蒼の帝王   作:鈴見悠晴

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TopⅥ

「ここまでの戦いでお前達は確実に自分の価値を証明した。A・B・Cこの三組はそれぞれ実験的超攻撃的2トップだ。一人では生み出せない攻撃を見せろ。そして絶対にその地位を奪われるな。お前らは青い監獄の頂にいるんだ。お前らのサッカーが日本サッカーを変えると自覚しろ、俺はお前達の挑戦が見たい」

 

二次選考を生き残った35人の中、僅か6名の選手だけがその部屋には入ることを許されていた。ブルーロックに作られたVIPルーム。そこにはこの一次選考、二次選考を通して結果を残し続けたブルーロックランキングトップ6だけが集められていた。

 

ブルーロックランキング一位、王馬翔

ブルーロックランキング二位、糸師凛

ブルーロックランキング三位、士道龍聖

ブルーロックランキング四位、烏旅人

ブルーロックランキング五位、乙夜影汰

ブルーロックランキング六位、雪宮剣優

 

現状この蒼い牢獄で最もゴールを決めているストライカー達がそこに集まっていた。

チームAに分けられた王馬と糸師凛の正真正銘、青い監獄の頂の二人だったが、お互いの会話は驚くほど少なかった。自分よりも上のストライカーの存在をすんなりと認められない糸師凛と、あの糸師冴の弟と言うことでどこか身構えてしまっていた王馬は馴染めていなかった。結局彼らの関係性を決めるためには同じピッチに立つ必要があった。

 

そんな彼らとともに戦う人間は残された29人として、自分の人生をかけた一発勝負のチームメイトを選ばされていた。与えられた24時間を使ってそれぞれが、それぞれのやり方で入るチームを考える中、元チームZのメンバーは食堂に集まった。

「しっかし、元チームZのメンバー全員集合って訳にはいかなかったが……やっぱり王馬がナンバーワンだったな」

雷市のこの言葉のその先を、その場にいた全員が黙って待った。

「まぁ一緒にやったからこそ分かる。あいつは物が違う」

雷市の口から漏れ出た言葉はまさしく彼の本音だった。自分のプレーレベルがどんどんと上がっていくような、引き上げられるような心地よい感覚はほかの選手とやっていても感じられなかった。どこか王馬と一緒ならもっと上手くなれるのではないかという根拠のない確信があった。

 

「言ってることは分かるけどよ、それを言い出したらおしまいだろ」

國神は一次選考の時に見せていたように力強く言い切ることはなかった。彼もここまで来る間戦い続けてきた。自分の思い通りにならない方が圧倒的に多い。何度も壁にぶち当たったこの二次選考を超えて、それでも國神はその言葉を吐いた。

 

弱々しく、自分に言い聞かせるようなその言葉には大きな意味があった。現実を受け入れ、それでもまだ頂点を目指す國神の強い意志が込められていた。

 

「……そうだよな、ここにいる全員に宣言しとく。俺が世界一のストライカーになる」

「言うねぇ潔、でも分かる。今この中で1番成長してるのはお前だもんな」

 

このメンバーの中で1stクリアチームに所属していた潔と蜂楽、この二人は雷市や國神と違って自信に満ちあふれていた。自分の殻を打ち破って成長を続けていた二人はトップシックスから漏れてはいたものの、現状そこにとても近い場所まで近づいていた。

「皆はどのチームに入るつもり?」

潔の質問に各自が与えられていたアンケート用紙を見つめた。

 

「俺は……Bかな、直感だけど」

「同じく」

我牙丸と千切の二人が挙げたのはBチーム。士道というボックスストライカーに烏という万能型の二人組のチームを考えたとき、この二人は相性が良いと感じていた。それぞれが自分の武器を持っている彼らはたしかにこのチームの適性が高かった。

 

「まだ決めたわけじゃないかが……今のところCだ」

「映像での確認をしてからだが、CかAどっちかだ」

国神と雷市はまだ決めきっていないものの、Cを候補に挙げていた。乙夜、雪宮のスピードや突破力に定評のある彼らのチームはこの3チームの中で、最も突破力に秀でていた。

 

 

そして最後に王馬と糸師のどちらとも一緒にやった潔と蜂楽の答えは決まっていた。

「俺はAにするよ。凛に王馬、二人に追いつくためには今じゃなきゃ駄目だ」

「う~ん俺もAかな。この二人は想像を簡単に超えてきそうな、そんな予感がする」

チームZのメンバーが自分たちのチームを意外とあっさり決めたのに対して、元チームVのメンバーは意外と時間がかかっていた。

 

その日の夜、モニタールームには一次選考の時のようにじっとモニターを見つめる凪がいた。

「どのチームにするか決まったか?」

玲王が入っても気づかない様子の凪に声を変えるとそこでようやくこちらに気づいた。

「玲王……そっちは決まった?」

「俺はチームCだ。斬鉄は決められないって悩んでたから、あみだくじか何かで決めるかもな」

あぐらをかいていた凪の横に座った玲王は、目の前の液晶に映っていた王馬の映像を見た。

 

「お前は二つ選べるんだから、どこにするかで考えるより、どこでやりたくないかを考えた方が良いんじゃないか?」

ブルーロックランキング7位として、トップシックス以外のメンバーで唯一複数試合に出る権利をもつ凪は、玲王に言われて、自身のアンケート用紙に二つ印をつけた。

一つ目はA、もう一つはC。凪の表情に迷いや不安は見て取れなかった。その表情を見て、怜王も安心して笑った。

 

翌日、ピッチの上では王馬と糸師のチームA。士道と烏のチームBのメンバーがアップを終えて、チームメンバーを待っていた。

扉が開くと、そこから三人のチームメンバーが入ってきたが、先頭に立っていた男の姿を見て糸師が舌打ちを打たんばかりの勢いで吐き捨てた。

「潔かよ」

その言葉に斬鉄が反応する。

「何だ知り合いか?」

斬鉄が眼鏡をあげながら二人を交互に確認すると、鰐間が潔よりも先に答えた。

「チームメイトだったのではないかと、俺は推測する」

そんな彼らを確認した王馬は何も言うことなく、敵陣を見つめた。

 

烏と士道の背後の扉からは、千切に二子という非常に見覚えがある二人、そして大柄な体格を持つ志熊という選手が入ってきていた。

 

三次選考トライアウトが始まった。




今回はかなり短いです。どこかのタイミングで前の話と結合するかもしれません。

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