心を閉ざしたウィザード   作:疾風海軍陸戦隊

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少年は拒絶する

俺がここに来て数週間がたった。あの変な奴が出て以来変な夢は見ていないしそいつも現れなかった。

ある日のこと出撃命令が出た時にて、小型ネウロイを全部倒し基地に向かって帰る最中

 

 

 

「また小型ネウロイですの?いい加減飽きてきましたわ」

 

「そうですねー・・・ずっとこんなんですしね。溝呂木さんが来る前からこうなんです」

 

「・・・そうなのか?」

 

「もう、三ヶ月になりますよ。どう思います?」

 

 

「・・・じゃあ、そろそろ無茶苦茶強いのが来るかもな。地震みたいに」

 

「前兆ってことですか・・・嫌な感じですわね」

 

そんな無駄口をたたきながら戦えるくらいには、俺も余裕が出てきた。

 ・・・俺は戦いは好きではない。ゲームの中でやる程度だったらいいのだが、現実に本気で命のやり取りをするなんて御免だ。

こいつらはどうなのだろうか。・・・戦いが好きそうな顔には見えない。

でも、こいつらには目的があるらしい。人々を、世界を守るという目的が。だから戦っている、と言っていた。

 ・・・俺には、そんな目的なんてない。正直言って、俺以外の人やこの妙な世界なんてどうなろうと知ったことじゃない。

なのに、何故俺は戦っているのだろうか。

 

 

『お前は異形の物を倒すことを楽しんでいる・・・』

 

不意に頭の中でダークメフィストと名乗った例のあいつの言葉がよみがえった。俺がネウロイを倒しているのを楽しんでいる?

いいや違う。俺は・・・・俺の戦う理由。・・・それは「仕方ないから」だ。 元の世界に変えるまでのきっかけに過ぎないなんも理由もない行動だ。

 

「溝呂木さん、戦いには慣れましたか?」

 

「・・・慣れたくないものに、慣れちまった」

 

「あはは・・・」

 

「・・・私達も同じですわ。慣れたくないものに慣れてしまいました」

 

リーネの質問に俺がそっけなく答えるとに宮藤が苦笑し、ペリーヌがそう言う

 

「そういうもんか?」

 

「そういうものです」

 

「・・・じゃ、基地に戻りましょう」

 

よく一緒に出撃するこの三人は、今のところ少しは話せる中になっている三人だ。歳が近いせいもあるがよく話しかけてくれる。

まだぎこちない感じだけど。・・・俺なんかに構ってくれなくてもいいのに、なんでわざわざ絡んでくるんだろうかどっかから来た訳の分かんない奴とどうしてこんなに話しかけてくるのか俺は理解できなかった

 

 

 

 

基地の談話室

 

「よくやったな、みんな。特に溝呂木。最近上達してきたみたいじゃないか。良かったな」

 

「・・・そうだな」

 

「・・・おい溝呂木、口の利き方に気をつけろ」

 

「はいはい・・・」

 

坂本の言葉に俺がそう言うとまたもバルクホルンが絡んでくるが俺は適当に返事をする

 

「・・・どうした?あまり嬉しそうじゃないな」

 

「ああ。嬉しくない」

 

「・・・そういえば、お前は仕方なく戦っているだけだったな。そんなものに興味なんてないか」

 

坂本の言葉に俺がそう言うと坂本はやれやれと言ったような呆れた表情をしてそう言う。正直言ってネウロイ倒すだけで元の世界に戻れるわけがない。だから倒してもあまり嬉しくとも何ともない

 

「まあな。元の世界に帰ったら何の意味も無いしな」

 

「み、溝呂木さん・・・」

 

「そう言うなよ。どんなことでも、上達は上達だ。喜べることだぞ?」

 

「だからさ、俺は嬉しくないって言ってんだよ・・・はぁ」

 

シャーリーがそう言うが俺はため息をつきそう言う。すると 視界の端に見えていたバルクホルンが、何やら震えている。

 

「どしたのトゥルーデ?」

 

「もう、ダメだ・・・!」

 

何がだよ?そう思うや否や彼女は立ち上がって俺を睨み

 

「溝呂木・・・以前から不満だったが、もう我慢できん!貴様!それが上官に対する口の利き方かぁ!!!」

 

そう怒声を発すると同時に使い魔を発動させ俺に殴りかかろうとする

 

「わわ、落ち着いてトゥルーデ!あんたが殴るとシャレになんないから!」

 

「離せ!ハルトマン!!」

 

ハルトマンが必死にあいつを止め、あたりが慌ただしくなる。それにしても・・・シャレにならない、か。

 

「別に殴っても構わないぞ」

 

「・・・え?溝呂木さん?」

 

「死ねば元の世界に帰れるかもしれないし、未練もないからな。ほら、さっさと殴り殺してみろよ」

 

「っ!?」

 

「み、溝呂木さん!?」

 

「おい、ちょっと冗談だよな?」

 

「冗談じゃねえよ。もともと俺はこの世界にはいないイレギュラーだ。つまりもとより存在しない人間だ。ほら、さっさと殴り殺して俺自身を無かったことにしてみろよ」

 

「なっ!?」

 

俺の言葉に皆が驚き、殴ろうとしたバルクホルンまで目を丸くさせ驚く

 

「み、溝呂木さん!そんなこと言っちゃダメです!」

 

