モンスターハンター~我が往くは終わり無き滅びとの闘争なりて 作:踊り虫
そしてまた中途半端です。次回こそ動きますのでどうかお待ちを(ガクブルガクブル)
話を切り出したのはディードだった。
「さて、まず誰が話すか、だけど。俺の場合釈放されるまで軟禁状態だったから、それ以降のことしか話せないと思う。デンホルムさんは?」
ディードの問いにデンホルムは一度顎に手を当て、
「確か……我々騎士団は、
そんな流れであれば、視線はおいらに集まる訳で、特に姫さんは期待の眼差しを向けてくる。
「と、なると、おいらの話が最初かぁ……けど、さっき言ったようにおいらはただ、妙に多い痕跡の調査を同期三人と一緒にやったってぐらいなんだよ。結局、
そう言いつつ
◇◇◇
――6年前、フィブル
フィブルの近域は南側に採石場となる岩山(過去の地殻変動で隆起したものだとか)がある以外は平野帯が続いており、平原の中に所々林が散見され、規模は小さいが川も流れている。アブノトスやケルビといった小型のモンスターたちにとっては住みやすい土地で、林の周辺や川辺に群れで行動している。
そして少し遠くに見える丘陵地帯では大型モンスターの多くが住処としていて、小型モンスターを捕食するために時折降りてくるらしい。
それがここフィブルを取り巻く自然の姿だ。
オレたち四人は商隊の護衛依頼の後、数日滞在するという商隊に別れを告げ、ここの大型モンスターの痕跡探しの依頼を受注、探索を行っていたのだが……キャンプに戻ってきたオレたちは、
「見つけたか?」
「見つかりませんわ……」
「こっちも見つけてないです」
「……ない」
全員、全くの成果なし、であった。
街の受付け嬢曰く、四ヶ月前にこの街の近域で見られなかった筈の
ポーチから携帯食料を取り出して口の中に放り込んでから、報告を始める。
とはいえ
「一応言っておくと、オレは丘陵地帯に行ってた。丘陵地帯は平和その物で、結構な数のアブノトスがのんびり歩いててちょっと癒されてた……何人かのハンターとすれ違ったから声を掛けてみたけど痕跡は見てないそうだ」
そう言って肩を竦めて見せる。正に無駄骨という状態だった。
だが、オレの言葉に反応したのは180cmというこの中でも最も背の高い少女であった。
「そういうことでしたら
その身に纏うは
――クリスティアーネ・ゼークト。
フラヒヤ山脈の近くに領土を持つ大貴族、ゼークト家の令嬢。民を守る力を求めてハンターになった少女。同期たちの間ではクリスという愛称で呼ばれる大人顔負けの膂力を誇る大剣使いだ。
とはいえ、箱入り娘で世間知らずな部分もあり、気の良い同期の面々で助けていたこともある。
「と言ってもこちらも全くの無収穫でしたの。あれだけ広々とした平原なら、空を飛ぶ飛竜種の影ぐらいは見えるかと思い双眼鏡片手に見張っていたのですけど……」
宛てが外れましたわ、とクリスは肩を竦めた。
確かにこの環境下で小型モンスターを餌とする飛竜種や鳥竜種が飛んでいないのは珍しい。
「何か気付いたことはあるか?」
「そうですわね……そういえばアプトノスの群れの規模が大きくなっていたように思いますわ。視認したもので群れが7……いえ8は居ましたわね」
「そんなにいたのか」
「ええ、私の目の届かない場所にもいたでしょうから実態は更に多いかと。間引きをするために狩猟を行うハンターの一団の姿もお見かけしましたわ」
ふと、集会所の掲示板に珍しくアプノトスの狩猟および生肉の納品依頼が複数張り出されていたのを思い出した。数が増えすぎているという証拠だ。
