神々の世界にファーさんがいるのは間違っているだろうか? 作:セフィム
次は早く投稿できるように頑張りたいな……
暗いダンジョンの上層第五層。下に降りて行く正規ルートから外れた道を歩いて行くルシファーとアリシアは
「この辺りでいいだろう」
「……あ、あの」
「何だ」
「魔法の実験を拒否するすわけではないのですが、本当に恩恵に刻まれてもいない魔法を使うことができるのですか?」
それに、とアリシアは言葉を続ける。
「もしも本当に魔法が使えたとしても、別のファミリアである私に教えてもよろしいのですか?」
恐る恐るアリシアはずっと疑問に思っていたことを口にする。
今回は珈琲を吹っかけた罪を償うということで協力しているがルシファーの言う恩恵無しで魔法の使用。もし本当ならば世界の常識が大きく崩れ去る。
そしてそれを他のファミリア、パンドラ・ファミリアのライバルであるロキ・ファミリアに教えれば自分たちはその情報を活用して団員たちの強化やフレイヤ・ファミリアの打倒も視野に入ってくる。
敵に塩を送るような行為をして本当に大丈夫なのかとアリシアは心配していた。
「問題はない。教えたところで俺たちの脅威にはなりえん」
ルシファーの言葉にアリシアは思わず頬を引きつらせるもルシファーはそんなことなど気にせず言葉を続ける。
「ついでだ。魔力を使った応用も教えてやる」
そう言うとルシファーの右手の掌に青黒い光が灯る。すると、光は次第に形を作り一本のナイフへとなる。
突然の行動、そして目の前で起こった事象にアリシアは思わず頭が真っ白になる。
「(!? い、今の青黒い光は魔力!? しかもそれがナイフに!?)」
シュッ! とナイフは勢いよくアリシアの頬を掠めて飛んでいった。
呆然としていたアリシアは、ルシファーの凶行に悲鳴を上げる間もなく尻もちをついてしまう。
すぐに抗議しようと声を上げようとしたのと同時に金切り声の断末魔とどさりと何か重たいものが落ちた音が彼女の背後から響き渡る。アリシアが恐る恐る振り返ると、そこにはナイフが頭に深々と刺さり絶命して灰になろうとしているモンスターの死体が転がっていた。
「上層だからと油断するな」
「だ、だからと言って急にやらないでください! びっくりするでしょう!?」
「注意散漫していたお前が原因だろう」
正論で容赦なく殴ってくるルシファーにぐうの音もでないアリシアはせめてもの抗いで睨み付ける。
「まぁ、いい。魔法の授業をする前に、貴様らは魔法を使用する時どうしている?」
「え?」
「早く答えろ」
「えっと……」
急遽始まった授業に立ち上がりつつ、ルシファーの問いについて考えるアリシアだが意図が全く読めない。
魔導士が魔法を使うには恩恵によって出現した魔法、その詠唱呪文を口にすることによって使用できる。その種類は膨大で攻撃魔法や防御魔法、強化や弱体魔法に回復魔法と色々存在している。また詠唱呪文が長ければ長いほど高い威力を発揮する。
「詠唱して魔法を発動させます」
「……それだけか。ならその時何を考えている? 魔力の流れ、量、質はどうしている?」
「え?」
言っていることがアリシアには理解できなかった。
詠唱すれば簡単に魔法が使える。それがアリシア、神時代に生きる冒険者たちにとっての当たり前だ。
だが、ルシファーに言われて初めてアリシアは疑問に思った。自分は魔法の詠唱中に何を考えていたのだろうか。魔力の流れまではわからないが少なくとも何も考えずに魔法を使っていた。
何も言えないアリシアにルシファーは落胆したかのように大きなため息をつくと、ゆっくりと口を開き授業を始めた。
「魔法とは、想像力の具現化だ。イメージした事象を魔力で構築、詠唱呪文を唱えることによってイメージしたものを肉付け、より鮮明にさせる」
ルシファーは唐突に右手を十五メイルほど離れた岩場に向けると、詠唱を始めた。
「魔氷よ、串刺せ――――アイス・ランス」
するとルシファーの右手に青黒い魔法陣が出現すると、そこから氷の槍が合計五本ほど生み出され岩場に向かって勢いよく発射される。
氷の槍は岩場にぶつかると大きな音を立てて砕け散る。残ったのは無傷のままの岩と青黒い光に変わる砕けた氷の槍。
「今のはイメージは申し分ないが魔力をあまり込めず、詠唱も適当で肉付けが甘かった。魔氷よ」
