遊戯王-Dark World Princess-   作:ごん小狐

2 / 3
オリジナル要素を多数含みます。
キャラ崩壊も盛り沢山ですので、苦手な方はブラウザバックを推奨します。
何でも許せる方のみ、お進み下さい。


第2話 暗黒界の会議

暗黒界の城、会議場。暗黒界全軍が一室に収まる程の巨大な部屋、現在そこには暗黒界の重役全てが一同に会し、巨大な円卓を囲っている。重役でない一般の兵士達はそれぞれの長の後ろに控えている。

重役達が頭を抱えながら知恵を出し合う中、兵士達はヒソヒソと密談する。

 

「…なあカーキ、一体何だってんだ?グラファ様が全軍集合をかけるなんて…」

 

赤い悪魔が、横にいるカーキと呼ばれる巨大な頭から手足の生えた悪魔にチョイチョイと突きながら尋ねる。

 

「え、スカー、お前知らねぇの?何でもユラ様が人間界に行きたいってグラファ様に言ったらしいぜ?」

 

「うっそ、マジ?さすがのグラファ様怒っただろうなぁ…」

 

「それがよ?最初は拒否したらしいんだが…ユラ様に泣かれたらしくてな…」

 

「ユラ様に弱いなグラファ様。だからか、なんか焦ってるのは」

 

そう言って彼らは円卓を見る。円卓の中の1番巨大な席で、グラファは見るからに焦りながら、自らの部下たちに知恵を出させていた。

 

「ええい!もっとまともな案は無いのか!何なのだゴルド!暗黒界を人間界みたいにするなどと!ユラは本物の人間界を欲しておるのだぞ!」

 

グラファは金色の悪魔ゴルドを指差し、今にも襲い掛からんと円卓に脚を乗せる。それを見たゴルドは「申し訳ありません!」と頭を下げ、身構える。そんなゴルドを見かねた銀色で腕から刃の生えた悪魔が助け舟を出す。

 

「し、しかし、恐れながらグラファ様…ユラ様が人間界へ行ったとしてもユラ様は我ら同様精霊であられます。人間共には見えぬ、触れられぬ、交流出来ぬ存在でありますゆえ、人間界を感じたいユラ様をかえって傷つけてしまうのでは?」

 

「ヌゥ……確かに…貴様の言う通りだシルバよ…クッ…ここまで、なのか…?我は、ユラに嫌われたままなのか……!ウオォォォン!」

 

円卓の席からグラファは崩れ落ち、地面で膝を抱えながら涙する。これが暗黒界の頂点で、よいのだろうか…。

そんな中、重役席の後ろから、スノウが手を挙げる。

 

「あの、グラファ様ひとついいですか?」

 

「…何だスノウ。我はどうせユラのパパにはなれぬのだ…いっそこのまま消えてしまいたい…」

 

グスングスンとすすり泣くグラファを無視し、スノウは思い出したことを話し出す。

 

「グラファ様、昔まだグラファ様がお若い時に人間界侵略用にレイン様に頼まれたあの術ではダメなのですか?」

 

「あ、そうか。グラファ様、私が作ったアレですよ!精霊物体化術!ナイスだスノウ!」

 

精霊物体化術。かつてグラファが若かりし頃、人間界に手を出そうとしていた時期があった。その時は精霊界全土からバッシングを受け、小さな戦争にも発展し、そのまま長く精霊界全土を相手取るわけにもいかず、暗黒界側は人間界への侵攻を辞めるという形で和平を結んだ。この時開発されていたのが件の術だ。この術はその名の通り、精霊を人間界で活動出来るように精霊に一時的に受肉させるというものであった。

 

「…行けるのか?それで」

 

「ハッ、可能でございます!グリン!例の資料を!」

 

レインが指を鳴らすとグリンが現れ、資料を地面に転がるグラファへと手渡す。

 

「…ふむ、活動限界は無いのか」

 

「はい、開発当初は1日が限度でしたが、今となっては無制限でございます」

 

「ダメだ」

 

「何故です!?」

 

自信満々だったレインを尻目に、グラファは資料をポンポンと叩きながら、不満そうに答える。

 

「だって、無制限だと人間界が楽しかった場合、ユラがうちに帰ってこない場合がある」

 

「あー…」

 

「グラファ様…それはさすがに…」

 

「ヤダ!ユラは我の娘だ!娘が離れていくのは耐えられん!」

 

ジタバタと、玩具を買って貰えない子供のようにのたうち回るグラファを半ば呆れた目で見守りながら、白金の悪魔が「それなら」と、手を挙げる。

 

「それならユラ様を人間の学校に通わせてみるのはどうでしょう?学校ならば不審な者もそうそう入り込めませんし、生徒同士の交流もあることもさながら、学校が終われば家に…暗黒界に帰宅という流れは作れるのでは?」

 

思いがけない意見に会場は静まり返る。

 

「えっ、ダメでした?いやほら、まずは人間の子供から相手をすることで少しずつ…」

 

失言をしたと感じた悪魔は必死に自らの意見を説明する。しかしそれを「いや」と、レインが静止する。

 

「ラチナ殿、おそらくそれが最善手だ。ですな?グラファ様」

 

「ラチナ…貴様…」

 

地面からゆらりとグラファが立ち上がり、ラチナの肩をガッと掴む。ラチナは反動から「ヒッ!」と声を上げる。

 

「貴様!よくやった!さすがは我配下である!」

 

「あ、ありがとうございます!」(本当は武勲で褒められたかった…!)

