とばされて☆幻想郷   作:DAMUDO

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前回のあらすじ

素晴らしくツオーイ

以上


能力

萃香が【骨】を討伐する少し前。

【頭】と戦闘を行っていた、鈴仙と輝夜達に動きがあった。

 

「鈴仙!貴女いい加減にしなさいよ!」

 

輝夜が声を荒げながら叫ぶ。その間も攻撃の手を休めずに【頭】をできるだけ近づけさせないようにしている。

そして、輝夜の後ろでは鈴仙が足を震わせながら立ち尽くしていた。天敵に睨まれたような怯えきった顔をしており、目尻にはうっすら涙が浮かんでいる。主人である輝夜の声すら届いていないようで、尋常ではない恐怖心に支配されているのが感じ取れた。

だが、だからと言って今の輝夜に他人を気遣って心配する余裕はない。寧ろ、かなり邪魔に思っている。

 

「ガァアアアアアアアアア!」

 

【頭】の口から炎が吐かれた。

広範囲に放たれた炎は壁となって輝夜に迫っていく。

 

「くっ!」

 

このまま避けたら後ろの鈴仙(ヘタレ)が焼き兎になってしまう。

聞く限りでは面白いので実行したいが、ここで戦力が減るのは得策ではない。

そう思った輝夜は後方に跳び、座り込んでいる鈴仙のそばに寄ると、静かにその能力を発動させた。

 

*ゴゴゴゴォォ*

 

燃え盛る炎が大地を侵食し焦がす。

高熱の炎がそこら中を焼き散らすと人影、草木の1本も残らなかった。

その光景を確認した【頭】はその場から離れようとした。その時、

 

「ッ!!」

 

驚愕する【頭】の周りから幾つもの光弾が生まれ、此方に向かって飛んできた。

 

*ズガガガガガガガン*

 

機関銃の様な連撃に【頭】はあっという間に包まれた。

【頭】は攻撃を耐えると、上空へと上昇して周りに視線を泳がせ、自分を攻撃してきた敵を探す。

 

「貴方が探しているのは私かしら?」

 

【頭】の耳に響く、上品な澄んだ声。

その声が後ろから聞こえると気付いた時にはもう遅く、後ろに突如現れた輝夜が扇子を【頭】にトンッと置く。そこから月光にも似た白い光が生まれ、【頭】を呑み込んでいった。

そして、【頭】を呑み込んだ白い光は地面へと落ちていき、到達すると、

 

*キュィィイイイイイン*

 

と言う甲高い音と共に爆発した。

 

「さて、永琳の所に行かなきゃね」

 

輝夜はスゥーと降りていき、隠しておいた鈴仙を担ぐ。

 

「うわ、おっも~。鈴仙、少しはダイエットしなさいよ」

 

輝夜は鈴仙を面倒臭そうにノロノロと運んでいった。

 

 

───────────────────────────

 

「燃えやがれぇ!!」

 

妹紅は炎を操って【腕】の周りを囲うように覆い、

 

「博麗式「八雲式「「結界術!!」」

 

霊夢、紫が炎の海から逃れられないように結界を貼る。

 

「ギィギギギギギッ!!」

 

結界の中で【腕】の身体中に炎が燃え移り、肉を焼いていく。どうにかして体の炎を消そうと暴れまわるが、動けば動くほど周りで燃え盛る炎が燃え移り、余計に体を焦がす面積が増えていく。

この場から離れようと試みるも、霊夢、紫が協力して生み出された、何重もの結界に進行を阻まれてしまい、脱出できない。

必死に結界に体当たりするがびくともしない。

 

「ギィ……ギギ……ギ…」

 

そして、結界の中で力なく倒れ、動かなくなった。

 

「……終わったかな」

 

【腕】の討伐に安堵した妹が小さく呟くと、突如バキバキッと数本の竹が、力強く折られる音が聞こえた。

 

 

───────────────────────

 

 

文字通り、破竹の勢いで魔物の【胴体】が竹林の中から飛び出して来た。

すぐ目の前に居るのは、慧音と永琳。彼女らは突き進んできた【胴体】に向き、攻撃を仕掛ける。しかし、絶望的なほどに【胴体】が近付く方が速い。

【胴体】の変幻自在の左腕は鞭の様に撓りながら、一番近くにいる慧音へと迫った。

鞭は先端から二つに裂ける。断面には無数の鋭い牙とグロテスクな口内。それはそのまま、慧音に噛み付く。

 

「ッ!?」

 

突如、足元をとられ【胴体】はバランスを崩し倒れる。それにつられて、右腕は慧音がいる場所とは別の所に空振る。

 

「誰か忘れてるんじゃない?油断大敵だよ♪」

 

【胴体】は声のする方を確認する。すると、自分の片足が突っ込んである少し大きめな落とし穴とドヤッ!と擬音が付きそうなほどウザイ顔をしているてゐを確認できた。

 

*ズガガガガガガガン*

「!!」

 

余所見している間に永琳と慧音の一斉射撃が始まった。

急いで立ち上がろうと【胴体】は、足を落とし穴から出し、左腕を支えにし…*ズボッ*

 