再びルシファーの突き出された右手に魔法陣が浮かび上がり、氷の槍が生み出される。だが、さっきのものと違い物凄い魔力が魔法陣に、氷の槍に込められていく。
「溶けることは無く、砕けることは無く。触れたモノ全てを凍てつかせ生命を眠らせ閉ざし貫け」
先程の詠唱呪文よりもかなり長いが、先程の氷の槍よりも込められる魔力は膨大でシンプルな形だった槍のデザインは鮮麗され、半透明で光を屈折して美しく妖しく光り輝く氷の槍にアリシアは思わず見惚れてしまう。
「――――アイス・ランス」
完成した氷の槍は再び岩場に向かって勢いよく発射され、次の瞬間大きな音を立てて岩場を破壊した。
壁に深々と突き刺さる五本の氷の槍は冷気を発して砕かれた岩場を凍てつかせている。
「すごい……」
「イメージはそのまま。魔力をさらに込め、詠唱による肉付けをしっかりとしたものだ」
圧倒的な光景に驚くアリシアに、ルシファーは再び詠唱を始める。
「魔氷よ。凍てつき貫け――――アイス・ランス」
再び現れる魔法陣と氷の槍。一回目の短文詠唱呪文だというのに二回目の長文詠唱呪文と変わらぬ魔力が込められ、鮮麗されたデザインを保っている。
今度は別の岩場へと発射される五本の氷の槍は、二回目の氷の槍と同じように大きな音を立てて岩場を破壊して壁に深々と突き刺さると五本の氷の槍は、冷気を発して砕かれた岩場を凍てつかせている。
「三回目は、イメージをより鮮明にして魔力を加えたものだ。槍の穂先から石突まで細かくイメージすれば詠唱による肉付けは少しでいい」
「な、なるほど……」
「そして最後に無詠唱による魔法だが、これは三回目のものよりイメージをより強固にしたもの……どんな状況下、死ぬ直前でも呪文を唱えれば頭で鮮明にイメージできるものだ」
「ですが、無詠唱魔法は威力の弱いものが大半で……レベルが上がれば威力が高くなるものもありますが」
「それは魔力の量が微量及び神の恩恵による障害だ」
ルシファーは語る。神時代となる前、まだ神が地上に降りず世界が怪物に脅かされていた英雄の時代では神の恩恵がなくとも魔法を行使できた。
古い文献によればマジックユーザーであるエルフを筆頭に魔法を使う者は魔力を感知して、流れを操作。そこから詠唱を考え、正常に発動するように研究をしていた。その際には
しかし、神々が地上に降りて恩恵を与えれれるようになってからは、魔力の捜索及び研究は行われなくなり、次第に衰退していったとルシファーは考えている。
何せ神の恩恵は魔法が発現すれば詠唱を唱えることによって簡単に使用できるうえに魔力出力の調整も自動にやってくれるおかげで魔力暴発などという事故は一切起こらない。
「……確かに、そう説明されれば納得できます。では恩恵に刻まれている魔法も魔力を調整すれば強大な一撃にできるのですね」
「あぁ。魔法について大方理解したなら今度は実際に魔法を行使する」
魔法の説明に納得するアリシアに、ルシファーは左手を差し出す。
「えっと……」
「握れ」
「ど、どうして」
「今まで恩恵によって魔法を行使してきたお前が今から魔力を感知して、そこから魔力操作ができるのか?」
「うぅ、それを言われると……」
差し出された左手を見つめながらアリシアは、手を取るかどうか迷ってしまう。
ルシファーの言う通り今まで神の恩恵に頼っていた自分がいきなり魔力を自在に操ることは難しい。むしろ魔力ですら感知もできない。
神の恩恵に頼ることなく魔法の行使は是が非でも試してみたいと思う。自分がエルフではなくヒューマンやドラフであれば迷いなくルシファーの手を取っていただろうが、残念ながらアリシアは、エルフだ。
他の種族よりも圧倒的に容姿端麗な種族であるエルフは、誇り高く潔癖で、他者との接触を容易には許さない。更には他の種族に対して汚らわしいと見下す習性があった。認めた相手でなければ肌の接触を許さないというエルフの特質上簡単に他人の手を取ることができない。
「さっさとしろ」
「あ!」
エルフとしてのある意味呪いの様な特質により中々手を取ろうとしないアリシア。そんな彼女に痺れを切らしたルシファーは、無理矢理彼女の手を取る。
思わず声をあげるアリシアだが、握られた手を何故か振り払わなかった。
エルフの醜悪な習性が反応しすぐに手を振り払ってしまうと思っていたアリシアはまさかの事態に困惑せずにはいられず、まじまじと握り合う自分とルシファーの手を信じられないようなものを見ながらにぎにぎと手を握り返して感触を感じ取る。
