守矢神社が爆発した。全体の半分ほど吹き飛び、いつ倒壊してもおかしくない状態になった。
半壊して煙を上げる守矢神社の中から神奈子と諏訪子が飛び出した。
「うわ~見事にぶっ壊れたねぇ」
「これは博麗神社をいただかないと割りにあわないな……」
二人は半壊している守矢神社を見詰めながらダルそうに呟いた。その時、空から二人にはとても馴染みがある声が聞こえた。
「神奈子樣~!諏訪子樣~!ごめんなさ~い!あの人怖すぎます~!」
「早苗か」
「こうなる予感はしてたよ」
顔の色んなところから液体が流れ出している、見るからに必死の形相で降り立った早苗は肩で息をしながら座り込んだ。
「ご、ごめんなさい……」
「うん、取り合えず顔拭こうか。女の子していい顔じゃないよ」
「は、はい……ありがとうございます……」
「でもな、休んで暇ないようだぞ」
「え?」
次の瞬間、空から女声が響いた。
「夢想封印!」
早苗が声のする方を向くと、ここまで追いかけてきた霊夢が光輝く大きな玉を発射していた。
それを確認したと同時に早苗の隣にいた諏訪子が、霊夢に向かって飛んでいき、夢想封印に目掛けて無数のチャクラムを投擲した。
「神討ちの黒杭!」
次は半壊した守矢神社から男声が響く。そして、半径1mほどの黒い杭が早苗達目掛けて突っ込んできた。
神奈子は地面を両手で叩く。すると、御柱が下から壁を作るように出現すると、御柱の壁が杭に向かって波のようにドンドン生える。
激しい衝突音。
空では眩い光が発生し、地では木屑と土煙を撒き散らす。
早苗は頭を伏せながら辺りを見回すが、視界が悪くて詳しい状況がわからない。
すると、空から諏訪子が戻ってきた。
「こっちはなんとかしたよ」
「ああ、こちらもなんとか止まってくれたよ」
諏訪子が手を叩くと、彼女を中心に土煙が吹き飛び、周りの景色がいつものものに戻った。そのことにホッとする早苗。
「あっち見てみろよ」
神奈子がなにかに気が付き、諏訪子と早苗の視線をそちらに向けさせる。二人がそちらを向くと、そこには少し汚れた紅白の巫女服を着た霊夢の姿と、その隣の地面から生えている一本の手があった。
「……マドハンド?」
「マニアックですね」
手は更にもう一本地面から生えて、二本になった。そして、水から這い上がるように二本の手の本体が這い出てきた。
「ぶはっ!はぁ……はぁ……こんなこともできるのかよ」
出てきたのはクロ。彼は呼吸を整えながら、周りを気にすることなく平然と立ち上がり、霊夢と目を会わせた。
「霊夢、なにやってんの?」
「喧嘩しに来たのよ。あんたこそなにやってんの?」
「プリズンブレイクnow」
「はあ?ちゃんとした言葉喋りなさいよ」
「捕まってたんだよ。てか、知ってんだろ?」
「あんたも、私が来ること知ってたでしょ?」
「なんとなくだけどな」
「私もなんとなくよ」
「そうか……」
「そうよ……」
二人の淡白な会話を前に、早苗は自分がどう動いたらいいのかわからなくなった。その隣で諏訪子が「ロマンスかなぁ?脈ありかなぁ?」と、呟きながらニヤニヤと笑っている。
そんな中、神奈子だけが怒りを燃料に闘志を燃やしていた。
「おい、そこの二人。もう無駄話はやめて、決着をつけないか?私は自分の神社を壊されて、かなり御立腹なんだ」
「ちょっと神奈子ぉ、若い二人の再開を邪魔するんなて野暮だよ~?」
「あの……諏訪子様?あの二人はそう言った関係ではないと思うんですけど」
「可能性はあるよ!可能性は!」
「今はそう言う話をしてるんじゃないぞ!」
「あんたたち、なに勝手に盛り上がってるのよ!こいつはただの仲間よ!」
「その気はなくても、ズバッて言われたら結構くるなぁ……」
「否定するとこが怪しいなぁ……実際はどうなの?お姉さんに言ってみ?」
「お姉さんって……あんたちっこいじゃないの」
「あら、お姉さんイラッて来ちゃったわ」
「こいつ、こう見えて私より歳上だぞ」
「神奈子おまえ!女性の年齢はタブーなんだぞ!」
「あはは……こう言うのって、男性的にはどうなんでしょうね?」
「俺の意見か?そうだなぁ……要するに合法ロリってことだろ?俺はいける」
「な、なに急に変なこと言ってるんだよ!ちょっとドキッて来たじゃないか!……これ終わったら甘味処行く?一緒に……」
「なんだこの生物……破壊力ぱねぇ」
「なんでクロさんと諏訪子様ってこんなに相性いいんでしょう?あと諏訪子様。チョロすぎます」
「「お前らいい加減黙れ!」」
脱線に脱線を重ねた会話は、霊夢と神奈子の大声で幕を閉じた。
その後、二人を筆頭に話はぐいぐい進んでいく。
「私の要求は、こいつの解放と、私に喧嘩売ったことの撤回よ」
「解放なら終わってるだろ。脱走してそこにいるじゃないか。私の要求は博麗神社をこちらに渡すこと。その話をつけるために呼んだんだから、撤回はしない」
「なら、この喧嘩で勝った方の意見が通るってことでいいわね?」
「私は始めからそのつもりだ」
「なら、問答無用で勝負よ!」
こうして、博麗神社と守矢神社。意地とプライドを賭けた、勢力戦が始まった。
守矢神社のそばの木から霊夢達を傍観している二人。文と椛は、主に文の好奇心でここまでついてきたのだ。
「文さん、どうします?ぶっちゃけると、私は物凄い疲れたので帰りたいんですけど……」
「なに言ってるですか!これはビックスクープですよ!『博麗神社 対 守矢神社』次の一面記事はこれできまりです!」
「はぁ、記者モード全開ですね」
「もしくわ、どさくさに紛れて私が勝利をもぎ取るのはどうでしょう?そうすれば、色々と美味しい展開が……ふふふ♪」
「欲に溺れると身を滅ぼしますよ」
欲の深い鴉天狗だった。
次はいつかな?