異世界はBTとともに   作:ユウキ003

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大変遅くなりましたが、最新話です。 仕事が忙しいのと『小説家になろう』をメインにして活動しているためこちらの投稿が殆ど凍結状態でしたが、これからもちまちま投稿していく予定です。


第20話 工房

新たなバビロンを求めて南の砂漠地帯にやってきた俺と仲間達は、フレイズを撃退しつつも謎の多い存在、エンデと再会する事になった。謎の存在エンデ。迫り来るフレイズ。まだ見ぬ上級種と呼ばれるフレイズを警戒しつつも、俺は謎のドームを発見しこれに侵入。そしていつかの海底遺跡のように、魔法陣を起動した。

 

 

光が収まると、俺は庭園の魔法陣と同じような場所に立っていた。しかし前方に見えるのは、サイコロのような白い立方体の建物。……ここは何だ?俺は警戒しながらもウィングマンを片手に建物の方に向かおうとしたが……。

 

「そこで止るでありますっ!」

「ッ」

突然俺の前に飛び出してきた人影に、俺は咄嗟にウィングマンを向ける。

 

飛び出してきたのは、オレンジ色の髪を両サイドでお団子状にした少女だった。しかし服の形がシェスカと似ている。と言う事はやはり、この少女もシェスカと同じ管理者という事か?

 

「ようこそバビロンの『工房』へ。小生はこの工房を管理する端末、ハイロゼッタであります。『ロゼッタ』とお呼び下さるとありがたくあります」

……また変なのが出てきたな~こりゃ。

 

「ここから先は工房の中枢区画ゆえに許可の無い者、適合者以外は通すわけには行かんのでありますっ!」

「一応、俺は既に庭園とミリシアを手にしている。もちろん双方から適合者として認められているが」

「何と。庭園とミリシアと言う事は、フランシェスカとサラでありますなっ!しかしならば話が早いでありますっ!この工房の主に相応しいお方か、小生も試させて貰うでありますっ!」

 

「試す?」

そう言やぁ、シェスカの時も変な事させられたなぁ。パンツがどうこうとか。

 

「そうでありますっ!小生から出題する試練はこちらっ!その場から一歩も動かずに小生の履いているパンツの色を当てる事でありまするっ!」

「……………。は?」

あのシェスカの同類だから、どんなヘンテコな試練になるやら、と思って居たがやっぱりヘンテコだった。

「答える回数は1回のみっ!制限時間は5分っ!さぁ、如何するでありますかっ!」

「ハァ、ったくなんでこんな事に」

とため息を漏らしながらもどうするか考える。……ここは。

 

「なぁ、例えばの話、お前を引き寄せる、スカートを排除するってのはありなのか?」

「可能ではありますが、このスカートは風や炎の魔法など受け付けないのでありますっ!」

「あぁ、そうか、よっ!」

 

俺は左腕からグラップリングフックを射出した。撃ち出されたそれがロゼッタの右手に巻き付く。

「おっ!?おぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」

すぐさま凄まじい勢いで俺の方へと飛んでくるロゼッタ。そして俺は飛んできたロゼッタの足を掴んで、宙ぶらりんの態勢にし、ロゼッタのスカートの中をのぞき込んだ。

「ッ。おいこれ、そもそもパンツじゃないだろっ」

 

「そ、それで答えは何でありますかっ!?あ、あと下ろして欲しいのでありますっ!あ、頭に血が上って~~!」

「ったく」

俺はロゼッタをひっくり返し、地面に下ろした。……あんなの履いてる奴、ライフルマン仲間が持ってきたAVでしか見た事ねぇぞ。

 

「答えは無色透明。だろ?」

「正解でありますっ!これによりあたなを適合者と認め、今現在より機体ナンバー27、個体名ハイロゼッタは、あなたに譲渡されたでありますっ!これから末永くよろしくお願いするでありますっ!」

「あ~はいはい」

 

ったく、あの変態博士は何だってこんな奴らを作ったんだ?まぁ良い。

「だったらロゼッタ。早速お前に指示を出す。この工房内部を案内してくれ。それと、工房の機能説明だ。出来るな?」

「もちろんでありますっ!あっ、ところでパンツは如何様に?このままでありますか?それとも履き替えるでありますか?」

「……お前に任せる。好きにしろ」

そう言って俺はウィングマンをホルスターに収め、眼前に見える建物へ向かって歩き出した。それに付いてくるロゼッタ。

 