今まで同族で同性の者と大変不服だが主神であるロキにしか肌を触れさせたことはない。しかし初めて触れる異族で異性の相手であるルシファーの手は険悪感は感じず、むしろ心地よく感じる。
「おい」
「ひゃ! な、なんですか!?」
「手を握り返してないで、魔法実験を始めるぞ」
「は、はい!」
未だに他者と肌を触れ合わせていることに信じられないまま魔法の実験が始まり、握り合うルシファーとアリシアの手に青黒い光が灯る。
「ん……あ……」
「今、お前の手を通して俺の魔力を流している。しっかりと感知できているな」
「は、はい……んぅ……」
「手にある俺の魔力をゆっくりと体に巡らせろ」
「う、ぅ……はいぃ……」
呼吸を乱し、何処か色っぽい声を出して返答するアリシアは手に感じる他者のぬくもりと彼特有なのかはわからないが魔力の冷たくも不思議な感覚に体を震わせながら言われた通りに魔力を巡らせる。
青黒い魔力の光はゆっくりとアリシアの手から肘、肘から肩。肩から頭や胴体に足へと広がり巡っていき青黒い光がアリシアの体を包んでいく。
「飲み込みがかなり早い。マジックユーザーであるエルフだからか、それともこの女の才能か……サンプルが増やせなければ判断できないな。ベルの所のエルフも使って試す必要がある、か」
「あ、あの……んぅ。次は何を……」
「手を伸ばしてそこに俺の魔力を集中させろ」
「わ、んぅ……わかりましたわ……」
ルシファーと手を握っているのとは反対の右手を伸ばし、言われた通りに体中に巡らせた魔力をかき集めて集約させていく。
次第に魔力が体に巡っていく感覚にも慣れたのか、呼吸の乱れも収まり深く深呼吸をしてリラックス状態のアリシアにルシファーは次の指示を口にする。
「目を閉じて魔法をイメージしろ」
「い、イメージって……何を?」
「何でもいい。炎、水、風、土、光、闇。お前が頭に浮かべたものを右手に集めた魔力でイメージ、構築しろ」
「分かりました」
言われるがまま目を瞑り、頭の中に魔法をイメージする。
だが、何も思い浮かばない。
何か指定してくれれば良いものの自分に丸投げで少しいい加減なルシファーに内心腹を立てる。もういっそのこと先程ルシファー見せた氷の槍でもイメージしようかとしたその時、ふとアリシアは故郷の森を思い出した。
ハイエルフであるリヴェリアに仕えるため、森を飛び出るまで過ごした想い出の場所。
青々と生い茂る木の葉が空を蓋するように覆っているが、その隙間から差し込む日の光がとても温かくも神秘的で……
「風。森を抜ける風……木々を、葉を揺らして何処までも行く風……」
「ほぉ……目を開けて見てみろ」
「はい……え?」
閉じていた目を開いて魔力を集中させている右手に目を向けると、その手には魔法が発動していた。
緑色の魔法陣が形成され、その向こうにはアリシアが頭の中で思い描いた風。その風は勢いよく渦巻いており、大きな光玉の形をして待機していた。
「こ、これは……」
「魔力暴発が起きる。集中と魔力のコントロールを乱すな」
「っ! はい!」
「その風をあの岩場にぶつけろ」
「ど、どうやって……」
「飛び道具を投げるイメージだ。何でもいい弓矢、投石、投げナイフ……それらを投げる感覚でやれ」
「はい!」
今一度大きく深呼吸をして集中力を高めるアリシアは、ルシファーのアドバイスに従って自身のメインウェポンである弓矢をイメージする。
すると風を纏う光玉は回転を段々と早めて行き、アリシアやルシファーの衣服や髪を勢いよく靡かせる。
「ウィンド・ブラスト……!」
技名を叫んだのと共に勢いよく発射された光玉は、目にも止まらぬスピードで岩場に衝突するとルシファーの氷の槍がぶつかった以上の爆音が耳を襲い。岩場は見る影もなくなっていた。
そんな光景に魔法を放った本人であるアリシアはポカンと口を開けて呆然としていた。
「おい」
「は、はい」
「今度はお前の魔力を使って魔法を使用しろ」
「わ、わかりました」
手を離され、ルシファーの声で現実に引き戻されたアリシアは次の標的たる岩場を見定めようとしたその時、玉砕した岩場の奥の方から耳を裂くような怪物の咆哮と段々と近づいてくる足音も聞こえる。
