えーりんが強い
以上
人生ってのは沢山の予想だにしなかったこと、つまり『急展開』によって面白くなるモノだと私は思う。
例えば、あいつ───クロが私の前に現れたこととか、今まで起きた異変とか。
これまで沢山の『急展開』に自ら身を投じ、または巻き込まれて楽しんでいた。
その中でも、アタリ・ハズレはあるもんだ。
今までで一番のハズレは霊夢の所でクロと弾幕ごっこやってた時にうっかり神社の賽銭箱を壊しちゃった時だな。……本当に死ぬかと思った。あの時の霊夢はハイになってたフランより恐ろしかったぜ。
そして今、もしかしたら賽銭箱の一件よりハズレな『急展開』に巻き込まれたのかも知れない。
「輝夜め、自分の従者じゃ飽きたらず関係ない他人にまで依頼しやがってッ!」
周りの竹がパチパチと音をたてながら燃えている場所に私───霧雨魔理沙はよくわからん奴と戦っていた。
わかっていること、ってか見た感じの特徴は白髪、ロン毛、白いカッターシャツと赤いもんぺを着ている女ってことだ。
誰かと間違えて攻撃してくるなんて、スゲー迷惑だぜ!
「クソッ、スターダストレヴァリエ!!」
私はもんぺ野郎(男じゃない)にスターダストレヴァリエを放つ。
白く輝く星を思わす魔力の塊は見事に敵のど真ん中に命中する。
もろに当たった。普通なら私の勝ちなんだが……
「なんどやったらわかる……私にはどんな攻撃も致命傷にはならない」
「うるせぇ!こっちは諦めが悪いんだよ!一回やってハイそうですかで終われるか!」
私は箒に股がり空を駆ける。
箒も私と同じ様にあちこちボロボロだが、私と同じで少しの傷ぐらいじゃものともしない。
「頭の悪い奴だ、これが終わったら寺子屋に行くといい」
もんぺ少女の背中から紅蓮に輝く炎の翼が生えた。
かなりの熱量を有する翼の様で周りの温度も2、3℃上がったのではないかと感じさせるほどだった。
「でも、その前に一回、医者の所に行く必要になるけどな!」
両手から翼と同等の熱量を持った炎の玉が発射された。
周りの酸素を奪いながら燃えたぎる炎の玉は魔理沙に襲いかかる。
右へ左へ平行移動し攻撃を避ける。
近くに炎の玉が通るたびに、皮膚が焼けるんじゃないかと思うほどの熱を浴びる。
「え~とまだストックあるよな……あった!」
移動中にポケットの中をまさぐり目的の物を探す。そして、見つけた。
ポケットから取り出したのは小さな筒だ。
「よし、行くぜッ!」
帽子の鍔を掴んで深く被る。帽子によりできた影に掛かっている顔にある鋭い目がギラリと輝いた。
魔理沙は箒の先を上と上げ、進行方向を上へと変更する。
「逃がすか!」
もんぺ少女が手を振るうと地面の方で燃えていた火が意思を持ったかの様に周りの竹へと燃え移った。
元々燃えていた火は火力を増し、ネズミ花火の如く竹の先へと走っていく。
火の手は魔理沙を追い越し、魔理沙の前方にある笹に火を付けた。
「別に逃げやしないぜ」
魔理沙は燃えている笹のギリギリで急旋回し、八卦炉を構える。
魔理沙が構えた先に居るのは、思惑通りに此方に近付いてきているもんぺ少女の姿である。
「これならどうだ!マスタースパークぅ!!」
大地を焦がす光の柱はもんぺ少女を飲み込みながら地面へと突き刺さった。
光は徐々に弱く細くなり……
「恐ろしい威力の技だな、ハァハァ、……だが!」
力を無くし、消えていった光の中からもんぺ少女があった。
少女の体は所々燃えており、同時に傷や汚れが炎によって癒されるように消えていく。
