神々の世界にファーさんがいるのは間違っているだろうか?   作:セフィム

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改訂版2話 残された兎と歩み寄る正義の女神

 認めたくなかったのだ。嘘だと言って欲しかったのだ。

 

 ある日の朝、お義母さんと叔父さんがいなくなった。

 いつも寝ている時に抱きしめてくれる大好きなお義母さんがいなくなった。

 いつも美味しい料理を作ってくれた大好きな叔父さんがいなくなった。

 

 大声でお義母さんと叔父さんの名前を呼びながら家中を兄さんと探した。

 いつも無表情で感情をあまり露にしないあの兄さんまでもが泣きながら二人の名前を呼んでいた。

 

 でも、何処を探しても二人の影はなかった。

 洗濯をしているわけでも、朝食の準備をしているわけでもない。

 

 そうしていたらおじいちゃんが僕たちを抱きしめて、どうして二人が居なくなったのかを教えてくれた。

 英雄を誕生させるために、悪になったのだと。

 

 悪とはなんだ? 正義とは? 英雄とは?

 そんなくだらないことのために世界は、神は、僕たちから大切なものを奪うのか!?

 

 大泣きする僕におじいちゃんは、お義母さんと叔父さんからの手紙を渡してくれた。

 

 でも兄さんは、泣きながらもおじいちゃんに怒鳴り詰め寄った。何故引き留めなかった! って。

 そしたらおじいちゃんは、ポツポツと自分は何者なのかと語りだした。自分は神で英雄を誕生させるためには神として仕方がなかったのだと。

 それを聞いて兄さんは激怒して、おじいちゃんを殺そうとナイフを振り回した。だけどおじいちゃんに殴られて気絶した。

 

 おじいちゃんは少し頭を冷やしてくると言って家を出ていった。たぶん空気を読んで畑仕事に行ったんだと思う。

 

 おじいちゃんが去って僕は気絶した兄さんの隣で手紙の内容を読んだ。

 手紙には「お前たちに出会えて良かった」と短く綴られた感謝の言葉だった。

 

 その言葉に、本当に二人は悪になって人柱になったのだと悟った。

 だが、認めたくなかった。嘘だと言って欲しかった。

 

 二人がいなくなったことにさらに泣く僕に、気絶から目が覚めた兄さんはいつも以上に冷たい声でここを出ると言い出した。

 優しい兄さんは僕にも来いと言ってくれた。

 

 

 その誘いを、僕は断った。

 

 

 お義母さんたちはきっと生きてる。ここで二人の帰りを待つ、待ち続けるって。

 僕の言葉に兄さんは何も言わなかった。何も言わずに家を出て行った。

 

 数時間して戻ってきたおじいちゃんは、村のみんなと協力して兄さんを必死に探し出した。

 村のみんな総出で探し回ったけど、兄さんは見つからず二人の後を追って死んだんじゃないかと噂されるようになったけど、僕にはわかる。

 

 兄さんは生きている。必ず生きてる。

 そして、お義母さんと叔父さんを連れて帰ってきて。また家族みんなで……

 

 だから待ち続けた。

 僕は、玄関の前で家族の思い出を思いだすたびに毎日泣いて、二人と兄さんの帰りをずっと玄関の外で待ち続けた。

 

 一日目は、おじちゃんや村長さんたちが声をかけてくれたけど待ち続けた。

 二日目もおじちゃんや村長さんたちが声をかけてくれたけど待ち続けた。

 三日目もおじちゃんや村長さんたちが声をかけてくれたけど待ち続けた。

 四日目もおじちゃんや村長さんたちが声をかけてくれたけど待ち続けた。

 五日目もおじちゃんや村長さんたちが声をかけてくれたけど待ち続けた。

 六日目もおじちゃんや村長さんたちが声をかけてくれたけど待ち続けた。

 七日目もおじちゃんや村長さんたちが声をかけてくれたけど待ち続けた。

 

 八日。九日。十日。それ以降もずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと…………………………………………待ち続けた。

 

 

