無事異変を解決し、月見酒を楽しむことができるのか!?
以上、あらすじ
満ちることのない満月、明けない夜。
俺と萃香は異変を調べようと幻想郷中を飛び回っていた。
「しっかし、何にも無いな。意味もなく空をぐ~るぐ~るぐ~るぐ~る、雲ってこんな気分かな~」
「クロは随分客観的だね、嫌いじゃないけど。今回は私達にも被害が出てんだから真面目にやれよー」
「へいへい。じゃ、次はあっち行こうか」
「またあっち!?さっきから同じとこばっか探してんじゃんか」
「探し物ってのは同じところを何回も探すものだ。仕事しろって促したお前に文句を言われる筋合いはないよ」
「わかったから、クロに従うからさっさと行こ」
「素直でよろしい」
そう、何も見つからないから見つかるまで飛び回る。
しかし、時間は無限なのか?有限ならちんたらしてられないな。
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ここは名もない森の中。
俺と萃香はここの捜索をしていた。
ギチギチギチギチ
「なあ、クロ」
「なんだ?」
しかし、探索途中に目を疑いたくなる場面に出くわしてしまい、こうやって立ち尽くしている。
キィーキィーボァボァ
「私って虫が苦手なのかもしれない」
「安心しろ。虫は子どもの憧れだ、カブトムシしかり、クワガタしかり」
「いや、子どももこれ見たらトラウマだって。虫嫌いになるって」
「嫌々萃香さん。これは虫じゃなくて蟲ですから。セーフですよ」
「アウトだよーーーー!!」
キシャアアアアア!!
四方八方をデカキモイ蟲に囲まれた。
何て言ったからいいのか、キツい。
昔、大きな虫を捕まえたいとか言ってた自分にこの光景を見せてやりたい。トラウマ必須、SAN値はガリガリ削られる。
発狂しない自分を褒めてやりたい。(切実)
「うがあああああ!鬱陶しいんだよぉ!!」
萃香が吼えた。
地面を拳で砕き、大きな岩にしたそれを掴みそのまま投げる。
自分の体を軸とし、コマのように一回。岩(地面)をぶん投げる幼女。
ハンマー投げ選手もビックリだ!
ヒューン…ズガン!
それが開幕の合図となり、蟲達が一斉に飛び掛かってきた。
「よし、クロ!倒した数が少ない方が奢りね!」
「は!?いきなりかよ!」
「はい、始め!ミッシングパワー!!」
強引に勝負を始めた萃香は、巨大化し前方一帯をさっきみたく叩き潰す!
「勝てるかぁあ!!」
今は俺を狙う蟲より、この鬼幼女に奢らなければならない酒代の方が恐ろしい。
チクショウ!意地でもやってやる!
「
俺はこの場の穢れを素に黒い球体、禍津玉を造り出す。
禍津玉は小さく分かれ無数の黒針へと形を成し、蟲達へと狙いを定め放たれる。
キィシャアアアアァ!!
黒針は静かに蟲達の巨体に突き刺さる。蟲達は悲鳴をあげ、動きを止める。
「よし、どんどん行こうか!」
意外に、一発でかなりの数を仕止めることができた。
この調子なら萃香に奢らなくてすみそうだ。
「あははははは☆おっ酒~おっ酒~♪ルンルンルン♪」
バンバンバン!
すごいよ萃香さん。
両手で地面を叩きまくる。地面に散らばる蟲達のパーツの数々が被害の大きさを知らしめる。
やっぱ、覚悟しようか。
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萃香と俺の無双状態が続き蟲達の数も減っていった。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」
ドドドドドドドドドドドドドドド!
「おー頑張れ頑張れー」
俺は勝負を諦めて、後片付けを萃香にまかせている。
え?お金は大丈夫かって?……察せよ……。
まあ、実際萃香に任せた方が片付けも効率的ですし、俺たちの目的は蟲共の掃除じゃないしね。
萃香の掃除が終わるまで寝ますか。……ん?なんか風切り音が聞こえるな。
段々と大きくなってきてる。後ろ?
「やめろーーーーーー!!」
「ぐぎゃらばっあ!!」
肺から空気が全て吐き出され、変な声が出てしまった。
肋の脇近くを誰かに思いっきり蹴られたようだ。
そのまま宙に浮き、飛んでいく。
地面に叩きつけられた俺は体の調子を確認する。
「いつッ……!骨にヒビでもはいったか?いや、痣か?どちらにしろ痛いことには変わりない」
俺は立ち上がる。痛むが我慢はできる。
さて、俺を蹴り飛ばした奴の顔でも拝むか。
「・・・」
そこに居たのは、緑髪のショートヘアー。白いワイシャツ?と黒いマント?を着こなし、半ズボンをはき、膝小僧丸出しの中性的な顔をした子どもがいた。
もちろん人間ではない。それ証明するように頭から虫の触角みたいなのが二本生えている。
「お嬢ちゃんが俺を襲ってきたのか。ん?お坊ちゃんだったか」
「…っ!」ムカッ
ん?なんだか表情が険しくなった。気にさわるような事を言ったか?