「あんな強力な技、連続発射は不可能だろ!その前に私の体は元に戻るぞ!」
「別に連発しようなんて考えてないぜ。そんなことよりあんた、再生する時の炎に気を付けたことあるか?」
「なに?」
*カランカラン*
意味がわからず問いただそうとした彼女の耳に聞き慣れない音が入ってきた。
まるで、石階段でビー玉を落とした様な物が地面に当たり弾むような音。
*カラカラ*
「下?」
何が転がる音が聞こえ、その場所に目をやると筒型の何か此方に転がってくる。
それは、コロコロと転がり少女の足下へ。
*コツン*
「さあ、爆せろ!」
*ズガーン!*
一つの筒は少女の足下から燃え出ている炎に熱せられ爆発した。
すると、周りにあった同じ物が連鎖爆発を起こし、標的を爆炎で包んだ。
「ふっふーん♪どうだ、魔理沙様特製の爆弾だのお味は!さあ、まだまだ行くぜ!」
魔理沙はここぞとばかりに他の魔具を周りに天開し、弾幕の雨を爆炎へと集中砲火する。
「お前は超再生能力で死ぬことは無いようだが、体力までは無尽蔵じゃないはず!なら、お前が再生する気が起きないまで攻撃を浴びせるだけだぜ!」
魔力の弾、レーザー、爆弾による高密度の弾幕。それは、雲ひとつ無い夜空の様に光輝く星の群れのようだった。
爆炎はいつの間にか完全に消え、代わりに土煙が巻き上がる。
そろそろ体力も限界だろう。なら、さっさと高火力で一気に潰す!
「さあ、止めだ!」
魔理沙はポケットからもう一つの八卦炉を取り出す。ダブルマスタースパーク用のスペアだ。
八卦炉は中心にエネルギーを集め稲妻が走る。
バチバチと音をならし眩しく輝く。
一番激しく輝く所には漏れ出さんばかりの力が集中しているのが一目でわかる。
私は八卦炉を敵がいる土煙が巻き上がる場所に狙いを定め……
「マスター……スパぁッ!!くッ……な、なんだ……?」
突然、私の視界はぼやけて激しい痛みが頭に響く。なんなんだよ、こんな時に頭痛かッ!?
体の異変は頭痛だけではなかった。
頭の痛みが響くと体がどんどん動かなくなっていく。呼吸も苦しくなり脈も自分で感じるほど変にうっている。
そして、頭の中がボーッとなり力も入らなくなり、遂に箒から地面に落ちてしまった。
*ドサッ*
……私の……方が、体力の……限界……てか?……チクショ……う……。
パチッパチッと空気の破裂音の頻度も少なくなっていた竹林で、魔理沙の意識は途絶えた。
「・・・」
いつの間にか土煙から出てきたもんぺ少女は倒れた魔理沙に近付いて行った。
少女の体はあちこちに火が纏わり、傷を癒していた。
少女は魔理沙のそばに立ち、身を低くしながら手を魔理沙へと伸ばす。
「・・・よいしょっ」
少女は魔理沙の体をヒョイッと軽々しく持ち上げた。
手で膝の裏と肩を支えるこの姿。そう、お姫様だっこである。
「よく頑張ったけど、周りに集中しないとダメだぞ。こんな場所であんなに動いたら酸欠になってぶっ倒れることぐらい考えなかったのか?……聞こえてるわけないか」
少女は意識を失っている魔理沙に話しかけるが返事など無い。
「さて、輝夜の所なら治療ぐらいしてくれるだろう。運ぶだけだし対面はないよな」
そう言って、彼女は竹林の中へ魔理沙を運びながら消えていった。
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迷いの竹林のとある場所
今ここで二匹の妖怪少女が追いかけっこしていた。
「待てーウサギー!」
「鬼に追いかけられて待つやつがいますか!?」
