「で?私に何かよう?」
「いや、この辺りに魔法使いが住んでいると聞いたので。」
「とりあえず【春】を寄越せ!」
「は?」
「・・・。」
あ~、お腹が重い。
今私達は魔法の森に住んでいる魔法使い、アリス・マーガトロイドのお宅前にいますが、このアホンダラ達はいきなり喧嘩腰で喋ってもう!!
最近のストレスの原因はこいつらなんですよ。本当に。
「いきなり何よ?【春】ってなに?」
「ええと、これです。」
そう言って俺はアリスに自分達が持っている【春】の一部を見せる。
アリスはそれをジロジロ見ている。なにかわかるのか?
「なにこれ?ビーズか何かかしら?」
ダメだった。知らないならここに来た意味がないな。
「よし、帰るぞ。」
「りょ~か~い♪」「は~い。」
「ちょっと待ちなさいよ!?」
「なんですか?俺達、急いでるので手短にお願いしますよ?」
「いやいや、勝手に訪ねられて、勝手に帰って行ったら誰だってツッコミたくなるわよ!」
「え~、じゃあどうしろと?」
「せめて、ここまで来た理由を教えなさいよ!」
「わかりましたよ、話しますよ。それで満足ですよね?」
「…なんで上から物言ってんよ。」
「ここに来た理由はですね~。」「無視なの!!?」
ピンク色に発光する粒子のような物質、【春】。今、幻想郷では【春】の濃度?が低くなってしまって、春がこない異常気象に陥っているわけです。
なので、【春】を集めて異変を解決しようと考え、集めていたんですが…。
集めたはいいけど、これどうやって使うの?ってなんってしまったんですよ。
【春】を集めろと言われていた咲夜さんも使い方は聞いてなかったし、パチュリーに聞こうにも紅魔館は遠くて行く気分になれない。
なら、近くの物知りに聞いた方が良いのでは?
思い立ったらすぐ行動。それっぽい噂は聞きました。向かいます。
そして、現在に至るわけです。
「で、あんた使い方わかんないんだろ?だから帰ろうと思いました。」
「…あんた、他人の迷惑考えたことある?」
失敬な!俺を魔理沙達と同類と思ってるのか!
「まあ、いいわ。で、さっきの話だけど。私は【春】の使い方はわからないわ。でも、使い方の検討ならついてるのよね。」
「早速教えてくださいやがります。」
「日本語が変よ…。簡単に教えられるわけないじゃない。」
「なぜでやがりますか?」
「自分の胸のうちにでも聞いてみたら?私ってけっこう心広いけど、こんなに腹が立ったのは初めてよ。」
「すみません。謝るので早く教えやがれください。」
ブチ
「良いわよ、教えてあげるわ。…私に勝ったらね!!」
アリスが急に鬼の形相になったと思ったら、家の窓や扉から無数の小さな人影が飛び出してきた。
『シャンハーイ』
どうやら人形のようだ。でも、シャベッター!!
「殺っちゃっいなさい、上海!!」
上海と呼ばれた人形達はこちらに向かって弾幕を放ってきた。
「て、撤退いいい!って、もういねぇぇ!!」
あの二人、さっきから会話に入ってこないと思ったら逃げてやがったか!薄情者!
