後日談というか今回のオチというか筆者の感想というか。
・こんな駄文をここまで読んで頂きありがとうございました。
・感想、きちんと目を通させて頂いておりました。読むだけではなく、コメントまで残して頂き、感謝感激でございます。
・正直、途中途中で地の文が雑だったり、文章の構成とかが歪だったりと、読者の方々以前に自分としてモヤッとする感じが自覚出来てる状態での完結なので、なんとも言い難しというか。
・そんなわけで、読者の方も感じていた、そういう悪い所が出ているだろう箇所を、感想なのでコメントいただけると助かります
・悪い所というか、もうなんならちょっと気になった部分があればなんでも構いません。
・自分が感じているモヤモヤと読者の方々の感じるモヤモヤが違うのであれば「あらやだ私の価値観って社会とズレすぎぃ!」となって今後の創作に活かせますし、逆に感じるモヤモヤが同じであれば「あらやだ私の価値観って社会とシンクロしてるぅ!」となって、やはり今後の創作に活かせます。
・なので、本当にもう気が向いたらでいいので、ご指摘ご感想のコメント頂ければとてもとても嬉しく思います。
・……もちろん「ここが面白かった!」みたいな幸せすぎるコメントも頂ければ嬉しいですけども……w
では改めまして、ここまで貴重なお時間を使って頂き、本当にありがとうございました!
*以下、文字数埋めついでに以前書いた一話だけの番外編?みたいなものを載せときます。ちなみに今作との繋がりはありません。パラレルワールド!
「ーー誰が犯人なのか、多数決で決めます」
馬鹿げた発端から始まり、生々しい過程を経て収まりのつかなくなった泥沼の学級会。それを老倉育は最低な最期で締めくくろうとしていた。
犯人を探しだすという善意の行動は、一転して犯人を作り出すという悪意の所業にすり変わる。その結果はもちろんハッピーエンディングとはならない。当たり前だった。悪意に沿った手段で出された結論は、当然のように悪意によって染め上げられたものでしかないのだから。
『では次です』
『出席番号、六番』
『私ーー老倉育が犯人だと思う人』
『手を上げてください』
示し合わしたかのように上がる幾つもの手。 こうして正しさは作り上げられる。大勢の悪意によって。そうして僕は目を逸らした。正しさに絶望したから。見たくもないものから目を逸らし、僕の信じる正しさから目を逸らした。
だからーー見逃していた。
教室の隅。今まで一言も発言していなかったその男子生徒が、ただ一人だけ手を上げていなかった事を。
「……あー、ちょっと待った。結論が出た所で悪いけど俺から一つだけいいか?」
彼は言う。室内に渦巻く悪意をものともせず、むしろその空気をどこかあざ笑うような歪んだ笑みを浮かべたまま、
「俺は……こういう民主主義的な決め方が嫌いだ。反吐が出る。人は一人でなんでも決めれるはずのに、それを他人の手で勝手に決められるのは虫酸が走る。だからーー会議のやり直しを要求する」
『……はあ?なに言ってんだよ。犯人を多数決で決めるって言ったのは老倉自身じゃないか。当然、やり直しなんて容認できるわけねーだろ』
「いや、むしろその理由で容認できない道理が俺には解らねえよ。少なくとも俺は多数決に賛成してない。それはあいつが勝手に決めたことだ」
『ふざけないでよ。これ以上、なにを議論するっていうの?時間の無駄だわ。だって犯人はもう決まったんだから』
「いや、違う。犯人は老倉じゃない」
『はあ?』
かき乱す。かき乱れる。呆然と目を見開く老倉をよそに、気付けば団結された敵意はすでにその男子生徒へと対象を変えていた。
