とある魔術の時空裂断 作:G.
某漫画家みたいにならないよう頑張ります
───とあるビル、ケイ自宅
「ただいま~、っと。さあ遠慮なく入ってよ!」
ケイに連れられ3人はケイの自宅にやってきた。ケイの意図が分かっている土御門はここまでの道中永延つるぺた幼女の良さを説き、片やケイは豊満グラマラスの覇道を語っていたがステイルと神裂は状況が分からず只只困惑しながら二人の後に続き言われるがままに部屋に入っていった。
「インデックスちゃんただいま~!……あれ?」
「ケイどうかしたのかにゃー?」
「インデックスちゃんがいない……。ん? なんだこれ?」
いくら部屋を探しても見つからないインデックス。ふとリビングのテーブルの上を見ると一枚の紙が伏せられていた。
【忘れ物したから取りに行ってくるんだよ!! すぐ戻る…かも☆】
肩を震わせ破かんばかりの力で紙を握るケイに土御門は不安げに声を掛ける。
「お、おいケイ。何て書いt「ぁんのバカタレがぁぁぁぁぁぁ!!!」ッ!?」
「土御門ぉ! 上条の住所教えろ! 今すぐにだ!! おい、そこの似非ショタ魔術師! お前は土御門から聞いた住所に今すぐ行け! 土地勘がないからわからない!? 何の為の携帯だ!? 頭使えやヴォケェェ!! 神裂!!、、さんは冷蔵庫からお茶下さい。お願いします。かも☆、じゃねぇんだよアホたれがぁ! 誰が何の為に骨折ってるか分かってるんですかねぇ、あ の 子 は!!……ふふふ、インデックスちゃんよぉ……お兄ちゃん怒らすとどうなるか身を以て教えてやろうじゃないか……ふふふふふ……」
(((魔王だ……ここに魔人以上の魔王がいる……)))
───第七学区、とある高校男子寮
「……不幸だ……。部屋の電化製品はボロボロだわ、朝は似非(?)魔術師で夕方はビリビリ超能力者……そして何より継の貸しが恐過ぎる……上条さんが一体何をしたっていうんでせうか……」
補習からの帰路。起きてからの不幸の連続に流石の上条も疲れ果てていた。夕闇は色を濃くし、もうすぐ街を黒に染めようとする中、重たい体を引き摺りながら自宅の前に着くと見知った少女がドアの前に腰を下ろし夕日を見詰めていた。
「あ、やっと帰ってきた! もう、遅いんだよ! 待ちくたびれちゃったかも!」
「え……?」
可愛い少女が自分の帰りを待っていてくれる。ここだけ聞けば誰もが羨む最高のシチュエーションなのだが、この少女の状況を考えると手放しでは…いや、両足放しても喜べない自分がいた。
「いやいやいや、お前何してんだよ? ケイに教会案内してもらったんじゃなかったのか?」
「途中で忘れ物した事に気付いて戻ってきたんだよ。帽子、君の家にあるよね?」
そういえば、少女がベランダに干されてる時に冠っていた帽子が今はない。何とか疲れた脳みそをフル活動させ記憶を辿れば家を出る際に既に冠っていなかったことを思い出す。
「ああ……多分、アイアンメイデン作ってる時に脱いでそれっきりなんじゃないか?ったく、そんなんで戻って来たのかよ。」
「そんなのは言い過ぎかも! 君に被害が行かない様に心配して戻ってきたのに!!」
「被害? ああ…魔術師(笑)に追われてるんだっけ? そんなのついでにケイに撃退してもらえば良かったじゃねぇか。アイツああ見えてメチャクチャ強いんだぞ?」
「そ、それでも帽子の魔力を辿って君に被害が行くかも知れないと思って戻って来たのに! その言い方はないかも!!」
一生懸命弁明する目の前の少女に思わず頬を緩めてしまい、自身の危険を顧みず他者を心配その優しさに今日一日の疲れを忘れいつの間にか笑っている上条がいた。
いつも不幸ばかりの自分にも稀にはこんな日があってもいいだろう。いや、毎日とは言わないが週に一回くらいこんな一日であってもいいのにと。
「お楽しみの所悪いんだけど、お邪魔するよ?」
それは突然の出来事であった。
これまでの空気を一切合切喰らい尽くし現れたのは、黒い神父服を着た二メートルを超す大男。その男が纏う空気は上条が知るどんなものより異質であり畏怖の対象でしかなかった。そしてこの男がインデックスの言う『魔術師』なのだと上条は本能で悟る。
「……てめぇ、何者だ」
「うん? その子から聞いてないのかい?『魔術師』だよ」
そう言いながら男は煙草を吹かし、指輪だらけの指で器用に玩ぶ。瞳はインデックスを捕えたままに。その視線に耐えきれなくなったのか、少女は視線から逃れる様に上条の影に隠れる。
「はは、随分と嫌われたものだね。記憶がないのに」