「?!?!」

 

地面に置いた左腕も落とし穴に嵌まった。しかも、今度の落とし穴はどういう仕組みなのか中々抜けない。

【胴体】は急いで左腕を変形させ、無理矢理脱け出す。

 

「もう遅いよ♪」

 

小悪魔のような兎の嘲笑。

瞬間──【胴体】を幾つもの竹槍が貫いた。

左腕、右足、左肩、右胸部、腰、次々と降り注ぐ竹槍の雨。

 

「てゐ様特製の竹槍トラップだよ~♪」

 

小馬鹿にしながら、てゐはその場から離れていった。

 

「「ラストスペル」」

 

その一言で広がる静寂。

まるで一帯から音が消えたような不思議な感覚。

その力の中心では二人の女性が一枚ずつカードを発動させていた。

 

──禁薬「蓬莱の薬」──

 

──未来「高天原」──

 

カードから放たれた力が【胴体】を襲う。

全身を杭のように竹槍を打たれた【胴体】は逃げ出すことができないとわかっており、その力を抵抗することなく全身に浴びた。

存在が消え行く中、【胴体】が個として最後の情報解析を行い、学習した。

 

スペルカード

 

 

───────────────────────────

 

 

私と慧音で放った攻撃が魔物の【胴体】を消し飛ばすことができ、私は安堵のタメ息を吐く。

 

「やったな」

 

満足げな表情の慧音が此方に歩み寄って声をかけてくる。

私はその言葉に返事をすることはしなかったが、軽く笑った。

慧音はそんな私の姿を見て、これまた満足げな屈託のない笑顔を見せてくれた。

意外に私と彼女は相性がいいのだろうか?と、心のすみで考え始めようとする。すると、何時もの調子のてゐがご機嫌な感じで話しかけてきた。

 

「いやー強敵だったねぇー♪辛くも勝てた感じだよねー?」

 

なにかを訴えるように横目で私を見る。

 

「はいはい、正直助かったわ、てゐ」

「感謝の言葉だけじゃ満足しないなぁ~?」

「何が欲しいの?」

 

その言葉を聞くと、てゐは表情を明るくし胡麻を擂る姿勢で寄ってくる。

あんたは一昔の悪商人 かと言いたくなる。……あれ?そうすると私は悪代官かしら?

 

「何か欲しいって訳じゃないけど、今回のこと許して欲しいなぁって?ほら、あいつを此処に連れてきたこと」

「そういうこと。まあいいわ、けど次はないからね?」

「ありがとう!永琳大好き♪」

 

てゐが弾けた笑顔で思いっきり抱きついてくる。

この手のひら返しの態度からわかるように、都合のよい性格だ。少し腹が立つが我慢しましょう。

 

「でも二人とも。まだ、あいつは倒せてないわよ。だから気は抜かないでいて」

「ああ、わかった。そう言えば、その化け物はどこいったんだ?」

 

慧音の言葉で私は周りを見回す。

確かに、あの化け物の存在する気配がしない。一体何処に行った?

注意深く探していると向こうから誰かが近付いてくる。あれは……

 

「ちょっとえーりん!助けて!」

「姫様!?」

 

此方に向かってきたのは愛しき姫──輝夜。

なんだか何時もの余裕をもった態度とは様子が違う。よく見ると、輝夜が鈴仙を引っ張って来ているではないか。

私は急いで駆け出した。釣られて、慧音とてゐもついてくる。輝夜の近くまで寄ると、輝夜は力尽きた様にその場に膝から座り込んだ。

 

「どうしたのよ!?大丈夫なの!?」

「全然大丈夫じゃないわよ~。こいつ、重いのよ~」

 

輝夜は額に汗をながし、疲れた顔している。そこまで遠い距離から来た訳でもないのに、ここまで疲労しているとは……。自分のことじゃないにしても情けない。

 

「ちょっと、えーりん。こいつ、見てよ」

 

言葉が途切れ途切れになってきた。そんなに疲れたのか。

 

「わかりました」

 

取りあえず、言われた通り輝夜が持ってきた鈴仙を診察してみる。

 

「あ……あ……あぁ……」

 

鈴仙の眼に光が無く、焦点もおぼつかない。これは……

 

「幻覚を見せられてるわね」

「幻覚?幻覚かける側の鈴仙が?」

「ええ。取りあえず醒まさせまそょう、かっ!」

*バチン*

 

乾いた音が響く。

頬を一発ひっぱたいてやった。

 

「……ぅ、わぁ?あれ?師匠?姫様?あれ!?ほっぺが痛い!!」

「疑問型ばっか使わないの」

「はい、すみません。でもほっぺが何故か痛いんです」

 

鈴仙が頬を擦りながら私に訴えてくる。説明が面倒なので無視する。

 

「皆、少し私の話を聞いてちょうだい」

「ん?なにをだ?」

「さっきの鈴仙の状態についてよ」

 

永琳から発せられる気迫から、これからの話が重要なことであることがわかった、輝夜、慧音、てゐ、そして鈴仙は永琳が話しやすいように永琳の前へと移動する。

すると、そこへ…

 