『……意味わかんねえ。いきなりなんなんだよ、あいつ。頭おかしいんじゃないのか?』『っていうか、彼、今まで議論には全然参加してなかったじゃん。それで今さら納得いかないって言われてもねー』『道理がどうとか言ってたけど、そういう自分が一番筋通ってないよな』
ひそひそとした陰口。堂々とした罵倒。誰しもが彼を嫌悪したような瞳で睨みつける。
けれど、それでも彼は平然としていた。平然とーー笑っていた。
「犯人は老倉じゃない。何故なら老倉は多数決で決められた犯人だからだ。だから、老倉は犯人じゃない。犯人は別に居る」
『……だからさ、その犯人が見つからなかったからみんなの意思で犯人を決めたんだろ。もういい加減にしろよ。場をかき乱すだけかき乱して、結局お前はなにがしたいんだよ』
「なにがしたいか?……はっ、そんなの決まってんだろ」
ーーそのお前らが言うみんなの意思とやらをただ粉々にしたいだけだよ。
笑う。嘲笑う。歪めた笑みは悪意をもって教室中の生徒を嘲笑していた。吐き気が込み上げてくる。気付いてしまった。これから彼がなにをしようとするのか。気付いてしまった。これから彼がなにを背負おうとするのか。
彼はーー
「犯人は老倉じゃない」
彼はーー悪意に悪意をもって、一人の人間を救おうとしたのだ。
「犯人は、俺だ」
比企谷、八幡。
それが彼の名前であるということを僕が知ったのは、比企谷が一週間の停学を言い渡された次の日のことだった。
「……お見舞い?」
羽川の問いかけに、僕は首を傾げた。
「お見舞いって、誰の?」
「だから比企谷くんのだよ。比企谷八幡くんの」
当然のように言う羽川。だが、僕はその言葉の意味を未だ図りかねていた。
というか。
「……比企谷って、もしかしてあの比企谷か?」
「んん?阿良々木くんの言う『あの』がどれを示しているのかはちょっと解らないけれど、うん、たぶん阿良々木くんが想像している通りの比企谷くんで合ってると思うよ。私達のクラスメイトで、今は長期欠席中の、あの比企谷八幡くんだよ」
「…………」
思わず、言葉に詰まってしまっていた。
まさか羽川の口から比企谷の名前が出てくるとは思ってもいなかったから。
ともあれ、こちらから聞いておいて無言になるというのもいささか罰が悪い。
生まれた動揺を隠すように浅く息を吸い、僕は再び羽川に言葉を向けた。
「……で、その比企谷くんのお見舞いと僕らが今向き合ってる文化祭の準備とでどんな関係があるんだよ?」
「関係大ありだよ。比企谷くん、なんでも交通事故に遭ったとかでまだ当分は学校に来れないみたいだから。文化祭でなにをしたいだとか、いつ頃からクラスに顔を出せるようになるのかとか。後は、休んでる最中の授業の進捗だって知っておかないとのちのち困ることになっちゃうでしょ?私達はもう三年生なんだし」
「そりゃあ……まあ、そうだけど」
つまり羽川は単純に委員長として比企谷を心配しているのだろう。
だからこそのお見舞い。羽川らしいといえば、まあ、羽川らしいといえる。
「そういう訳で、ある程度仕事が片付いたら比企谷くんのお見舞いに行きましょう。なにせ私は委員長で、阿良々木くんは副委員長なんだから。困った時は助け合わなきゃ」
「行きましょうって……え?もしかしてそのお見舞いには僕も同行するのか?」
「なに言ってるのよ、当たり前じゃない。それとも阿良々木くんはケガをして困っている同級生を見て見ぬフリするほど冷たい人間だったのかな?」
「う……いや、見て見ぬフリをしようとしたワケではないんだけれど……」
「なら、決まりだね。それになんだかんだ言いつつもちょっとは心配だったりするんじゃないの?たしか比企谷くんと阿良々木くんって一年、二年、三年とずっと同じクラスだったよね?」