「ああ、もう!」
俺は人形達の攻撃を避ける。
「あら、貴方避けるの上手いわね。」
「まあ、避けるのだけですけど…ね!」
下半身に力を込めアリスに向かって走り出す。
「やっぱり俺は地面が好きだな…くらえ!」
アリスに鋭い蹴りを放つ。
「シャンハーイ」ガンッ
クロとアリスの間に盾を持った上海が蹴りをガードする。
すぐさま、槍を持った上海がクロ目掛けて飛んできた。
「くっ!」
クロは後ろに跳ぶ。
「おいおい、ただの人間一人相手に多勢に無勢かよ。怖いね♪」
「言ってることと、顔の表情が矛盾してるわよ。」
「気にするな。」
クロは攻撃方法を考える。
敵は魔法使い一人に、人形の騎士団。
こちらにはクロ、今どこにいるかわからないメイドと魔法使い。
結論:成り行きに任せろ。
「これだな。」
クロはもう一度アリスに向かって走り出す。
「また、突っ込んでくるの?なかなか優秀な人材かと思ったけど間違いかしら。」
上海達がクロを迎え撃とうと弾を放つ。
上海と弾を避けながらクロは隙をうかがっていた。
「…器用なやつ。」
その姿を見ているアリスは思わず賞賛の言葉を放つ。
彼女は他人に関心があまりない。故に人を誉めるなどと言う行為とは無縁だった。
しかし、今目の前にいるこの男は、自分の考えた弾幕を初見で避け続けている。それは羽のように軽く、剣舞のように激しく。そして、隙有らば襲い掛かるであろう野獣のような闘志を目に秘めている。
その姿にアリスは無意識の賞賛送ったということは最高の賞賛と受け取ってよいと言うことだ。
(疲れたー!早く隙を見して下さいお願いします!)
しかし、本人はこれである。クロは手も足も出せないでいた。
「さて、そろそろその子をいじめないであげないで下さい。」
「ッ!!」
アリスの後ろに咲夜が姿を現れた。気が付くと、上海達がナイフに次々と撃ち落とされていく。
「貴女もこれで…終わりです!」
咲夜はナイフを取りだしアリスに切りかかる。
「私の人形があれだけだと思ってるの?」
咲夜の前に盾と槍を持った上海が現れ攻撃を防いだ。
「!?」
上海は咲夜の持っていたナイフを弾き飛ばす。同時にアリスのスカートから2体の上海人形が現れ、3体は槍の矛先を咲夜に向けて突進してきた。さっきの上海もここから出てきたのだ。
「もらった!」
クロはアリスが咲夜に気をとられている隙に後ろから近付き足払いを放つ。
しかし、他の上海に止められてしまう。
「ぐぉぶ!」
そのまま盾で顔に突進され吹き飛ばされる。
「シャ、シャンハーイ…?」
咲夜を狙っていた上海が困惑しているのにアリスは気がついた。
攻撃が当たるはずの相手が目の前に無傷で悠然と立っているのだから。
「なに、貴女?瞬間移動でも使えるの?」
「さあ?どうでしょうね?」
咲夜は軽くあしらう。
「う~、イタイイタイ…。」
咲夜のいる反対側にいるクロが顔を擦りながら立ち上がる。
「あら、クロ。貴方が攻撃を受けるなんて珍しいわね。」
「いや、攻撃を防がれた後にすぐ下がるとか無理だから。この能力を完全じゃないんだよ?」
ってシロが言ってた。
「で?どうするの?2対1だけどまだまだこっちの方が有利よ?」
アリスの周り上海が集まり始めた。
「そういえば、あの魔法使いモドキはどこいったの?」
「ん?」
「魔理沙がどっか行ったのかなんて知らないわ。」
「まあどうせ、あの程度の魔法使いが私に勝つのは無理だしね。案外逃げたのかしら?」
「おいちょっと待て!」
「なにかしら?」
「お前、今魔理沙をバカにしたか?なにも知らないくせに語るんじゃねーぞ!」
「あら、わかるわよ。彼女は魔法使いになりきれてないのよ。この時点で彼女に大した力がないことは明白だわ。それともなにかしら?貴方はあの子の強さがわかるっていうの?」
