとっては大切な存在だ。だが、それでもお前達とミリシアの仲間、両方俺にとって大切な存在だ。優劣を付けるつもりはない」

 

「ならば、私達の想いも受け入れてくれますか?」

「……ユミナについては覚悟を聞いた。だからこそ分かってる。だが、エルゼ、リンゼ、八重。お前達には改めて聞いておきたい。俺は何をどう取り繕っても人殺しだ。兵士として、これまで多くの敵を葬って、殺してきた。そして恐らく、これからも俺は血に汚れ続ける。俺を好きだというのなら、自分の手も人の血で汚す覚悟が必要になるだろう。誰かに後ろ指を指されるかもしれない」

 

そう言うと、俺は席を立った。そして、エルゼ達の方を向く。

「もし、それでも良いと言うのなら、席を立ち、俺の手を取ってくれ」

 

そして、俺は3人へ右手を差し出す。

 

彼女達が覚悟を決めたのなら、俺にも受け入れる覚悟は出来ている。

 

すると、真っ先にリンゼが立ち上がった。そして俺に歩み寄ってくる。俺は最初、リンゼが手を握るのかどうか、考えていた。が……。

 

『ドッ!』

「え?」

リンゼは、何と俺に抱きついてきたのだ。思わぬ行動に俺は情けなくも呆けた声を漏らしてしまう。

 

と、その時。

 

「行かないで、ください」

リンゼは俺の体を抱きしめ、嗚咽交じりにそう呟いた。

 

「私は、ジャックさんが好きです。だから、行かないで下さい。置いて、行かないで」

「リンゼ。……俺で、良いのか?こんな戦う事くらいしか、取り柄の無い俺で」

「良いんです。それに、私はジャックさんじゃなきゃ、嫌、です」

 

「……そうか」

 

その言葉を聞き、俺はゆっくりとリンゼを抱きしめた。

 

「……ありがとう」

そして俺は、小さくそう呟く。すると、リンゼは目に涙を溜め、更に泣き出してしまった。

 

でも、リンゼだけじゃなかった。

「じゃ、ジャックっ!」

次はエルゼだ。

 

「わ、私だって、ジャックと出会えて良かったって思ってるからっ!だ、だからそのっ!私達の事もそのっ!幸せにしなさいよねっ!」

俺の右手に、そう叫び抱きつくエルゼ。

 

「せ、拙者もっ!ジャック殿とずっと一緒が良いでござるっ!置いて行かれるのは、嫌でござるよぉっ!」

更に八重まで俺の左手に抱きついてきた。

 

2人とも、涙を浮かべながらまるで俺を行かせまいと言わんばかりに俺をキツく抱きしめている。

 

『なぁ、BT』

『なんでしょうか?』

 

『俺は、ここに居ても良いのだろうか?』

『……クーパー、現在あなたはミリシア軍内部でMIAとなっています。なのであなたは戦死扱いとなり、既に軍籍を剥奪されている可能性があります。よって、あなたは既にミリシア軍の人間ではない、1民間人となっている事でしょう』

 

それは、BTなりの肯定だったんだろう。言わば、『お前はもうミリシア軍に拘る必要は無い』と。

 

だが俺個人にしてみれば、ミリシアは大切な仲間たちが居る場所だ。こだわりは、早々捨てられない。……だがそれでも。

 

俺は必死に俺を留めようとする3人の姿を見つめる。そして更に視線を向ければ、ユミナが笑みを浮かべている。

 

「そうか」

 

そして、俺はBTの言葉に頷くように、小さくそう呟いたのだった。

 

それから数分後。俺は落ち着いた彼女達と話をすることにした。

 

「俺の、ミリシアの仲間に対する思いは正直捨てられるとは思ってない。万が一戻れる可能性が見つかったら、俺はまた悩むだろう。……でも、今はとりあえずその事は考えない事にする」

「と言うと?」

「戻れるかも、って言ったって確率は低いって事さ。だから考えてもしょうが無いって、納得しておく事にしたのさ。それよりも今は……」

 

俺はユミナの言葉に応えながら、隣に座る彼女の髪を手ですき、頬を撫でる。

「んっ」

それだけでピクンと体を震わせるユミナ。

 

「改めて、お前達との時間を大切にしたいと思ってる」

俺の言葉と行動に、ユミナだけで無く他の3人も顔を赤くしてる。すると……。

 