 

さて、建物の前にたどり着いたが。入り口らしき物が見当たらない。周囲を見回していると、建物に触れたロゼッタ。すると壁だった物が無数の立方体に変化して移動と合体を繰り返し、入り口が姿を現した。……成程、これならロゼッタでなければ中には入れないって訳か。

 

そして案内されたのは、一面真っ白な部屋だ。真っ白すぎて距離感覚が狂いそうだ。などと思って居ると、ロゼッタが床に手を触れた。すると床から白いテーブルが現れた。そのテーブルには、様々な工具の先端が付いたアームも付属している。

 

「ロゼッタ。このバビロンは、工房って言うくらいなんだから生産に関わる場所で良いんだよな?」

「その通りであります。それをこれから説明させて頂くであります」

 

そう言ってロゼッタは俺に説明を始めた。

 

 

この工房とは、ロゼッタ曰く、『あらゆる工作道具を生み出し、工作台を作り、製作をサポートする場所』だそうだ。その辺りは確かに工房らしい。

 

更にロゼッタが言うには、何か道具があった場合、製造に必要な素材があればそれをコピーする事も可能だと言う。待てよ、だったら……。

「少し試して見たい。俺の武器をコピー出来るかやってみてくれ」

「お任せ下さいっ」

 

と言う事で、俺はクレーバーを取り出して彼女に渡し、更に素材としてストレージからこの前討伐したミスリルゴーレムの素材である、ミスリルの塊を渡した。

 

そしてロゼッタは、工房のシステムを使って見事にミスリル製のクレーバーを創り出す事が出来た。

「……ホントに出来た」

ミスリル製のクレーバーは、従来のそれよりも少し軽い。ふむ、今度時間があったらこいつの試射でもするか、と考えながら俺はミスリルクレーバーをストレージに格納する。

 

「この工房を使えるのは、小生とマスターである貴方様だけとなります。あぁ、それとコピー品を作る際には、こちらで自由自在にデザインを変更することも可能である他、生産する個数は念じて伝えておけば勝手に生産を進めてくれるであります」

「そいつは便利だな」

 

よし。こことミリシアの工廠があれば、武器を生産する事が可能だろう。っと、そうだ。ここの施設ならタイタンの生産も出来るかもしれない。素材は後で集めるとして、出来るか聞いてみるか。

「なぁロゼッタ。例えばの話なんだが、この工房で7~8メートルの大型の、鉄の塊の兵器を作る事は可能か?」

「はい。可能でありますよ。しかしその鉄の塊の兵器とは一体?まさか、フレームギアの事でありますか?」

 

ん?何やら聞き慣れない言葉が出てきたな。

「フレーム、ギア?何だそれ?」

「フレームギアとは、レジーナ・バビロン博士が対フレイズ用に生み出した兵器でありますが、違うのでありますか?そのサイズで鉄の塊の兵器となると、てっきりフレームギアの事かと」

「そうか」

 

そういや博士、この前の記録データの中で対フレイズ用の兵器が、とか言ってたがそのフレームギアの事だったのか?まぁ今は良い。

 

「まぁフレームギアと似たようなもんだ」

そう言って俺は端末を操作し、空中にアトラスやオーガのデータを表示する。

 

「おぉっ。これがマスターの言う?」

「そうだ。人型機動兵器のタイタンだ。どうだ?データはあるから作れそうか?」

「う~ん。そうでありますね、まずはデータを読み込んでみない事には何とも。場合によっては様々な素材が必要になりますので」

「分かった」

 

少なくとも、不可能でないと分かっただけで上出来だ。場合によっては今後、ここでタイタンを増産していく形になるだろう。

「っと、そうだ。念のために聞いておきたいんだが、そのフレームギアってのはここで生産出来るのか?」

「可能ではありますが、設計図の類いが無いので無理であります。現状では装備類の生産が関の山かと」

「そうか。じゃあその設計図があれば良いんだな?その設計図ってのはどこにある?」

「それでしたらバビロンの一つ、蔵の中にあるかと」

「蔵、か」

 

どうやら現時点ではフレームギアよりタイタンの方が生産出来そうだ。その蔵が次に見つかる保障も無いしな。さて、これでとりあえずロゼッタは俺の配下となり、工房も俺の所有物になったも同然だ。

 