その言葉に、ビクッと体を震わせたインデックスを隠す様に上条は二人の間に立ち塞がる。
「なんだってテメェらはインデックスを追っかけ回してんだ!」
「うん? 僕らはその子を保護したいだけなんだけどね?」
「嘘付け! じゃあなんでこいつはこんなに怯えてるんだよ!? それに何度も攻撃してるんだろ!?」
「まあ、否定はしないよ。飽く迄も僕らが保護する対象は『禁書目録』であって、その子の状態は問わないのさ。……尤も法王級の絶対防御をその子が持ってなければ出来ない事だけどね……」
「え?今なんて……」
男の呟きに耳を疑った上条は再度問いかけたが、それは場違いな着信音によって掻き消される。
「ああ、すまない。ちょっと待ってもらえるかな? ……はい……分かってる……大丈夫、うまくやるさ……分かってるって言ってるだろう?というか一体どんな耳してるんだ君は……分かった、わかったからそれだけは勘弁してくれ。…いやして下さい。…はい…はい…では……。ふぅ……」
何故だろう。。電話を切った後先程まで異質なオーラを放ったいた目の前の大男が、今は哀愁を漂わせ小さく見えるのは。
「だ、大丈夫なのか?」
「うん? ……ああ…まさか齢十四歳でノルマに追われる営業マンの気持ちが解るとは思わなかったよ……」
敵ながらそのうち法令線や白髪まで出てくるんじゃないかと心配になってくる程の疲労っぷりに上条はどうしたいいものかと戸惑うしかなかった。だがそれも男の一言で無理矢理引き戻される。
「さて……、僕も自分の身が可愛いんでね。話を進めようか。……その子を渡してもらえないかな?」
「ッ! はいそうですかって誰が渡すかよ!! テメェらの事情なんて知った事か!!」
「仕方ないね。ステイル=マグヌス……いや、Fortis931、と名乗ろうか。覚えて逝くといい……君を殺す名だ。
その瞬間、男の手に握られた煙草が赤ともオレンジともとれる光を放ち轟!、と爆発した。
光は瞬く間に収束し男の手に炎の剣が握られていた。これが魔術…それは上条が見たどの能力とも異質であり自然であり、どの能力よりも美しく…また恐ろしかった。
「───
「ッ!インデックス!!」
ステイルは言葉を紡ぐと上条に向けその手の炎剣を振るった。それはまるで袈裟に薙ぐ炎に意思が在るかの様に、その軌跡を熱波と閃光で生々しく描き上条とインデックスを飲み込んだ。
まるで爆破テロ宜しく辺りは黒煙と焦げた臭いに包まれる。幸い、奴の情報では今この建物には誰もいないらしい。万が一騒ぎになった時は奴らに押し付けてしまえばいいだけだ。何も問題はない。そう……、ここまでは。
「ふん……。まさか本当に防ぐとは思わなかったよ。君は本当に人間かい?えっと……」
「上条…上条当麻だ」
晴れた煙の中からのは無傷の上条と左腕に抱えられたインデックス。
歯噛みする…というよりも無傷の状態に呆れた様に問うステイルに、上条は睨みを利かせながら答える。
「全く嫌になってくる街だよこの街は。さっさと本国に帰りたいもんだね」
「だったら早々にご退場願えると嬉しいんだがな、魔術師」
一か罰かだった。インデックスの服を壊せたのならと右手を突き出さなければ今頃は露天の飴細工宜しくこの世と永遠の別れを告げていただろう。
そして奴はまだ余力を残してる。何故かわからないが上条の五感が喧しく警鐘を鳴らしているのがわかる。次の攻撃で奴は───そのとき再度ステイルの携帯から着信音が鳴り響く。
「……出ないのか?」
「何、些細な事さ。それよりもいつまでその子を抱きしめているつもりだい?」
その言葉に顔を赤らめ距離を離す二人にステイルは忌々しげに舌打ちをし、これまでは遊びだったと言わんばかりの怒気を放つ。そして───
「
───ステイルの最後の切り札にして最大の呪文、『
「……これでサヨナラだ。精々あの世で自分の運のなさを呪うがいいさ。行け、『
必殺を冠した焰の魔人が今上条とインデックスに必滅の撃槌を打ち下ろさんと今襲いかかる。
「終わりだって言ってんだろ、似非ショタ魔術師」
上条が迎え撃とうと右手を構えたその瞬間、『
そして、その向こうに見えた光景は……マンションの廊下に頭を埋めたステイルと……そのステイルの頭を足蹴にしているケイと、ウエスタン風の見知らぬ女性、そして……満面の笑みで『大 成 功』と書かれたプラカードを持った土御門の姿があった。
決してステイル嫌いじゃないんですよ?
何故かこの立ち位置が一番落ち着きました。アーメン、ステイル君