とある魔術の時空裂断   作:G.

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はじめましてG.と申します。

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では、スタート。。


OVERTURE
BREAK OF DAWN


10 years ago……

 

───イギリス郊外のとある村

 

 

この日、名も無き小さな村が一つ、人知れず消えた。

 

ついさっきまで猛っていたであろう炎も全てを飲み込み、もう燃やすものがなくなると知ってか、今は黒煙を僅かに上げているばかりである。

周囲に漂う煤の臭いの中、かすかに血と肉が焦げる様な臭いが鼻腔を刺激する。

どうやら50人にも満たないであろうの村人は皆全て殺されたようだ。

大人も、、子供も、、老人も、、

皆等しく不出来な解答用紙宜しく人目から隠されるよう火の中に放り込まれたのだろう。

数時間前迄あったであろう人の生活を象徴するものは須く焰に消えていき、

今はただ、羽を失いその身を黒く染めた風車だけが村があった事を教えてくれている。

 

 

「これはまた、悉くやってくれたものだな」

 

 

淡々と辺りの惨状を眺めながらそう呟くと、『人間』はおもむろに歩き出した。

 

 

「彼らはまた魔女狩りでも始めるつもりかな?だが───」

 

 

この『人間』にとっては人の生き死にも、悪夢のような光景もどうでもいい事なのだろう

宛ら拙い愛憎劇を眺める観客のように悪戯な笑みを浮かべながら歩いて行く。『何か』に導かれているかのように。

惨劇は村人が寝静まったのを確認してから起こったのだろう。

辺りはまだ薄暗く、数少ない街灯も今は使い終えたマッチ棒のようにしか見えない。

焼け倒れた建物は道路を隠し、この村を知っている者でさえ詳細を思い出すのは困難であるはず。

なのにも拘らず『人間』は一切を気に掛けず、只々瓦礫の中を進んでいく。

 

そう、『何か』に導かれているかのように。

 

 

「───少々詰めが甘かったようだな」

 

 

そして、その『何か』を見つけた。

 

『人間』は家があったであろう瓦礫の山に立ち止まる。

その中の一区画を雑作もなくを一掃し床が見えるまでに片付けると、そこにあった小さな床下収納を手を伸ばす。

 

 

「やはり無事だったか」

「……」

 

 

そこにあったのは、少し、ほんの少しだけ異質な『人間』と呼べる小さな生命が一つ。

身体を丸め、意識を深い眠りの中に落としている様は、まるで、大空羽ばたく夢を見ながら羽化を待つ蛹の様だ。

 

 

「ふふふ、この惨状の中でこうも安らかに眠れるとは、大器を感じさせられるな」

 

 

『人間』はそう愉しそうに目を細めながら小さな生命を抱き上げる。

肩口まであるシルバーブロンドの髪を掬い上げれば、微かに鼻腔を擽る幼児独特の甘い匂いと穏やかな寝顔に思わず頬を弛ませることを止められない。

こんな風に子供を抱いたのはいつ以来だろう。自分の子供でさえ最後に抱いた記憶が思い出せないでいる。

そんな自分が再び幼子を腕に抱ける日が来ようとは夢にも思っていなかっただろう。

少し感慨深く思いながら、こんなにも心穏やかになれる両腕の感触を愉しむ。

そんなことを考えながら二度目に髪を撫でた際、その小さな生命は『人間』の腕の中で静かに目を醒ました。

 

 

「おや、目覚めたかな?」

「……」

 

 

まだ完全には目覚めていないのだろう。

ぼんやりとした目をしながら『人間』を、そして辺りをとゆっくりと視線を移していく。そして再度『人間』を見つめ

 

 

「……おじさんだぁれ?」

「私はアレイスターという者だよ。君の名前を教えてくれるかな?」

「……けい……ぱぱとままは?」

「ケイか、良い名だ。残念だが君のパパとママは死んでしまったようだ」

 

 

ケイと名乗った小さな生命は死という概念がわからないわけではないらしい。少しだけ目を開き「そっか……」と呟くと、何かを祈るように天を見つめた。

感情が乏しいのか、それとも興味がないのか。いや、どちらでもないようだ。

アレイスターと名乗った『人間』の存在も、自分の住んでいた村の惨状も、そして両親の死すらも、この幼い少年は淡々と受け止めたのだろう。

なんにせよこの『人間』、世紀の大魔術師にして、科学の街学園都市の統括理事長、アレイスター=クロウリーの興味を惹いたことは間違いない。

元よりこの少年が目的でこの場所にいるのだが、正直こうやって会話をするまで若干億劫であったのだ。

幼い子供に泣かれたり、怯えられたりされ話が進まないのはどうも面倒に感じてしまう。

それが自身のプランの切り札(ジョーカー)と成りうるであろう者であってもだ。

そんな事を考えながら重い腰を上げて来たのに、着いて早々村がこんな有様だ。既にアレイスターのやる気はマイナス方向へ絶賛急降下中だったであろう。

だがそんな中、このケイを見つける。

大器を感じさせる物腰に既に達観したような思考を持ち合わせ、自身との会話をスムーズにこなしている様はアレイスターにとって非常に好感を持てるものだった。

そして、肌越しからでも伝わるケイの持つ素質にいよいよ顔の綻びが止められなくなる。仕舞いには、「ふふふ、私の目に狂いはなかったようだ」などと呟いている。

落ち込んでいる時程口説きやすいものはないというが、この『人間』意外と単純なのかもしれない。

 

 

「私と一緒に来るかね?」

「おじさんと?」

「……うん、いく!」

 

 

夜が明けと共に交わされた言葉。

アレイスター=クロウリーの提案に少しだけ考え、少年は笑顔で答えた。

 

 

「では今日から宜しく、ケイ」

「うん!」

 

 

朝日に照らされ、シルバーブロンドの髪は一層輝いて見える。もはや神々しいまでに。

そうこの日、少年の、ケイの物語は始る。

この出会いが彼の壮絶な物語の序章になるとも知らずに……

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