 気がつけば、誰も声をかけてくれる人は居なくなったけど関係ない。

 僕は三人の帰りを待つんだ。

 

 季節は巡り巡ってお義母さんと叔父さん、兄さんが居なくなってだいたい二年の月日が経った。

 

 今日も今日もで三人の帰りを待っていると。ある日、僕の前に女神様とその家族が現れた。

 

 女神様やその家族のお姉さんたちは信じられないものを見るような目で僕を見たあと、女神様は僕に急いで駆け寄ると強く抱きしめて優しい声で言った。

 

 お義母さんからあなたたち兄弟を頼まれたのだと……

 

 

◆◇◆

 

 

 のどかな平地に行商のゴトゴトと揺れながら馬車が通る。

 

「アストレア様ー! 行商人に聞いたら例の子供たちの村まであと少しだそうです!」

 

 そんな馬車の中から赤髪の少女の元気の良い声で胡桃色の髪の女性に伝える。

 しかし、その声に返事したのはアストレアと呼ばれた女性ではなく、赤髪の少女のすぐ近くにいた黒髪の少女だった。

 

「アリーゼ、貴様はもう少し静かにしろ。そんな大声を出さなくても聞こえる」

「まあまあ、輝夜。アリーゼにも悪意がある訳じゃないんだし……」

「アストレア様はアリーゼに少し甘いのです。リオンも何か……リオン?」

 

 輝夜は目の前に座る金髪のエルフに意見を求めようとするも、エルフの少女はどこか思いつめた表情をしていた。

 

「リオン。どうしたの?」

「……アストレア様。いえ、アルフィアのことについて思い出していて」

 

 その言葉に騒いでいたアリーゼと輝夜も静かになり、アルフィアについて思い出す。

 

 二年前、闇派閥との抗争で出てきたゼウス・ファミリアの暴食のザルドとヘラ・ファミリアの静寂のアルフィア。

 彼らは悪のように見えて悪ではなかった。他の闇派閥と違い建物の破壊は最小限で死者も出してはいなかった。

 

 そしてアストレア・ファミリア対アルフィアの対決でアルフィアは全く本気を出そうとはしなかった。

 疑問を抱いたアストレアは辛そうな顔をするアルフィアに何故そんな顔をするのか、問い質す。

 

 その問いにアルフィアは苦笑しながら「まさかあの子たちにここまで感化されるとはな」と一言置くと、真剣な表情でアストレアに頼み事をした。

 

「神アストレア、頼みがある」

「……何かしら?」

「ある村に私の息子たちがいる。その子たちの面倒を見てくれないか」

「息子? あなた子供を産んでたの!?」

「厳密には妹の子供だが、どうか頼めないか?」

「……わかったわ。必ず面倒を見るわ」

 

 少しの沈黙の後に願いを了承したアストレアに、アルフィアは満足そうに頷くと古びた教会の隠し部屋である地下にすこしだが、闇派閥の計画や資料があると言い残して息を引き取った。

 

 その後、アストレア率いるファミリアはアルフィアの遺してくれた資料をもとに闇派閥を壊滅させ、オラリオ暗黒期はとりあえず終了した。

 暗黒期終了から二年かけてオラリオの治安を守るために活動し終えたアストレアは、アルフィアの子供たちに会いにオラリオを出たのだ。

 

「いやー、まさかアルフィアの願いを叶えるのにまさか二年もかかちゃうなんてねー!」

「そうね。アルフィアの子供たちは大丈夫かしら?」

「大丈夫ですよ、アストレア様! だってアルフィアの子で男の子らしいですし、きっと読書とかして大人しく待ってますよ」

 

 楽しく談笑するアリーゼとアストレアに対して、リューの顔は憂いが晴れずにいた。

 

「リオン。まさか、私たちはアルフィアの子供たちに合わせる顔がないと思っているのか」

「え、えぇ。その子供たちにとって私たちは親の仇のはずです。ですから――――」

「おい、頑固者エルフ!」

「だ、誰が頑固者エルフですか!?」

「お前のことだ。今更そんなことを言っても仕方がないだろう。アルフィアの資料のおかげとはいえ、あの時のあいつは間違いなく悪で、やらなければより被害が出ていた」

 