「お前に二つ言っておく!」
妖怪は大きな声を張り上げる。そして、指を一本立てた。
「一つ!私の名前はリグル・ナイトバグ。男の子じゃなくて女の子だ!」
だから、顔が怒ってたのね。悪いことしたな。
リグルは、さらにもう一本の指を立てる。
「二つ!お前達がいじめている蟲達は私の友達だ!」
リグルは両手に光弾を作り出し俺に向かって放つ。
「まだまだ!」
追撃にとばかり、次々に光弾を作り続けては放つ。
目標物の周りに土煙が上がり、見えなくなってしまったが、逃げ出した行動はなかった。
特殊な方法ではない限り全弾命中しただろう。
「どうだ!皆の仇だ!」
「どうだって言われてもダメージないからな。コメントしづらい」
「っ!!」
土煙から現れたのは、煙をあげながら浮いている黒い三角形の物体とそれに護られるように立っているクロだった。
「な、なんだよそれ!」
「リグルちゃんだっけか?はじめまして、俺は黒影クロ。神の加護を受けている人間だ。仕事は何でも屋やってます。よろしく」
リグルは恐怖した。
奥の手を出していないにも関わらず、勝てる気がしないと心底から諦めに近い感情が溢れ出る。
「そんでもって、あっちに居るのが伊吹萃香」
リグルはクロの指差す方向に顔を向けると絶句した。
「俺の飲み仲間で、鬼だ」
あんなにいた、蟲達が一匹残らず動かずに山を作っていた。
「あ、……ああ……うわあああああああああ!!」
リグルは恐怖のあまり逃げ出した!
「逃がさんよ。ちょっとばかし協力してもらう」
しかし、回り込まれてしまった!
「ひっ!」
リグルはさらに逃げ出した!
「はっはっはぁ!逃がさんぞ!」
しかし、逃げた先に敵がいた!
窮地に立たされたリグルは自分の奥の手をさらけ出す。
命の最後に最も輝く虫のような力強さで。
「ラストワード……」
──「季節外れのバタフライストーム」──
リグルの背中から美しい蝶の羽が生える。
そのまま空を飛び、さらに発光する。
「うわ~、まずいよこれ!」
「ラストワードってなんですか!?」
蝶の女王とも思えるリグルの周りに兵隊の様に赤、黄、青、緑の蝶弾が現れる。
蝶弾は兵士の様に勇ましく、敵へと特攻する。
放たれる蝶弾は限界を知らず、いつの間にか周りの景色を埋め尽くす程となった。
「そんな蝶ごときに鬼が負けるか! 鬼火・超高密度燐禍術!」
萃香は瓢箪から酒を口にふくむ。そのまま、溜めている酒を噴き出すと発火した。
どっからどうみても、宴会の火吹き芸です。
萃香の火炎放射で蝶弾は次々に火がつき燃え落ちる。しかし、数が多すぎて全てに対応できなかった。
「任せろ萃香!九苦・隕苦鰐!」
クロが両手を広げてると、手の平に巨大な黒球が現れた。
それを向かってくる蝶弾に投げる。
萃香が落とし損ねた蝶弾の群れを縦横無尽に動き回る二つの黒球が塗り潰す様に削り取る。
「うぉおおお!すげぇーーー!!」
「どうよ!霊夢の夢想封印をお手本に作った俺の技は!!」
蝶弾の数も減っていく。
それに比例して、リグルの表情も恐怖の色に染まっていき、そして。
「なッ、なんで!?そんなあっさり攻略してるの!!?」
「おいおい、自己紹介したから知ってるだろ、リグルよぉ。お前の目の前に居るのは神モドキと鬼だぜ?」
「あ、……ああ、あああ……ああッ!やめて、殺さないで!!」
「え?ああ、言っとくけど命とる気はないから」
「え?」
「いや、蟲は一思いに殺れるけど、さすがに人形は、ね」
「私はできるけどクロが無理って言うならそれに従うよ」
「ぶっちゃけると、思いっきり能力使って戦いをしたかっただけなんだよねーーー♪」
「え、え~~~~~~」
こうして最初の戦いが幕を閉じた。
どうも、DAMUDOでーす!
新しい能力を手にいれ、新たな世界の段階へと昇ったクロ。彼の価値観も少しずつ変わっていくかも。少しの変化もない人間なんていないですから。
DAMUDOは皆さんの、評価・御意見・御感想を御待ちしております!
それではまた会う日までさようなら♪