恐らくアリシアが放った魔法の爆撃音に反応して向かって来ているのだろう。
遠目からモンスターを確認できたアリシアは、彼らをターゲットするのを決めると右手を伸ばし先程の感覚を思い出すようにして自身の魔力を集める。
複数の足音を轟かせて刻一刻と近づいてくるモンスターに焦りで集中が乱れそうになるも、気を取り直して魔力を操り、イメージをする。
「到達するは未界の領域。
自然と口が動き詠唱によるイメージ補強がなされ光玉は光を一層強め、風は勢いを増して回転を強める。
そしてモンスターとの距離が十五メイルを切ったのと同時にアリシアは、魔法を発射した。
閃光のように一瞬にしてモンスターへと肉薄した風の魔法は轟音を響かせながら敵を蹂躙する。
悲鳴または咆哮する暇さえ与えられずに体を、魔石を破壊されるモンスターたち、魔法が蹂躙した道は地面がえぐれて大量の血と灰が彩っていた。
「ハァ……ハァ……」
「直前で魔力調整を誤ったな。威力が高かったぶん
荒い息をつき、その場にへたり込んでしまうアリシアの姿と先ほどの魔法を冷静に分析するルシファーは、懐からマジックポーションを取り出してアリシアに投げ渡す。
危なげなく受け取ったアリシアは、もらったポーションを口にしつつも自分がステイタスにも載っていない魔法を本当に放ったのか、夢を見ているのではないかと疑ってしまう。
しかし、ダンジョン特有のピリついた空気と自分が放った魔法の軌跡である血と灰が彩る地面が現実だと教える。
「次は魔力の応用だ」
息を整え、落ち着いたアリシアを見て授業を再開させるルシファーは再び掌に自身の青黒い魔力を集める。
「この世界は、すべて物質によって構成。作られている」
「物質ですか?」
「正確には素粒子と呼ばれる原子や分子よりも小さいものだが、ここらの説明は省く。……魔力はある意味万能、無限の可能性を秘めている」
ルシファーの青黒い魔力が形を形成していく。その光景は授業を始める前に見せた魔力でナイフを作ったのと同じだが、作られたのは一本の何ら変哲のない剣だ。
「見ての通り、今俺が持っている剣は魔力で構成したものだ。作成工程は魔法の使用にほぼ近い、イメージした剣やナイフを魔力で物質化させる。今回は刀剣の類、魔力を鉄、原子のFeにする」
バキリッ。
原子。Fe。と聞きなれない言葉に困惑してしまうアリシアの耳に何か亀裂が入る音が響く。すぐに音が聞こえた方向を見るとダンジョンの壁が砕け、その中からモンスターが生まれる。
すぐに対処しようと起き上がるアリシアよりも先にルシファーがモンスターに歩み寄る。
「ちょ、ルシファー・クラネル!?」
「魔力で形成した武器はあまり使えたものではない。いくら強固なイメージと大量の魔力を消費して構築しようが鍛冶師が作った剣に比べればかなり脆い、さらに魔力で構成しているものは時間が経てば拡散する」
アリシアの制止を無視してゆったりとした足取りで歩くルシファーは、魔力で生成した剣の腹を撫で欠点を述べていく。
そんなルシファーに向かってモンスターは、咆哮をあげるとその鋭い爪を大きく振り上げて星のような美しい青年の顔を潰そうとするも、出来なかった
何故ならそれよりも先にルシファーの作った魔力剣が先にモンスターの胸、ちょうど魔石のある場所を貫いたからだ。
ギシャアアーー! と耳障りな断末魔をあげて灰へと変わるモンスターと同時に魔力剣が砕け散り、青黒い粒子となって消えてしまう。
「故に魔力でできた武装は、銃を使うエッセルやシルヴァ。または弓を扱うソーンなどの飛び道具として扱うか、その場をしのぐ防御札としてか使えん」
例外は存在するがな。とルシファーは心の中で呟く。
名前を出したソーンやシルヴァもある意味例外だが、ルシファーが思い浮かべる例外は星晶獣第2号であるベリアルと十天衆最強の剣の使い手であるシエテだ。
前者は妖しく発光する赫い剣または鎌を魔力で作り出す狡知の堕天使。
後者は美しい輝きを放つ薄緑の剣、剣拓と呼ばれる魔力剣に似たモノで戦う最強の剣士。
どちらの魔力武器も相当な相手ではない限り砕けることはなく、深層のモンスター相手にも充分通用する精度を誇る。
「では、使うだけ無駄ということですか?」
「……無駄ではない、使いようだ。ソーンがいい例だ」
「ソーンさん……ですか」
【魔眼の狩人】ソーン。
