本当の君の名は2198   作:とも2199

14 / 18
宇宙戦艦ヤマト2199を元にした二次創作小説です。


(14) あつまれ! 浮遊惑星

 その後――。

 

 まさに戦端を開かんとするドメル艦隊とゲール艦隊が対峙する空間に、シュルツ艦隊はワープアウトした。

「皆聞いて。戦闘を直ちに止めて」

 シュルツに憑依するのを止め、自分の身体に戻ったユリーシャは、全艦隊に向けて通信で呼び掛けた。

「何? こんな時に誰の船だ!? こちらも通信を繋げ!」

 ドメルは、通信士に即座に命じると、双方の通信が繋がった。立体映像で、ユリーシャの姿が映った。少し遅れて、ゲールも同様に立体映像で現れた。

「誰だ! わしの邪魔をするのは!」

 ユリーシャは、ウィンクをしている。

「私の話を聞いてくれてありがとう、皆。大事なお話があるの」

「お前は……イスカンダル……だと!?」

 ゲールだけではなく、ドメルも困惑を隠せなかった。

「あなたは……。イスカンダルの第三皇女、ユリーシャ様ですよね?」

 ドメルの艦に同乗していたサーシャは、ドメルの脇から顔を出すと妹の姿に目を丸くした。

「あら、あなた、地球に行ったはずじゃ無い。どうして、こんな所にいるの?」

 ユリーシャは、自信たっぷりに、大きく頷いた。

「そう。私は、地球に行っていた。でも、ある問題が起きて、ここへやって来た。今、何が起きているのか、みんなに説明しようと思う」

 呆気にとられる一同を尻目に、ユリーシャはこれまで起こったことを、掻い摘んで伝え、更にはデスラーとタランの身に起きた事実を、丁寧に伝えた。

「……ってことなの。分かったかな、みんな?」

 ユリーシャは、少し楽しそうに笑顔を振りまいている。

「テロン人と」

「総統が」

「「入れ替わってる!?」」

 ドメルとゲールは、何故かハモってしまい、互いにバツの悪そうな顔をしている。

 サーシャは、目を細めてユリーシャの方を睨んだ。

「かなり面倒なことになっているのに……。ユリーシャ、あなた随分楽しそうじゃない?」

 ユリーシャは、一瞬黙ったが、何か思い出した様にケラケラと笑い出した。

「だって……お姉さま、本当に面白かったんだから。面白いから、ずうっと黙っていたらどうなるのか、見守っていたの」

 サーシャは、表情を変えずにぼそっと言った。

「……悪趣味なんだから」

「お姉さま? 何か言った?」 

「いいえ、何でもないわ」

 ドメルは、咳払いをすると、発言した。

「で、ユリーシャ様。その入れ替わった本物の総統は、今どちらに?」

 ユリーシャは、嬉しそうに立体映像の外に手招きした。そして、立体映像でもう一人の人物が現れた。白髪と髭が特徴的な、初老の男だった。

「じゃん! この人こそが、大ガミラス帝星総統、アベルト・デスラーさん!」

 デスラーは、いつものように前髪を弄ろうとしたが、白髪になって少々ゴワゴワした髪に手が触れて、その仕草を諦めた。

「いかにも。私がデスラーだ。こんな姿になってしまっているがね」

 ゲールは、途端に大きな声で怒鳴った。

「たっ、ただのジジイではないか! わしは騙されんぞ!」

 ドメルは、暫し思考を巡らせ、デスラーと名乗る男に質問をした。

「ユリーシャ様が仰る事ですから、私も信じたいと思っています。ですから、大変恐縮ですが、いくつか質問をさせてください」

「構わないよ」

 ドメルは、少し思案して、最初の質問をした。

「我々の艦隊全体の指揮官の名は?」

「ガル・ディッツくんだね」

「ガミラス星の周回軌道にある巨大な要塞。その名は?」

「第二バレラス、のことかな」

「最後に……。あなたにとって、イスカンダルの女王とは、どのような人物ですか?」

 デスラーは、ドメルがそんな質問をするとは思わず、少し微笑んだ。

「……スターシャは、私にとって最も大切な……古い友人だよ」

 ドメルは、デスラーと目を合わせて、暫し見つめ合った。そして、瞳を閉じると、ゆっくりした動作でガミラス式敬礼をした。

「総統。大変失礼な質問をしたこと、お詫び申し上げます」

 ゲールは、今のやり取りを聞いて、確かに総統だと確信していたが、先程ただのジジイと呼んだ手前、どう取り繕うか慌てていた。