 

会議場の全員が歓喜の声を上げ、方針の決定に喜ぶ。だが、そんな中、1人の青いマントに剣を携えた悪魔が「お待ちを」と前に出る。

 

「貴様は…」

 

「ハッ、騎士ズールでございます。ユラ様の学校への入学。それには心より賛同いたします。しかしながら問題が」

 

「なんだ。申してみよ」

 

「では、僭越ながら…。入学手続きはいかがなされるのでしょうか」

 

「あ」

 

再び会議場が静まり返る。

 

「忘れてたな、そういえば」

 

「ラチナ殿、そこんとこどうなの?」

 

「…いや、そのぉ…ハハハ…」

 

乾いた笑いを飛ばすラチナの横で、グラファはここに来てやっと平静を保ち、静かに尋ねる。

 

「…レインよ、精霊物体化術をかけられる対象の上限は?」

 

「え、えーとですねぇ…まあおよそ1000名まででしょうか、魔力次第ではありますが」

 

それを聞くと、グラファは号令をかける。

 

「暗黒界の戦士達よ!聞くがいい!これよりユラの入学作戦を開始する!レイン達は書類の作成、並びに人間界への橋渡しを!」

 

「分かりました。すぐに掛かりましょう」

 

「ブロン!貴様の部下たちは隠密行動が得意な者が多かったな、その者たちで書類を対象の学校に潜り込ませろ!」

 

「ハッ!部隊を編成いたします!」

 

「グリン、貴様はユラに人間界で役に立つ知識を教えよ!」

 

「かしこまりました」

 

「その他の人員は人間界にて学校の視察、並びに選定。ユラの服や日用品の確保を行え!よいなッ!?」

 

「「「「ハッ!!」」」」

 

その日から1週間、暗黒界では着々と準備が進んでいった。時折、また侵略行為が始まったのではないかと他の精霊界から訝しげな目で見られることはあったが、事前にレインが各方面に通達を出していた為、そこまで大きな騒ぎには発展しなかった。

 

「ふむ…デュエルアカデミア、果天野(はての)校か」

 

グラファはシルバ達が持ち帰った学校パンフレットに目を通していた。これでかれこれ300冊目である。だがグラファはそのパンフレットの端から端まで、写真に映るごく細部まで吟味していた。

 

「はい、昨年完成したばかりの学校で、最新設備も揃っているようです」

 

「まあ確かに外観だけでなく、内装も綺麗な校舎だ…教師陣、は…正直分からんが…」

 

「それに関しましては私共の調査では温厚な教師ばかりかと…」

 

ふう、と息をつき、グラファは玉座に座り直し、再度パンフレットを見る。

 

「むう、今まで見てきた中では1番良いところだが…うむ、授業料も足りるな」

 

「はい。日払いの仕事を皆でこなした甲斐がありました」

 

「うむ、大義であった。となると後は、ユラが気にいるかどうか…」

 

「そうですね…そればかりはユラ様ご本人次第かと…」

 

「…分かった。では我は少しユラのところへ行ってくる」

 

「ハッ、かしこまりました!ご武運を!」

 

「うむ」

 

実はグラファはこの一週間、ユラへ人間の学校へ入学出来ることを伝えていなかった。部下達にもこの事は伏せるように言っていたので、教育係のグリンは人間界の知識を教えるのに酷く苦労をした。というのも、いい学校が見つからなければ行かせるわけにはいかず、期待させるだけで、また泣かれて嫌われてしまうかもしれないと思ったからだ。

ユラの部屋につくと、グラファは恐る恐るノックした。

 

「…誰?」

 

「あ、あぁユラ、パパだ。ちょっとユラに話があってな」

 

「…パパ、キライ…」

 

「ゴフゥッ!!」

 

言葉の刃がグラファの胸に突き刺さる。だがしかし!今日はここで折れるわけにはいかない。

 

「ま、まあ話を聞いてくれないか?実はな?その…ユラさえよかったら、人間の学校へ…入学しないか?」

 

「え………」

 

「も、もちろん人間界の学校だぞ!ど、どうだ…?」

 

ドアがカチャリと少しだけ開き、ユラが顔を出す。

 

「行って…いいの?本当に…?」

 

「ユラ…!ああいいとも!だから言ったじゃないか!パパは、なんでもって!」

 

その言葉を聞いて、ユラの顔がパッ明るく、笑顔になる。久々の我が子の笑顔に、グラファは思わず咆哮しそうになっていた。

ユラはよほど嬉しかったのか、ドアを開けてグラファに抱きついた。

 

「パパ大好き!ありがとう!!」

 

「」

 

直後、感極まったグラファの咆哮が暗黒界を…いや精霊界にまで響き渡る。

暗黒界の住民たちは慣れたものだったが、精霊界の住民達は恐ろしい事態の前触れかと、しばらくの間、警戒状態となっていた。

 

「パパうるさい」プイッ

 

「ああごめんよ!つい…」

 

咆哮の後、暗黒界では小規模の雷も観測されたそうだ。

 

 

第2話 完

 




次回はいよいよ入学試験!デュエルアカデミアの入学試験といえば、もちろんデュエル!ユラが初めてのデュエルへと挑みます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。