「んんっ」

リーンの咳払いが聞こえてくる。

 

「全く。人前でイチャつくのはどうかと思うけど?」

「そうですね。場を弁えて下さい、淫獣」

リーンとシェスカの言葉にジト目の視線が突き刺さるが、俺はどこ吹く風と言わんばかりに肩をすくめる。

 

「それは悪かったな。……しかし、ユミナは良いのか?俺とお前は婚約者の関係だ。なのにエルゼ達との交際を認めるのは、不味くないか?」

「いいえ。以前にも申したように、王族ともなれば妻が数人居るのはよくある話です。それに、私自身ジャックさんを独り占めしようとは思って居ませんでしたから。むしろ、共にジャックさんを支えてくれる心強い仲間が居て、感謝しているくらいです」

「変わってるなぁユミナは。……まぁユミナ自身がOKなら、俺から言うことは何も無い」

 

そう言って、俺は改めてエルゼ、リンゼ、八重の方へと視線を向けた。

 

「改めて、よろしく頼む。エルゼ、リンゼ、八重」

 

「はいっ!」

「えぇっ!」

「承知したでござるっ!」

 

俺の言葉に、3人はそう言って笑みを浮かべた。

 

 

こうして俺は、ユミナ公認の元、彼女達3人とも付き合う事になったのだった。

 

 

「さて、それで話を戻すが、海底遺跡を調査して結果的にシェスカと庭園を手に入れて、更にミリシアをゲットした訳だが、リーンとしてはこれで満足か?」

「えぇ。でも、個人的にはバビロンの図書館に興味があるから、これで終わりって訳では無いかもね」

「つまり、次なる目標が出来た訳だ。まぁ、今回は色々あったがこれで調査は終了だ。……そう言えば聞きそびれてたが、シェスカとサラは今後どうするんだ?」

 

「それでしたら、私達2人はマスターであるジャック様にお仕えする事になるでしょう」

「つまり俺の指揮下に入ると?」

「はい。概ねその言葉通りです。このミリシアも、庭園も、同じ管理システムがありますので管理者である私達が短期間離れたとしても何ら問題はありません」

サラは俺の言葉に頷く。

 

「なら、とりあえずベルファストの屋敷まで連れて帰るか。とりあえず今は早く戻ろう。俺も色々あって流石に疲れたからな」

 

俺の言葉に4人が頷き、俺達は俺のゲートでベルファストへと戻った。

 

そして、ベルファストに戻った俺たち。まず、ライムにシェスカとサラと紹介し、彼女達をメイド見習いとして働かせてやって欲しいと話した。

 

「シェスカです。やる気だけは誰にも負けません。でも休みはちゃんと貰います」

「サラです。このような愚姉ですが、姉共々よろしくお願い致します」

「は、はぁ」

 

突然の話にライムも困っているようだ。まぁ、2人ともそっくりだし、いきなり変なのが転がり込んでくればな。

「まぁ、とにかくまずは簡単な仕事からやらせてみてくれ。ダメそうなら他の仕事を割り振るし」

「分かりました」

 

さて、これで2人のことは良いとして。

「悪いが、俺はもう部屋に戻って休む。何かあったら起こしてくれ。ふ、あぁ」

俺は欠伸を付きながら自分の部屋に戻っていった。流石に、今日ばかりは精神的に疲れた。ミリシアの事もそうだが、エルゼ達までも受け入れる事になったし。まぁ後悔はしていないが、流石に色々ありすぎて精神的にな。

 

なので早く休む事にした俺は、手早く風呂に入り着替えてベッドで横になった。

 

そして数秒した時だった。

「クーパー」

「ん?どうしたBT」

「はい。私からの進言なのですが、クーパーはこの世界に留まる方が賢明かと」

「ん?どういうことだ?」

 

「はい。この理由としては、まず第1に現在のフロンティアにおける戦況が一切分からない事にあります。例えフロンティア宙域に帰還出来たとしても、時間軸のズレなどを想定した場合、戻ったとしても戦争が終結している可能性があります」

「つまり、戻っても戦争が終結していれば戻る意味が無いって訳か」

 

