黒い柱がクロから現れ立ち上ぼり!!
以上
「い、一体何が起きたって言うのよ!!」
周りに少しの黒色がかかり、暗くなっている迷いの竹林。
何時もの風景とは違い、暗くなり不穏な空気が張り積めている、その原因は永琳の驚きと関係があった。
永琳が麻酔薬を投与し、眠らしたはずのクロと言う少年がいた場所から黒い光の柱が天へと昇っていたためである。
柱は空で粒子となり竹林に降り注ぐ。その粒子が大量に降り注いでいるために、周りが黒く見えている様だ。
「うどんげも帰って来ないし、てゐはどっか行っちゃうし、姫様は寝てるし本当に厄日ね」
ストレスで疲れてきた永琳は思わず愚痴を溢す。普段の彼女っぽくないことだが、色々と悩むことが多いようだ。
黒い光の柱を中心に強風が渦巻くように吹き付ける。周りの竹も強風により大きく揺らされて音を立てる。
ただの風では無いのか、時折墨を浸けた筆で殴り書きしたような黒い風が永淋の体を吹き抜ける。
そこ立っているだけなのだが、肌をチクチクと刺されているような感覚を風に感じる。同時に自分の体が重くなったと錯覚する様なプレッシャーがのし掛かる。
そして、その全ての原因は黒い柱の中にいる。
警戒を怠らない永琳。目の前で何が起きても対応出来るように神経を研ぎ澄ませ、黒い柱を鋭い目で捉える。
猛禽類を思わせる勇猛な目には何処か恐怖の色が見えるように思う。
「ッ!?」
黒い柱の中で何かが動いた。
モゾモゾと動く何かが、今どんな姿勢をしているのかはわからない。が、結局の所、あの青年、クロであることは事実だ。
しかし、明らかに中にいる何かはさっき戦った、生意気ながらも少しは親しみが湧く、あの青年とは到底思えなかった。
「さて、と」
永琳は一息吐くと上体を起こし、背筋を伸ばす。
弓を力一杯引き絞り構える。その矢の先は黒い柱の中心。
「鬼が出るか蛇が出るか」
一言呟いた後の静寂。
永琳程の実力者で無ければ逃げ出すであろう静寂が辺一帯を支配する。
「ッ!!」
突如、永琳はその場から飛び退く。
*バァァンッ*
地面を砕きながら、先程永琳が立っていた地面から、黒い杭の形をした物体が突き出てきた。
「っハァッ!」
すかさず、永琳は空中で矢を杭に放つ。
此方に真っ直ぐ伸びてくる杭の先に命中。するが、直ぐに弾かれてしまう。
「な!?」
先程は簡単に貫いていた黒い物質が、まるで別の物質のように硬度をあげており、驚愕する。
弓矢で壊すのは無理と判断した永琳は更に距離を取ろうとスピードを上げるが、
*シュバッ*
突如、杭の先から切れ目が走り、枝分かれした。それぞれの杭が触手の様に滑らかに伸びながら鋭い先端を永淋に向ける。永淋は杭から逃れようとするが、すぐに追い付かれてしまった。
一本の杭が永琳の心臓部目掛けて突進してくる。それを横へ滑るように回避する。しかし、それを狙っていたかのように、別の杭が永淋の逃げた先に狙いを定めていた。
「くッ!」
杭は次々と永琳に襲い掛かる。一本一本が確実に急所を狙ってくる辺りがとても恐ろしい。
永琳も減速と加速を適切に切り替えたり、回転や宙返りで確実に避けていく。
*スパッ*
しかし、完璧に全ての攻撃を避けるのは困難であり、永琳の頬に傷が付いたり、服が所々裂かれてしまう。
本体が出てきてない以上、攻撃することが叶わない永琳だが、重大なダメージを受けていないのは流石だろう。
そんなギリギリの戦いも長くは続かなかった。
一本の杭が永淋の前方から、こちら目掛けて攻撃してきた。
永琳は無くなく横へ移動し攻撃を避ける。が、次の瞬間避けた杭から新たな杭が生えてきた。
「ッ!?」
今まで無かった攻撃パターンに反応が遅れ、避けるのは困難と判断し、頭目掛けて生えてきた杭を腕でガードする。
腕に入り込み、肉を分けて突き抜ける前に無理矢理進行方向を変えて離れる。
少し潜っていた杭が肉を抉り取りながら外れ、永琳は腕を押さえながら加速した。