「で? ゲール少将。あなたはどうなんだ?」

 ドメルに睨まれたゲールは、憤慨して言った。

「ばっ、馬鹿な。わしは、総統に忠誠を誓った身。最初から、そんなことは分かっていたわ!」

 ドメルは、微笑んでデスラーと再び目を合わせた。

「総統。では、ご命令を」

 デスラーは、満足そうに頷いた。

「まずは私の身体を取り戻す。現在、近傍の浮遊惑星上に、セレステラとミレーネルが連れて行ったものと推測している。直ちにその浮遊惑星へと向かう! 全艦発進」

 シュルツとガンツは、顔を見合わせて困惑をしていた。

「で、では、本当だったのか?」

「じゃあ、奴らも、本当にテロン人ってことですね」

 守と土方は、一時的とはいえ、共闘することになったガミラス側の面々を見回した。

「土方さん。彼らの身体が元に戻ってしまえば、途端に我々の身の安全は保証されなくなるでしょう」

「わかっている。デスラーと名乗るあの男と、交渉が必要だ」

 ユリーシャは、話し合いが終わり、守のそばにやって来た。

「コダイ。大丈夫。私が何とかするから」

「ユリーシャ……」

「ユキがいる限り、私は地球の人たちの味方」

 土方は、どうして雪にこの娘が執着しているのか、理由がよく分からなかった。確かに、偶然にも顔が瓜二つなのは間違いないが、そんな理由なのだろうか?

 

 浮遊惑星に移動する途中、沖田=デスラーは、ユリーシャと土方と守、そしてゼーリック=セレステラと共に、ドメルとサーシャと通信で会話をした。

「私が居ない間に、何があったのかね? どうして、サーシャ様がこんな辺境に?」

 サーシャは、これまでに起こったことを、一通り話した。

「なるほど。セレステラは、私を元に戻そうと動いてくれていたのだね」

 セレステラは、優しく微笑むデスラー ――白髪の初老の男というのは、一時考えないようにしていた―― に目を潤ませた。だが、デスラーの方は、どうしてもゼーリックの姿の違和感が拭えず、話す度に嫌悪感が襲っていた。

 サーシャは、大切なことを思い出していた。

「その時、イスカンダルの宮殿で、オキタは、デスラー総統としてスターシャ姉様と約束したの。戦いを止めると。手始めに、地球の救済に赴くと。そうしたら、お姉様は、たいそうお喜びでした。長い間、このことを、気に病んでいましたからね」

 デスラーは、その話にはたと気がついた。

「スターシャが。私が、戦いを止めると言ったら、そんなに喜んでいたのかね?」

 サーシャは頷いた。

「お姉様は、涙を流して嬉しそうにしてましたわ。ずっと、辛かったんだと思いますよ?」

 デスラーは考え込んだ。今更、戦いを止めるなどありえない。やめれば、途端にマゼラン銀河の星々は反乱を起こし、ガミラスやイスカンダルへも牙を向けるかも知れない。もはや、戦いを止めることは自殺行為だ。

 スターシャ……!

 あともう少しで、マゼラン銀河は、ガミラスの支配が完了しそうな所まで来ている。今、止めるわけには行かない。私は、スターシャの為に、平和をもたらす為に、やっているのだから。

 デスラーが黙り込んでしまったので、サーシャは、土方と守にも話し掛けた。

「地球の皆さん。デスラー総統となってしまったオキタと、タラン国防相と入れ替わったトウドウは、スターシャ女王にお願いをして、あなた方が今必要としている、コスモリバースシステムを手に入れて、このバラン星まで持ってきています。この問題が解決したら、それを地球まで持ち帰るといいでしょう」

 土方と守は、目を丸くした。

「な、なんだって?」

「沖田が、そんなことを?」

 ドメルは、感心したように話した。

「総統は勿論だが、あなた方テロンのオキタにしても、人格が入れ替わるという特殊な状況にもかかわらず、やるべきことをやって、ここへ辿り着いていたとはね。かなり優秀な人物だとお見受けするが」

 土方は、デスラーの姿をちらと眺めてから回答した。

「ああ。今の地球の国連宇宙軍では、最も優秀な指揮官の一人だ」

 ドメルは、微笑んだ。

「なるほど。テロンとは敵同士ではあるが、出来れば戦わずに済めば良いと思っている。私も、無意味な血は流したく無いのでね。しかし、総統の命令とあらば、全力で戦う事になるだろう」