「ああ、わかる!お前なんかよりわな!アイツは魔法使い一の努力家だ!偉い人は言いました、『努力を笑う奴は努力家に泣かされるのが相場だ!』ってな。」
「なによそれ…?意味がわからないわ。」
「うっせぇ、笑ってられるのも今のうちだぞ。」
「そうは言うけど、彼女いないじゃない?」
「そ、それは…。ああ、考えんの面倒くせえぇ!」
クロはアリスに拳を向ける。
「アイツは俺より強い。だから俺があんたに勝てばアイツはお前に勝ったことになるんだよ!わかったな!異論は認めん!!」
「・・・あんたアホでしょ?」
なんて会話をしていると、ふと視界に咲夜さんが入った。
「クロ、わかるかしら?」
咲夜が真っ直ぐクロを見つめる。何かを伝えたいようだ。
「ああ、そういうこと。了解。」
すぐさま理解し構えをとる。自然と笑みがこぼれる。
「相談は終わりかしら?じゃあ、」
アリスの手に一枚のカードが現れる。スペルカードだ。
──咒詛「魔彩光の上海人形」──
アリスの周りにいた上海達が突然光始める。そして、上海の目付きが鋭くなりこちらを睨み付ける。
「なんだ?念能力か?」
それっぽく光ってる。
アリスが右手をあげ、前に伸ばす。そして、しっかりとした口調で命令を与える。
「さあ、失礼なお客さん達を切り刻みましょう、上海。」
『シャンハーイ!!!』
上海達が一斉に吼えるそして、高速でこちらに突進してきた。
ビュン!「ひいっ!」ドゴン!
避けた後を見ると地面が抉れており、そこから上海が元気よく飛び出してくる。
かわいい顔をしているのにまるで、地獄からの使者を思わせた。
「咲夜さん!当たったら確実に死にますよ!」
「見たらわかるわよ!」
クロと咲夜は辛うじて回避する。
咲夜は時を止めて移動しながら、クロは能力だけに神経を集中して。
「咲夜さん、1本くれ!」
「わかりました。……どうぞ!」
クロは咲夜からナイフを1本貰う。
「おし!よ~い、ドン!」
そして、アリスに向かって走り出す。
途中、上海に当たりそうになるが咲夜が援護により近付くことに成功する。
「本当に貴方人間?よくやるわね。」
「どう…も!!」
クロはナイフを降り下ろし突き刺そうとするが、
ビュン!ドン!「いて!」
手に上海が当たった。
かすっただけでも手が砕けそうになると思ってしまうぐらい強烈な痛みが走る。
「チッ!」
咲夜は能力を使いクロを回収しようと試みる。
しかし、上海達もクロに狙いを定めて攻撃しようとする。
(間に合うかしら…!!)
ズドーン!!
クロのいた場所から砂煙が巻き上がりそこら一帯を隠している。
「・・・。」
砂煙が収まりアリスの目に入ったのは、
木っ端微塵の肉片となった黒影クロの死体。
「・・・、へっ。」
ではなく、咲夜に抱き抱えられているクロの姿だった。
「本当に助かりましたよ、咲夜さん!」
「そう思うなら今度、何かして貰うわよ。」
「…了解。」
そう言ってクロは咲夜の腕から降りる。
「今のが貴方達の作戦かしら?ならもう同じ手は効かないわよ。」
アリスは余裕の笑みを見せる。
「確かにこれが俺らの作戦ですよ。防がれましたけど。」
アリスの顔に勝利の笑みがこぼれる。
「そして、次が本当の最後の一手。これからが作戦の本番ですよ。」
アリスはその言葉で何かに気づき、周りを見渡す。
そして、【それ】を見つけた。
「魔理沙、あれだけ時間やったんだ。超弩級の撃てんだろ?」
「任せろ!!」
クロ達がいる場所とは反対側の茂みにいた金髪の魔法使い、霧雨魔理沙を。
「くらえ、マスタ…『シャンハーイ!!』…!?」
「保険があってよかったわ。」
魔理沙の近くの茂みから上海人形が飛び出し、襲い掛かった。
「これで、貴方達の作戦、完全に潰したわ!!私の完全しょ「わかってないな。」…え?」