「……お前はなんでも知ってるな」
「なんでもは知らないわよ。知ってることだけ」
こうして、放課後の教室で行われた僕達の会話は羽川の決まり文句を最期に終了した。
その、一時間後。
「ーーあった。ここみたいだね」
「…………」
比企谷。
そう書かれた表札の前で僕と羽川は目前の一戸建てを見上げていた。
「……なあ、今さら聞くのもはばかれるんだけどさ。ここって病院じゃなくて比企谷の自宅だよな?たしか僕がお前から聞いた限りでは比企谷が事故に巻き込まれて病院に入院してるって話だったんだが」
「うん。おおよそ間違ってはいないかな。でも、ちょうど昨日退院したばかりらしくてね。まだ絶対安静だけど、家の中で活動するぐらいには回復したって事みたい」
言いながら羽川はチャイムを押す。少しして、扉の向こう側からドタバタとした足音が聞こえてきた。扉が開く。そこから出てきたのは僕の妹達と同い年くらいの女の子だった。
「はいはいー……へ?えっと、どちら様ですか?」
「はじめまして、こんにちは。私は比企谷八幡くんの同級生でクラス委員長も務めています羽川翼といいます。それでこっちがーー」
「……僕は阿良々木、暦。同じく比企谷の同級生で、副委員長だ」
「はあ。委員長さんと副委員長さん……?」
状況が理解出来ていないように女の子は首を傾げていた。
僕は羽川に目配せを向ける。彼女は小さく頷いて、
「実は担任の先生から比企谷くんが先日退院されたということを聞いて、それでクラスを代表して比企谷くんのお見舞いに来ました。あ、これはお見舞いの品です。よかったらどうぞ」
「ああ、これはこれは親切にどうも。へえ、お兄ちゃんのお見舞いですかぁ……って、お見舞い!?」
何故か驚愕するように女の子は目を見開いていた。
そしてアワアワと慌てふためきながら家の奥へと走って行き、玄関にいる僕らにも聞こえるような声で、
「お兄ちゃーん!!おきゃ、お客さんだよお客さん!お兄ちゃんにお客さんー!」
「はあ?お客さんって誰だよ。つーか声デケえよ」
「だーかーら、お客さんはクラス委員長でお見舞いなんだって!なんかもうスゴイよ!老倉さんとはまた違う意味で綺麗な女の人だよ!私史上最強の眼鏡美人だよ!」
「いや、更に意味わかんなくなってるからな。っていうか痛ッ!!おま、ギプスの上から離れろ!」
騒然とする家中。
もしかしなくても僕らの来訪が原因であることは明白だった。
「……なんか、意外と元気そうだね、比企谷くん」
「……みたいだな」
それから少しして。
「やー、やー、お騒がせしてすみませんでした。兄にお客さんが来るなんて滅多にないのでちょっと慌てちゃいまして」
「いえ、こちらこそ何の連絡もせずにいきなりお伺いしてごめんなさい」
「いやいやいや、なにをおっしゃりますか!兄に対してそんな遠慮は全くもって無用ですから、はい。あっ、それよりもどうぞ狭い家ですが上がってください」
「ありがとうございます。それじゃあ、お言葉に甘えて」
女の子ーー恐らく比企谷の妹なんだろうーーに促されるまま敷居をまたぎ、リビングに案内される。そしてこれまた促されるように椅子を勧められ、丁寧にも緑茶とお茶菓子まで出された所で、
「あっ、お兄ちゃん来るの遅い!ほらほら、もうお客さん達待ってるよ」
「…………」
ガチャリ、と蝶番が軋む音に続いて『彼』が現れた。
右腕に松葉杖を、右脚に白いギプスをはめた比企谷はお世辞にも覇気があるとはいえないその瞳で僕と羽川を交互に見比べる。
そしてポツリと。
「あー……悪い。待たせたか?」
比企谷はどこか罰が悪そうに視線を明後日の方向へと向けていた。