ルシファーが率いるパンドラ・ファミリアの団員でオラリオ随一の弓の使い手であり、レベル6の実力者。二つ名の通り、どんな遠くの獲物も見逃さぬ特別な眼を持つ天性の狩人だと仲間が話しているのを聞いたことがある。
「アレの扱う魔力武器は一種の魔法だ。このようにな……」
再びルシファーの手元に青黒い光が灯る。形成されたのはアリシアが慣れ親しんだ一本の矢だ。しかし、先程作り出した魔力剣とは違い矢の形状はしているが、半透明で青黒い魔力の光を放っていた。
その矢をダーツの要領で遠くにある壁に向かって投げる。すると次の瞬間、放たれた一本の矢が輝くと一本だった矢が数十本の矢へと分裂し、次々と壁に突き刺さる。
「い、今のも魔法……なのですよね」
「聞いてなかったのか? 一種の魔法だと。これはさらに各属性魔法及び弱体魔法の付与と応用がかなり効く。詳しいことはソーン本人に聞け」
ルシファーの説明にアリシアは、もう驚きを通り越して呆れてしまった。
今まで自分たちが正しく命をかけて経験値を稼ぎレベルアップを果たしてきたというのに、彼が教える魔力武装や魔法の理論は全てが新鮮で驚きに満ちていて過去の自分の行いがバカらしく思えてしまう。
だが、それと同時に魔法を自分のものにしたいと思った。
幼い頃に読んだ英雄譚に登場する英雄や魔法使いのように色々な魔法を自由自在に操りたいと。
「あと数回、魔法を行使して実験は終了だ」
「分かりました!」
己の新たな夢を叶えるために先ほどよりもやる気に満ちた返事をするアリシアは、ルシファーの言葉を一語一句聞き逃さぬように改めて集中力を高める。
「まずは魔力操作を再度だ。貴様はかなり才能があるようだがまだ操作が甘い」
そうして魔法授業は続き、暗いダンジョンに青黒い光と緑色の光が輝き轟音が響き渡った。
「今日は大変勉強になりました。ありがとうございました」
深く頭を下げるアリシアに、ルシファーは特に反応することはなくメモ帳にエルフを使った魔法実験での気づきなどをすらすらと記入していく。
魔法実験が終わり、ダンジョンを出た二人は中央広場の端に設置されたベンチの近くにいた。
「……」
「? どうかされましたか?」
「貴様、何故このような事になった発端を忘れたのか?」
ルシファーの言葉にアリシアは昼間自分が起こしたエルフとして、人として恥じべき行為を思い出し一気に耳まで真っ赤に染めてしまう。
「そ、その……そのことについては本当に申し訳ありません!」
「もういい。貴重な実験データも取れた」
再度深く頭を下げるアリシアに、ルシファーは手に持つ珈琲と唾液が少ししみ込んだ完成間近の教材を一瞥すると、未だ顔を赤くさせるエルフに投げ渡した。
「くれてやる」
「え?」
「貴様に少し興味が沸いた。貴様には少なからず才能がある、それを自己流で学び魔力暴発で失うのはあまりのも惜しい」
不遜な口調だが、自分に期待してくれている。
そのことにアリシアは、胸の奥がとても温かく顔は先程の羞恥心以上に熱く赤くなって思わず投げられた教材を強く抱きしめ顔を俯かせてしまう。
「俺はもう行く」
そう言ってベンチから立ち上がり、自身のホームに向かって歩き出すルシファーにアリシアは何も言うことなく見送る。
ルシファーの姿が完全に見えなくなると、緊張の糸が切れたかのように大きく息を吐くアリシアは貰った教材を見つめながら先程の授業の内容を思い出す。
今でも自分が
だが、そんな思いは精神疲労寸前に近い身体の怠さ。
そして―――おもむろに右手の掌を見つめる。
掌に魔力を込めて、故郷のエルフの森とそこを吹き抜ける風をイメージする。すると掌に緑色の魔法陣が出現するとそこからそよ風が吹き出してアリシアの髪を撫でることで払拭される。
その事実にアリシアは、笑みを浮かべるとルシファーが去った方向に向かって今一度大きく頭を深く頭を下げると自分のホームに向かって走り出した。
四大天司の使徒登場はあり無し?
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あり
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なし
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それより他キャラを出してくれ!