「はい。それともう一つの理由は、フレイズです」

「奴らが?」

「はい。我々が遭遇したフレイズは、恐らく過去、この世界に出現し捕獲された物だと思われますが、リーンがミスミドで遭遇した物は新たに出現した物です。それを照らし合わせると、リーンから提供された情報、太古にあったとされるフレイズの大規模襲来がまた発生する可能性も否定出来ません。また、フレイズの詳細な戦闘力データは皆無である以上、我々が遭遇した物よりも上位に当る種が出現する可能性もあります。そうなれば、私というタイタンを持つクーパーがいなければ、こちらの世界にエルゼ達を残したとしても、彼女達が危険に晒される可能性は0ではありません」

 

「そうか。……フレイズの侵攻が再びあったとしたら、確かにエルゼ達にも危険が及ぶ可能性がある」

 

そうなれば、例えフロンティアへの帰還方法が確立され、『皆を巻き込みたくないから』とこの世界に残していっても、フレイズの侵攻が考えられる以上危険度はどっこいどっこいだろう。何せフレイズは一度世界を滅ぼしかけている。

 

「彼女達を守るためには、俺がこの世界に居た方が良いって訳か」

「はい。だからこそ、私はこの世界へ留まる事を推奨します」

「そうか」

 

俺はBTの言葉に頷く。だが分かる。BTも、BTなりに俺にアドバイスをくれてるのだろう。

 

「ありがとな、BT」

「いえ。どういたしまして」

 

全く、最高の相棒だよ。俺のタイタンは。

 

まぁ、それでも俺はこれからもパイロットとして戦うだろう。フロンティアだろうと、この世界だろうと。……俺は誰かを守るために兵士になった。自由と平和のために、ミリシアに入った。……その思いは今でも変わらない。だからこそ、どこが戦場になろうと、俺は俺の意思に従って戦う。

 

フロンティアでは自由と平和を掛けて戦ったように。この世界で俺は、俺が大切だと思う人々や居場所を守る為に戦ってやる。1人の、パイロットとして。

 

なんて思いながら笑みを浮かべていると……。

 

『コンコンッ』

 

「ん?誰だ?」

ドアがノックされたので、咄嗟に体を起こして問いかける。

「ジャックさん?ユミナです。あと、エルゼさん達も一緒です」

「ユミナに、エルゼ達もか?」

 

俺は立ち上がり、部屋の鍵を解除してドアを開ける。すると、そこには……。

 

「お、お前等?どうしたんだ?その格好」

寝間着だろうか、ネグリジェを着た4人が立っていた。

「あ、あの。実はその、今日は、ジャックさんと一緒に眠りたいな、なんて」

「は?」

突然のリンゼの言葉に俺は戸惑う。

 

「あの、とりあえず中に入っても良いですか?」

「あ、あぁ」

ユミナの言葉に俺は頷き、彼女達を中に招いた。適当にソファに座らせ、俺もベッドに腰掛ける。

 

「それで、一緒に寝るってのは?」

「それを提案したのは私です」

俺が問いかけると、ユミナが答えた。

 

「正直、ジャックさんが元の仲間のところへ戻りたいって言うから、私を含め皆不安になっていたんですよ?ですから、その不安を払拭するために、添い寝などしようかなと思いまして」

 

と、話をするユミナ。

「成程ね。……とは言え、俺は正直断りたい所だが」

「「「えぇっ!?」」」

俺の言葉にユミナ以外が悲鳴じみた声を上げる。

 

「ど、どうしてでござるかっ!?せ、拙者たちと一緒に眠るのが、そんなに嫌なのでござるかっ!?」

「そういうわけじゃないさ」

俺は八重の言葉を否定する。

 

「ただ、俺も男だ。それにこの前、誰かさん達に娼館行きを妨害されたからな」

「「「うっ」」」

俺の言葉に再び3人が唸る。

 

「おかげでここ最近は欲求不満なんだよ。そんな状況で、傍にこんな美女4人が薄着で寝るとか。あれか?俺は狼になってお前達に襲いかかれと?」

「え、えええぇっとっ!そそ、それはそのっ!」

顔を真っ赤にするリンゼ。エルゼと八重、更にユミナも顔を赤くしている。

 

何だかんだ言っても、こいつらも『そう言う事』に興味が出るお年頃だろう。

 

だから俺は、『冗談半分』で聞いてしまった。

 

「それとも、お前達が俺の夜の相手をしてくれるのか?」

「「「「ふぇっ!?」」」」

俺の言葉に4人は素っ頓狂な声を上げる。

 

「俺は別に構わないぞ?お前達みたいな美少女を抱けるのなら、本望だ」

「だ、だだだ、抱くってっ!?」

俺の言葉にエルゼは顔を真っ赤にして叫ぶ。

 

他の3人も顔を真っ赤にしている。ふぅ、ちょっとからかいすぎたか?