「お~い。あんたら何話してんの~?」

 

霊夢、紫、妹紅が此方に近付いてきた。

 

「あの変なの倒してきたぜ~!」

 

同時に魔理沙、萃香も空から降りてきた。

 

「狙っていたかのようなタイミングね。ま、ちょうど良かったわ。あなた達も聞いてちょうだい」

「何かしら?」

「おお、聞く聞く」

 

メンバー全員が揃ったので私は説明を始めた。

 

「実は、さっきまでこのバカ、鈴仙が幻覚を見せられてたの」

「今さらっとバカって言いました?」

「その幻覚を見ていた状態が非常に酷似していたのよ」

「そのバカの娘の幻覚にかしら?」

 

紫の言葉に私は頷く。

鈴仙は紫を睨む。

 

「それがどうしたってんだ?」

「実はあれが幻覚を見せたことはこれが初めてなの。少なくとも、私と戦っていたときは使わなかったわ。鈴仙、貴女が一人であれの相手をしてた時はどう?奴は幻覚を掛けてきた?」

「……いいえ」

「やはりね」

 

私はこの仮説に確信を持つことができた。

 

「なによ?勿体ぶらずにさっさと教えなさいよ」

「わかったわ。よく聞いて。奴は数々の異様な能力を使いこなしているのは皆も理解してると思うの」

「ええ、嫌と言うほどね」

 

あの魔物の能力、肉体再生に近い方法での臓器や器官などの構築・創造。火を吐き、幻覚を見せ、多種多様の強力な遠距離攻撃。治癒・再生を妨げる物理攻撃。

これらの能力の源は全て……

 

「私の考えではね。あの能力の数々は一つの能力によって生み出されていることになるの」

「は?つまり能力を生み出すのがあれの能力だって言うの?」

「正確に言うなら違うわ。あの魔物の能力は……【学習する能力】と言ったところかしら」

「学習?なに?あれは勉強して能力を覚えたってことなの?」

「ええ、正解よ」

 

その場の皆が言葉を失う。

それは無理もないことだった。あれほどの能力を使いこなすのは勉強したからと言う理由で片付けられたら誰だってそうなるだろう。何人かは永琳の意見に不満そうな顔をする者もいた。

 

「で、結局それがなんだってのよ?ただ、あいつの能力の予想がついて何になるって言うの?」

「どうしようもなく大きなことになるって言うの!」

 

永琳の力強い返事に皆、それぞれ反応を示す。

怪訝な顔をしたり、黙って次の言葉をまったり、急に大きな肥を出されて驚いているなど、それぞれだ。

そんな状況など気にもとめず永琳は話を続ける。

 

「いい?よく考えて。奴は驚異的な学習能力によって、私の不死に対抗した再生の妨げと言う能力を生み出した。私達の弾幕をその身で味わって、強力な遠距離攻撃を覚えた。この大人数を一人で相手するために、奴は…分離することを考えた。と言うことは、さっきまでの戦いでの経験も当然学習済みなの。今、奴が姿を見せていないのは、私達を相手するための準備を行っているってことなのよ!」

「なるほど、ね。確かにそれは、まずいわね」

 

事の重大さを理解した所で、皆が口を重く塞ぐ。

すると突如、鈴仙が何かに気づき、声をあげる。

 

「……ん?……なっ!な、なななんですか!?あれ!?」

 

鈴仙のただならぬ反応に皆、その方向に視線を向ける。するとそこには、

 

卵が地面から生えてくる

 

と言う、奇々怪々な光景があった。

少し灰色が掛かった白色で、永琳達から見て左右対称の模様が刻みこまれている。

見ただけで強硬な質感を持っている、その卵に突如、光の筋が走る。そして、その筋から隙間が開く。

 

「グルルルルルルルゥ」

 

中から、一匹の竜が生誕した。

紅き光を宿す眼、鋭利な牙と爪、紅と黒と紫で彩られた強靭な肉体が姿を見せる。4枚翼を広げ宙に浮き、先端に刃が備えてある尾を垂らす。卵の殻の部分は体を覆う鎧となっていた。

 

「・・・これ、勝てるかしら?」

「死にたくないでしょ?」

「はぁ、やるしかないのね」

 

紫と霊夢が一歩前に出る。

 

「あいつもそれなりにダメージを受けていると思うから、封印の機会を狙っていくわ」

「バックアップよろしくね。もう、封印でごり押すわよー」

 

皆、無言で頷き前を向く。

これから始まる最後の戦いに向けて、気合は充分。魔物──竜を睨み付ける。

 

竜は翼を大きく広げると、両手を胸の辺りに固定する。すると、手と手の間に光が集まり形を為す。

キラキラと光るその物体──1枚のカードに皆見覚えがあった。

 

「スペルカード……ッ!」

 

竜は両手でスペルカードを潰す。

 

──竜召「魔導竜の咆哮(マスタースパーク)」──

 

竜の口から高熱量を持った、光の柱が放たれた。

 

 

 

 

 




ゴロゴロゴロ……DAMUDOです。

詰め込み過ぎたらこんなことになってしまった。

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