7s Sprinter   作:マシロタケ

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消えぬ黒星


照りつける太陽が、これほどまでに鬱陶しいと思ったことはあったんだろうか。

皮膚は焼けて、目を十分に開きたいのに、日光にそれすらも阻まれて、冷たくて新鮮な空気が欲しいのに、口に入ってくるのは、淀んだ生ぬるい流体だけだった。

 

それでも足を止めることは出来ない。

ここで止まれば、私はまた…。

 

でも、もう..苦しくて、苦しくて、前をみるだけでも精一杯。

あきらめちゃだめだ。私は、きっと。お母さんの背中に追いつくんだ…。

 

でも、私の目に映るのは、ほかの娘たちの背中ばかり。

また私を追い越して、私に背中を見せつける。

そしてみんな、背中で私にこういうんだ。

 

「このノロマ。」

 

って。

 

ああ。さっき私を追い越した娘の背中がもうあんなに小さくなっている。

追いつきたい。勝負をかけたい。でも、私の肺は、もう悲鳴を上げている。

 

ああ、これで何度目なんだろう。

 

―――――――――――

 

『最終コーナー回って、各ウマ娘。おっとここで5番オークストリーム抜け出した!勝負を仕掛ける!!それに追走!9番テクノイニシャル!!残り200!!テクノイニシャル届くか!?』

 

会場内に興奮の声が上がる。現在絶賛売り出し中の注目のウマ娘2人の白熱した競り合いに、それに薪をくべるように観客を煽る実況。

今日はただの一般開催だというのに、それなりの盛り上がりを見せる。

 

『オークストリーム!!早い!!テクノイニシャル!ジリジリと距離が広がるか!?オークストリーム逃げ切ってゴール!!見事人気に応えました!!!2着はテクノイニシャル!あと一歩及ばず!!』

『非常に白熱したレース展開でした。今後の彼女らに期待がかかりますね。』

 

そんな先頭集団に数秒の遅れをとって、ぞろぞろと敗北したウマ娘たちがゴールを通過する。

最早、入賞を逃したこのレースは、彼女らにとっての価値はないらしく。どこか気の抜けたゴールインを決める者も珍しくはなかった。

 

そんな中にたった一人だけ、必死に歯を食いしばってゴールを通過するウマ娘もいた。

 

―――――――――――

 

「…っはぁ!!…はぁ!!…げホッ!!ゴホッ…!」

両膝をターフに付き、全身で息をする彼女の姿は、その場だけ切り取れば熾烈な1着争いをした直後と見えなくもないだろう。だが現実は。

 

強く閉じていた目をやっと開き、着順掲示板に目をやる。

…当然だが、その確定に自分の数字が入ることはなかった。

 

隣のモニターに目を移す。

「…6…7…8…9。…あった。9着レッドマーシャル…。やった…10着以内に入れた…。」

 

なんだか、一桁の着順を見るのも久しい気がするのは気のせいなのだろうか。

「がんばった…よね?…この間は…びり…だったんだもん…。」

いまだに回復しないスタミナを、最低歩ける程度にまで回復させようと、彼女は大きく息を吸った。

 

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