大型モンスターがここ最近現れていないのは間違いないか。
「出来ればもっと良い情報をお伝えできればよかったのですけれど、
クリスはそう言って報告を締めくくり、残りの二人へと話を促した。
残りの二人は互いに顔を見合わせると、そのまま流れるように
「では、次は
と、
――ベレッタ・ナインツ。
同期の中でもモンスターに対し並々ならぬ感情を向ける弓使いの少女。
出会ったばかりの頃は同期たちの中でも必要最低限の事務的な会話しかせず、周囲に心を閉ざしていた上、焦燥感を滲ませる様子も見てきた。
訓練を通じてオレたち同期組とも多少は無駄話もするようになり、普通の女の子としての姿も見せられるようになったので、同期一同、とても安心してたりする。
「私もお姉様と同じで目覚しい収穫はありません。丘陵の麓は平和そのものでした。ただ、群れからはぐれたのかアブノトスが平原側から丘陵へと登って行く姿を目にしました。おそらくお姉様の話していたハンターたちの影響で逃げ込んでいるのではないかと」
「どおりで彼方此方でアプノトスを見る訳だ……」
丘陵で見たアプノトスの群れを思い出す。そういえば小さな個体が多かった。大きな個体を狩られて逃げ込んできていたのか。
「ですがそれ以上の情報はありません……他のハンターの方を見かけはしましたが、関わらないようにしていましたから……」
「仕方ありませんわ。女だからと不躾な視線を向けてくる方は少なくありませんもの」
顔を俯かせるベレッタと悩ましげに溜め息を漏らすクリス。
今では女ハンターというのも珍しくないのだがそれでも女だからと侮る人は少なくない。
しかしそれ以上に問題なのは――
「まぁ女だから、というよりもオレたちが子供だから侮られてるって方が正しいんだろうけど」
そしてもう一人は場所によっては成人扱いされる15歳なのだが……外見だけで言えばここにいる四人の中で一番幼い。
当の本人はちらりと横目で窺うと、目が合い、そして
「……何?」
と首を傾げながら、か細くもしっかりと耳に残る声で訊ねてくるだけだった。
年齢を考慮してもなお小柄――しかし身に纏うは
――ユナ。
その小柄な体格と俊敏さを活かし、敵の懐に潜り込むことに長けた双剣使いの少女。
妖艶な装束と顔の上半分を覆うヴェールの下から時折覗く円らな赤い瞳に普段の寡黙さが実に神秘的。成長したら傾国の美女になりそう……成長したら、とは同期の男連中だけで集まった時に始まったちょっとしたバカ話の中での評価である。
「いや、ユナはどこを探索してきたのかと思って」
「……」
ユナはオレの問いにポーチをごそごそと漁ると地図を取り出してテーブルの上に広げた――これはフィブル周辺の地図か。
「ここ……」
そう言って彼女が指差したのは、街の南側にある採掘場だ。地殻変動で出来たという岩山からは煉瓦の元である粘土や頁岩に加えて、坑道内ではハンターたちにとってお馴染みの鉱物や「お守り」も掘れるため、専任の従事者だけでなく鉱石目当てで採集のクエストを受けるというハンターは少なくない。
そしてユナは言う。
「
「……行ける、場所、ですか?」
ベレッタの問いにユナは頷くと、もう一枚の地図を取り出した。
これは、坑道の見取り図だろうか? 枝分かれした道の先に×印が付けられ、その先が書かれていない。
「危険区域」
「……崩落の危険でもあるのでしょうか?」
「だからお頭って人に明日入らせて欲しいって言ったら……」
ユナはそこで口を噤み顔を顰めさせた。
「……言ったら?」
「小さい女子は入れられん……って」