さて、ここは引き返せなくなる前に……。

 

と、思って居たその時。

 

「じゃ、じゃあっ!私、やりますっ!」

「は?」

「「「えぇぇっ!?」

バッと挙手をするリンゼに、呆ける俺と声を荒らげるユミナ達。

 

「そ、その代わり、もう、エッチなお店は行かないって約束してください」

「い、良いのかリンゼ。いや、確かに俺は欲求不満だから、その、出来る事ならやりたい。だが、本当に良いんだな?」

 

正直、リンゼは時々肝が据わってると思わされるが、まさかここで一番に手を上げるとは思わなかった。

 

「そ、その。私もジャックさんと、そう言う事、してみたいと思ってたので。ダメ、ですか?」

そう言って、モジモジしながら顔を赤くし俺を上目遣いで見上げる姿はとても可愛らしかった。……これを前にして断れる男は居ないな、と俺は内心苦笑する。

 

「ダメじゃないさ。むしろ大歓迎だ」

そう言って俺はリンゼの前に立ち、彼女の頬に触れる。

「あっ」

それだけでリンゼはピクンと体を震わせる。

 

「ちょ~~~~と待った~~~~~!」

すると、そこにユミナが普段の彼女らしからぬ声を上げる。

 

「いくら何でも最初だけは譲れませんよリンゼさんっ!確かに皆さんでジャックさんを支えていきましょうとは言いましたけど、正妻の座だけは譲れませんっ!最初にエッチをする順番もですっ!」

そう言って頬を膨らませながら声を荒らげるユミナ。まぁ、つまり……。

 

「じゃあユミナもしたい、って事で良いんだな?」

「ふぇっ!?」

俺の言葉にユミナは顔を真っ赤にしてしまう。

 

「さぁ、残りの2人。八重とエルゼ、お前達はどうする?」

「え、えぇっ!?あ、アタシはあの、そのっ!」

あたふたと慌てるエルゼ。すると……。

 

「せ、拙者は、拙者はっ!じゃ、ジャック殿と、し、したいでござるぅっ!」

八重が顔を真っ赤にして叫んだ。

「ちょっ!?八重っ!?」

これには隣に座っていたエルゼが戸惑う。

 

「ははっ、今のは思い切ったな八重。さて、エルゼはどうする?」

俺は苦笑を浮かべながら最後の1人であるエルゼに問いかけてみる。

 

「う、う~~~~!あぁもう分かったわよっ!あたしだってそう言うの興味あったしっ!じゃ、ジャックなら良いわよバカァッ!」

顔を真っ赤にして叫ぶエルゼ。

 

さて、これで決まりだな。

 

「よぉし。上等だ」

俺は笑みを浮かべながら4人を見回す。

 

「ここ最近、欲求不満で溜まってたからなぁ。……お前等、今日は寝かさないぞ?」

そう言って、俺は笑みを浮かべる。

 

 

そうして、パイロットと4人の少女達による夜の宴が始まった。普通に考えれば4人の少女をまとめて相手するのは難しい。しかし、戦場で鍛えられたパイロットの肉体は疲れ知らずであり、クーパーの言うとおり、彼等のHな宴は空が白み始める頃まで続いたのだった。

 

(※ 今回のHシーンは別作品にて投稿します)

 

 

 

で、結局翌日のお昼頃まで熟睡していた俺達。俺は一足先に起きると、隣で裸のまま眠る4人の顔を見つめ、優しくその頬を撫でた。

 

やれやれ。……どうやらこの世界に留まらなきゃいけない理由が出来たようだ。……まぁ、ミリシアやフロンティアへの未練は捨てきれない。それでも、戻る方法は今の所無い。だからこそ、今はその事を考えるのは止めよう。

 

そして、今はこいつらの事を全力で守ろう。俺の、大切な彼女達を。

 

そう、俺は決意を固めながら傍らで眠る彼女達1人1人の額にキスをするのだった。

 

     第15話 END

 




って事で、最後の方に書いてましたがHシーンは別作品(R18作品)として投稿する予定です。出来たら目次の所とかにURLを張っておくので、しばしお待ち下さい。

感想や評価、お待ちしてます。
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