心を閉ざしたウィザード   作:疾風海軍陸戦隊

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ウィッチたちは彼を誘う

ここに来てからの毎日、俺はずっと絶望しっぱなしだった。元の世界に帰る手がかりが何も掴めないのだ。

文献を探したけれど、当然そんな資料は存在しなかった。・・・あったら逆にびっくりするけどな。

それに、この世界に来てからもあいつらはしつこく俺に話しかける。無論俺はあいさつ程度ぐらいにしか答えない。

なぜならそれ以外は必要ないからだ。元の世界に戻ってもまたあいつらに会えるとも思えない。

だから、なるべく親しくしようとは思わない

距離を置いていた方が俺的にもあいつら敵にもいいかもしれないからな

そんな俺の考えとは裏腹に彼女たちは毎度俺に話しかけた。

ある時のこと

 

「溝呂木~」

 

今朝はルッキーニが無邪気な笑顔で話しかける。

 

「・・・・・・なんだよ?」

 

「かくれんぼしよ!」

 

かくれんぼって・・・・一応ここって軍事基地だよな?いやいやそれ以前に・・・

 

「・・・・やだ」

 

「えー・・・」

 

「なんでですかぁ、溝呂木さん?」

 

「ちょ、ちょっと芳佳ちゃん・・・」

 

そばにいた宮藤がそう言いリーネもそう言うが俺は軽くため息をつき

 

「ここは軍の基地なんだろ?遊んでいる余裕あるのか?俺はないぞ?」

 

「本音は?」

 

「面倒くさい」

 

「まるでハルトマンみたいなことを言うな」

 

「それどういう意味トゥルーデ?」

 

「でも楽しいですよ?溝呂木さんも子供のときやったでしょ?」

 

「あいにく俺はガキの頃は部屋でテレビゲームとか読書しかやってない」

 

「テレビゲーム?なんですかそれ?」

 

※今は1944年です。当然ながらテレビゲームは存在しません

 

「もう、俺には構うな」

 

そう言い俺は自分の部屋に行こうとする訓練の時間や食事、出撃以外はたいてい部屋にいる。というより部屋で一人でいるほうが落ち着く。

部屋へ行こうとする俺に

 

「少し待て溝呂木軍曹!」

 

と、バルクホルンが止める。ちなみにこの基地での俺の階級は軍曹ってことになっているらしい。

てかなんで下士官から?普通なら一等兵とかの兵卒からなんかじゃないの?

まあ、後で聞いた話だがウィッチ基女性兵士は上官から理不尽な命令…特にセクハラなんかの防止のため命令権限がある下士官から始まるんだそうだ

 

「・・・・・なんですか?」

 

俺はめんどくさそうに言ううと彼女は

 

「貴様は他人への思いというものが不足している!」

 

「・・・そんなの必要ないだろ」

 

「いーや、必要ある!他の何かを守りたいと思うことで、初めて軍人たりえるのだ!今ここに居る人の思いを放り出すようでは・・・」

 

と、まあ、長い説教まがいなのが始まろうとしていた。ああ・・・これはあれだ。この人。絶対に説教が長いタイプだ。

 

「・・・あんた、俺がここに居る理由を忘れたのか?帰るまでの間、仕方なくいるだけなんだぞ。他人とか国を守るなんて思ったことはないし、そもそも俺は軍人になろうなんて思ってないし、この世界を守るとかそう言う義理もない・・・・・」

 

俺は彼女の言葉を遮りこう言った。正直言って話の長いのは嫌いだ。それ以前に俺は人との付き合いとかも苦手だし、したくもないからな

それ以前に俺にはこの世界を守ろうとかの感情もない。なんたってここは異世界。俺の国はないし、文字通り全くの別世界だ。

小説の主人公みたいに『よし!この世界を守るために戦うぞ!』なんてそんな頭の中がお花畑のような感じがあるわけがない

俺はそう言い、部屋を出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・行っちゃいましたね・・・溝呂木さん」

 

「くっ、あいつは・・・」

 

彼が部屋を出てみんなが残念そうに言う中バルクホルンが苛立った表情をする。

 

「溝呂木のことが気になって仕方ないんだねートゥルーデ」

 

「なっ!ち、違う!何を言ってい折るんだハルトマン!?」

 

「違わないでしょ~トゥルーデにとってあいつは生意気な・・・」

 

「わー!!言うな!?!!!」

 

珍しく慌てた表情のバルクホルンがハルトマンがの言うことを遮ろうとするが・・・・

 

「弟みたいなもんなんだよね~?」

 

「そ、そんなことを言った覚えはない!」

 

「寝言で言ってたよ~、確かトゥルーデが溝呂木を殴ろうとしたときの夜のことだったかな~?」

 

「な、なに・・・?」

 

「トゥルーデ、心配してたみたいだもんね~。『嫌わないでくれ』とか『お前のその性格さえなんとかなれば・・・』とかさぁ~?」

 

「そうなんですか?バルクホルンさん」

 

「へー・・・あのバルクホルンがね~」

 

「や、やめてくれ・・・」

 