「はいはい、わかったよ」

 

宮藤にそう言われるが俺は聞き流しそう答えるとバルクホルンは魔力発現を解除し、言った

 

「・・・それほどまでに、この世界が嫌いなのか?」

 

悲しそうな顔で俺にそう言う。・・・別に嫌いだとは言っていない。ただ単に『戻りたい』それだけなんだよ

 

「そういうことじゃない。俺は平穏に暮らしたいだけなんだ。でも、ここじゃ平穏がどうのなんて言ってられない。

だから俺はここにいたくない、戻りたいってだけだ」

 

「・・・」

 

「・・・で、俺は部屋に戻ってもいいのか?」

 

坂本に尋ねる。

 

「あ、ああ・・・食事の時間になったら呼びに行くぞ」

 

「わかった」

 

というわけで俺は、入隊したときにあてがわれた部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ちっ、なんなんだよ」

 

俺だけしかいない部屋の中ベッドに寝転がり俺は舌打ちをし、そう呟く

そして俺は少し考え事をした。

向こうの世界・・・・俺が住んでいた世界は小さな争いがあれど、平和な世の中だと同時に退屈でもあった。それでも安心して、平穏に暮らしていくことができていた。

だから居心地は良かったんだ。まともに過ごしていれば、まともに生きていくことができたんだ。

不満こそあっても、不安なんてなかったんだ。

なのに、この世界は不安だらけだ。まともに過ごしていても、まともに過ごせるかはわからない。訳の分からない変な生物に攻撃され蹂躙される街や人々が常に怯え戦う世界。戦争がある世界いつ、人間側が崩壊するかわからないんだ。冗談じゃない。

なんで俺がこんな世界に呼び出されたんだよ・・・・・

自問自答しながらそう思っているとドアの外からノックの音がした

 

「誰だ?」

 

寝転がったまま俺は言った。 まだ食事の時間には早いはずだ。

 

『・・・サーニャです』

 

・・・あの根暗そうな女か。起きてるなんて珍しい。俺はドアの方に向かっていった。

 

『お、オイサーニャ、ホントにあいつと話すノカ?』

 

『・・・うん』

 

といった会話が耳に届いたが、気にせず俺はドアを開けた。

 

「おわっ」

 

「・・・こんにちは」

 

「・・・何の用だよ?」

 

まさか挨拶するためだけにここに来るわけないよな。

 

「あの・・・」

 

「・・・」

 

「・・・溝呂木さん。元気出してください」

 

「おいサーニャ・・・」

 

「・・・なんだよ、いきなり」

 

「辛い気持ちはわかりますが・・・」

 

・・・何言ってんだ、この女。気持ちはわかるだぁ?

 

「お前にそんなこと、わかるわけないだろ?」

 

「ナッ!」

 

「・・・!」

 

「元気だせだと?出せるような状態だったらとっくに出してるさ。それどころじゃないから今こうやってウジウジしてるんだよ。お前らに異世界にいきなり連れてこられた人間の気持ちなんてわかるわけない・・・・俺のことなんか構うな。俺のことは放っておいて自分やほかの仲間のことだけ考えてろよ」

 

「溝呂木さんも仲間だと思っています」

 

「あいにく俺はそうは思っていない。ただ衣食住を借りてもらっている人と思っている。戦っているのも元の世界に変えるまでの借りを返しているにすぎねえよ」

 

俺はぶっきらぼうにそう言う。だが彼女は引き下がらない

 

「・・・その、」

 

「なんだよ?」

 

「・・・独りで・・・独りで悩まないで、相談してみてください」

 

「・・・」

 

「・・・相談したら、きっと気持ちも晴れます」

 

「・・・・・」

 

俺はドアを閉めた。 そして俺は再びベッドに横になった。

・・・・クソッ、なんなんだよ。異世界に連れてこられたと思ったら選択の余地無しに戦わざるをえないような状況に追い込まれて・・・

野垂れ死にするくらいならって仕方無しに入隊したら、変人ばっかりで、その変人共はわかったような顔して

「元気出してください」とか「相談して」なんてほざきやがるんだ。相談したってお前らにはどうすることもできないだろうに。

気持ちはありがたいが、どうしようもないってこと、考えればすぐわかることなのに。こいつら、一体何考えてるんだ。わけわかんねー。

 

「・・・・・・・」

 

『溝呂木さんも仲間だと思っています』

 

『・・・相談したら、きっと気持ちも晴れます』

 

 

 

「・・・・・・・くだらねえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・サーニャ、なんでアイツにそんなこと言おうなんて思ったんダヨ?」

 

「・・・あの人に、笑って欲しいから」

 

「ハ?」

 

「・・・あの人の笑顔が、素敵だったから」

 

「・・・」

 

「なのに、今まで一回しか笑ってくれないから」

 

「・・・」

 

「だから、上手く言えなかったけど、笑ってもらうために、支えになりたくて・・・」

 

そう言いサーニャは歩き出し、残されたエイラは胸ポケットからタロットカードを取り出し、溝呂木のことを占ってみた

 

「う~ん・・・・・今のところ恋愛や恋人カードはナイカ・・・・でもこのカードもあまりいいとも悪いとも言えない微妙なカードダナ・・・・今のアイツみたいに」

 

軽くため息をつきエイラもサーニャを追いかけるのだった

 

 

 

 

 

 

 

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