 確かに輝夜の言う通りであった。

 戦わなければ自分が殺される。もしかしたら今以上の被害が出てアストレア・ファミリアは闇派閥の罠で壊滅していたかもしれないほど、二年前の戦いは激しかったのだ。

 

 そうだと頭では理解できてもリューの心は全てを割り切れるほど大人ではなかった。

 だから次第に話は喧嘩腰になり、売り言葉に買い言葉で段々とヒートアップしていった。

 

 そんな話をしながら、目的の村に到着したアストレアたちは近くにいた村人に子供たちの住んでいる家を教えてもらいに話しかけた。

 

「すいません」

「はい……女神様?」

「はい、私は神アストレア。すいませんが道を尋ねたいのですが?」

「わ、私でよろしければ……」

「ありがとうございます。えっと、アルフィアさんのお宅を知りませんか?」

 

 アストレアの質問に女神相手に緊張気味に話していた村人の顔色は悪くなり、恐る恐る尋ねた。

 

「女神様たちは、あの子たちに何をするの?」

「私たちはアルフィアに頼まれたの! 子供たちをよろしくって!」

 

 アストレアの代わりに答えたアリーゼは村人に安心感を与えるためか、元気よく答える。

 それに対して村人は更に気まずそうにしながら口を開いた。

 

「私たち村の人間はそこまでアルフィアさんと関係はなっかたのだけど、あの子たちにとってアルフィアさんとザルドさんはとても大切な人たちだったの。だけど二年前、二人が消えてあの子たち、厳密には弟さんの方は……」

「弟のほうは?」

「……ずっと待ってるの、この二年間ずっとアルフィアさんたちの帰りを玄関の前で泣きながら」

「二年間!? 二年間もずっと待ってるのですか!?」

 

 村人の話に驚きを隠せない三人と一柱。

 すると輝夜の中で一つの疑問が生まれた。

 

「では兄の方は? 兄の方は変わってはないのですか?」

「……分からないわ」

「わからない?」

「お兄さんの方は、アルフィアさんたちが居なくなったその日に出て行ったそうなの。村のみんな総で探したけど見つからなくて……」

「そんな……」

 

 アリーゼは先ほどまで馬車の中でアルフィアの子供なら大丈夫だと言っていた自分を殴ってやりたいという衝動に駆られる。

 他のみんなももっと早く来ていればと後悔しだす。

 

 とりあえず弟の方だけでも会いに行こうと、村人にお礼を行ったアストレアたちは子供がいる家へと足を運んだ。

 

 その家は麦畑の先にあり、五人で済むにはちょうどよさそうな一軒家だった。

 そして、その家の玄関前に例の子は居た。

 

 白い髪は乱雑に伸びて紅の瞳には光はともっていない。頬は瘦せこけ涙の跡が見て取れる。

 

 その姿を見たアストレアは思わず走り寄ってその少年を強く、強く抱きしめた。

 

「お義母さんからあなたたち兄弟を頼まれたの……それと、遅くなってしまって本当にごめんなさい……」

 




★名前
・ベル・クラネル

★所属
・無所属→アストレア・ファミリア

★ステータス&スキル
 現在はレベルは1。

家族を探し、愛する者(ファミリア・シーカー)
 レベル応じて家族の居場所を特定できる。
 レベルに応じて家族にステータスアップ微付与。
 家族が近くに居ればステータスアップ&微早熟する。

★魔法
・サタナス・ヴェーリオン
 詠唱:【福音(ゴスペル)
 音による不可視の攻撃
 スペルキー:【炸響(ルギオ)
 その場に残っている音の魔力を起爆

★武器
・無し

★詳細
・家族を失い闇落ち寸前の原作主人公君。義母とお兄ちゃん大好きっ子でよく二人に甘えていた。
・アストレアたちが来てからは少しずつだが、回復に向かっている。

四大天司の使徒登場はあり無し?

  • あり
  • なし
  • それより他キャラを出してくれ!
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