俺はまず、皆を砂漠からゲートで工房内部に連れてきて自己紹介をさせた。ちなみに、ロゼッタにBTを紹介するとかなり驚いていた。そしてリーンは工房だった事にちょっとがっかりしていた。

 

その後、ロゼッタと工房はベルファスト王国上空で待機している庭園やミリシアと合流させる事に。後のことを彼女に任せ、更にミリシア級空母もサラに言ってミリシアへ戻る用に指示。

 

俺達は保護したローガン達の事も気になったので、一足先にゲートでベルファストの屋敷へと戻った。

 

ローガン達の居る応接室に居たのは、ローガンら冒険者の3人だけだった。エルゼ達は風呂に入ってくると言って出て行った。リーンはフレイズ出現の報告のため王国へ。ロゼッタについては、シェスカとサラに任せてある。

 

しかし戻って気になる事があった。

「おい、あの7人はどうした?姿が見えないが?」

「彼女達なら眠ってるよ。よほど疲れたんだろう。この家の執事さんが用意してくれた部屋で、泥のように眠ってる」

「そうか。……まぁそれも仕方無いだろう」

 

そう言いながら俺はソファに腰を下ろす。

「お前達はこれからどうする?それにあの子達は?」

「……実はその事についてなんだが……」

「ん?」

「あの子達の事、職が見つかるまでこの屋敷においてやってはくれないか?」

 

ローガン曰く、彼女達はこれといった特殊技能が無い普通の村娘なので、仕事を探すのにも苦労するだろうから、せめて職が見つかるまでここで面倒を見てやって欲しい、との事だ。

 

「分かった。こちらはそれで構わない」

その後、彼等は『寝ている7人を起こしちゃ可哀想』と言って屋敷を出て行った。ただ、警備をしているトマスとハックやライムには彼等が来た場合すぐに通してやってくれといってある。

 

しかし……。

彼女達の職探し、か。これといった技能が無ければ難しいだろう。何か無いか、と考えた俺は、エルゼ達に相談する事にした。

 

「お仕事、ですか」

「あぁ」

 

ローガン達から聞いた話を彼女達にした後、あの7人の良い働き場所になりそうな所は無いか?と聞いてみた。

 

しかし4人とも首をかしげるばかりだ。う~ん、少し質問を変えてみるか。

「なぁ、皆はこう言う店があったら良いな、とか思った事は無いか?」

「そうですねぇ。私としては、本を読むのが好きなので、よく本屋さんに行くんですが、読みたい本が売ってなかったりして、がっかりすることがよくあります」

「売ってないって、売り切れで?」

「いえ。ここはベルファスト王国ですから。外国から本が入荷する事って希なんです」

「あぁ成程」

 

確かにこの世界は俺の居た世界よりも流通や交通がかなり遅れている。国家間の行き来だってこの前の護衛の件みたいに大変だ。

 

「ならリンゼ。もし仮にだが、世界各国の本を読める場所があったら、商業的に成功すると思うか?」

「う~ん。私としてはとても魅力的ですけど、成功するかどうかは、ちょっと分からないですね。ただ、他のお店には真似出来ないし、そう言うお店は無いから注目はされると思いますよ?」

「そうか。……じゃあ次、ユミナに質問だ。ユミナだったら、こう言う店が欲しいとか、何か要望みたいなのはあるか?」

「そうですね~。すぐには思いつきませんが、私はリンゼさんの提案に賛成ですね。私も本を読むのは好きなので」

「成程。じゃあ次は、エルゼ。エルゼはこう言う店があったら便利だな、って意見はあるか?」

「う~ん。そうねぇ。私としては体を動かせる場所が欲しいかも」

「ん?と言うと?」

 

「ほら、体を動かすにしても場所がいるでしょ?あたし達なら屋敷の裏庭とか場所があるけど、町中でそう言うトレーニングなんて出来る訳ないし」

「確かにな。……トレーニングの出来る場所、か」

スポーツジムみたいなもんか、と俺は考える。

 

「よし次、八重。お前はどうだ?」

「拙者もエルゼ殿と同意見でござるな。体を動かせる場所や、体を鍛えるのに丁度良い道具がある場所は素直に欲しいでござる」

「そうか」

 

4人の意見をまとめると、本屋かスポーツジムって話になったなぁ。……このどっちかをやるか、或いは両方やるか。それから少し俺は迷ったが……。

「やってみるか」

 