「ん、ッ!!?これは!」
腕にある傷に違和感を覚えた永琳は手を話して確認する。
そこには絶え間なく流れる血と、傷口の縁にこびりついている黒いシミがあった。
(このシミ……私の傷口の再生を阻害している。これがあの黒い物質の力……。これは、一回でも致命傷をもらったら私も命の危機に追いやられるわね。おかしなものね、蓬莱人となり不老不死になった私が命の危機を感じるなんて)
永琳は自分の考えにクスクスと笑う。
後方に目を向け、まだ迫ってくる杭……のような触手の姿を確認する。
「弓が効かないなら、これはどうかしら!」
永琳は懐から少量の液体が入った小瓶を3本取り出して杭モドキにばらまき、それに光弾を放った。
杭モドキは小瓶を避けて永琳に迫っているため、大量の杭モドキは小瓶の周りあった。その小瓶に光弾が着弾。
*ズガガーン*
すると小瓶の液体に引火し、凄まじい爆発が巻き起こり、辺り一帯を吹き飛ばす。
爆風で永琳は少し吹き飛ばされそうになっため、地面へと降り立ち顔を上へ上げる。
そこには、爆発でバラバラになった杭モドキが炎上しながら地面へとボトボト落ちてくる。
「ははッ、どうかしら?月で最高の火力を誇る特製の液体火薬のお味は?」
少し危ない笑みを浮かべながら、満足そうに言った。
地面へ力なく落ちている杭モドキは動く気配をいっこうに見せない。恐らく、もう動くことは無いだろう。
そう思っていた瞬間、杭モドキは溶けて地面へと消えていった。
「……何が、くるの……?」
再び静寂。
周りの竹のいくつかは折れ、もういくつかはさっきの爆発で燃えている。
炎が放つ橙色が永琳の顔に掛かる。その顔にはさっきの満足そうな表情はなく、最初と同じ様な強い力を秘めた瞳で冷静沈着な表情が張り付いていた。
*ピシッッ*
炎の揺らぐ音さえよく聞こえる静かな空間に、突如走る何かに亀裂が入る音。
永琳は恐る恐る、その音が聞こえる方、黒い柱へと顔を向けた。
「ッ!?」
そこにあった柱は相変わらずの光を放っていたが、沢山の亀裂がビッシリと走っていた。
その亀裂から、黒い風と同じ様な不気味さを放つ煙が漏れていた。
いつの間にこんな状態になっていたのか、という疑問が永琳の脳を支配した。
*バリィン*
しかし、そんな疑問ですら忘れさせるように次々と黒い柱が形状を変える。
割れて卵の殻のように剥がれ堕ちてできた穴から、漏れ出していた黒い霧と一本の【異形の腕】が飛び出していた。
その腕は筋肉を剥き出しにした見た目をしている。しかし、それは筋肉では無いと永淋は結論付けた。何故なら、その筋肉は血でも塗りたくった様な赤と夜空から切り取ったような黒色の筋をしていて、更にどんな生物とも見慣れない形をしていたからだ。
更に、その腕を沿うように肘から腕の甲まで、骨がある。
骨は黒く金属のような光沢を放っており、人の近い形をしていた。
手の骨の第一、第二間接は鋭くとがる爪となって、異形の腕に装着されていた。
骨をよく見ると血管のような筋があり、時たまビクンと脈を打つように膨らんだり萎んだりしたて動いていた。
そんな奇々怪々な物体を目撃し、永琳は驚きの色を隠せず、今もただ呆然と立ち尽くしていた。
「あ、貴方は……一体……?」
「ギィアアアアアアアアアアアアアアア!!」
永琳が呟いた疑問に答えたのは、答えがわかった時の清々しさの代わりに純粋な恐怖だけを感じさせる咆哮だった。
そして、その咆哮と一緒に黒い柱から異形の腕の持ち主が姿を現した。
「な、何が……起きたって言うのよ……」
絶句する永琳の目に写っているのは、生き生きと戦っていたクロと言う少年ではなく、クロの面影をちらつかせる化け物の姿だった。
すいません、クロですけど闇堕ちしました。
遅れました、更新。たまっているものはさっさと終わらさせましょう。その方が絶体に楽しめます。以上、DAMUDOでした