 土方は、驚きを持って、敵の将官の話に聞き入った。

 沖田や、自身と同じように、彼もまたまごうこと無き武人だった。それも、話の通じない宇宙人ではなく、思考回路がほぼ同じ、彼らもまた、人類と何ら変わらなかったのだ。

 土方は、その事実を知り、この戦争の意味に思いを巡らせた。

 

 アケーリアス文明の遺跡――。

 

 先程から、デスラーの姿をした沖田と、セレステラの姿をしたゼーリックは、抱き合ったまましばらく動かずにいた。

 どうしたものかと考えていたミレーネルは、腰にぶら下げていた自身の端末が反応して、振動するのに気がついた。

「何?」

 端末を確認すると、レーダーチャートに、この浮遊惑星上を囲むように、百隻近い艦隊が集結しているのを知った。艦隊の識別信号から察するに、ゲール艦隊、それにドメル艦隊がいるようである。

「どうした」

 顔を上げたセレステラ=ゼーリックは、彼女の反応から、何か起きたことをさとっていた。

「艦隊が集結しているわ。ここにいることがバレたみたい。おそらく、総統を探して、すぐにここへ兵士たちが雪崩込んでくるわ」

 ゼーリックは、抱きしめられていたデスラーの身体から無理やり離れた。

「くそう。万事休すか。総統の命を頂戴することも叶わず……」

 ゼーリックは、はっと気がついた。

「ならば一時的に身を隠すべき〜か。な〜にしろ、元の身体に戻れば、拘束されたまま、死刑になるだろ〜うからな」

 セレステラ=ゼーリックは、立ち上がると、ミレーネルに体当たりした。倒れるミレーネルを確認し、その洞窟のような部屋から大急ぎで走り去って行った。

 後に残された沖田は、ミレーネルを助け起こそうと立ち上がった。

「君も、大人しくして、諦めた方がいい。デスラー総統という男は、君らにとって恩人なのだろう? ちゃんと相談してみるがいい。決して、悪いようにはしないと、わしは思うがね」

 沖田の言葉に、ミレーネルは唸った。

 彼女は、こんなに早く、所在がバレるとは考えていなかった。確かに、万事休すであり、彼の言うことはもっとだった。しかし、セレステラの身体をあの男に奪われたことは、彼女にとって大きな失敗だった。

「分かった。オキタ。でも、あいつを捕まえるのに協力して」

「勿論だ。セレステラは、わしらのことを助けてくれようとしたのは間違いないからな」

 二人は、ゼーリックの後を追って、洞窟のような部屋から出て行った。

 

 浮遊惑星の地上――。

 

 セレステラ=ゼーリックは、宇宙服に身を包み、地下の空間から地上へ走り出た。目前に沖田を連れて来た小型のガミラス偵察艦が見えて来た。

「あれに乗って、マゼラン銀河の辺境に身を隠し、機会を伺うしかない。吾輩としたことが情けない。だが、死刑などになってたまるものか」

 しかし、ゼーリックの願いも虚しく、衛星軌道から降りてきたと思われる複数の輸送機が、上空から迫って来ていた。

「も、もう降りてきただと?」

 慌てたゼーリックは、今出てきた遺跡に戻ろうと背後を振り返ると、そこには、ミレーネルとデスラー=沖田が走って向かって来るところであった。

「止まりなさい!」

 ミレーネルは、走りながら空に向けて発砲した。

 そうしている間にも、偵察艦の周囲に輸送機が次々と着陸し、ガミラス兵がゼーリックを取り囲んだ。

 そして、沖田のタックルを受けたゼーリックは、地面に転がって倒れた。

「くそう、くそう、くそう〜!」

 その場に座り込んだゼーリックは、悔しそうに地面を両腕で叩いた。沖田は、彼が逃げ出さないように、ミレーネルと共に、彼のそばに立ち、逃げ出さないように見張った。

 そんな彼らの前に、輸送機から降りてきた兵士たちに混じって、一人の男が、前に進み出た。宇宙服の宇宙帽から覗くその顔は、沖田がよく知る人物だった。

「お前のことは、よく知っておるぞ。沖田十三」

「やっと君に会えたね。アベルト・デスラー」

 

続く…




注)
・宇宙戦艦ヤマト2199を元にした二次創作小説です。一部、若干のキャラ崩壊がみられますが、予めご承知おき下さい。
・以前、私がPixivに投稿した「君の本当の名は」を元にし、これに大幅に加筆しています。
・pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。