とだけ言って、今後やるべき事を決めたのだった。

 

 

さて、と言う事で特殊な店を作る事になったが、如何せん資金がいる。そこで俺はミスミドの知り合い、オルガ達の父親であり商人のオルバを頼った。彼に相談して、俺がモデリングで作って居た将棋やオセロを、素材を持っていって工房でコピーして大量に生産し、売ってくれるように頼んだ。

 

全く新しい娯楽であるこれらに興味を示したオルバは、快くこれらを買い取ってくれた。しかも思ったよりも良い値段で、だ。

 

しかも、今後とも定期的に卸して欲しい、との事だったので、将棋などを安く卸す代わりに、金属や木材などの素材を購入の際に割引して欲しいと言った。オルバもそれを快く引き受けてくれたので、今後の収入源と資材の確保ルートが出来た。

 

それと、彼との連絡用に工廠で作った新しいコネクトデバイスも渡しておいた。ただしこれには通信機能しか入れてない。遠距離でも通信出来るデバイスに、『こちらも卸して欲しいッ!高額で買い取らせて貰うっ!』との事だったが、こいつはそこまで量産に向かない高級品だから、と言って流石に断った。

 

しかし将棋やオセロが思いのほか高く売れたし、いろいろ依頼をこなしたおかげで、金も集まった。

 

 

と言う事で、俺達は行動に出た。

 

まず、俺はBTのサテライトスキャンで各国の首都の映像を、ニューラルリンクを通してみせてもらい、そこへゲートで向かい、本屋で本を大量に購入していった。更にBTのアドバイスで既に完結しているシリーズのみを購入した。BT曰く、この世界には予定された発売日というものが存在しないから、だそうだ。なので、未完の作品は何時完結するか分からない。なので俺は完結している本を購入し、屋敷に戻った。

 

屋敷に戻った俺は更にBTのアドバイスで、工廠で生産した透明な保護カバーを掛けていく。リンゼにも手伝ってもらい、カバーを掛け終えると……。

 

「ただいま~。良さそうな物件、見つけてきたわよ~」

候補地探しを頼んでいたエルゼが戻ってきた。

「あぁありがとな。それで、どんな場所だ?」

「南区中央通りの端っこよ。でもその分結構広いから」

「分かった。なら視察して、良さそうならそこに決定だな」

 

 

と言う事で、俺は彼女達と共に敷地の下見に向かった。うん。広さは申し分ない。もともと宿屋だったらしくそこそこ大きい建物もある。

「どう?ジャック」

「あぁ、十分だ。これだけ広ければ問題ないだろう」

 

 良い物件が見つかった事で、俺たちはその元宿屋だった土地を購入。例の7人とたまたま来ていた冒険者のウィルたちも加えて、建物の改装を始めた。

 

 ウィルたちには掃除をしてもらいつつ、俺はエルゼたちと間取りの相談などをしていた。今回俺たちが作るのは、言わば複合施設みたいなもんだ。半分はリンゼ達の提案にもあった本屋モドキ、BT曰く過去の地球に類似する施設として『漫画喫茶』なる物があったらしく、それに似せて料金や設備などを設定、バビロンの工房やモデリングを使って家具や道具などを揃えていく。

 

 こちらでは時間ごとの利用料を払えばその時間だけ好きなだけ滞在できるし、軽食や飲み物も置く。こちらは別途料金が発生する。また、盗難防止のために出入口を二重のドアにして、内扉の手前にセンサーを設置。店内にある本の全てに工房で生産したマイクロチップを忍ばせてあり、センサーが本の通過を確認すると外扉に仕掛けられたロックが瞬時に施錠され、加えて内扉と外扉の間の壁にスペクターの待機ポッドを設置。即座に起動したスペクター2機が、本を盗もうとした下手人を捕らえるって訳だ。 また、店内の数か所にも壁に偽装したスペクターの待機ポッドがあり、有事の際にはこれらが起動。店内で暴れる輩なんかを捕らえる仕掛けになっている。

 

 それと、俺たちはエルゼたちの提案でもある施設も作った。それはいわゆるスポーツジムだ。工房で製作したランニングマシンや筋トレ用のダンベル。軽い運動用に縄跳びやボクシングや格闘技のためのヘッドギアやグローブにリングなどを設置。こちらにも軽食や飲み物を提供できる設備や簡易休憩所を作り、漫画喫茶モドキと同じように警備のためのスペクターも配置。