シャーリーがにやにやした表情でそう言うとバルクホルンは顔を真っ赤にし恥ずかしそうに小声で言う。するとシャーリーは

 

「そういやあバルクホルン、お前あれからあいつの口の利き方にとやかく言わないよな」

 

「もう慣れたということでしょうか?」

 

「慣れた~」

 

「う、うるさい!」

 

とペリーヌとルッキーニがそう言いバルクホルンは顔を赤くしそっぽを向く

 

「・・・それはともかく、私も心配です」

 

「私もダ。アイツ最近、以前にもまして表情が硬いじゃないカ」

 

エイラーニャが心配そうに言うと坂本もうなずき

 

「確かに訓練では素直だが・・・なかなか、向こうから打ち解けてくれないな」

 

「そうね・・・私達だけが一方的に彼のことを受け入れてもしょうがないのよね・・・いったいどうしたらいいのかしら」

 

と、困った表情でため息をつくミーナであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃溝呂木は夢を見ていた。それはとても不思議で不気味な夢。見たところ場所は日本に似たところだったが、そこには巨大な化け物が暴れていた。ナメクジのような奴。ケロべロスに似たまがまがしい生き物。ネズミみたいな悪魔のような巨大生物。

現れるやつは皆悪魔のような醜い化け物だ

そしてそんな化け物を見た溝呂木は

 

「何なんだよ・・・これはよ」

 

と、つぶやくと・・・・

 

「スペースビースト・・・・宇宙の化け物だ」

 

「っ!?」

 

急に背後がし、振り返ると、そこには俺に少し似ただが少し年上の黒服の男がいた

 

「お前は誰だよ・・・・・」

 

俺がそいつに訊くと男は

 

「お前は俺で・・・・俺はお前だ溝呂木眞也・・・・」

 

「なに?」

 

「いうなれば、別の人生をたどった俺だ・・・・・」

 

「どういうことだよ。別の人生?」

 

「そうだ・・・・元ナイトレーダーAユニット副隊長・・・・溝呂木眞也。それが俺だ」

 

「・・・・・」

 

こいつ・・・・頭がおかしいのか?いやそれ以前に別の人生?どういう意味だよ。だがそいつ・・・俺と同じ名の溝呂木眞也を名乗った男は

 

「お前も・・・かつての俺の同じように異形の物を殺すことを楽しみ、そしてお前はこの世界を受け入れつつある。あいつらを殺すことに喜びを感じてきている」

 

「なに?」

 

俺がこの世界を受け入れている?そんなはずあるもんかよ。・二ヶ月経った今でも、俺はこの世界の何も受け入れてなんていない。

だがあいつは言葉をつづけた

 

「お前がネウロイと呼ぶ異形の奴と戦うのは元の世界に戻りたいのじゃない。「死ぬことが怖い」という恐怖心からだ。その恐怖心をごまかすためお前は元の世界に戻りたいと思い込んでいる。かつて俺がビーストとの戦いに恐怖し、それらを克服するための「力」を渇望するように」

 

「違うな・・・・・俺はそんなんなんかじゃない」

 

「・・・・・まあ、いい。だが忘れるな。人の心は弱く、世界は闇で満ちている。だから人はたやすくそれに呑まれてしまう・・・・俺のようにな」

 

そう言うと奴は黒い黒い棒のような形状のようなものを左右に伸ばすと、そいつの体が黒い闇みたいなものに包まれ巨大化する。

そしてその男は俺が夢で見たあの悪魔のような奴ダークメフィストの姿になった

 

『お前もいずれ・・・・・・俺と同じ、この力を持つ・・・・だが、その力の意味・・・・間違えるなよ。』

 

「お前は・・・・なんなんだよ?」

 

『俺はお前の心の中の影・・・・おまえの望む姿であり、別の可能性だったお前だ』

 

そう言うと奴は消えていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・はっ!?」

 

俺は寝ていたのだろうか?目が覚めるとそこは基地で俺に与えられた部屋だった

 

「何なんだよ・・・・あれは?」

 

この世界に来てからいつもこんな変な夢ばかり見る。それに夢に出てきたあの男も何なんだよ

 

「あ~ダメだ。全然わからねえ!!」

 

頭をぼりぼり掻いて俺はそう言う

 

「はぁ・・・・それにしても」

 

俺は先ほどの彼女たちの会話を思い出していた。俺は仕方なくここにいるだけなんだ。なのに、ここの連中はこんなに皆を否定している俺がいるということに対して、もう誰も不満そうな顔一つ見せない。

それどころか『相談して』だの『一緒に遊ぼう』なんて言われてしまった。

そんなみんなの態度が、俺には辛かった。なんだか、無理に本音を抑えているような気がして心苦しかった

 

「ダメだ・・・部屋にいてもどうしようもならねえ」

 

俺はそう言い、坂本からもらった刀をちらっと見る

 

「素振りでもすれば気分でも晴れるかな・・・」

 

そう思い俺は刀を持ち、気分転換として素振りをするため部屋の外に出るのであった

 

 

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