上海人形が向かう先にいたはずの魔理沙が消えていた。
「魔理沙がチャージし終えた時点でこっちの作戦は成功してるんだよ。」
「うそ…でしょ…???」
アリスは自分の右側に誰かがいるのを感じる。
見ると、咲夜に肩を捕まれている、魔理沙が魔具をこっち向けていた。
それを見て悟る。手を打てないと。
「これで、貴女の手の内は全部ですね?ならチェックメイトです。」
「スパああああああああああク!!」
「きゃあああああああああああ!!」
『シャンハアアアアアアアアアアイ!!』
極太のレーザーがアリスと上海達を呑み込んでいく。
森の木々を焦がし焼き払い、地面を抉る。
その光景を見ていたクロが口を開く。
「言ったろ?努力家を笑う奴は努力家に泣かされるって?」
ゆっくりとレーザーは収まっていく。
「かなり良いのが出たぜ…☆」
「お疲れ様。」
「おう!」
とりあえずこの子を労おうかね。
「本当にやってくれたわね。」
「仕方ないだろ?お前が言い出しっぺだし。」
「まあ、良いわよ。」ムスッ
アリスは不機嫌な顔を作り、腕を組む。
服はボロボロで小さなキズが所々確認できる。
「さて、と。とりあえず魔理沙に謝ってもらおうか(バカにしたことを)。」
「え?なんでだ?」
「え!?…まあ、(負けたし)仕方ないわね。」
「どういうことだぜ?」
アリスは魔理沙の方を向く。
「…えと、魔理沙、だっけ?その、ゴメン。」
「何を謝られてるんだかわかんないぜ…?」
「魔理沙、素直に受け取っておきなさい。」
「そうか、なら…。アリス。」
「な、何よ!?まだなにかあるの!!?」
急に話しかけられてテンパるアリス。
「今度、魔法について教えてくれよ!それでチャラってことにしてやるからさ!」
「え?なんで?そんなのでいいの?」
「おう!」
「え?それってつまり、私の家に遊びに来るってこと?」
「そうなるな。」
「そ、そうなのね。わかったわ、いつでも来てちょうだい!」
なんかアリス嬉しそうだな。もしかして友達が欲しかったのか?
「ねえ、早く【春】の使い方を教えてくれるかしら?」
「え?ああ、いいわよ!」
ご機嫌な口調でアリスは話始めた。
「この異変は【春】が少なくなっているから起こっているのでしょう?でも、元々【春】というものは季節によって濃度が変化するものよ。だから、この季節ではあり得ないことが起こっているってことは誰かが意図的にやったとしか考えられない。ならその方法とはなにか?多分、誰かが何処かに集めていると考えるのが妥当ね。ここまではいいかしら?」
「・・・。」コクコク
「なら、これだけ大量にある【春】よ。その場所に運ばれていっても不思議じゃないわよね?」
「!?」
「つまり、こういうことよ!」
アリスは【春】を鷲掴みにして、そらに放り投げる。
【春】は重力により下に落ちていく。
はずが、そのままフワ~っと風に運ばれるように流されていった。
「ほら、ボケッとしてないで追いかけたら?」
「お、おう!アリスありがとう!」
「また、遊びにくるぜ!」
三人は【春】に後を追っていった。
アリスは彼らが見えなくなるまで空を見上げた。
「…はあぁ。さて、と。」
アリスは自分の家に入っていった。
『シャンハーイ』
それを家のなかにいた上海達がお出迎えをする。
「貴女達にも手伝ってもらうわよ。」
アリスは掃除道具を準備し始めた。
「さて、あいつが遊びに来る前に綺麗にしときましょう♪」
アリスに楽しみができた。
それはとても昔に忘れていた感覚のような気がした。
どうもお久しぶりです。DAMUDOです。
最近、忙しくて中々時間が無かったけど、そろそろペースを上げれるかな?
まあ、わかんねーですたい。
それでは、次回も見てください!お疲れ様でした♪