とある魔術の時空裂断 作:G.
「Oh……what 's happen……」
セブンスミストの爆弾事件から二日後の朝。翌日には家具も買い揃え、継は今日から店のあれやこれやを整える準備をする……はずだったのだが。今彼はリビングで呆然と立ち尽くしていた。
「なんで……買ったばかりの電化製品がスクラップになってるんでしょ……」
それは朝食の準備をしようと思い冷蔵庫を開けた時に気づいた。扉を開いた瞬間に香る酸っぱい臭い。肉は変色し、青物は萎れ、乳製品は更なる進化を遂げている。昨日買った一週間分の食材達は一夜にしてゴミ箱の餌になってしまったのである。そして部屋の八割りの家電がスクラップになっていることに気付き、今ケイは立ち尽くす他出来ずにいた。
「おいおい。カミやんの不幸が移ったか? 勘弁してくれよ~……仕方ない、ファミレスでも行くか」
不幸は上条の専売特許だろと悪態をつきながら出かける準備をしていると、その本人からの電話が鳴る。
「おはよ~。朝っぱらからどうしたの?」
『おはよう。悪い、ちょっと頼み事あるんだけど大丈夫か?』
「まあ、内容次第かな」
『じゃあ、この前のファミレスに来てくれ!用件はそこで伝えるから』
「了解~。んじゃ」
電話の向こうで慌てた様子の上条に、碌な用件はじゃないなと溜め息をつきながらファミレスへ向かうケイであった。
───第七学区、ジョセフ
「……で、そのアイアンメイデンを預かって欲しいと」
「ほうほんひふひはほへふはんへひほひんはひょ!」
「全くわからん。とりあえず食ってていいから」
上条と一緒に現れたのは白い修道服を安全ピンで留めた見るからに痛々しい少女であった。上条の話を要約すると、朝、上条宅のベランダに干されており、開口一番に食い物を催促。服は魔術の証明で口論になりノリで上条の右手で破壊。魔術師に追われており、教会に保護を求めに行くらしいが一人では心配な為、先日魔術の話をしたケイに連絡をして付き添って貰おうと思い───
「───なぅな訳だ。ったく人が良いと言うか何というか」
「スマン! 補習があって俺は付き添えないんだ。代わりに頼む!」
「ここまで来たら断れないでしょ~。けど、貸し一つね~♪」
面倒は面倒なのだがここで上条に貸しを作っておくのも悪くわない。打算も計算も露にした黒い笑みで上条に微笑みかける。
「ぐっ、出来るだけ財布に優しいものでお願いします」
「ハイハ~イ。それよりさ、今朝起きたら家電が全滅してたんだけど何か知らない?」
「あ~……それ、多分なんだが……ビリビリのせいだ。あいつの落雷のせいで昨日の夜停電があったんだよ」
「ほぅ……これは御連絡しないといけませんなぁ」
家電の故障が人的被害だとわかるとケイは徐に携帯を取り出し、メールを打ち始める。今度はどす黒いオーラを纏いながら。
食事に夢中のインデックスさえ箸を止めてしまう雰囲気に上条は冷や汗が止まらず、ここから逃げ出す口実を探し始める。
「や、やべっ、俺補修行かなきゃ! そ、それじゃ頼むな! 終わったら連絡するから!!」
「はい、いってらっしゃ~い」
この裏切り者と睨むインデックスを後目に店内の時計を見て慌てて駆け出していく上条に、ケイはノールックで手を振り見送った。
(さてさて、どうしたものかね~)
メールを打ち終え気持ちを切り替えてみるが、一向に気が乗らない。
目の前に積み重ねられた皿の山……はこの際無視しよう。
今問題なのはこの針のむしろを纏った少女が『魔術を知っている』ことだ。
とりあえずケイは冷えたラザニアをつつきながら質問していくことにした。
「インデックスちゃんだっけ? お腹イッパイになった?」
「久しぶりにお腹イッパイなったかも!ありがとうなんだよ!えっと……」