羽川はそんな比企谷に笑みを向けながら静かに立ち上がり、なめらかな動作で頭を下げる。
「こんにちは。お久しぶり、比企谷くん。怪我の調子はどう?」
「……まあ特に問題はない。少なくとも、もう痛みも無いしな」
「そうなんだ。うん、よかった。順調なようでなによりだね。それと、これは休んでいた授業の分の板書。ちょっと量が多いけれど、要点はまとめておいたから」
ショルダーバッグから出されたノートの数々。比企谷は面食らったように無言の驚きを見せていた。おそらく僕も似たようなものだろう。
ーーさすがは委員長の中の委員長。どうやら僕が思っていた以上に羽川は委員長だったようだ。
「ん?ひょっとして余計なお世話だったりしたかな?」
「……いや、助かる。こういうのは誰にも頼めなかったからな」
「うわっ、出たお兄ちゃんのボッチ発言。っていうかそんなこと言いながらもいつも老倉さんに助けられてるクセに。ホント、お兄ちゃんはツンデレさんなんだから」
「おまっ、余計なことを……!!」
「老倉さん?老倉さんって隣のクラスの?」
羽川が尋ねる。
比企谷は言いたくなさそうに渋い表情を浮かべていたが、代わりとばかりに彼の妹が嬉々として話し始めた。
「はいっ、そうなんですよー!お兄ちゃんったら一年の時からずーっと老倉さんにはお世話になりっぱなしで。もう私からしてみたら義理の姉というか、将来の姉というか。じつは老倉さん昨日も来てくれてたんですよ?退院するお兄ちゃんに連れ添って歩く姿なんてもうアツアツでーーあ」
視線が突き刺さる。比企谷は学校では見たことがないくらい剣呑な表情を浮かべていた。その異変を察知したのか、女の子は乾いた笑いを浮かべ「は、ははは。小町ちょっと用事思い出しちゃった」退散。
後に残された僕達と比企谷の間には変な空気だけが漂っていた。
「……で、用事はこれだけか?」
「え?……あ、うん。あとは文化祭の出し物の希望と、それとーー」
羽川が流暢に聞くべくことを聞いていく。その横で、僕はただ比企谷に視線を向けるだけだった。
そうして気付けば比企谷宅を出た帰路の途中。終始無言を貫いていた僕の横で羽川はどこか楽しげに口を開く。
「比企谷くん。思ってたよりも大丈夫そうだったね」
「……ああ。そうだな」
「それに仲のいい友達も居るみたいだし。うん、良かった良かった。ちょっとだけ安心したかな?」
「安心?」
言葉の意味がわからず、自然と尋ねる口調になる。
視線を僕に合わせて、羽川は言った。
「比企谷くん、なんだかいつも他人と距離を取ってる感じだからさ。心配してたの。友達居るのかなーって。学校楽しくないのかなーって。ほら、一時期の阿良々木くんみたいに」
「一時期って……正直、今もあまり変わってないぞ、僕。学校が楽しいとかって思ったこともないし」
「でも友達は居るじゃない。私が」
「っ………」
……こいつはホントに。よくそんなこっぱずかしい事を素面で言えるもんだ。
「でも老倉さんだっけ?うん、ちゃんと比企谷くんにもそういう友達が居てくれてよかった。これならわざわざお見舞いに行く必要もなかったかな」
「……なんだか嬉しそうだな」
「そりゃそうだよ。クラスメイトの幸せを考えるのもクラス委員長の役目だもの」
本気でそう思っている風に羽川は言う。実際、羽川はそういう奴なのだ。
人間のデカさを見せつけられるというか。そもそもの器量が全然違うというか。
(それに比べて僕は)
それに比べて僕はーーずっと考え事をしていた。
老倉のこと。比企谷のこと。……二年前の、こと。
(僕はーー)
言葉の先は出てこない。
ただ、そういえば比企谷とは一度として話した事は無かったなーーと。
羽川との帰り道、ふとそんなことを思うのだった。