「「「……」」」
彼女がか細い声で吐き捨てたのを見て、オレたち三人は目配せした。
ユナは15歳でオレたちの中では一つ上の年長者だが、傍目には童女にしか見えないのは事実だが、彼女はそのことに劣等感を覚えている。同期の中でも背の高い女性陣に羨望の目を向けていることも少なくなかった。
なお、彼女の小柄さをバカにしてはいけない。訓練所の先輩方をモンスター顔負けの迫力と巧みな格闘術でボッコボコにして舎弟にしてしまった話は今でも語り草だ。
本人はその話を聞くと「いっそ殺せ」と言わんばかりに悶えるので、劣等感を刺激する話含め出来るだけ話題に挙げないようにしていたりする。
要するに、彼女は現在、不機嫌、という訳で、ここで慰めればいいのか、と言われるとそれは違う。オレたちが慰めを言っても、ただ嫌味になるだけだ。
こういう時、シンが居たら考えなしに何かを言って、被害を一手に引き受けながら彼女を発散させてくれるのだが、残念ながらあれはシンという頑丈で考えなしで裏表の無い人物だからこそ出来ることであって、オレに出来ることじゃない。
オレに出来るのは
「とりあえずそのことはギルドに報告して探索許可を貰うとするか」
「そうですね。それにしても採掘場は人の出入りが激しいので大丈夫と考えていましたが、立ち入り禁止区域があるというのは盲点でした」
「ええ……ユナさん、明日こそリベンジ! ですわ!」
「……」
ユナは言葉を口にしなかったが、こくり、と頷いて見せた。
――その翌日のこと。
「許可、出来ない、ですか……」
残念そうにするクリスに対し、受付け嬢は申し訳無さそうに続けた。
「皆様がこれまでに挙げた成果についても吟味させていただきました。駆け出しとは思えない素晴らしい貢献をしておられましたが、有望な人材を崩落する可能性の高い場所に放り込んだとなれば当ギルドの責任問題になりかねない、というのがギルドマスターの見解でして……」
「それは考えすぎでは……」
「それだけ危険な場所、ということです。半年前に崩落事故があって、ハンターが二人犠牲になったばかりで……」
「封鎖は……出来ないか」
はい、とアダイトの問いに受付け嬢は答えた。
採掘資源はこの街の財源と言って良い。鉱石自体の価値もそうだが、それを加工してつくられる彫像や細工、画家の用いる絵の具の染料などの用途もある。この街に職人が集るのはそうした材料の入手が容易で安価だからだ。
故に、採掘場を封鎖した場合、フィブルの街のみならず公国が被る経済的な被害は凄まじい。故に、危険な箇所は封鎖する形で続けているのだろう。
それでクリスも一応の納得はしたようで、彼女から受付け嬢に一つ問いを投げた。
「採掘場の探索はどなたが?」
「こちらで信頼の置ける人物に探索を依頼することになっています――」
そこで受付け嬢は言葉を区切ると、周りを見て、自分たちが注目されていないことを確認してから手招きしてきた。近づけ、ということらしい。
ふてくされて頬を膨らませているユナを引っ張って受付け嬢の傍に寄ると、彼女は声を潜めて、このように続けた。
「――聞いて驚かないでくださいね? 実は痕跡の捜索のためにG級ハンターさんが来ていて、その方が受けてくださいました」
「「「――!?」」」
G級。その由来こそ不明だが、オレたちハンターの中でも最上位。大陸全土でも一握りしか居ないとされる人を超えた者たちに、ギルドから与えられる称号。
まさかそんなすごい人が探索を請け負ってくれるとは……いや、まて、言い換えるとそれだけ探索は危険だったということか?