追いかける側、伊吹萃香
追いかけられる側、因幡てゐ
なぜこんな事になっているのかと言うと……
クロが八意永淋との戦いを始めた少し後のこと。
遠くて近い場所でてゐは戦いを見物していた。
「いいぞー♪もっとやれー♪」
意気揚々と戦いを楽しむてゐ。
この戦いの原因もてゐの策によるもの。
てゐにとってはこの程度はイタズラとしか思っていない。つまり、暇潰しの一つとしてクロと永淋を戦わせたのである。
本当は鈴仙と戦わせるつもりだったのだが、そんなことはもう彼女の頭の中に無い。
「いやーしっかし簡単に引っ掛かる男だったね~♪ウソ泣き一つでこうも簡単に戦わせることができるなんて思わなかったよ」
「ふ~ん、なんでそんなことさせてんだい?」
「理由なんてないよ、ただの暇潰しさッ♪……え?」
てゐが振り向いた先に居たのは静かな怒りを秘めた顔で、見下すような目でてゐを見る鬼の姿があった。
「ふ~ん……舐めた真似してくれたね。知ってるかい?鬼ってのは恐ろしい存在であるのと同時に仲間の侮辱を許さない義理堅い妖怪だって」
バキバキと手をならすその小さな鬼の姿にてゐは危機を感じ、文字通り脱兎如くその場から立ち去った。
以上が始まりでした。
「待てって言ってんだろぉ!!」
萃香は地面を叩くとそこからヒビがてゐの足下に走って行った。
*バァーン!*
亀裂から爆発が起こりてゐはぶっ飛んだ。
てゐはすぐに体制を建て直し死ぬもの狂いで走り出す。
(いやーーー!死にたくないーーー!)
顔は涙で濡らしながら生きるために必死に走る。今まで出したことの無い速度で走り続ける。
・・・どれだけ走っただろうか。なにも考えずに走っていたため自分がどの辺に居るのかわからなかった。
後ろからは相変わらず鬼が追ってきており、たまに岩を投げては邪魔をしてくる。
そんな絶望的な状況に身を投じていたてゐの目の前に……希望が。
(あ、あれは……)
遥か先、妖怪の視力でようやく見える場所に一つの人影が。
黒いブレザー、青いスカート、紫のロン毛、特徴的なしわの付き方をしている兎耳。
(れ、鈴仙!!)
見間違えるはずの無い、いつも自分のイタズラの対象にしている兎仲間がそこにいた。
喜びに震え足にも更に力が入る。鈴仙と二人で戦ったとしても勝てる勝算など無いのに、それでも誰かと一緒に居たいと言う気持ちが強かったてゐには、それだけで希望を持てた。
「れーーいせーーん!!」
勢いを緩めずにそのまま鈴仙に向かってジャンプするてゐ。
「ッ!て、てゐ!?」
鈴仙はてゐを見つけ驚きの声をあげる。
彼女の視界に写るのは幸せに満ちたてゐの笑顔だった。
「ちょっと!今はまずッ*ドンッ*
てゐは鈴仙の体に思いっきり抱きついた。鈴仙が何か伝えようとしていたがそんなこと知ったことではなかった。
「鈴仙!会いたかったああああ!もう離れない絶対!」
「バカ離れなさいよ!今戦闘中ってうわぁああああ!」
鈴仙が叫びながら見ている方向に首を向けると黒髪の巫女と金髪の妖怪がもの凄い弾幕をこっちに展開していた。
「……ごめん……なさい」
その瞬間二匹の兎は光に包まれた。
てゐの最後の呟きは誰にも聞かれず、一緒に光へと消えていった。
すみません、DAMUDOです。
更新遅れました!
ごめんなさい!
永夜抄ストーリー難しいですよ、はい。(苦しい言い訳)
頑張るよ、俺。色々忙しいけど必ず完結させるから。
付き合ってくれる方も頑張って待ってて下さい、お願いします!
では、さらば!