「継。黒裏 継ね。お腹イッパイになって良かったよ~」
何十人前も食ってまだ腹八分目とか言われた日にはこのままどこかに打ち捨ててやろうかと思ってしまう。
「見たところ十字教のシスターさんのようだけど、どこの宗派なんだい?」
「けいは詳しいんだね? やっと話が通じる人に会えて嬉しいんだよ!」
「まあ、学園都市(この街)で非科学(魔術)の話する方が無理あるからね~。で?どこに連れて行けばいいの?」
「えっと、イギリス清教の教会に連れてってほしいんだけど」
「なんだ、それなら話が早いわ。ちょっと待ってて~」
そういうと、継は電話をかけ始めた。そして10分後……
「こんのバカたれがーー!!!!」
「おはよー、つっちー」
現れたのはそう、ケイの親友土御門元春である。
「おはよー、じゃねぇんだよこの人間災害が! どんだけ面倒事持ち込めば気がするんだ!!」
「はい、落ち着こうね~。まず、これはカミやんの持ってきた面倒事だから」
「くそっ、上条当麻後でシメる……」
「是非共そうしてくれ。で、何が面倒事なのか説明してくれない?」
やって来るなり鬼の形相で捲し立てる土御門にインデックスも完全に怯えてしまっている。此方としてもさっさと解決して店の事をしたいのだと先を促した。
「こいつは禁書目録、脳内に一◯万三◯◯◯◯冊の魔導書を保管した魔術サイドの超重要人物だ。……恐らく追っ手というのも俺の知り合いだろう」
「というと『必要悪の教会(ネセサリウス)』か……。あちゃ~、これは骨が折れそうだわ」
まさかこの街で魔術サイドの重要人物と会うとは思わなかったケイは面倒な事に巻き込まれたと頭を描く。本来ならばここで放棄しても良いのだが、インデックスの怯え様と上条に頼まれた手前放棄するのは心が痛む。
「そんなに怯えないでくれよ、インデックスちゃん。俺が何とかしてやるからさ」
「うん……けいを信じるんだよ」
頼れる者もおらず、一人で魔術師の追跡から逃れて来たのだ。ここに辿り着くまでの出来事は想像に絶することだろう。そんな地獄のような日々に終止符を打つために出逢ったばかりのケイを健気にも信じると言ってくれたインデックスの気持ちに応えなければならない。
「ありがとな。……つっちー、インデックスちゃん追ってる人間に連絡取ってくれ。……一七時にうちの屋上に来いって」
「な!?……いいのか?」
「大丈夫、何とかするさ」
「……わかった。そう伝えておく」
土御門の知り合いだろうと、魔術師との接触は魔術サイドに継の存在を知られてしまう事態になりかねないのだが、これまでの話を聞き、どこか違和感を感じていたケイは真相を知るべく賭けに出ることにした。全てが杞憂であってくれればと思うが、今はただ、待つ事しかできない。約束の時間まで。
閑話
「インデックスちゃん、まだ甘いもの入ったりする?」
「甘いものは別腹なんだよ! ケーキ五◯個ぐらいは余裕かも!」
「それじゃあ、時間まで食べ歩きしようか」
「なんだかけいが神様に見えるてきたんだよ!」
「羽振りがいいにゃー。まだ奴の金なんだろ?」
「それはそうなんだけど、元々今日はリサーチついでに食べ歩きするつもりだったんだよ。それに、ここの分と食べ歩きの分、足した金額だけカミやんをコキ使おうかと思ってね~。人件費の先行投資と勉強代と思えば安いもんでしょ~」
「なら、俺も迷惑料ってことで御相伴に預かろうかにゃー」
「任せなさい♪ じゃあ、行きますか~」
この食べ歩きで上条の半年タダ働きが決まったのは言うまでもない。
やっと本編入れたー!!どんだけプロローグ長いんだよ、と。
さて、実は今絶賛沖縄旅行中です、多分(これ金曜に書いてます)
台風がマジで心配ですが、生きて帰って来れたらまたお会いしましょう←
ではでは