 

 それと二つの施設の出入りは自由にしてある。ジムと漫画喫茶を自由に出入りする事で、好きな時に休み、好きな時に体を動かせるって訳だ。

 

 

 そして、ある時俺はウィルと二人でスポーツジムの方の、重い機材などの設置をしていたのだが……。

「ハァ、ハァッ」

「おい、大丈夫かウィル?」

 ダンベルやらなにやら、重い機材を運んだりしていたのでウィルはすっかり息が上がっていた。

 

「少し休憩するか。待ってろ。水でも持ってくる」

「す、すみません。旦那様」

 呼吸を整えているウィルを一瞥しつつ、俺は水の入ったグラスを持ってくる。……と言うか、どういう訳かウィルやウェンディ達7人は俺の事を旦那様と呼ぶ。まぁ今更か、と思ってたりした。

 

「ほら」

「あ、ありがとうございます」

 ウィルは俺からグラスを受け取ると、中に入っていた水を一気に飲み干してしまった。

 

「はぁ~~~。生き返る~~」

「色々運んだりしたからな。まぁ無理もないさ」

 ウィルの姿に俺は微笑しつつそう言って肩をすくめるが。

 

「いやでも、旦那様の方は全然疲れてる様子無いじゃないですか」

「ん?まぁな。これくらいで疲れた、なんて言ってられないさ。パイロットならな」

「パイロット。確か、旦那様の事ですよね?」

「あぁいや。正確には俺みたいなやつらの事だな」

「と言うと?」

 

 パイロットの事を詳しく知らないウィルは首をかしげている。

「俺たちが初めて出会った時にいたBTは覚えてるだろ?パイロットっていうには、あのBTみたいな巨大兵器、タイタンに乗って戦う連中の事だ。最も、パイロット自身も過酷な、それこそ命がけの訓練を生き延びてやっと1人前になれる。いわば上級兵士だな」

「そ、そのパイロットって強いんですか?」

「あぁ。とんでもなく強い。強いパイロットと強いタイタンの、たった二人だけだって戦況をひっくり返せるくらい強い」

「ッ!す、すげぇ……っ!」

 

 ウィルは俺の話を聞くと、目をキラキラと輝かせていた。……なんだろうな。今のウィルを前にしていると、どことなくかつての自分を見ているような気がする。すると……。

 

「あ、あのっ、旦那様。お、俺もパイロットになれますかっ!?」

 ウィルは憧憬の表情で俺を見上げている。が……。

「先に行っておく。パイロットになれるか、って質問には分からないとだけ言っておく」

「わ、分からない?それってどういう事ですか?」

 

「簡単に言うと、パイロットは訓練ですら命がけなんだ。実際訓練で命を落とした奴だっている。更に格闘技やらタイタンの操縦やら、覚える事も色々あるから大変だ。いや、そんな言葉で言い表せない程、パイロットの訓練は過酷で危険だ」

「ッ。そう、なんですか」

 俺の話を聞き、ウィルの表情は憧憬から困惑へと変わっていく。しかし……。

 

「まぁ、パイロットにならずとも、俺がお前を鍛える事くらいは出来るぞ?」

「えっ!?」

 俺の言葉にウィルは俯きかけていた視線を上げた。

 

「例えば格闘術の訓練をしたり、俺が持っている武器を与えてその扱い方を伝授したりすることは出来る。それだけでもかなりレベルアップできるはずだ。どうする?」

「ッ!お、お願いしますっ!!」

 

 ウィルは俺に対して深く頭を下げた。

 

「俺っ、守りたい人が居るんですっ!そのために、強くなりたいんですっ!だからっ!」

「あぁ、分かった。なら俺がお前を鍛えよう。俺の知ってる限りの技術と経験を教えてやる。だが、甘くはないぞ?覚悟しておけよ」

「はいっ!!!」

 

 俺の言葉に、しかしウィルは臆した様子もなく顔を上げよく通る声で返事を貸してきた。

 

 こうして俺は、一人の男を鍛える事になった。今の俺に、あの人のように。ラスティモーサ大尉のように誰かを鍛え導けるか分からないが、それでも最善を尽くそうって思えたんだ。

 

 せめてウィルが、生き延びて愛する人の元に帰れるように鍛えてやろう、と。

 

     第20話 END

 




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