※べつに読まなくてもいいやつです。
「あー..チクショウ…」
授業と授業の相中の休み時間、大城は教科書を持って廊下を歩いていた。
しかし、彼はとてもイライラしていた。
別にこの仕事によるストレスというわけではないらしい。
「あ、おーい!ハクせんせー!」
「…」
「あれ?どうしたんだろ?」
いつもは気さくに返す生徒への挨拶も、無視してしまうほど、大城は苛ついていた。
彼のフラストレーションの理由…それは、単なるニコチン切れだった。
というのも、アスリートを目指すウマ娘たちにとって、呼吸器官は命。
それを副流煙によって損ないかねないリスクがあるとして、トレセン内は数年前から全館完全禁煙になっていた。
以前ならば教官室でコッソリ吸う分には黙認されていたものの、それすらも厳格に取り締まられるようになってしまい、ヘビースモーカーである大城にとっては死活問題だった。
一度は沖野や黒沼と共に抗議することも考えたが、そもそも彼らは煙草を吸わないし、それに生徒であるウマ娘たちのことを考えると、それも妥当だと言わざるをえなかった。
そのため、昼休みなどに学園を抜け出し、最寄りの公園やコンビニなどでニコチン補給を行うのだが、今日という日はそんな暇すらもなかった。
先日教科書の記載事項の一部が突如変更された為、大城はその指導案作成等に追われていた。
だが、そんな彼もいよいよ限界を迎え始める。
(クッソ…あそこなら…一本だけ…!)
トレセン校舎裏の物置近く、大城はそこに駆け込んだ。
ここはめったにウマ娘たちは来ない場所だった。
大城は素早く煙草を取り出し、即座に火をつける。
(…くぅ!五臓六腑に染み渡る…!!)
n時間ぶりの煙草は彼にとって至福のひと時に…なるはずだった。
「ええと…スズカさんのハンカチ…たしかこの辺で無くしたって…あ!大城せんせ…い」
大城がその声に気が付いたときは既に遅かった。
「す…スペシャル…ウィーク」
「せ…先生…それって…イケナイやつじゃあ…!」
スペシャルウイークは大城のその手に持つ白いものを見て、驚愕する。
「ま…待て!スぺ!これはだな…。」
「わ…私…。」
(クソ!仕方ねぇ!)
「おい、スペ!これ、なんだと思う...?」
大城は懐から、一つの個包装された菓子を取り出す。
「そ…それは…!!」
「そうだ…駅前キャロットハウスの限定キャロットクッキー。数量限定なのはお前もしってるよなぁ?」
「で…でも…。」
「うめぇぞお…これ逃したら…二度と食う機会はないかもなぁ?」
大城はそれを優しく振った。
「う…あああ…。」
そしてスペシャルウイークはそれに引き寄せられるように、菓子に靡く。
「よぉし、スペ、お前は何も見なかった…復唱。」
「はい…私は…なにも見な「何をしている!!」
二人が慌てて振り向いた先に居るのは、峻厳で知られるこの学園の副会長。
「エア…グルーヴ…。」
「ほぅ、校内で異臭がすると通報があって来てみれば、校内喫煙に加えて生徒の買収とは、これはどういうことか説明していただこうじゃないか...大城先生?」
にじり寄るエアグルーヴに、大城はジリジリと後ずさる。
「エアグルーヴ…後生だ…勘弁してくれ。」
「それを決めるのは…私ではない。さぁ、生徒会室へ来ていただこうか?」
「待て!エアグルーヴ!…これ、なんだと「いらん!!このたわけ!!!!」
エアグルーヴの怒号が校内に響き渡った。
大城先生のひみつ①
実は初犯じゃないらしい。