「そういう訳ですから、坑道の危険区域への立ち入りは――あ、噂をすれば……戻ってきたようですよ?」
そう言って受付嬢が指差した先を見て、そして気圧された。
――集会所の入り口に、禍々しい黒い鎧を纏った男が立っていたのだ。
男は無言のままこちらへと歩み寄ってくる。その一歩一歩が重さを伴ってオレたちを気圧した
ごくり、と息を呑む。
ハンターの行き着く先。それをただ見ただけで理解させられる存在。これが、G級か。
それにしても、見たことの無い防具だ。全身を覆っているのは角? いや、まさか鱗……逆鱗か? どれだけ狩ればあれだけ集められるというのか。背に負う大剣もまた禍々しくもとんでもない代物であることは一目でわかった。
そんな男に気圧されて受付け嬢の前から離れると、彼は不思議そうにオレたちを見ながら、受付け嬢の前に立って羊皮紙と二枚の竜鱗を取り出してこう言った。
「これを持って議場に居る連中に伝えな。『坑道奥に
◇◇◇
「と、そんな話をすぐ傍で聞いたぐらいだな。でその後で
「十分関わってるじゃないですか……本当なら感謝状と共に褒美を送る働きですよ?」
そのように姫さんは言うが、肩を竦め、否定する。
四人一緒に動いていたならオレたちも受け取っただろうが、実際は各々別れての探索だったのだ。これでオレたちまで貰うのは詐欺とそう変わらないだろう。
そう告げると、流石の姫さんも少し不満げでこそあったが納得してくれたようだった。
「そういう訳だから、おいらたちとディードが合流してからの話で良いんじゃないか?」
「そうか……じゃあ、そうするか」
ディードが頷き、そして口を開く。
「俺がアダイト達に会ったのは――」
◇◇◇
――本当に、偶然だった。
釈放されたあとで
街にはすでに騎士団も到着していて、ギルドには騎士団の団長にギルドマスター。そして痕跡の発見者だったG級ハンターと龍歴院の学士を中心として
「……もしや、ディード様?」
「……クリス?」
声を掛けてきたのは街中を一人で歩くクリスティアーネだった。
「カムラの里以来だから二ヶ月か……こんな場所で会うとは思って無かったよ」
「それはこちらの――いえ、ディード様の生まれのグラナ王国は隣国でしたわね……私は商隊の護衛でこの街に来ましたの。アダイト様とベレッタ様、そしてユナ様も一緒ですわ」
「それはまた珍しいね……その三人は?」
「三人は探索に出ていますわ。そして私はこれを受け取りに」
そう言って彼女は背中の大剣を示した。これはバルバロイブレイドか……
確か
「懐かしいな。ヤクライさんの助言で作った大剣か」
「ええ、少々本人証明の手続きで手間取ったので今日は別行動しておりましたの。ディード様は?」
「俺は――
――クリスは俺の件に無関係だったから、余計な心配をさせないように嘘を吐いたんだ。
事実、クリスは「立派な志」って褒めてくれたよ。
ああ、その通りだアダイト。俺が浮かない顔をしていたって言うなら、それが理由だな。
「でしたら私たちと同じ宿に行きませんこと? ちょうど空きもありますわ!」
「そうなのか? じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ。ありがとうクリス」
「いえいえ、困った時はお互い様ですもの」
そうして俺はアダイトたちと合流して、そのまま一緒に行動するようになった。本当に助かったよ。
けど、そんなある日、俺たちは
・男連中のバカ話。
訓練生時代に同期の男たちだけで始めた酒盛りにて出てきた話。始まりはシン。酒盛りをしている中で、「男連中だけで話すんならこれやろ!と出してきた話題。
ノリとしては「クラスの女の子で誰が一番可愛いと思う?」みたいな物。
なお、詳しい内容はここでは割愛するが、同期の女性陣のここがいいあれがいいという話から始まって、惚気話に発展したり、筋肉の良さを力説し始めたり、武術の演舞が披露されたり、みんなで歌いだしたり、なんてことをしたらしい。
なお、この世界における飲酒制限については触れないが……翌日は阿鼻叫喚だったとか。
・G級ハンター
こちらで設定したベルデ村のG級ハンター。
装備はEXエスカドラシリーズ。つまり煌黒龍ことアルバトリオンの討伐経験者としています。
なお、アルバトリオンの存在はW:I時点ですら「全ての属性操ってくるとか、そんなバケモン居るわけネェだろ」という意見がまかり通って資料の大半が焚書されていたとかいう話なので、アダイトの反応は単純にアルバトリオンを知らないからこその物です。
・ユナの報告
実はすんごい大手柄。フィブル支部側は「人が多く居るのに目撃情報が出てないから」と見落としており、上述のG級ハンターにより危険区域の奥から採掘場裏にある森林まで続く洞になっていたことが確認された。
裏手は蔦や茂みで隠されており、そこが
更に付け加えると崩落も起きたらしく、G級ハンターじゃなければ死んでいたかもしれない。
その後「ディードがそこで
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モンハン4のOPが元ネタ。